2004.01.25UP


−こいばな番外編第10話−
学生寮日記その2

かつてない上品な話

さてさて学生寮日記、その2。
アップしようしようと考えているうちに、忙しさにかまけてまた随分時間が
経ってしまったような気がします。
毎週出張続きで忙しさが加速度を増す一方、たまに溜めたメールを少しこなす位
が関の山な今日この頃。
いっそさっさと定年退職して悠々自適のゲームライフを過ごしてみたいと思って
いるのですが、
…世の中そう甘くありません。

ああ、贅沢は言いませんが、どこかに10歳単位で早く歳を取れてさっさと定年を
迎えられるような薬は無いものかなーと。
で、もう一つ贅沢は言いませんが60歳になれたら永遠に歳を取らない薬を
飲めればなと。
最後に、決して贅沢は言わないのですが反射神経や動態能力が20代のまま
だったらなと。
ついでに月額で50万程年金を貰えたら。
贅沢は言いません館主。


ええ、毎度しょーもない前振りでどうも申し訳ありません。
さっさと本題に入らせて頂きましょ。

1980年4月、晴れて浪人生活から解放された館主でしたが、 裕福でない
家庭事情からい○き市営の学生寮に入寮する事になりました。
あいにく部屋は二人相部屋。
ですが月額2万で共同風呂と2食付きとなれば贅沢は言えませんでした。

高校時代からのポン友Nちゃんと同室になることで兎にも角にも落ち着きました
が、過去振り返って見てまさか自分の人生で最も楽しく、良い思い出になる時代
が到来していたとは当時思いもしませんでした。



出来事その1.寮生新歓コンパ事件

新入寮生(約20名)の歓迎コンパを先輩方がして下さることに。
食堂に茣蓙が敷かれ、長テーブルを前にあぐらをかいた全寮生が室内で
ひしめき合う。
ちょっと不安ながらも嬉し恥ずかしな新入寮生達。

今までアルコールに無縁だった館主ではあったが、大人の仲間入りをしたような
気がして嬉しくて仕方がない。
「一気!一気!」の掛け声と共にどれ程アルコールを飲んだであろうか、
先輩の酌の勧め、新入寮生は断れない。
いつしか館主、酩酊し意識が遠のいていったのであった。
 …
 …

ふと気が付くとベッドに寝かされていた。

どうやら自分の部屋のようである。
(新寮生の中でいち早く倒れ宴会の場から担ぎ出されていた事が後に判明)
 

ぼんやり部屋の中を眺めていると… !?
脇から妙な声が聞こえて来る事に気が付いた。
 

「俺は少林寺なんだ!… せいっ せいっ!」
「俺は偉いんだ!せいっせいっ!」
「俺は、俺は 俺は… ふんっ ふんっ ふんっ」
… 
 
ヘベレケ天国盛りのNちゃんがそこにいた。
足下がおぼつかないながら、一心不乱にモンキーダンスいや少林寺拳法の
パフォーマンスを披露している。
 
入学早々少林寺同好会に入部したNちゃんではあったが、どうやら館主が
すっかり寝込んでいるものと思い込んでいたらしく、こちらの薄目にはとんと
気付かない。
人間、覚えたての事は嬉しくて自慢で仕方無いのが自然の性。
…だが第三者も同じ価値観を持つとは限らないのが世の非情。

「…痛い、痛過ぎるぞNちゃん…」

館主、この修羅場あまりにヤバ過ぎて突っ込めない
…暫く酩酊の行動を眺めつつ笑いをこらえる事に。
アルコールが入るとこうも人間前後不覚になるものかと。

「俺は少林寺なんだ!せいっせいっ!」
「俺は偉いんだ!せいっせいっ!」
「俺は、俺は ふんっ ふんっ ふんっ」

…ちょっとした見物、もう少し見ていたい気がしたが睡魔が勝った館主、
いつしか熟睡モードに。
パフォーマンスがいつまで続いていたのかは踊る本人以外知る由も無かった。
 


チュンチュンと雀の声。

「…ああ、入寮したんだっけなあ…」と自分のシツエーションにふと気付く館主。
一夜明け、寮のお祭り騒ぎはすっかり収まったようだ。

ふと目を開けると、…
!?
…Nちゃんの顔がそこにあった…。
 
朝目を覚まして最初に目に入ったものが10センチ目前の無骨な男の寝顔
…この気まずさ、今でもそうそう味わえるものでは無い。

「Nちゃん、勘弁してくれよ〜(T_T)」と思わず心で悲鳴を上げる館主。
どうやら昨晩のパフォーマンスに疲れた後、無意識にこちらのベッドに入り込んで
しまったようだ。

