はじめてのアラビア語-1


派遣前訓練のおかげで大抵の協力隊員は現地に行くと日常の最低限の言葉は困らない。

しかし、私が派遣されていた頃はアラビア語の講師がいなかったため

シリアではアラビア語が話されているにもかかわらず訓練で英語を勉強していた。

それは現地についてから英語でアラビア語の語学訓練をうけるためである。

シリアで英語がどのくらい通じるか、それは日本で英語が通じるかというのと

同じくらいである。

あまり通じないというのが現状だろうと思う。

シリアに行って日本に来ている外国人の気持ちがよくわかった。

最近は日本でも英語の表記が見られるようになったが日本語だけだと

日本語を知らない外国人にとってはさっぱりわけわからんのである。

シリアは今、外貨獲得のため観光に力を入れているので、私が派遣されていた

当時に比べると観光地では英語の表記がしてあり、幾分マシにはなっているが

元々シリアはアメリカと仲が悪く(湾岸戦争で多国籍軍側についたのでいくぶん緩和されている)

その当時は英語の表記よりフランス語の表記の方が多かった。

シリアは一時フランスの統治下にあったためだ。

英語よりフランス語やってくれよーーーというのが正直な気持ちだった。

いよいよ現地での語学訓練が始まったわけだが、しょっぱなから頭がくらくらした。

どこの国でもあいさつは基本だから「おはよう」から習うわけだが

その「おはよう」の発音が出来ないのである。

サバーフ アルヘール

カタカナで表記するのはとても難しく皆さんにお伝えできないのがもどかしい。

アラビア語には日本語に無い音がたくさんあった。

アラビア語の文字はいくつあるか聞かれると30文字なのだが

そのうち母音は3文字で残りはすべて子音なのである。

日本語はあ行が母音で子音は

K・S・T・N・H・M・Y・R・W・G・D・B・Jだけなのである。

アラビア語の子音の数27に対して日本語は13と半分なのである。

日本人が外国語習得に時間がかかるのは、外国語というのは

日本語にない音がたくさんあることも関係しているのではないかと思う。

アラビア文字の発音を先生についてオウムのように繰り返すわけだが

きちんと発音できるのは半分で4分の1はあやしく、4分の1は出来なかった。

喋れるようになるんやろか

切実にそう思った。

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