シリアに行くまで-3


シリアに直行便はないため行き方はいろいろあるが、この時はフランスを経由した。

トランジットで一泊あったので一緒に出発したジョルダンに派遣される人たちと共に

パリ市内へ出た。

訓練を終了した時から気分はハイの状態が続いていた。

訓練終了から派遣まで2週間ほどで、その間に現地で生活するための準備をし、

これでもか、これでもか、というくらい友達とのしばしの別れのための宴会をした。

見知らぬ土地、特にその頃、シリアの情報なんて皆無に近かったので

期待と不安でハイだった。

きっとその時の私は目がギラギラしていたに違いない。

パリは白夜だった

真夜中になっても明るかった。

「これが白夜かーーーー」と興奮し、飛行機の中で睡眠をとっていたので

出発までの間パリ市内をずっとうろついていた。

派遣国に着く前に倒れるんじゃないかと思ったのは多分私だけではなかったと思う。

いよいよパリからシリアの首都ダマスカスに向かう飛行機に乗る事になった。

飛行機に乗った瞬間、今までのハイ状態がぶっとぶくらい血の気が引いた。

成田からパリまでは日本人観光客やビジネスマンがたくさん乗っていて

飛行機の中で外国を意識する事はなかったが

そこにはアラブ人と思われる人ばかりが乗っていた。

女性は皆、頭からスカーフをかぶり、地味な色のコートに身を包んでいて

男性はイラクのフセイン大統領を思わせるような顔つきの人が多かった。

子供は生意気そうな顔をして、じーーーっとこっちをみている。

これからこういう感じの人たちを相手に仕事をするのか

そう思うと期待より不安の方が大きくなった

 

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