アラブの洗礼
シリアは大きく分けてイスラム教徒が90%を占め残りの10%がキリスト教徒である。
日本人は正月には神社に詣で、盆には墓参りを行い、12月にはクリスマスを祝うという人が大半で
「あなたの宗教は何か」と聞かれた時に明確に宗派を答え、
その教義を答えられる人が少ない民族なのではないだろうか。
私などは宗教のいいとこどりが得意であり、基本的にすべての宗教は
人間が心穏やかに生きていくための支えだと思っているから
どの宗教がよくてどの宗教が悪いという観念もないし、宗教は何を信じようと
自由だと思っている。
どの宗教も根本をつきつめていけば同じところに辿り着くような気がするし
大切なのは教義を理解し、そこから自分の生き方を正そうとする気持ちを
持つ事なのではないだろうか、などと思っている。
こんな風に思うようになったのはシリアに行ってからである。
それまでの私は宗教大嫌い人間であった。
両親は正月には神社に詣で、盆には墓参り、クリスマスにはケーキを買ってくる
という人達だったが、私が外道と呼ばれるような行いをしないように
小さい頃から何かにつけ説教をする人だった。
長い時には2時間も3時間も説教される上にその内容が重複していたりする。
その反動からか私は説教アレルギーになってしまい宗教イコール
考えを押し付けられてしまうという恐怖を持つようになってしまったのである。
しかも私の周りにいた熱心な信仰を持っている人はうさんくさいと
思う行動をとる人が多かった。
世のため、人の為に布教活動をするのはいいけど、
わが子をもっとかまったらどうやねん
と言いたくなる人がたくさんいたのである。
苦労している人の弱みにつけこんで「信心したら救われる」などと言って
入会させ、お布施と称してお金を取るのも気に入らなかった。
宗教に対してはろくな思い出がなかったので
宗教アレルギーでもあった。
そんな私がシリアに行ったことによって宗教は素晴らしい
と思うようになったのである。