まんじりともしない館主、聞こえて来るNちゃんの寝息。
さすがに起こすのは可哀想とそのまましばらくウトウトしているところで
…異変が起きた。

…なんとNちゃん何の前触れも無くいきなり起き出したのだ。

寝ぼけ頭に似合わぬその俊敏な挙動、なにやら緊急事態。
ガラリ、と勢いよく部屋の窓ガラスを開けるなり、
 …
Nちゃんはゲルマン人になった。

そう、深酒の翌日自然の摂理、「二日酔い」と言うやつだった。

「Nちゃん、勘弁してくれよ〜(T_T)」とまた心で悲鳴を上げる館主。
 
…だが、事件はこれで終わらない。

酔いが醒めない人間が取る行動、
Nちゃん運良く窓ガラスを開けられたのだが…

網戸を開ける事は忘れていた。

…やがてできた、網戸に広がるゲルマンオブジェ

ピカソのゲルニカをも凌駕するナイス芸術作品は偶然の産物。
…惜しむらくは誰もこの高い芸術性を賛美する者がいない事だ。

ゲルマン族の移動が続く。
やがて落ち着いたNちゃん、酔いが醒めない為かまたこちらのベッドに
戻って来やがった。
館主の存在を無視して再び横たわるNちゃん。

「た、たのむから、もう勘弁してくれ…」

…そう嘆きつつゲルマン人の頭を見ると、…怒髪天を突くような変わった髪型に
なっている事に気が付いた。
豪鬼にも負けぬ逆立った髪の毛、強烈な整髪剤でもここまで逆立って固まる事は
あるまい。

そう、Nちゃんの頭は特性ゲルマンポマードのお陰でバリバリになって
いたのだった。
寮部屋に充満するNちゃんの酸っぱい臭い。

枕元を見るとゲルマンポマードの原材料らしきものが広がっている。
Nちゃんがその上で頭を転がしていた事は想像に難くない。
尻は拭かずにいると誰でもバリバリで痛くなるが、頭のバリバリは人間 どうも
痛みを感じないようだ。
元新しい布団の上でトンと無頓着なNちゃんの寝顔。
 


やがて日も高くなり、Nちゃんも我に返り自分のベッドに戻っていったので
はあったが…
修羅場をかいくぐった顔をしている館主に暫くの間気遣ってくれた
Nちゃんの態度が何故か可笑しくて仕方がない館主なのであった。



ええ、この話を今では三児の父Nちゃん本人に聞かせてあげれば、今でも
「た、たのむっ、たのむから止めてくれ〜(T_T)」
と反応が返って来ます。
真っ赤になったその顔、ついつい面白がって
「俺は少林寺なんだ!」
パフォーマンスを本人の目の前で延々繰り返してしまう程友達がいのある館主
だったりしまして、自分で言うのもなんですがやはり友達って大切なものかと
思いましておそらく酒飲めば一生このパフォーマンスをNちゃんの前で披露して
館主饗宴の場を盛り上げるんだろうなあと思います。

ビバ フレンドシップ。


出来事その2.共同風呂の恐怖

寮と来れば定番の共同風呂。
毎日寮母さん達が磨いて下さるお陰でいつも清潔で気持ちが良い風呂であった。
…はずであった。

ある日のこと、風呂に入ろうとするとそこには先客のS先輩
肩を並べて浴槽に漬かり、おもむろに金玉の皺を伸ばす館主。(
「金玉の皺を伸ばす」:思い切りくつろぐことの意。立派な慣用句です。)(本当)

ふと見るとS先輩、湯船の中で何やらボリボリとご自身の股間を掻いて
いらっしゃるご様子。
…S先輩、どうやら股間に水虫の親戚の病気持ちのもよう。

驚き目の館主を後目に浴槽から上がるS先輩。
そこで見たものは… 半ズボン位では前後到底隠し切れないであろう、
想像を絶する病巣の広がり(さすがに詳細は伏せさせて頂きます)

これは困った。
万一あの病気が伝染ってしまえば大変な事になる。
股間を掻く行為が生活パターンの一つに追加されてしまう恐れがあるではないか。
もし人前で痒くなったらコマネチを連発するふりをして掻くしかない苦境に
立たされるはずである。

館主、さすがにこれを期に早めに風呂に入るようになった。
S先輩よりも早く入ってしまえば病気が伝染る心配は無いであろうと考えたの
だった。

だが、この目論見はある日突然とある寮生の発言で脆くも崩れ去った。

「S先輩?ああ、いつも一番風呂だよ。」

…この言葉が持つ意味は実に恐ろしい。

幸いその後寮内で病気が蔓延する事は無く、いつしかS先輩も卒寮し、皆肩を
なで下ろしたのであったが、…風呂に入る度ついつい見たくもない他人の股間が
怖くて確認してしまう癖が暫く抜けなかった、情けない館主なのであった。


