シリアに行くまで-2


協力隊に参加するには派遣前訓練を終了しなければならない。

これは、現地についた時に困らないように最低限の現地語を習得することと

協力隊員としての心得や病気の知識を得ることを目的としている。

その当時、訓練所は長野県の駒ケ根市というところと東京の広尾の2箇所にあり

私は長野県にある駒ケ根訓練所に入所することになった。

(現在は福島県の二本松市にもできて3箇所になっている)

近くに養命酒の工場があり、自然に恵まれた良いところだった。

悪く言えば俗世間から隔離され、自然以外になんにもないところだった。

訓練は学生時代の部活の合宿に似ていて、朝から晩までスケジュールがびっしり詰まっていた。

(現在は少し緩和されているらしい。)

訓練生の中には自由がないと不平を言う人もいたが、私は

あぁ、天国みたいやーー」と思った。

生活のために必死になって働かなくても良いし、毎日ただで勉強させてもらえて、

三食ちゃんと食事ができて、お風呂も入れてなおかつちゃんと休みもある。

みんなが候補生という立場だからいやみな上司や先輩がいるわけでもない。

これを天国と言わずになんと言おうか。

私はシリア派遣予定だったので、本来ならばアラビア語を習得するはずであるが

その当時、アラビア語の語学教師がいなかったので、英語を勉強する事になった。

英語なんてすっかり忘れていたので語学の授業についていくのは大変だった。

訓練中一番つらかったのは訓練も終盤になると語学のカリキュラムが進んで

頭がついていかなくて、脳みそがちぎれそうになったことだった。

英語がわからなくて苦しんでいる夢を毎日のように見た。

それ以外は楽しくて訓練中に5キロも太った。

訓練の3ヶ月はあっという間に過ぎて、いよいよシリアに向けて派遣される事になった。

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