レビュー第16回目
クラッシュローラー
(CopyRight:クラール)

ついつい悔しくなったゲーム

CopyRight:クラール

1981年、「ドンキーコング」「スクランブルフロッガー」「クイックス」
等の名作がゲーセンにお目見えした頃に出た機種です。

「ゲームはジョイスティックとボタンで遊ぶもの」と言った観念がすっかり固定
されつつあったこの頃(いや前年には「ミサイルコマンド」がありましたか。)
他社のゲームをパクったゲームもコピー基板同様、結構出回ってましたね。
まあ現在の格闘技モノのような惨い程の共通点が無いのが救いで、今の世から
見れば「別物」と言っても全然差し支え無いレベルです。(笑)

この機種、内容はドットイートタイプのゲームに良く似ています。画面全ての
ドットを消すのでは無くて、代わりに画面中に平安京ばりに走る道路全てをハケで
塗り潰すゲームだったりします。

まあ、今遊んでも実に楽しいゲームでして、今回の収録の為とは言いながら、
ついつい我を忘れて遊び惚けてしまった館主ではありますが、高得点を狙う為の
ハイリスクハイリターンの醍醐味がしっかり薬味として入っている所がなかなか
憎いです。

さてさて、何が「ハイリスクハイリターン」だって…
館主のしょうもない昔話を思い出しながら紹介させて頂きましょう。

−ゲームの紹介−

 4方向レバーで遊ぶゲームです。自機はなんとハケ!
 執拗に追いかけて来る2匹の敵「オジャマン」をかわし
 ながら道路を塗り替え、全て塗り終われば面クリア。
 途中、折角塗った道路に足跡を付けて歩き回る敵など
 も1面毎に出現しなかなか塗りが完成しません。
 高得点を狙うには面に2箇所ある「ローラ」を使って
 オジャマンを潰すのが一番ですが、これがなかなか
 良くできていてパックマン宜しく50、100、200
 と潰す度に点数が倍々になて、最後は9000点にまで
 なるのですが、…高得点になる程敵が賢くなりまして、
 そうは問屋が卸さなくなるのです…。

  CopyRight:クラール



 -館主談-

寮の先輩に誘われて相○原にある先輩の同級生のアパートを訪問する事に
なった館主。目的は…徹マン。

20年前の学生と言えば「喫煙」「麻雀」「バイク」の3つがまず共通点。
学生運動も殆ど鎮火しすっかり平和になった御時世。
試験からの開放感から、既に夏休みに入って一週間も経つと言うのに田舎に
帰らずにこんな事ばかりしている館主だったのである。

貧乏学生のこと、レートは点0.5。(要はハコでゴットー付けて200円。全く
もって平和。もう時効な話なんで言っても差し支えは無いかと思います。)
徹夜の麻雀はキツい。朝方ともなると頭が回らなくなり、

「あれ?捨てるものが無い!!…ちょっとまって、…14牌あるし…
何故だ??… … …ああっ!!これツモってるじゃない!!!」

てな具合にハイな状態になる程。

結局600円もボロ負けした館主、翌朝学生寮に戻るべく相○原駅に向かう。
頭の中はもうボロボロ。一刻も早く帰らないと寝てしまいそう。

だが…帰路途中、偶然にも小さなゲーセンを見つけてしまったのが運のツキ…。
しかも開いている。(風営法施行前であった事と関係あるでしょうか。)
ついフラフラと入ってしまったのだから、なんとも習慣とは恐いものである。

取り敢えず1ゲームだけ…(で済むとは思わないけど)

店内はテーブル筺体ばかり。小さな間取りとコンクリート床等から察してどうやら
食堂であったもよう。
駄菓子屋が廃業してゲーセンになったところやビル1回の事務所をゲーセンに
したなんてのが尾○台駅前にもあったりしたが、この当時は八畳程の
小店鋪スペースが衣替えも満足にされないまま筺体のみ置いてあると言った
ゲーセンはそこかしこにあったものである。
(コインランドリーにまで筺体は溢れていました。)

当時は「ただ筺体を置いておけば黙ってインカムが得られる」と言う風潮であった
からなのだが、こんなものでも十分客は付いたのである。
今の世の中のように、
「ゲームを遊ぶ為にアミューズメント店鋪に行く」
と言った気負いが全く無かった分、これはこれで町の風景として溶け込んでいて
良かったと思う。

店内で早速ジャンピューターを見つけた館主なのであったのだが、流石に麻雀は
ゲップが36回払いの紀文の海苔。
ふとジャンピューターの手前を見てみると、なにやら新しいゲームが入っている事
に気付いた。