全身水虫男だったS先輩、今はどこでどうしている事でしょう。
どうか無事完治しておりますように…。

皆様もどうか日頃から股間のケアをお忘れ無く。

それでも万一伝染されてしまった場合には…
大人の皆様であれば、
「いやあ、吉原で毛虱を伝染されてしまって…」
と、さも漢の勲章であるかのように装うのがより格好良くお薦めかと思われます
が、いかがなものでしょうか。

出来事その3.同級生W

W、前回の学生寮日記で便座を雪で固めるパフォーマンスをした漢であるが、
実は小柄な体格ながらボクシングジムと極真空手道場に通うコワモテ。
自分が織田信長の生まれ変わりである事を信じ、伸ばした髪をちょんまげの
ようにポニテする一方エルビスプレスリーの影響を受けて部屋に星条旗を飾り
ロックバンドを結成していると言う何とも変わり者なのであった。

人間不思議なもので、強い者は自然に強さがオーラのごとく周囲に放出される。
寮の近所で喧嘩が起きればやにわに日本刀を持ち出し、慌てた寮生が制止に
入った事件もあったりで(既に時効です)、Wに手を出そうとする者は誰も
いなかった。

…だが、そんな豪傑な生き方をするWでも…弱点が2つあった。
 
ある日の事、館主の部屋に遊びに来たWとこいばなを続けていたところ、
…そこに飛んで入って来たのは一匹の蜂。

先程まで豪快な笑いを発していた漢の顔が豹変した

蜂はWの周りを妙にまとわり付いて飛び回る。

「は、蜂っ!蜂っ!」

明らかに顔面が蒼白状態のW。
普段たとえ火事でも山のように落ち着いて動かない彼がこんなにも狼狽するとは
意外であった。

…そう、実はW、大の虫嫌いだったのだ。

虫の逸話は他にもある。

W、干したパンツにカメムシが付いていた事に気付かないまま履いて外出し、
小田急○田駅の階段を上る途中でキムタマ袋を噛まれあまりの痛さに慌てて
ズボンとパンツを下ろしたら (皆様は真似してはいけません)
ポロリ、と虫が落ちて行方不明になってしまって怒りのやり場が無かったとか、

またある日の朝、肩まで長く伸ばした髪を櫛で梳いていたところ、夜中のうちに
髪の中に潜り込んでいた大きなムカデがポトリ…、と目の前に落ちて寮全体に
聞こえる程の絶叫を発してみたりとか、

…虫が嫌いな性格であるにも関わらず何故か虫に好かれる人間と言うのも
面白い。
結局、寮にいる間Wの虫嫌いが直る事は無かった。



もう一つの弱点は尻の穴だった。
社会人になったW、ある日車の運転中ガスが出そうになり腰を浮かしたところで…
事件が起こった。
あくまでHPの品位を保つ手前詳細は避けるが、当時「逆噴射」と言う
言葉が流行ったと言えば想像が付くであろう。
Wがパニック状態に陥った事は想像に難くない。
「逆噴射は背中まで及んだ」
と言うのであるから相当なものであっただろう。

運転中慌ててズボンを下ろし下半身丸出しで家路に着いたと聞いたように記憶
しているが、もしその状態で事故が起きたていたら世間様にどのように言われた
かは…
パニックを起こしている最中のWには思い付かなかったに違いあるまい。
「いや、俺どうも尻が弱くてさ…」
とはWのOB会での言葉であったが、臆せずこんな事を言えるWはやはり漢だなと
妙に感心してしまった館主なのであった。

あくまでHPの品位を保つ手前控えめに申し上げますが、
屁と糞を上手に分けられる賢い自分の尻の穴を思うにつけ、
館主恵まれている自分がつい嬉しく思えてなりません。
皆様も運転の際にはくれぐれもガスにお気を付け下さいましたら。
運転中ヘ長調の音階を鳴らすのは別段かまいませんですけれども、
」だけは出していけません。

出来事4.同級生Kの災難

ある日K君、小田急線で新宿に遊びに行く事に。
だが、経堂を過ぎた当たりから急に腹具合が悪くなり出した。
新宿に着くなり急いでトイレに駆け込んだ際に…
事件は起きた。

…なんか今回えらい上品な話ばかり続くような気がしますね…
館主今更ちっとも気にしませんですが。

K君がほっと落ち着いたところで…
ドアの向こうから知らない男の声が聞こえてきた。

男:「ほら、ここ開けなさい」
K:「… … !?」

…K君、開けられるはずがない。

男:「○○してあげるから、ほら、早く開けなさい。ね。」
  (以下伏せ字の連続)
 
