−テスターを使ってみよう−

さてさて、今回は電気が苦手な方を対象にテスターの使い方などを紹介させて
頂きます。ある程度電気を知っている方には申し訳ありません。(^^;;;

テスターは長い基板とのお付き合いで必要になってくるものです。
マニアを目指す方であればこれを機会に入手しておきたいところでしょう。(^^)

ささ、簡単なコンテンツではありますが、テスターをお持ちで無い方は
これである程度予習しておくと宜しいかと思います。

尚、ここで具体的に説明する使い方は
「電源電圧のチェック」
「ハーネス等の断線や電気的短絡(ショート)のチェック」
の良く行われる実践的な2項目とさせて頂きます。

それでは紹介して参りましょう!



1.テスターって何?

テスターは電気が持つ目に見えない特性を定量的に測定する道具です。
大概において以下の項目が測定できます。
下記で赤色にした3項目が普段の基板メンテナンスで知る必要があるもの
で、特に覚えておいた方が宜しいと思います。

「電圧」:電気を流す強さ。(単位:「V」ボルト)
「電流」:電気が流れる量。(単位:「A」アンペア)
「抵抗」:電気の流れづらさの値。(単位:「Ω」オーム)

その他、テスターが持つ付加機能としては

・導通チェック(導通すると「ピーピー」等の音が鳴ります。)
・ダイオード特性確認(アノード,カソード間の電圧降下を確認します。)
・コンデンサー容量チェック(機能無しのものが大半。説明は省きます)

が挙げられます。
以下でこの朱記項目3つを主に説明して行きたいと思います。


2.テスターを見てみましょう。

以下の古臭いテスターで説明してみましょう。

御覧のように、中央にダイアルが付いています。大概のテスターにはこのように
切り替え用のダイアルが付いています。
何を切り替えるのかと言うと、
「電流」「電圧」「抵抗」等の測定項目に合わせダイアルを切り替える
のです。
「電圧」を測定したければ「電圧」のゲージにダイアルを合わせるのです。
ダイアルには「A」「V」「Ω」等が書いてありますね。(^^)

注意しなければならない事は、同じ項目の測定でも
測定レンジを切り替える必要があるテスターもある
と言う事でしょう。
最近のテスターはオートレンジ検出機能付きのものがあり、特に気にしないで
宜しい場合もあります。
レンジ切り替えが必要なテスターを入手した方のみ以下の補足を参照下さい。

−補足−
レンジの例を上げてみると、館主のテスターの電流値測定モード中には

「μA」(1,000,000μA=1A)
「mA」(1,000mA=1A)
「A」(1A=1A)(…説明しなくとも…)

の3つのレンジがあります。
例えば5mAの電流測定をするのに「μA」に合わせていては測定値が
オーバーしてしまいまして、液晶表示で「O.L.」(オーバーレンジ)と
表示されてしまいます。
また、逆に「A」に合わせて測定すると「0.00〜0.01」(A)と
表示され、正確な測定値を見る事ができません。

測定する値がどの位か判らない場合には、まず大きい値に合わせて測定を始め、
順に小さいレンジに切り替えて行く方法を取るのが無難でしょう。

蛇足ですが、電流値の測定については注意が必要で、テスターの最大定格を
超えた電流を流すと内部のヒューズが飛んだり、最悪壊れてしまう場合が
ありますから注意しましょう。

電圧(V)についても同様で、レンジ切り替えが必要な場合があります。
例えばダイアル部に「500」(V)と表示されていたら、500Vのレンジで
測定するモード、「200mV」とか表示されたらそれは0.2V以下のレンジで
測定するモードと言うことです。
補足終わります。


それから気を付けなければならない事は、電気には
「交流」(AC)と「直流」(DC)の2種類がありまして
これの切り替えを間違えると正しい測定ができません。
(館主のテスターではダイアル右上に切り替えボタンが付いています。)

家庭用の100VコンセントにはAC100Vが来てまして、これを測定する
のであれば「AC」に切り替えるものですが、冒頭で述べました
「基板の電源電圧のチェック」
の目的で使用する際には殆どの場合「DC」に設定します。

