なるほどの長生医学

大村 基實

患者の立場

長生館を初めて訪れる患者は、必ずしも長生医学を信頼しているとはいえず、むしろほとんどの患者が不安を持っていると言っても過言ではない。しかし長生館を紹介した人から、また待合室で隣り合った人から直接、体験談や治療効果を聞き、更に術者の深く頷かしめる説明と臨床上の治療効果を目の前にし、徐々に信頼関係に基づく良い術者患者関係の構築が可能となる。


具体的方法

予約制ではなく順番制を導入することにより、待ち時間に患者同士のコミニュケ−ションが生ずる。そこで得られた情報は、不安感の除去、予測調節といった自然治癒力を活性化する要素となり、実際の治療への導入体勢が作られる。


治療者の立場

長生館での受療を決心し、家の玄関を出た時、すでに50%は治癒に向かっていると考えて良い。受療手続きの様子、待合室での挙動、診察台に昇るまでの起立、歩行、顔色、など診察外での観察も病態を把握する上で重要な要素となる。
診断において、患者の病態における身体的要素と精神的要素の鑑別は特に重要である。その病源を的確に見極めたなら、明確に、不安を与えないよう説明し、適切な治療を施こさねばならぬ事は改めて言うまでもない。


相関関係

異常ある患部、又は局部の調節だけで、単純な疾状は解消するが、患部と全身の相関関係を観察する事が必要である。
つまり、体幹の前後屈、側屈、回旋、伸展、萎縮、機能変化、組織変化、等を観察することにより、知覚神経、運動神経、自律神経の影響が体幹の平衡性や可動性に欠陥を生じさせていることが分かる。


施術者の基本姿勢

  1. 両下肢の正しい位置を確認する。
  2. 施術者の身体をベッドにもたれかけない。
  3. 特殊な治療以外、施術者はベッドに腰掛けたり、座り込まない。
  4. 加圧は腰を利用、患者に対し重圧感を与えぬこと。
  5. 施術中は手掌のあるところを必ず凝視。(プラ−ナ放射)
  6. 手技により使用しない手も、関連部位に置きプラ−ナを送る。


手掌の密着

  1. 手掌は必ず密着し、無駄な動きを最小限にし、ズレながら移動する。
  2. 両母指をクロスさせない。
  3. 母指の爪先を他方の母指で軽く押さえる方法を取る。
  4. 小指は必ず密着し揃える事。

特に注意を要する循環器系疾患の特徴 

浮腫(腎性、肝性は要注意)、
疲労しやすい、
尿量減少、
嘔心、嘔吐


治療後

患者の病態に対する今後の見通しと、日常生活での注意、指導、といったケアの面でのアドバイスも大切な要素である。
また、目と目を合わせ「お大事になさってください。」と来館の労をねぎらうことも術者に求められる態度の一つと思われる。
患者を安心に導けば、必然的に治癒力が高まり、通院への意欲がつのる事は言うまでもない。


純宏法師が教導されし節

長生派の教えを聴聞する私たちが「如何に生くべきか」課題を持つ時、先ず明確になさねばならぬ問題が「信心決定」である。「ご苦労がかかった身」「ご恩の身」であることを心底から頂くことである。頂く事が出来た人は「一般操作」「特別操作」に転換されている「一般操作」つまり「必要基本操作」の重要性を指導する事。
長生医学を志すものは「患者に対し如何に処すべきか」を脳裏に留めて、全力を出し尽くすことの出来る今の喜びが、長生医学の高度化と濃厚さに発露されるものと信ずる。
「一心決定」は他力の業法である。


* 研究会と講習会の混合型で実施します。
* 矯正動作は会場にて披露します。


(2001年7月「日本長生医学会北海道連合会夏季研究会」にて発表)

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