−こいばな番外編第3話−
 知らぬが故の蛮行


さてさて、世の中には原チャリおばさまなる人種の方々がいらっしゃいます。
買い物カゴにダイコンを積み歩道・車道の違いを理解せず暴走行為を繰り返し、
道は自分の為にあるものだと固く信じて疑わない方々です。

当然「交通法規」なんて言葉の意味など知るはずはありません。
「あの『止まれ』と書いてある三角の立て札はなんだ?」
などと平気でのたまっているのですから全くもって恐ろしいことです…。(実話)
別に私の知り合いと言う訳では無いのですが、ちょいこの「原付チャリおばさま」族
に属する、あるおばさんの知らぬが故の蛮行を紹介致しましょう。



その1.信号無視

さてこのおばさんがある日隣町まで原付きで用達しに出掛けた帰りの事。
国道6号を南下している途中、交差点で信号が赤になったものだから
仕方なく停止。

ふと10m程先の道路沿いの空き地にパトカーが止まっており、
若いおまわりさんがこちらを見ているのが目に入った…。
(実はネズミ捕りの公務中でした。)
おばさんは別に気にする訳でも無く信号待ちしていたのだが…
ふと交差点の左右を見渡してみると全く車が来ない。

「ああ、車が全然来ないなら行っても良いね!!」

おばさんそう勝手に判断しておもむろに発進し、おまわりさんの横を通過しようと
した。…当然おまわりさんが黙っているはずは無い。

警「ちょ、ちょっとちょっとおばちゃん!!」
お「なに?」
警「今信号無視したでしょう!?」
お「??ああ、だって車が来なかったんだもの。いいでしょう?」
警「いや、おばちゃん勘弁できないよ…」(^^;
お「あーらそんな事言わないで、ねえ勘弁してえ。」

…勘弁するしないと揉めた後に、ついにおまわりさんの決め言葉。

警「いや、俺は許してあげたくても、ほら見てそこ!」

指差した先には取締中の複数のおまわりさんが事務処理を行っていた。
こちらの一部始終を見ていたおまわりさん達、…何故か全員笑っている。

警「7人も先輩が見ているんだもの、おれ許す訳にはいかねえなあ…」

…さすが交通課のおまわりさん、言う事がうまい。
おばさん、めでたく青切符を切られる事となった。

ええええ、こんなおばちゃんには青でも赤でも存分に切符を切ってやって下さい
ませおまわりさん…。


その2.免許不携帯

ある日の朝、駅前に原付きを止めたまま用達しに出掛けたおばさん、
午後に戻ってみると見なれた赤い原付きが無い…。
そう、盗難されていたのである。
ハンドルロックもせずに駅前に半日放置していたのだから困ったもので、
「どうぞ持って行って下さい」
と言っているようなもの。

おばさん、早速駅前の交番に届け出る事に。
事情聴衆の際、おまわりさんからの質問。

「で、免許証は大丈夫でしたか?」

これ、免許証をバイクの小物入れに常備している方が結構いるので心配して
聞いて下さったもの。

…すると…

「ああ、大丈夫。無くさないようにちゃあんと大切に家のタンスに仕舞って
ありますから!」(^O^)

堂々たる返答…。
しばしの沈黙、絶句するおまわりさん。
やがて…

警「いや、おばちゃん、免許証と言うものはタンスになんか仕舞わないで、
ちゃんといつも持ち歩いて下さいね。」(^^;;;;

館主この話を聞いた時にはおまわりさんの表情が容易に察しが付いて
頭が痛くなった記憶があります。

きっと余りの事におまわりさんも呆れて怒る事さえ忘れてしまったんでしょうね…

後日原付きは変わり果てた姿で見つかりましたが、息子に
「ハンドルロック位掛けろ!!」
と怒鳴られてもどこ吹く風、折角修理した原付きは後日また盗まれて
しまったのですから…
同情の余地は全くありません。


−あとがき−

このおばさんの逸話は数知れず、4回目の試験でやっと免許が取れた直後
初めての原付きが納入された際に
お 「これ、どうするの?」
息子「ああ、アクセルをひねれば走るの。」
お 「どれ?」

いきなり手を出して本当にひねるものだから無人の原付きはみごと
走行距離0Kmで庭石に激突して壊れてしまったり、
「気を付けて帰って下さいね」と言われたとたんにバイクごと土手下に
転落してみたり、
「今日はなんだか気持ち良いと思ったら帽子(ヘルメット)かぶってなかったわ」
とのたまってみたり…

こんなおばさんなのに、何故か免許センターの手違いでゴールドカードの免許証
なんか貰えてみたり…世の中間違えてますねえ…。

このおばさん、いい加減に懲りて家でのんびりお茶でも飲んで余生を過ごして
欲しいものなのですが、まだまだ当分お迎えが来そうになくあちこち旅行に
飛び歩いていて
「お前に残す金なんかねえ!」
などと豪語しているのですから全く困ったものです…。
まあおばさま、人の体は大切に使えば一生使えると言います。
どうか体に気を付けて、死ぬまで長生きして下さいね。

ただ、どうかお願いですから「お前を産んだ」だなんて恥ずかしい事は絶対に
言わないで下さいませね!!
館主、死んでもそんな事は聞きたくありませぬ。
                                 by館主



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