2004年2月9日〜15日に、奈良に引っ越してから初めての旅行に出掛けました。
瀬戸内海沿岸や四国は、東京からは飛行機で行くような、とても遠い場所ですが、関西からは比較的お手頃なドライブ先です。

今回の旅行は、淡路島を通って四国に入り、四国の瀬戸内海沿岸を横断し、しまなみ海道を渡って広島から奈良に帰るという、少しだけ早い春を探しての6泊7日のドライブ旅行でした。
旅行の様子や、お奨めスポットなどをご報告いたします。

なお、カーソルを上にのせると形が変わる画像は、クリックすると大きな画像が開きますので、よろしければそちらもどうぞ。
なお、容量の関係から画質は落としてありますが、800×600pixelの解像度に合わせたサイズのJPEGファイルにしてありますので、お気に召しましたらパソコンの壁紙などにもお使いください。

また、地図MapFanWeb の地図リンクサービスを利用させて頂きました。 



2月9日(月)
10:00 自宅を出発。
実は、奈良県内の斑鳩とか飛鳥とかは車で行くのですが、のどかな奈良県を車で出るのは初めてなので、大阪や神戸の都会の高速道路が怖いっ (>.<)
淡路SAで、たった今渡ったばかりの明石海峡大橋を眺めましたが、あいにくの曇り空で青い海が見られないのが残念でした。

12:30 淡路SAでゆっくり休憩し、昼食のため洲本ICで降りて市内へ入り、市役所近くの「海鮮食堂魚増」へ。
2003年8月に開店したばかりなのでこじんまりとしてきれいです。お隣の「魚屋魚増」の姉妹店で、米、醤油、味噌、酒、わかめ、卵なども地元の食材にこだわった、リーズナブルな家庭料理、漁師料理を味わいました。お客さんもほとんど地元の方でした。

海鮮食堂魚増
 住所 兵庫県洲本市本町2-3-2  マップ
 電話 0799-22-0559
 営業時間 11:30〜14:00、夜は予約制
 定休日 不定休
 URL http://www.awaji-is.or.jp/uomasu/kaisen/


海鮮食堂魚増」。 向かって左隣が「魚屋魚増」さん


13:30 島の南側の海沿いの道路を走って、今がトップシーズンの水仙の群生を見に行きました。
淡路島には「立川」と「灘黒岩」という有名な水仙群生地がありますが、水仙を楽しむならお薦めは灘黒岩です。立川は探偵ナイトスクープ(関西人なら誰でも知ってる人気テレビ番組)などでも紹介されていて有名ですが、なぜか敷地内に「サル園」や18歳未満以下お断りの「なぞのパラダイス」などがあり、かなりアヤシイ場所になってしまっています。
灘黒岩」は良いですよぉ。冬に淡路に行かれる方はぜひどうぞ! 崖地に本当にたくさんの水仙が植えられていて、それはそれは美しいところです。歩いているだけで水仙のなんともいえない甘い香りに包まれます。それに崖地なので、かがまなくても水仙を見ることができますし、見下ろせば海がすぐそこだから、とってもフォトジェニックです。
帰りにはなんと抽選で水仙の鉢植とみかんをゲットしました。旅の初日にラッキー! 後部座席に置いた八重水仙と日本水仙の寄せ植えで、車内はすっかり癒し空間になりました。

 



いずれも灘黒岩の水仙。右上は香りの良い八重です。
(いずれもクリックすると大きな画像が開きます)


18:00 大鳴門橋を渡って四国に入り、今夜の宿の「ホテルクレメント徳島」へ。
このホテルは徳島駅と一体化していて、便利だし、お部屋も新しくてきれいで、ほどほどの広さが気に入りました。

18:30 チェックインして一休みしたら、さっそく夕食に。近くの「居酒屋とくさん」です。
居酒屋だし、外観も派手なのでどうかなぁ…とドキドキしながら入りましたが、良いお店でした。キビレ(尾が黄色い鯛)の焼魚、ギシ(カワハギ)のお刺身(肝も付いてきて、その上アラはお吸い物にしてもらいました)、ボウゼ(エボダイ)の姿寿司、阿波尾鳥(地鶏。もちろん「あわおどり」と読みます)の焼鳥などを頂きました。リーズナブルでおいしかったですよ。

居酒屋とくさん
 住所 徳島県徳島市寺島本町西1  マップ
 電話 088-654-1930
 営業時間 11:30〜14:00、17:00〜22:00
 定休日 日




本日のドライブメーター:213km


    


2月10日(火)
9:15 鳴門の渦潮を間近で見ようと、観潮船「アクアエディ」に乗りました。
この船は、渦に近付くと展望室が水面下1mまで下がり、海中の渦の様子を見ることができます。
水中から渦を見ると…洗濯機の中の洗濯物の気持ちが少しわかったような気がします。(◎_◎) デッキに上がって大渦を近くで見ると吸い込まれそうでスゴイ迫力です。



