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05年8月末、自車で新潟−小樽フェリーに乗って訪旭。炎天下の竹内木材の片隅で製作に必要な材を選び、工房に持ち帰りました。嬉しいことに、北大のポプラは軽さと固さのバランスが楽器用材として理想的な感触、往時のヨーロッパの名工達が好んで使ったポプラと大変よく似た材に仕上がっていました。
またポプラと同じ台風で倒れた「北大のハルニレ」もチェンバロのスタンドを作るために製材して持ち帰りました。(写真右下) |
楽器完成は06年の夏が目標。06年9月8日の倒木の記念日に北大で披露演奏会が計画されています。 |
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まず初めに底板を作り、図面通りに成形した上に、土台となる部材を取り付けます。アリホゾを駆使して膠でしっかりと取り付けます。
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05年11月26日、骨組みができて、まわりに側板をはりつける直前の様子です。ここに使われている材料はピン板(画面手前側の長方形の部分)をのぞいて、すべて北大のポプラ材です。左側壁際の大きな板がスパイン、右側の曲がった板がベントサイド。この大きな2枚の板が無垢でとれるかどうかが製材の眼目、成否のワカレメでした。
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05年12月27日、本体枠組みと鍵盤がほぼ出来上がって、だいぶ楽器らしくなってきました。白鍵はツゲ、黒鍵は黒檀です。
左の壁に立てかけてあるのは、横接ぎしてシーズニング中の蓋材(ポプラ)とドイツトウヒの響板材。
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06年3月 駒やリブを取り付けた響板を張り込んだ後、これは張弦作業中。真鍮製の弦はイギリス製を使用。チューニングピンはフランス製。わが工房で使っている唯一の購入(既製)部品です。
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06年4月19日 同時進行で作ってあった2本のボックスレジスター、114本のジャック(アクション)を組み込んで、本体は完成した状態。でも整音、調整作業はまだまだこれから。
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06年5月1日 北大の倒木ハルニレ材を旭川の家具製作所で旋削してもらった繰物の脚を使って、スタンドもできました。
蓋もすべてポプラ材で出来上がり、自家製の真鍮飾り蝶番5個で取り付けました。(写真では見えません。)
引き続き整音作業中ですが、同時に塗装仕上げ、銘文のアイデアを検討中です。あっ、譜面台も作らなくちゃ。
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06年5月20日 工房で主催しているサロンコンサートシリーズ『折々の会』で「うぶ声コンサート」を開きました。100人近いお客様の中には、遠くから駆けつけてくださった10人前後の北大OBの姿もありました。また北海道放送とNHKさいたまが取材に訪れました。
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ラテン語で銘文を書き込みました。
ポプラこの古の大志、札幌の地に育まれ
2004年 嵐によって倒れ
2006年 ここに蘇る
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2006年6月21日 日本経済新聞の文化欄に掲載、紹介されました。 |
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06年7月2日、これで仕上がり!
当初からずっと悩み続けた仕上げ装飾の意匠も、北大のキャンパスカラー緑色で控えめに縁取りをして、やっと、これにて落着。見慣れないとすこし変に見えるかもしれませんが、このチェンバロに与えられた諸々の要請を、イタリアンチェンバロの製作伝統と絡み合わせた、横田会心の意匠仕上げです。
音もだいぶよくなってきました。
あっ、譜面台がまだだった。
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←北大倒木春楡製折畳式譜面台。
というわけで7月14日、そっくり双子のポプラチェンバロ2台が、ついに完成しました。
昨年8月末に工房に持ち帰った材料の見積りは、まさにぴったり。もうほとんど使える材は残っていません。旭川に残してきたポプラ材も記念のオルゴールになったようですね。
9月8日の倒木の記念日の直前に、北海道に里帰り。1台は札幌の北大へ、もう1台は旭川の市川先生のもとへ納品です。
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♪お披露目コンサートは、9月8日北大クラーク会館の他に、次のように予定されています。演奏はすべて水永牧子さん。バロックはもちろん、北海道に因んだ曲などもいろいろと用意してます。
ところで北大クラーク会館は残念ながら音響がよくないそうです。チェンバロの本当の響きを楽しんでいただきたいので、北大においでになる方も、是非キタラにもおでかけ下さい。プログラムは北大では6曲、キタラや旭川は9曲で、その半分以上は北大では演奏しない別の曲目になっています。
北大ポプラチェンバロおひろめコンサート in Kitara
2006年9月9日(土)
主催 旭川古楽愛好会
北大ポプラチェンバロおひろめコンサート in 旭川
2006年9月11日(月)
主催 旭川古楽愛好会
北大ポプラチェンバロ特別サロンコンサート in
旭川
2006年9月10日(日)
市川信一郎 自宅サロン 旭川市神居町
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