カンボジア ダイビング紀行

これまでの紀行はラオス・カンボジア紀行へ。

12月28日(火)13時 晴

12月28日13時、ここは、カンボジアの首都プノンペン。
プノンペンは、アンコール遺跡のある街シェムリアップと違って治安が悪く危険な街である。
外務省から出た注意喚起によると、夜のプノンペンの街を歩き回らないこととなっている。
私は、プノンペンで泊まらないで、カンボジアの海が見える街シアヌークビルへ行って泊まろうと、日本の出発前に考えていた。
ガイド「地球の歩き方 カンボジア」に、シアヌークビルはカンボジア唯一の美しいビーチと書かれていたので、海が好きなWと私は、旅行の最終日には海へ行ってノンビリしたいなあと意見が合ったので、行こうとプランを立てた。
それに、ダイビングができると書かれていて、びっくり!
ダイビングをやってみる?とWと相談してみた。
 「カンボジアでダイビングができるなんで考えられる?」
 「カンボジアのショップは安全性があると思う?」
 「砂浜に地雷があるんじゃないか?」
と不安しながら話合った。

プノンペンのマーケット
カンボジアのダイビングの情報をインターネットで調べたけど、一つも情報がなかった。
結局、
 「現地のショップへ行ってインストラクターの人柄、器材やスタイルの安全性を確かめてからダイビングをやるか決めよう。」
とWと話し合って決めた。
Cカードとログブックとマスク(私は目が悪いから度入りが必要)とダイブコンピュータを日本から持っていき、スーツや重器材などは現地でレンタルすることにした。

現地の話に戻って・・・。
ポル・ポト時代の虐待写真が展示されているトゥールスレン博物館を見学した後から恐怖と残酷のあまり体じゅうこわばった状態になってしまいながら、プノンペンのバスターミナルへ向かった。
シアヌークビルはプノンペンから250Km位あって、交通手段にバスと鉄道がある。
バスには1日4本あり、所要3時間半位。鉄道は1日1本しかなく所要12時間。
時間的にバスの方が便利なので、バスを選んだ。
プノンペンのバスターミナルの窓口で、13時半発のチケット(全指定席)を買った。
片道で8000R(リエル)(1R=0.032円)だが、往復14000Rの方が得なので、往復チケットを買った。
バスはアルミで覆った観光バスでなんかアメリカの長距離バスに似ている。バスにトイレがついていなけど、途中でトイレのあるドライブサービスエリアで停めてくれるから、まあいいでしょう。
距離250Kmにして往復450円なんて日本よりメチャクチャ安い。

プノンペン−シアヌークビルのバス
バスに乗って13時半にプノンペンを発った。車内はガラガラなので、一人2席分とって寝そべりながら体をくづろいた。
バスの乗客はほとんど白人の外人。外人も私と同じく、喧騒で危険なプノンペンを離れて、リゾート地でノンビリしたいのかな。
旅行中で毎朝早く起きて行動していたので、長時間でバスの中にいるとはさすがに眠くなり寝てしまった。
1時間半後に休憩場所に着き、目を覚めた。
ここは何もない草原で、向こうに1000m級の山が連なっている。その草原の中にフルーツ売店と食堂が一緒になった店1つと公衆トイレが建っていた。
そこでトイレを済ませて、10分位休憩した。雲がない青い大空で、真上の太陽がギラギラ照らしており、真夏のように暑くて汗を沢山かいた。暑すぎて外で長くいられないので、冷房がきいているバスの中に入った。
バスが発車して、あと2時間バスの旅を続けた。車窓で山、草原、田畑を眺めて、カンボジアは戦争が終わったな、自然が素晴らしくて平和な風景だなと改めて感心した。
バスの中でWと一緒に、シアヌークビルで泊まるホテルはどれがいいかなとガイド本で調べながら話合った。
「セムサック」というホテルは、オーストラリア人が経営していてダイビングの手配ができると書いてあったので、それにしょうかと決めた。もしインストラクターがオーストラリア人なら信用できるかも。
17時を過ぎると、太陽が地平線に沈みかけて、オレンジ色の空になった。そしたら海が見えてきた。
 「待ちに待ったカンボジアの海がみえた!」
と喜びはじめたが、海をよーくみるとタンカーと貨物船だらけの港ではないか。
 「ビーチはもっと先にあるのか?」
 「タンカーの港に近いから海は汚いのか?」
と不安してしまった。
バスの終点は海から数km離れたシアヌークビルの中心の街であり、私とWはそこで降りた。
ホテル「セムサック」は終点のバス停から近いので、ちょうどよかった。
バスから降りろうとしたら客引きのバイクタクシーの人が沢山詰めてきた。
私とWは、泊まりたいホテルを既に決めたし、そのホテルはバス停から歩いていける距離なので、バイクタクシーの人を断りながら道をあけて宿に向かった。
それでも後ろからバイクタクシーの人達がついてくる。しつこい奴等だ。
バイクタクシーの人達の声を無視しながらさっさと歩いて「セムサック」に着くと、バイクタクシーの人達は諦らめて去っていった。
プノンペンにもアンコールワットにもバイクタクシーの人達が客引きのためにあちこちから来る。客引きして交渉しながらお金を儲けるのが、カンボジア人のスタイルである。

