−モニターが故障したら−

2010年12月8日改訂:サンメックさん移転のお知らせ

高電圧部を取り扱う大変危険な作業が
含まれますのでまずは全て目を通して
から作業に取り掛かって下さい!!
また、作業前にコンセントが抜いて
あるかを忘れず確認して下さい。

さてさて、今回はマニアな皆様が普段使われている業務用モニターについて、
万一故障した際の対処方法など紹介したいと思います。

モニターと言えど家電製品のテレビ同様、いつかは故障するものです。
こう言った場合、モニターを新たに買い直したりするのかも知れませんが、
「修理に出す」と言う手があったりするのです。(^^)
今回はその修理に出すまでの手順について述べてみたいと思います。
なに、覚えれば結構簡単な手順です。皆様どうかご安心の程を。

ただ、修理すると言っても以下のような場合は修理不能ですので諦めて下さい。

・チューブが古くなりガス抜けにより画面がぼやけてしまっている場合。
 (「FOCUS」を調整しても「ぼやけ」が取れないもの)
・画面に「XEVIOUS」等の表示が茶色く焼き付いてしまっている場合。
 (画面の焼き付きが修理可能な話は聞いた事がありません)
・チューブ(ガラスでできた部分)が割れてしまっている場合。
 (割れてしまったガラスは元に戻りません)

それ意外の不具合事象、例えば「突然映らなくなった」等についてはチューブ
ではなく、大概においてモニターを制御する基板側が故障しているのです。
今回はこの基板の修理について説明したいと思います。

さて、早速故障モニターの具体例を参考に手順を紹介して参りましょう。(^^)



1.故障したモニター
当館のモニターが2台共故障しました。(T_T)
以下がその故障状況です。

・ナナオモニター(DUAL8、26インチ):画像左上
ある日突然画像が正常に映らなくなり、横一筋の明るい線しか映らなく
なりました。モニターを叩くと画像が一瞬正常に戻ったりします。
(大概においてこのような場合は半田クラック等によりどこかが接触不具合を
起こしているものです。)

・コナミWindy2用モニター(29インチ):画面右上
ある日突然、RGB信号を入力した途端に画面が一瞬明るく光った後、全く機能
しなくなりました。故障直後、焦げた臭いもしました。
(Windy2用モニターのヒューズは剥き出しのものがあって、それが過電流に
よって焼けた可能性が考えられるとの事です。どこか壊れて回路がリークして
いるのでしょう。)

チューブが突然死ぬ事は考えづらく、上記のような症状の場合、まずは
基板が故障した
と判断して宜しいでしょう。

さてこの2台、モニターごと修理に出すのは重くて大変ですし、送料も高く
付く事になります。
ここはひとつ、
基板のみモニターから取り外して修理に出す
事にしましょう。
これなら随分楽ですよね!(^^)


2.実際に基板を取り外してみる。
  
(ナナオモニター偏)

まずコンセントを抜いて下さい。

ナナオモニターの基板を取り外してみましょう。
以下の画像はモニター後ろから見たところです。フレーム(枠組み)に
基板ASSY(セット)が取り付いてますね。
大概のモニターはフレームの有無は別にして、このような構造になっていて
大差は無いと思います。

a.吸盤を取り外してみる
ブラウン管(チューブ)の後ろにある、赤く太いコードでヘソの緒のように
繋がっているゴム吸盤(アノードキャップ)を取り外します。
コードは吸盤の下の金属製のフックでチューブの穴に引っ掛けられているだけ
ですので、吸盤ごと横にズラし片側ずつフックを外す事で取り外す事ができます。
(フックはバネ性があって内側に曲がるようになっています。)

初めての方はちょいコツがいるかと思いますが、
「吸盤を横方向にズラし、斜めに持ち上げる」
事によりフックは楽に外せますので、コツが掴めないからと言って強引に
引っ張って吸盤裏のフックを壊したりしないよう、注意しましょう。
判るまで無理せず根気良くトライして下さいね。(^^)

フックは吸盤を上から持ってクイッと横にズラせば外れるのです。

最初に吸盤を少しめくった際にフックの方向を良〜く覚えておいて下さい。
フックの方向が判らなくなったからと言って外しながら無闇に何度も吸盤を
めくって覗いたりしないようにしましょう。
いや、下手をするとチューブに溜まった静電気がパチッと来ますから。(^^;;
(以下で説明)

            高圧が掛かっており、最も危険な作業です。

この作業で最も注意しなければならない事は…
実はこの部分、

高圧で帯電しているモニター中最も危険な
箇所なのです。
必ずゴム手袋を着用して作業しましょう!