テスターの機種によっては「AC」「DC」の代わりに測定モードのAとVの
文字の下に「−」(DCの意味)とか「〜」(ACの意味)とかが
書かれているものもあるかと思います。(^^)

以上、
テスターによってレンジ等の合わせ方はまちまちですので、入手の際には
テスターの取り扱い説明書を良く確認して下さいますよう。(^^)

「測定モード」「レンジ」「交流or直流」の3ポイント

の使い方の概念を知ればあなたはもうテスターマスター!!
あとは実践による慣れと経験です。(^^)

蛇足ですが、抵抗(Ω)の測定はテスターが勝手に「DC」で行なうはずです。
交流抵抗(=インピーダンス)を測れるような高価なテスターは普段のメンテに
まずいらないでしょう。
(と言うか、これが備わっているテスターと言えばもう「マルチメーター」と
言う高額な測定機器の部類でしょう。)(^^;

ちなみに館主のテスターは更に測定するモードに合わせて測定用のテスター棒の
ジャックを差し換える必要まであったりしまして…どうにも面倒極まりない
古物テスターですねえ…(T_T) 
あ、余計な話ですみません。f(^^;(下の画像参照)

  

左上:「Ω」「mA」測定時
右上:「V」測定時    


3.実際に測定してみましょう。
さて、これから具体的な測定方法を述べてみましょう。

初心な方はどこをどう見れば良いのか判らないかと思いますので具体的な方法を
説明致します。

テスター本体とコードで繋がったテスター棒が2本ありますよね?
「赤」は+側「黒」は−側(GND側)(GND:グランド)
に当てるものでありますこと、まず知ってて下さい。
+−逆にして測定してもテスターが壊れる事はありませんが、黒を基準に
電圧等が測定される為、間違えると「12V」とか、マイナスの測定値が
表示されてしまいますので知ってて下さい。(^^;

−電源電圧測定編−
以下は館主のへたっぴなポンチ図(ポンチ図1.)で、
コントロールボックス,ハーネス,基板の接続状態を表したものです。
…ちょい判りづらいかも…(^^;;;;;;;;

上図(1)の部分は以下の画像で示すカードが挿されたコントロールボックス部
ですが、基板に供給される正確な電圧を測定するにはこの部分での測定は
不向きかと思います。
ハーネスの断線やらコネクター部の接触抵抗の経時変化で相手の基板側で
電圧降下が発生している事を考え、館主的にあまりお薦めはしません。
(但しコントロールボックスの出力電源がイカレているかどうかの確認であれば
ここでしょう。)

       カード根元部。ポンチ図(1)の部分です。(ハーネス:JAMMA)
       
基板供給電圧を測定するのにあまりお薦めできる箇所ではありません。

以下が館主が薦める2つの電圧測定ポイントです。
画像左下はポンチ図1.の(2)の部分(エッジコネクター端子部)、
右下は(3)の部分(エッジコネクター基板パターン部)です。
厳密に言えば(3)の部分が正確な電圧測定値が出るかと思いますが、コネクター
の接触抵抗値はほぼ無視できるので、接続不良が無い限りはどちらでも宜しい
かと思います。(^^)

尚、
テスター棒を誤って隣接する端子間に滑り込ませ、
ショートさせないようくれぐれも注意しましょう。

  

       ポンチ図1.の(2)(3)の電圧(+5V)を測定しているところ。

基板によって消費電力が異なり、電圧の変動が微妙にある場合がありますが、
館主が具体的にJAMMA規格の基板に供給される電圧を測定した結果は以下の
ようになりました。
5V,−5V,12Vの3電源電圧について仕様上許容範囲が±5%でしたから
いずれも問題無い事が判りました。(^^)
(供給電圧のスペックは各基板のマニュアルを参照して下さい。)

      以上6画像、5V,−5,12Vの電源電圧をそれぞれ実測した結果。

それから、供給電圧は
基板が繋がっていない場合(無負荷状態)と
繋がっている場合(有負荷状態)で
電圧が異なって来る場合がある事も知っていて下さいね。
これは電源(レギュレーター)の性能に因るものです。
以下の画像を見ればお判りになるかと思います。(^^)
電圧測定は勿論、基板を挿し通電した状態で行うものなのです。