シアヌークビル
「セムサック」は、外観によるとやや古くて3階建ての小さなホテルであった。フロントに入るとカンボジア人の受付人が現れた。あれ、オーストラリア人はいないのかなと、その受付人に聞いたらオーストラリア人は外出中だって。
ロビーにダイビング紹介のビラが貼っており、オーストラリア人がガイドしている写真が載っていた。どうやら「セムサック」はダイビングショップ兼ホテルだった。じゃ、このホテルに決まり!
ツインで、TV、冷蔵庫、バスシャワー付きで、2泊で一人当たり15$。安い!
部屋に荷物を置いてから、フロントへ行ってダイビングの申し込みについて聞いてみた。フロントのカンボジア人が、英語で、
 「ボス(オーストラリア人)はプノンペンへ出かけていたので明日の13時戻ります。」
と言った。
 「えー、私達は明日ダイビングするつもりですよ。明後日は帰るから明日しかないです。明日は ダイビングができない?」
と身振りと英語の筆談で聞いた。
受付人は「無理かもしれない」と言いながら、困惑な顔をしていた。
 「ダイビングはダメか・・・」
と、私とWはがっかりしそうだった。
そしたら受付人が
 「ボスの奥さんがここにいるから呼んでみるよ。奥さんと相談してみたら?
  19時に奥さんが来るから、その時間にロビーで待ってください。」
と言ってくれた。
 「OK、19時にロビーに来ます。」
と快諾した。
19時まであと30分なので、ホテルの周りをブラブラした。南の国らしくあちこちフルーツ店がいっぱい。ホテルで食べるつもりで、マンゴスチン、ドラゴンフルーツを買った。他にも色々なトロピカルフルーツが売っているが、私は、マンゴスチン、ドラゴンフルーツがお気に入り。

19時になってロビーに戻ったら、奥さんがいてくれた。カンボジア人?タイ人?美人でモデルのようなスタイルのいい女性だ。
奥さんと英語で話合ったら、
 「ここのダイビング店のインストラクターは旦那しかないの。旦那が明日13時戻るから、明日のダイビングは無理と思う。」
のことだって・・・。
私とWは、「ここは無理なのか。他のダイブショップはないのか。」と悩み、フロントにおいてあるシアヌークビル案内パンフレットをとってページをめぐりながらダイブショップを探した。
 「あった!他にショップ1軒あった!」。
そのショップの広告には、ダイビングだけでなく、釣り、ボート遊覧、いろいろなマリンスポーツの手配も書かれている。これじゃ、ダイビング専門の店じゃないみたいな。
広告には、場所の住所や地図がなく、電話番号だけ載っていた。
 「どうする?ガイドがカンボジア人かな?どんな店か訪ねてみないと分からない。」
とWと相談した。
私とWは電話ができない。ここのホテルに電話をお願いしたいと思っても、ここのショップでなく他のショップを使うことになるから、失礼かな。お願いしにくいなあと迷った。
そしたら、奥さんが
 「電話してあげるよ。」
と言ってくれたので、私は喜びながらお願いした。
奥さんが携帯電話で他のショップに問い合わせた。「Claude」というショップに。
「Claude」から、
 「明日のダイビングはOKです。器材レンタルとランチ込みで70$です。」
と連絡がきた。
 「おーっ、ダイビングできるんだ。それにしても安いなあ。でも、ショップの安全性を確かめてから決めたいな。」
と思った。
今はもう20時になっていて遅いので、「明日の朝、ショップへ行って話合いたい」と奥さんに伝言お願いした。
そしたら、明日の朝8時半に「Claude」の方がホテルに迎えに来てくれるって。
対応してくれた奥さんに感謝として携帯電話の通話料を出そうとしたら、結構だって。
とても優しい奥さんだ。

その後、シアヌークビルの魚料理の屋台で夕食したときも、部屋の中にいるときも、Wと2人で、
 「本当にダイビングできるのかな?」
 「ガイドはどんな人だろう?」
 「器材は大丈夫かな?」
と同じこと何度も繰返しながら話合った。
 「すべては明日じゃ。」
と、不安と楽しみを抱きながら寝床に入った。