−指一本で基板を直そう!−

さてさて、今回は指一本でどこまで基板のトラブルがシュートできるかをお話
しましょう。
まあ今回紹介する話は結構いー加減なところがありまして、話半分に聞いて頂き
たいのですが、マニアな方なら自然に身体で会得している一種の「技」だったり
もします。(^^;;
たまには役立つ事があるかも知れませんので、頭の片隅にでも覚えておいて
下さいましたら。(^^)

−例えばどんな指の使い方があるの?−
昔、某町工場で製造ラインの改装工事が行われていた最中の話。
電気工事師が電源系統の配線工事を行っていた時のこと。
A:「…おーい!このコードって100Vだっけ、200Vだっけ?」
(工場は家庭用100V電圧の電気だけが供給されている訳ではありません。)
B:「どれどれ、…(pati!) ウオッとお!!… … 200V。」
やにわに指先でコードの芯線に触れ、おもむろに答えを出した工事師。
A:「? なんで分かるんだ?」
B:「手首までビリビリ来るのが100V、
  肘まで来るやつが200Vだ。」

プロの工事師ともなると一味違いますね、まさに人間テスター!
いやあ、指ってとっっても便利ですね。測定器にさえなるんですから。(*)

(*)危険ですので絶対に真似しないで下さい。

ええ Fault:0D なノーガキは程々にして本題に進みましょう。
今回紹介する話のイーカゲンさが如実に表れている例ですね。



−指の使い方その1.−

今まで遊んでいたゲームの画像が壊れてしまった。キャラクターが化けている…
そんな時。

指先でソケットに刺さっているIC等を基板の上から押してみましょう。
(下の画像参照)

指先で押してみて分かるでしょうが、ICとICソケットの間で「ミシミシ」と
音がする場合があります。
この手の不具合はICの端子とソケット側のメス端子の間で接触が悪くなって
いる場合に起こったりするもので、指で押す事によって直る場合があります。
(勿論、作業に当たっては静電気に充分注意し、端子等の導通部に極力触れない
ようにしましょう。)

蛇足ですが、道路工事用の大型ローラーに基板を轢かせても同様に「ミシミシ」
と音が鳴ったと聞きますが、この場合基板屋さんで修理の対応ができなくなる
ばかりでなく、即行でお店のゴミ箱に捨てられると言うオチが付いたりするので
注意が必要です。(本当に試された方が過去に約一名いらっしゃった …
かどうかは館主の知る所ではありません。…ご本人が読んでいませんように…)

まあ、何事にも「程度」と言うものがあります。皆様程々に。
基板が割れては元も粉もありません。過ぎたるは手長猿がごとし、です。

蛇足ですが、
基板に電源を入れた状態で電解コンデンサは絶対押さないで下さい。
電解コンデンサによっては応力が加わる事により内部が電気的に短絡しますので
思わぬ事故を招く場合があります。
いやどこぞの会社の製品で、設計ミスが原因で収納ケースの蓋で電解コンデンサ
を押していて、PCBパターンが燃えて切れてしまった、なんて笑えないトラブル
が…。(滝汗)

−指の使い方その2.−

画面がいきなり壊れた表示になったり、置き方を変える事によって直ってしまう…
そんな時。

この手の不具合は上記1.の可能性も無きにしもあらずですが、ビミョーな基板の
たわみで起こったりする場合、どこかでフラットパッケージのLSI(下の画像)
等の端子が半田剥離を起こしていたりする場合があります。
又は、オールド基板ならどこの端子の半田付けに一見して判りづらいクラックが
入っている場合だって有り得るでしょう。

この手の不具合は、通電させながらそれとな〜く軽く基板のあちこちを指で押して
みるのです。
押す場所によって不具合が直ったり直らなかったりする現象をつぶさに観察
しながら、一番顕著にその現象が起きる(又は正常に復帰する)場所を探し当てる
のです。
後はその部分を良く観察し、半田不具合等による接触不具合が無いか調べる
ものです。
半田のフィレットの状態が他の端子と違って見える箇所があったら、
試しに先端が綺麗な半田コテを軽く当ててみましょう。うまく行けば半田剥離が
直り、基板が無事復活する事があります。
(半田に不馴れな方は絶対に端子部に半田盛りしないで下さい。細かい
端子ピッチのLSIは半田ブリッヂが多発し易く、収集が付かなくなります。)



過去にもお話したと思いますが、館主はこの方法で「ハチャメチャファイター」
と「達人王」の2枚の基板の不具合箇所を見つけ、修理しています。
(不具合箇所を特定できなくて、試しに不具合が顕著に起こるICの端子を再度
半田付けしたら直ってしまった、何て事も「ソルダム」でありましたっけ。)

この方法(触診)で注意しなければならい事は、やはり基板に大きな力を加え過ぎ
ない事でしょう。
チップコンデンサが載った新しめの基板なんかはチップコンデンサにクラックが
入ってしまう可能性だってあります。
コンデンサのクラックは外部から見えない場合が多いですから恐いです…。
チップ抵抗のクラックと異なり電気的にショートする不具合になるのです。
勿論チップコンデンサに直接半田付けする改造など以ての外ですよ!

実際に改造によるクラックで返品されて来た例があります。クラック品は
初期はOKでも後に経時変化でショートが表面化して来る恐ろしいものです。

普段は基板に応力ストレスを加えるものではありません。それは知ってて下さい。

−指の使い方その3.−

基板の故障が全く直らず、どうもどこかのICが壊れている可能性がある…
そんな時…。

基板に実装されているICに触れてみるのも手です。
触れて熱さのあまり「うあっちっち!!」となるICがあったら、その
ICはまず故障してます。(*)
(なんか随分熱いなあ、と感じるレベルではありません。夏場の海岸の砂浜を
歩く位の熱さになら正常時でもなっている可能性があります。)

取り敢えずそのICを交換してみると基板の故障が直ってしまう場合が多いです。
もし連鎖複数個のICが壊れていた場合にはこの限りではありませんですが、館主
は過去この方法で1件「ドンキーコング3」の入力不具合を直せた事があります。

(*)火傷には充分お気を付け下さいませ。



−あとがき−

さてさて、今回は大したコンテンツで無くて申し訳ありません。m(_ _)m
どうも最近自分の時間が取れなくなってきているものでして。

まあ、何か不具合があった時にでも、上記の事を思い出して頂けましたら。

1.ソケットに挿してあるROMを押してみる。
2.基板のあちこちを押して、不具合が起きたり直ったりしないか確認する。
3.ICが故障して内部でリークが起きていないか(過電流が流れていないか)
  確認する。

以上の事が指1本でできると言ったところで、何かの際には試してみる価値が
ありますので知ってて下さいね。(^^)
それからくれぐれも「3.」については火傷に気を付けて下さいね!
不具合がある基板のICに触れる時にはおっかなびっくり慎重に。

                               by館主



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