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−2004年8月22日補足1.−
CHARさんより以下のアドバイスを頂きました。
「モニタ基板の外し方ですが、アノードキャップ
を外す前に、アースして放電しないと危険です。
ゴム手袋していても感電します。」


これはCHARさんがおっしゃる通りで、以下で述べる通り、館主自身も
ゴム手袋を通してパチパチと静電気が来て怖い思いをした体験があります。
アースは洗濯機等に接続されているアース線等に太めのコードを延長接続し
アノードキャップの隙間に差し込んで放電させてあげる方法が宜しいかと
思います。
又、放電したと思い込むのも危険ですので、念の為ゴム手袋は付けたままで
作業する事をお薦めします。
皆様、くれぐれも
感電にお気を付け下さい。
CHARさん、ご指摘どうもありがとうございました!(^^)

補足1.終わり

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実際にゴム手袋をしていてさえうっかりチューブの穴付近まで深く指を入れると
「パチッ」と音がして、静電気を帯びたセーターに触れる位の電気が身体に
伝わって来る程高圧なのです。(^^;
くれぐれも吸盤をめくる際には極力軽く浅くめくる程度に抑えておきましょう!
館主、以前これを知らずに直接指で捲って酷い目に会った事があります。
いや、あまりに痛過ぎると言うか目の前が真っ白になったと言うか…。(^^;;;;

チューブの中の帯電は決して放電される事は無く、さながらガラス瓶の中の水が
永遠にこぼれ出したりしないのと同じようと言えば感覚的に判り易いかも
知れません。
「暫く通電していなかったから多分大丈夫」
と言う理屈はこの場合通用しない事、覚えておいて下さいましたら。

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−2004年8月22日補足2.−
上記*で「決して放電される事は無い」と書きましたが、厳密に言えば
実はこれは誤りです。
館主の体験では数ヶ月放置したチューブがパチパチ言わず、放電していた事を
確認しています。(但しどの位の期間放置すればどの程度自然放電するかの
定量的なデータは館主が知る限り今のところありません)

本当は皆様の身の安全を考慮しこれについて訂正するつもりは無かったの
ですが、事実と異なる事であり、今更ですが訂正させて頂く事とします。
皆様、安全の為引き続き

「放電されていない事を前提にした取り扱い」をして下さるよう、
くれぐれもご留意下さいましたら。

補足2.終わり

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無事吸盤が取り外せたら、埃が付いたりしないよう念の為穴や吸盤にラップを
被せておきましょう。(以下の画像)

尚、この作業でもラップを通して静電気が伝わってきたりしますので、ゴム手袋
は外さないで作業して下さいね。

b.接続コードを取り外してみる

メイン基板に接続されている、消磁用コード画像正転〜反転用コード
コネクターを抜きます。
この作業の段になれば、後はゴム手袋を外してかまいません。

           画面左上:消磁用コードを抜いたところ。     
           
画像右上:画面正転〜反転用コードを抜いたところ。
             
きちんとコネクター部を持って引っ張るように!
           
画像は見易くする目的で敢えてコードを持っています。  

電子銃部の基板から、アース用コードを抜きます。(下の画像)

c.電子銃部の基板を抜いてみる

電子銃部(ガラスの細くくびれた部分)に挿してある、10cm角程の小さい
基板を取り外します。(下の画像)

電子銃に対し垂直の方向に少しずつ根気良く真直ぐに引き抜いて下さい。
変に斜めに力を加えると電子銃側の端子を曲げてしまう恐れがありますので注意
して下さい。

d.基板を台ごとモニターフレームから取り外す

メイン基板は台に乗ってモニターのフレームにネジ4箇所で止まっていますので、
これを台ごと取り外します。
見事取り外せた基板ASSY(下の画像)、ここまで来れば一安心です。


3.実際に基板を取り外してみる。
  (Windy2用モニター偏)

基本的にナナオモニターで紹介した手順と同じですが、微妙に仕様が異なるので
参考までに紹介しておきましょう。
諸事情によりチープな木箱に収められてしまったWindy2用モニターですが、
裏のベニヤを取り外したところ、ナナオモニターと異なってフレーム(枠組み)
が無い仕様である事が判りました。(下の画像)

吸盤を取り外してみると、…中のフックの形状がナナオのものと異なるのが
趣き深いですね。(^^)(下の画像)

                 高圧危険!!

