昭和三十九年六月十七日付、外務省事務次官通達


 北方領土問題に関して、国後、択捉両島を指すものとして南千島という用語が便用されている場合が散見されるところ、このようなことは左記の理由から一切避けることが適当であり、また地図等における表示においても国後、択捉両島(止むをえない場合を除き漢字表示とする)が千島列島とは明確に区別されていることが望ましいので関係機関に対して、しかるべく御指導方御配慮を煩わしたい。

      記

 わが国はサンフランシスコ平和条約によって「Kurile Islands(日本語訳千島列島)」を放棄したが、わが国固有の領土である国後、択捉両島は、同条約で放棄した「Kurile Islands」の中に含まれていないとの立場をとっている。
 上記立場からして、国後、択捉両島を南千島と呼ぶことは、これら両島があたかもサンフランシスコ条約によりわが国の放棄した「Kurile Islands」の一部であるかのごとき印象を与え、無用の誤解を招くおモれがあり、北方領土問題に関するわが方の立場上好ましくない。



東京新聞1976.6.12夕刊 中野美代子氏による解説記事、「『北方領土』と言う言葉 六月の発言 あいまいな用語 千島列島は国後、択捉をも含む 問題をすりかえるな」の中に全文が引用されています。

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