8月の終わりから9月の終わりにかけて、農協の短期バイトをしていた。
この時期は米の収穫期なのである。
仕事の内容は端末の操作を含む事務と雑用(掃除、お茶くみ)だった。
米の流通について、なんにも知らない私に勤まるかどうかが不安だったが、
仕事をやめて丸一年、期間は米の収穫の間だけと本当に短期だったし、
そろそろ社会復帰のためにリハビリせねばと思っていたので丁度よかった。
農協といっても、いろんな役割があり、バイト先はカントリーと呼ばれる米の管理センターだった。
米どころ富山では米の収穫期に入ると、たわわに実った稲を刈り取るのだが、稲から米になるまでに
いくつかの手順が必要である。
米は刈り取っただけではダメなのだ。
刈り取った後の稲は脱穀され穂と実に分離されるが、この実は生籾(なまもみ)と呼ばれる。
生籾はそのまま置いておくとすぐに腐ってしまうので、乾燥させることが必要である。
カントりーの業務内容は季節によって違うようだが、
今回の仕事は生籾の乾燥と管理で、乾燥機を持たない個人の農家や営農組合がこの施設を利用する。
まず、農家や営農組合が刈り取った籾をカントリーに持ち込む。
持ち込み様式はダンプカーに籾をそのまま入れて持ち込む人、籾袋に入れて持ち込む人、
コンテナ(1m四方くらいの大きさで800キロくらいの重量が入る)に入れて持ち込む人など、様々だ。
一番多いのはコンテナである。
コンテナには入荷表を入れる袋がありコンテナごとに米の品種、持ち主が書いてある用紙がついている。
持ち込まれたらそこからサンプルを取って検査を行い、害虫にやられてないかとか、水分量や品質を調べる。
品質に問題がなければ、作業場に搬入される。
コンテナによる搬入が一番多いので作業リフトを使ってコンテナを運び、営農組合ごとや、個人に仕分する。
ある程度の量がたまったら、いよいよ乾燥機に挿入していくのだが、乾燥機は事務所の端末で
集中管理されている。
私の仕事のメインはこの端末の操作である。
事務所はガラス張りになっているので、作業状況が見える。
私の仕事自体は簡単だったが連携プレーを要求され、全体を把握しなければならなかったので
頭を使う仕事でもあった。
リフトを操縦し、コンテナを運んでホッパーと呼ばれる乾燥機の投入口に生籾を入れる人達、
投入口からはみ出た生籾をほうきを使って投入口に入れる人達(通称はきはき隊)と協力しながら作業を進めていく。
まず、リフトを操縦する人が入荷状況をみて、どこの米を乾燥機に入れるかを判断し、指示を出す。
そして、はきはき隊の人が入荷表を集めて、指示を書き、窓口(端末がおいてあり、私が待機しているところ)に持ってきて、
私がそれを確認し、持ち主の登録カードを機械に通して持ちこみ量を入力し、籾の搬入が始まったらホッパーを開くスイッチを入れるのだ。
絶対に間違えてはいけないので、神経を使う仕事であった。
常勤の職員さんがいるので、私が関わった仕事はごく一部である。
それでも米に関してはほとんど何も知らなかったので、よい勉強をさせていただいた。
入荷が少なくなってくると、私も「はきはき隊」に参加したり、リフトの操作方法を教えてもらったりと
このバイトをしなければ体験できなかったことがたくさん出来て、とても有意義なバイトだった。
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