  

         画像左上:基板を接続しないで測定した電圧は5.1V。
         画像右上:基板を接続して測定した電圧は5.0V。  
         
負荷が掛かれば電圧は落ちる方向に変動しがちです。  

蛇足ですが、テスターの電圧測定は万能ではなく、
測れない電圧もあります
からこれを機会に覚えておきましょう。

例えば女性のパンティーストッキングに溜まる静電気は2万ボルトと聞きます。
(帯電量が僅かで男の快楽曲線のごとく直ぐ放電してしまうので大事には至らないでしょう。)
口説いた彼女のパンストを脱がすのにパチッと来るのが嫌で、まず帯電量を測定
してから事に及ぼう、と考え密かにテスターを持ち出しても無駄と言う事です。
もし測定の行為に及んだとして、できるのは頬に赤い紅葉型位でしょう。

実は静電気の測定用には「静電チェッカー」なる実にマイナーな機器が別に
存在しまして、持ち歩くのであればこちらが正解なのです。
「君の勝負パン○の発電量と僕の自○発電量を比較してみたかったのさ」
とでも嘯いていっぱしのナイスガイ電気マニアを気取れば彼女に惚れ直される
こと受け合いで、これなら一発で落とせる事確実でしょう。(^^)

…いやうかつでした。本筋に戻しましょう。
(どなたか試された結果をこいばなネタとして当館に報告して下さいましたら幸いです。)


基板が異常かどうかは電圧が正常に供給されて初めて論議できるものです。
館主の経験で言えば「マッドギア」が道路のスクロールが始まると画像が乱れる
現象を調べてみたら、電圧が4.6V(<4.75V)まで落ちていた事が原因と
判り、コントロールボックスの電圧調整をしたら直ってしまったなんて事が
ありました。(^^)
電圧が低くなると画像がおかしくなる場合があるものです。

それから電源部以外、
IC等の刻一刻変化する出力信号はテスターで見るのは困難で、
「AC」モードに切り替えて電圧を測定できたとしてもあまり役には立たない
でしょう。


−導通確認編−
コンパネが利かなくなった、などと言う場合にはテスターで断線や接触不具合箇所
を調べてみましょう。
以下は基板,コントロールボックス,コンパネの接続概念です。(ポンチ図2.)
毎度粗末なポンチ絵で申し訳ありません。(^^;;;

これを確認するにはまず抵抗値測定、または導通確認モード(通電で音が出て
導通が検査できるモード)でやってみましょう。
(事前にコントロールボックスの電源を落としておく事をお忘れなく)
無通電状態で配線図を見ながら上のポンチ図のようにテスター棒を当てて
測定し、抵抗値が1Ω前後かそれ以下であったり、導通確認モードで無事音が
鳴ったりすればOKでしょう。

下図は実際にボタンの入力が正常かどうか導通確認したところです。
接触不具合があれば抵抗値が200KΩとか異常に高くなるかまたは値が出て
来ませんし、導通確認のブザー音も鳴りません。

        ボタンを押した際の導通抵抗値は1.3Ω。正常です。
          配線や接続部にも抵抗は存在しますから「0Ω」には絶対なりません。

また、少し理屈が高度になりますが、コンパネの入力が正常かを見るのに
電圧測定で確認する事も可能です。
(この場合は実際に通電した状態で測定します。)

以下の2画像を御覧になればお判りになると思いますが、
スイッチを押さない状態でしたら、スイッチ入力ラインは5V近辺の電圧が測定
されます。
スイッチを押したところでスイッチ入力ラインの電圧を測定すれば0V近辺の
電圧が測定されます。
電圧に変化が無いならどこかで断線や接触不具合が起きている証拠です。

  

     画像左上:スイッチ入力ライン、スイッチオフ状態で測定(4.76V、正常
     
画像右上:スイッチ入力ライン、スイッチオン。(-216mV、正常)   