各コードの取り外し方はナナオモニターで紹介した手順と同じですが、敢えて
違う仕様を上げてみれば画像正転〜反転用コードがナナオの1コネクター4端子
の仕様と異なり、2端子ずつ二つに分かれている
事でしょう。(以下の2画像)

ナナオモニターでも同様ですが、コネクターを抜いた際にはどこにどの
コネクターが挿さっていたかを忘れずにメモしておきましょう。
また、修理が上がって来てから挿し直す際には、更に基板上にシルク印刷されて
いる文字(挿すコードの色が明記されています)も確認してから挿し直すように
しましょう。

以下の画像は取り外した基板と、基板を取り外した後のモニターです。


4.梱包,発送

取り外した基板は静電防止仕様のエアーマットに包み、輸送中に衝撃を受けても
大丈夫なようにしっかり梱包しましょう。
不具合内容と故障した経緯等を書いた送り状を同梱すれば発送の準備は
完了です。(下の画像)


5.修理して下さる会社など

2007年11月18日、改訂。
基板マニアのIさんより会社の移転があった旨情報を頂きました。
移転は1年程前だそうで、知らないままでいたら私も途方に暮れて
いたところでした。(^^;;;
Iさん、貴重な情報をどうもありがとうございました。m(_ _)m

2010年12月8日、改訂。
Tさんから11月2日に情報を頂きました。
お陰様でサンメックさんの新営業先を知る事ができました。
「電話が繋がらない」とも情報を頂き館主も困っておりました。
Tさん、情報をどうもありがとうございました。m(_ _)m

サンメックさんは代が代わられたようで、業務整理の為に一時
休業されていたとの事。変わらず会社が健在で安心しました。
先代のご冥福を心からお祈り申し上げます。

表示が眠い,遅い,暗い液晶を後目にシームレスで長持ちのCRT、
需要が無くなる事は無いでしょう。

現在私が知っている、モニターを修理して下さる会社は、

<営業再開先↓>(2010年5月〜)
〒235-0005
神奈川県横浜市磯子区東町18−10−502
有限会社 サンメック    
 TEL:045−315−2293
 FAX:045−754−4006

です。(サンメックさんの許可を得て掲載しております)

対応が良く、修理費用(代引き着払い)もそんなに高くありません。
以前ナナオモニターの基板を修理に出した時の費用は約6000円程だったのを
覚えています。(交換する部品の点数等によって変動はあるかと思います。)

尚、今回の2台の修理費は併せて12,850円(送料込)
でした。


6.あとがき

モニターが故障した際にはどうしていいものか途方に暮れたりしますけれど、
基板を取り外す手順さえしっかり覚えておけば別に悩む事はありません。(^^)
また、中古モニターは安いもので5000円程で売っていたりしますけれども、
買い直すモニターの程度が使っているものよりも良くなる保証はありませんし、
重さから来る購入時の高い送料と、故障モニターを産業廃棄物として処分する
手間とその費用のデメリットを併せて考えれば、修理した方が良い場合が多い
かと思います。
もし新品のモニターや筐体を購入された方でしたら「すっかり元通りになる」
と言う観点で尚更修理を考える方をお薦めしておきたいと思います。(^^)

蛇足ですが、
ゴム手袋は200円程でコンビニ等で売っています。
作業前に必ず忘れずに入手しておいて下さいね!(^O^)

                                 by館主



…それにしてもゴム手袋、ゴワゴワするし中に汗が溜まるし、あまり気持ちが
良いものではありませんねえ…。
もっと極薄で肌にぴったりとフィットして、指先に汗溜まりの袋が付いている
ものがあればより作業が快適で便利になるかと思ったりするのは館主だけ
でしょうか。
あ、着用の際にはきちんと指先の袋の空気を抜いて…
                       (ー_ー;)☆\(`。´#) バキ



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