自殺の理由 : 大村 まや

何気なくテレビを見ていたら、「自殺者3万人を越す」というニュ−スを目にしました。
この数字は、年間1万人が亡くなっているという交通事故死の3倍にあたるそうです。私は目を疑いました。自殺はこんなに身近なものだったのです。
なぜ自分から命を絶つという恐ろしいことができるのでしょう?私には理解できません。

「なぜ人は自殺するの?」私は家族に聞いて見ました。
祖父は「収入や家族との愛情がなくなった時」、祖母は「ストレスかな」、父と母は「苦しみや辛いことから逃れるため」と答えてくれました。

7月25日の北海道新聞によると、昨年一年の自殺者の主な原因は、病気などの健康問題が48.7%と最も多く、次に経済や生活問題が22%、家庭問題が8.5%、勤務問題が5.6%という順番でした。
しかし私が気になったのは年代別の自殺者で、60歳以上の自殺が一番多いことです。

家族に「自殺したいくらい、辛い事は何だと思う?」と聞いてみました。
60歳以上の祖父と祖母は「皆に嫌われた時」「相手にされなくなった時」「孤独になった時」と答えました。戦争の時代を生き、人生の荒波をくぐりぬけた、たくましいお年寄りでさえ、死にたくなる原因は、病気ばかりでなく、寂しさや孤独なのかもしれません。

数は少なくとも、私のような中学生や、私より小さな小学生にも自殺者はいます。もしかするとその原因は「いじめ」や「親の虐待」による苦痛ばかりでなく、一人でそれに耐えなくてはならない寂しさや孤独なのかもしれません。

四十代の父と母にも同じ質問をしてみました。
母は「人に必要とされなくなった時」、父は「生きがいを無くした時」と答えました。
警察の調べによると、職業別では「無職」の人の自殺が半分近くを占めています。新聞では「借金、失業などの経済や生活問題を動機とする、長引く不況の影響」と書かれていました。つまり働き盛りの四十代、五十代は、お金や仕事がなくなった時に気持ちが追い詰められるようです。

しかしある調査では、日本やアメリカのような物質の豊な国の人々より、物質の乏しいアフリカや南米の小さな国の人々の方が、自分は幸せだと感じているそうです。
テレビで見たアフリカのある部落では、自分達が食べるために蓄えていた明日の食糧さえ旅人に分け与えてしまいます。旅人が「明日はどうするの?」と心配しても、「誰かが助けてくれるさ。それに私には神様がついてるからね」と笑っていました。

私は父からこんな話を聞きました。キツネを撃つ二人の猟師の話しです。
猟に出た二人は残念ながら二人ともキツネに逃げられてしまいました。一人の猟師は「キツネに逃げられるなんて、俺はなんてバカでマヌケなんだ」と自分を責めました。もう一人の猟師は「なんて頭の良いキツネだろう。」とキツネに感心しました。二人ともキツネに逃げられたのに、なぜか一人は不幸で一人は幸せなのです。
もしかすると幸せとは、お金や物をたくさん得ることではなく、こんな気持ちなのかもしれません。 

私は家族に「自分にとって幸せとは何?」と質問しました。
陽気な祖母は「元気なこと」、元気な祖父は「仕事のある事」、優しい母は「家族がみんな幸せである事」、父はちょっと気取って「生きるって素敵だなぁと思える時かな」と答えてくれました。

私は思いました。もし私が、雨降りに暗くて恐ろしい道をひとりでお使いに出されたら、死にたいくらい嫌で嫌でたまらないでしょう。それは今の私にとって、お金や仕事がないことと同じくらい不幸な事です。
でも、もしその道を大好きな人が一緒に歩いてくれるなら、雨も暗くて怖い道も、きっとウキウキするような素敵なお使いに変わるのだろうと。


平成年14年9月27日 
旭川市立北都中学校「北都っ子の集い」意見発表大会 優秀賞

大 村 ま や  プロフィ−ル

1989年12月29日生まれ(山羊座のへび年・・変ですか?)
旭川市立知新小学校を経て、現在 旭川市立北都中学校1年在学中

趣  味: マンガ作り(獣人もの)
特  技: 絵画「道民家庭の日絵画コンク−ル 北海道知事賞」
「電波障害ポスタ−コンク−ル 奨励賞」
「第39回 旭川児童生徒絵画展 北海道新聞社賞」
「第41回 旭川小、中学生版画展 旭川市教育長賞」
その他
好  物: イチゴ、手羽先(特に骨髄)、北京ダック(まだ一度しか食べた事がない)
嫌  い: うるさい男子、怒った母
好  き: アニメのカッコイイ男の子(犬夜叉、カイザ−・・いけませんか?)
将来の夢: 伊藤健太郎さんみたいな声優

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