「… ??CRUSH ROLLER…」

何とも小さく目立たない、アルファベット表示のみのの質素なタイトル。
デモ画面を見ていると、どうやら道路を全部塗り潰すゲームである事に気付く。
更に、「ローラ」を使って敵を潰せ、点数が高くなっていくと…。
当時のゲームは作りが質素である分、ルールが分かり易かった。今風で言えば
「テトリス」のデモのようなもの。

早速コイン投入。レバーだけの操作は至って簡単。黙々と道路を塗るだけ!
「ローラ」を使ってみると…なんとハケが早く移動できる。
「こいつは敵を潰すのは訳は無い!(^O^)」
そう考える館主。

CopyRight:クラール
「オジャマン」を待ち受けて「ローラ」
で潰そうと待ち構えているハケ。(赤)

「ローラ」で敵を潰す度に点数が高くなっていく。50点、100点、200点、
400点、800点 … … …こいつは面白い。一体どこまで点数が上がるの
だろうと興味が湧く館主。

CopyRight:クラール
ローラで潰された2匹のオジャマン。潰された敵は一旦自分の巣(画面上
ブラインドシャッターみたいな扉のある部屋の中)に戻り、再び出てます。

だが、1600点を狙う当たりから敵の行動に異変が現れた。ローラを使おう
とすると敵が逃げて行くようになったのだ。

「うむむ、では、これではどうだ!!」

壁を使って自機を停止させ、待ち伏せしてみたのである。

「よし、1600点、3200点!!」

…うまく行った…。

2匹同時に潰して得点が一気に跳ね上がる。敵もなかなか賢くなってきている。
そうこうしているうちに、なにやら「チロチロ」と音がし出す。
見ると猫が現れていて、移動しながら折角塗った道路に足跡を付けているところ
だった。
画面中央左下の猫の絵が消えているので、どうやらそこから出てきたもよう。
インストによれば足跡を消しても点数が入ったはず。早速足跡を消しながら猫を
潰しに追い掛けることにした。

CopyRight:クラール
猫を潰すと1000点入ります。
2面ではネズミ、3面ではタイヤ、4面では人?が現れて
不届きにも折角塗った道路に足跡を付けて歩き回ります。

猫を追い掛けている最中、今度はまた新たな音楽が鳴りだした。

「タリーラリーラーリラーリラー、タリーラリーラーリーラーリー…」

隣のジャンピュータの音だった。
学生がこちら向きに座ってプレーを始めていた。

「チロチロチロチロ…」(猫の歩く音)
「リーラーリーラリラー、リーラーリー …」(ジャンピューター)
「キューウーキューウー」(猫踏んじゃった音。1000点!)
「パッパラパー、パーラーラーパーラーラーラー」(「ロン」した音)

何とも心地良いPSGの乾いた音が交差する。今のように格闘技のパンチ音で
自分のプレーする音がかき消される事も無いのどかな朝。
(こんな至福な朝を迎える事はもう無いのかも知れません…。)
ふと気が付くと、

「チャーリラーリラー、チャーリラーリラー、チャラッチャラッチャッ
チャッ、キュー…。」
(クラッシュローラー、ミス音)

気が付いたらハケが2匹の敵に挟み撃ちに遭って、1機やられていた…。
この音楽、「やーいざまみろ!」と言った感じで実に悔しい。
けれどもどこか憎めない。

CopyRight:クラール
ぼんやりしていると挟み撃ちに遭います。

気を取り直して再プレー。自分にはまだ課題が残っている。そう、「ローラ」で
どこまで点数がインフレするかである。
今度は折角あみ出した「待ち伏せ戦法」も効かなくなっている。
残る手はタイミング良く敵の動きを見極めて「ローラ」に突入する正攻法しか…。
だが…

「ああああああ、フェイントしやがったあ!!」

なんと敵もさる者。かなり頭が良くなりタイミングを外すのに一瞬逆戻りしてから
向かってくるフェイント攻撃をするようになっていたのである。
何とも当時にしては良く出来過ぎた敵の攻撃。今風に言えば、まるでAI知能を
持っていて学習機能でもあるかのような動き。うまい、実にうま過ぎるこの絶妙な
チューニング…。
そう、
高得点を狙えば狙う程敵の動きがトリッキーになって行き、なかなか点数が取れ
ないしくみになっていたのだ。

結局「ローラ潰し」を狙い過ぎてゲームオーバー…。
その後連コインをくり返しコツを掴んだ館主、その後の点数は
6400点、9000点まで上がり、これが上限である事が判り嬉しくなる館主。