日本古来の楽器の名称で始まった、聞きたくもない口説き文句が延々と続く。
もしこれが若い女性の声なら紳士として躊躇する事は絶対許されないのだが、
不幸にも声の主は明らかに男。
そう、ここ新宿はモーホ関係者が大変多い事で当時有名であったのだ。

硬直するK君。顔から血の気が引く。
この場をどう切り抜けようと頭を回転させて、
…ある結論を導き出した。

K:「おーう!いい加減にせえーよー!」

ず太いバリトン調でドス&ダミが利いた発声。
マル暴筋のチンピいや幹部候補生様を模倣したその口調。
見えない相手へのこれが精一杯の威嚇攻撃。

ズボンを下ろしてしゃがんだ状態での攻撃は少し迫力に欠けるものがあったが、
K君も必死。

…ややあって表から声が聞こえなくなった。

暫くの静寂。

10分程経過した後、K君は恐る恐るドアを開けて外の様子を伺い見ることに。
万一見えざる敵のフェイント攻撃に遭遇してはたまらない。

…だがそこには誰もいなかった。
どうやら作戦は成功したもよう。

トイレを全力疾走で飛び出したK君、無事毒牙に掛かる事なく事なきを得たので
あった。


今はどうなっているんでしょうねえ、新宿。
ゲームがうまい「歌舞伎町シスターズ」って今でも健在なんでしょうか?
あ、特別お近づきになりたいとは思いませんので情報はいりませんです。(汗)

出来事5.明るい相部屋

寮の後輩NとKは同じ寮部屋。
同じ部屋にいれば互いに影響を受け似た者同士になる場合が往々にしてある。
NとKは寮の後輩の中では際だって「明るい」性格、似た者同士。
二人の相乗効果で部屋の中はいつも明るさに満ち溢れていた。
どれ程二人が明るかったかと言えば、
 
5Wの電灯の下ルービックキューブに興じ、完成したキューブを誰に見せるでも
なく「ふふふ、出来たぜ… … 」と一人笑みを浮かべてみせる位の明るさと言うか。

…シューティングゲームの最中に「ふふふ、死ね死ね死ね…」と小声でブツブツと
呟き続ける位の明るさと言うか…。

… … チューリップのアップリケ)を、夜のベランダで最後まで
歌い切れる程の明るさと言うか… …。
この歌を知らない方は上の太字の語彙のまま検索して下さいましたら…)

…そんなにも明るい彼らであるからして、部屋の中でのコミュニケーションも
他に類を見ない変わったものであった … … …。


部屋の中、Nが机に向かい勉強を続けているところにKがおもむろに近寄り
そっと机の上に置くのは …一枚の紙切れ。
その紙切れにはこう書いてあった…

「椅子の音がうるさい」
 

…なんとも明るい二人のやりとり、館主その明るさに感激して思わず目頭が熱く
なった事を記憶している。
互いのコミュニケーション方法はペーパーオンリー
 
何故かしら二人がいる寮部屋に付いたあだ名が
「ブラックホール」
であった事は恐らく当人達は気付いていなかったに違いない。
… 

ええ、皆様にはこの部屋の明るさが容易に察しが付いたかと思われます。
その「明るさ」故却って異質の存在感を以て人に忘れ去られる事が無かった
訳ですから、人間一つの物事に徹底してみるものですねえ。



−あとがき−

なんですか、今回はまた随分怪しい話ばかりで申し訳ありません。(^^;;
次回はもう少し上品でまともなコンテンツにしましょうとも。m(_ _)m
inunekoさんリクエストの「サラマンダ」、及びバイク仲間からのリクエスト
「第6回東北大会」、「プチプチが電気を通す?噂の嘘」等々、少しまともに戻る
…予定です。

下品な話が続き過ぎましたので、最後に皆様へのお口直しにNちゃんの逸話など。


Nちゃん、実は小さい頃肥溜めに落ちた貴重な経験を持っています。
親戚の飲み会の場でしばしばそれが肴になってまして、友達として何とも可哀想な
感じがしてなりません。
忌まわしい過去には決して触れずにそっとしておいてあげるのが本当の思いやり
と言うものでしょう。
…ですが血筋の兄弟と言うものは兄貴に対し容赦と言う言葉を知りません

弟「で、兄貴。肥溜めに落ちた時に少し飲まなかったのか?」
兄「…いいいいいや、飲んでねえ飲んでねえ!」
弟「… …いや、
必ず二口か三口は飲んだなっ!(^O^)」



ふと自分の発言に幾つか矛盾を感じたような気がしましたが、きっとまたいつもの
気のせいでしょう。

ではでは、この下らないコンテンツを最後まで読んで下さった皆様には感謝
しつつ。
またお会いしましょう。(^^)

                                
by館主



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