スイッチの入力はJAMMA規格であれば負論理(5Vでオフ、0Vでオン)
ですのでこのようになるのです。
また、上図実測値ではオン時の電圧がマイナスですが、これはGNDライン自身
が持つ抵抗により電気的に微妙に浮いて起こり得る現象であり、あまり気に
しなくても良いです。

ざっくばらんに言えば、オフ時に4V以上、オン時に1V以下の電圧であれば
理屈上問題無いはずです。(^^)
(TTLICの理屈を御存じな方はどうか細かく突っ込みませんよう。)(^^;

館主の例で言えば、
先日ストIIのボタンが利かない不具合が発生しまして、テスターで追ってみたら
パンチボタン側のコネクター内部で断線が発生していた事が判明し、これを修理
できた、なんて事があったばかりです。
また、常時スタートスイッチの入力がオンしたままのドンキーコング3、
(コインを入れると即1Pスタートすると言う…)オフ時の電圧がほぼ0Vで
ある事が判り、調べてみたら外部機器に問題は何も無く実は基板側の不具合で
ある事が判った例もありました。
(これは後に入力部IC、74LS244の交換で修理できました。)

で、蛇足ですが。(…また…)

実はテスター、人の身体の抵抗値も測定できます。(笑)
ちなみに館主の右手と左手の間の抵抗値は400KΩ程でした。

これが応用されたのが、男女の相性を測定するかの有名な「ラブラブテスター」
でありましょうとも。
確か身体の血液が部分的に集中し少なくなる事により抵抗値が上がるのが
動作原理だったと覚えておりますが、記憶違いだったかも知れません。
身体の発汗で抵抗値が下がる原理を応用していると聞く嘘発見機の原理と矛盾
しまして、こちらは何ともロマンがありませんね。
館主は個人的にラブラブテスターの方が真の原理と軍配を上げたいと思っている
ところであります。

皆様も折角テスターを購入したのであれば、一度ラブラブテスターとしても
応用で使われてみてはいかがでしょうか?
若奥様と手を繋ぎ、テスター棒を握り合って抵抗値が500KΩ以下であれば
相性良好!!
もし1MΩ以上であれば…
…とにかく謝り何かプレゼントして御機嫌を取って差し上げると。

更に男同士で使えば友情の確認になり思わずハッテンする可能性もありますね。
館主は遠慮しておきますけれども。

…ええ、申し訳ありません。
(どなたか試された結果をこいばなネタとして当館に報告して下さいましたら幸いです。…イヤ過ぎ…)


4.あとがき

以上、電源電圧の確認、及び導通確認についてつたないテスターの使い方を
説明させて頂きました。
基板にラブラブな皆様もこれを機会に購入されてみてはいかがでしょうか?
日用大工センターに行けば5000円前後で結構良いものが買えると
思います。(^^)

修理に出す前に基板と外部機器のどちらに不具合が起きているのかを確認
できるテスター、彼女や若奥様との愛情度も定量的に測定できますし(嘘)、
使い方を覚えれば意外に重宝します!!(^o^)


最後に。
回路に自信が無い方は、基板側の電源部や入力部以外、例えば
基板上の沢山足が付いたLSI等に直接テスター棒を
当てたりしない方が宜しい
事も覚えておいて下さいね。
生兵法は怪我の元とは言いませんが、低電圧で動作するデリケートな3.3V系の
LSIとかはテスター側の持つ電圧で破損してしまう現象が起こり得る事も
ネガ項目として挙げさせて頂きましょう。

実際どこぞの製造業であったのですが、製造工程で発生した半田未着不具合品
をテスターでの導通チェックによる選別作業でことごとくICを半殺しに
してしまい、それがお客様で本殺しになったと…(^^;;;;;;
…ええ、多くは語りますまい。どこの町工場なんでしょうね。(笑)

尚、回路の不具合を自分で直すにはオシロスコープと言う、信号の波形を確認
できる機器と、ICの論理表当たりが必要になるかと思います。
(写真の例が無くてすみませんが、オシロはン十万します…。)(^^;;;;
基板の不具合と判ったら無理せず修理に出してみましょうとも!(^O^)

                                by館主



←前の紹介に戻る          戻る        次の紹介に進む→

                メインに戻る