ふと自分のプレーの終わり掛けにジャンピューターのテーブルを覗いてみると…
まだ学生がプレー中だったりしたのだが、今度はCPUが上がった模様。

「パッパラパー、パーラーラーパーラーラーラー」(今度はCPUの上がり)

…!?、敵の牌が妙に緑色っぽい。

「… … …リュウイーソー … !!!」

全くどう言う仕組みかしらないが、特にインチキが無い(と思われる)
ジャンピューターのCPUが緑一色の役萬を上がるのを見たのは
これが最初で最後であろう。

全くこんな事もあるものだと驚きながら、プレーの緊張感が柔らいだ為かいい加減
睡魔が襲ってきた。
…たまらずゲーセンを出る事にした館主。

帰りの小田急線の中、睡魔と戦いながらやっとの思いで生○に到着。
連日の遊び疲れからその日の深夜まで眠りコケ、また田舎に帰るチャンスを一日
逃してしまった館主なのであった…。  

… …

ああ、なんていい加減で素敵な生活ぶりだったんでしょう、当時は。
今の仕事なんて辞めてまたこんな生活をしてみたいものです。(笑)


−基板のウンチク−(素人な館主談)

この機種、私が持っている基板は一枚板基板です。実は以前、二枚板の基板も
見た記憶がありますので、この辺どうなのかが判りません。
と言いますのは、実は館主所有の基板って勿論クラール純正なのですが、元々は
「コロスケローラー」の基板だったからです。
(「コロスケローラー」はクラッシュローラーの続編で、自機がイカで弾が撃てる
仕様になっているものです。)

この基板、当時付き合っていた某マニアから譲り受けたものなのですが、
私の為に手持ちのコロスケ基板のROMをクラッシュのジャンクROMと交換し
動くようにしてくれたものなのです。
(あくまで商売とは関係無い、オフの交友関係上のお話しです。)

と言う訳で、オリジナルの「クラッシュローラー」の基板では無いのですが、
1枚基板を見てみると…

CPUらしきものの製番を示すシルク印刷が削られて消えてました。(笑)
いや、実は当時、複製防止の為にこういった事が行われていたのです。
まあ何故かこの基板、他のICのシルク印刷は一切消されていないので、外観から
「Z80」である事は容易に察しが付いてしまうのですけれども、こうなると何か
意味が無いような気もしますが。(^^;;;
後は16Kと32KのROMがそれぞれ4個ずつ載った位の簡素な基板です。

まあ、人によっては
「コロスケを潰してクラッシュにしたなんて!!」
と言われるかも知れませんね、レア度から言って。(笑)

ですが私は「コロスケ」を遊ぶ機会は無かったし遊びたかったのは「クラッシュ」
の方でしたから、そんなんどうでも良い話だったのです。
私はレアーと言うだけで基板を入手したりはしませんから。
館主はノスタルジイと思い入れが自分的にポイントになっているのです。

でも欲しくて未入手な基板って結果的にレアなものばかり残って深刻な事態に
なってたりしますねえ…。経済的にも高額レア基板にはなかなか手が出ませんし。
「ドラキュラハンター」なんてもう入手不能なんでしょうか…。
とほほほ…


−あとがき−
この機種のインストで当時不思議な事がありました。
ゲームに無い事が書いてあってそれが判らなかったのです。これ、
「○(丸)を通過すると…?点」
と言う記載内容だったのですが、実はDIPスイッチの設定で「ワープホール?」
有り無しの設定ができたものでこれに気付いたのは基板を貰ってからの事
でした。

どうやら館主が遊んだものは「無し」の設定であったか、又は全く気にしなかった
ので記憶に無かったか、いずれかのようです。
実際に設定を「有り」にすると、ランダムで丸い黒穴がもぐら叩きゲームのように
ここかしこにお目見えするようになり、そこを通過すると自機がランダムにワープ
するのですが、まあこれ狙おうったってそうそう狙えるものでは無く、殆ど意味が
無いような仕様です。
以前調べた時には得点もたったの10点だった記憶がありますし。(笑)

それにしても、単純ながらついついハマるゲームって昔の機種に多いですね。
今の機種ってインカムが大前提で作られている感じがするので何か時代も
変わってアレだなあと感慨深いものがあったりするのですが、
まあ要は面白ければ何でも有りでしょう。

昔のように100円分納得して遊べない機種が多いと思うのは、きっと館主の腕が
ヘボだからなんでしょうとも。(笑)

                                 by館主



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