徳島では駅前の郵便ポストの上にも「阿波踊り」が


 

 

渦潮観潮船「アクアエディ」から見る渦潮


10:30 今度は上から渦潮を堪能しようと、鳴門公園の徳島県立「渦の道」へ。
渦の道」は、大鳴門橋の橋桁部分に約450mの遊歩道を設けたもので、水面からの高さは45m。床の一部がガラス張りになっていて、豪快な渦潮や鳴門海峡の景観が一望できます。でも渦潮の見頃は干潮と満潮のそれぞれ前後90分だそうで、残念ながら渦はもうおさまりつつありました。隙間から吹き込む風は強いし、ガラスの上に立ってはるか下の渦を見るとさすがに足がすくんじゃいます。ひえぇぇぇ。



渦の道」の床のガラス張りから海面を望む


11:20 昼食に大鳴門橋のそばの「鯛丸」へ。
平日のみ1日10食限定の「鯛めしセット」とオプションで「鯛のあらだき」を頂く。鳴門海峡の潮流にもまれ育った鳴門鯛は、脂がのり、かつ身がひきしまり、色は鮮やかな桜色に輝き、鯛の中でも最高とされているそうです。今はトップシーズンではないですが、やっぱり鯛はおいしいな〜。

鯛丸
 住所 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池15-33  マップ
 電話 088-687-0077
 営業時間 10:30〜21:00
 定休日 無休
 URL http://www.taimaru.net/


 

鯛丸」(右)と 「鯛のあらだき」



鯛丸」の前から見る大鳴門橋


13:40 高松のホテルにチェックインしてから、タクシーで「栗林公園」へ。
栗林公園は、天正期に豪族の佐藤氏が築庭したのが発祥で、その後寛永期に当時の讃岐高松藩主の生駒家によって南湖一帯が造園され、さらにその後入封した松平家の下屋敷として拡大整備されました。紫雲山を背景とする約23万坪の広大な園内に、純日本風の南庭と洋風の北庭があり、6つの池泉と13の築山が配されています。
栗林公園のような廻遊式大名庭園は、一定の視点から眺めるより、めぐり歩くことで空間を楽しむことができ、一歩あゆむごと変化に富んだ庭景を楽しめることから「一歩一景」と言われるそうです。南庭の一番高い築山の飛来峰に登ると、大きな池を中心に、松に囲まれた茶室や太鼓橋が一望でき、本当に気持ち良いです。また、紅梅、白梅も見頃で、園内には良い香りが漂っていました。大きな池には大きな錦鯉が幸せそうに泳いでいました。
タクシーの運転手さんから聞いた話ですが「昔は名前通りに栗の木が多かったが、松平の殿様が散歩しているときに栗のイガを踏んで怪我をしたので他の木に植え替えようということになり、殿様に何の木がよいか伺ったところ、殿様が(考える時間が欲しかったので)『まつがよい』と答えたのを、家臣が『そっかぁ、松平だし、やっぱ松だよね!』と早合点したため、松の木になった。」そうです…人の言う事をなんでも信じちゃいけませんよぅ。 ヾ(^^;)



栗林公園の梅の花(クリックすると大きな画像が開きます)


 

(左)飛来峰から望む南湖と偃月橋 (右)芙蓉峰から望む北湖
(いずれもクリックすると大きな画像が開きます)


15:40 園内を歩いてちょっとおなかがすいてきたので、いよいようどん屋さんへ。讃岐名物と言えば、やっぱり今やブームの「さぬきうどん」でしょう!
栗林公園の近くの「松下製麺所」へ。ここは製麺所の片隅でうどんが食べられるという「セルフ」のお店です。初めての製麺所セルフ、ドキドキです。閉店間際で他のお客さんがいなかったので、お店の人にいろいろと食べ方を聞きました。
あらかじめ茹でてあるうどん玉を丼に入れてもらい、自分で湯通し、湯切りしたうどんを丼に戻し、ダシ汁、揚げ玉、刻み葱、おろし生姜などをお好みで。食べ終わったら丼やコップや箸を所定の場所に戻す、というのが作法のようです。この店ではそばや中華そばも作っているので、後から入ってきた常連らしきお客さんが「ちゃんぽん=うどん&そば」と注文していらっしゃいました。興味はあったけど、もうおなかいっぱい。お味は…ちょっと物足りないかな。

16:00 タクシーで「玉藻公園」へ。
「讃州さぬきの高松さまの城が見えます波の上」と俗謡に歌われた高松城は、またの名を玉藻城と呼ばれています。瀬戸内の海水をお堀に引き込んだこの城は、日本の三大水城(*)の一つだそうです。初代の城主は天正期に豊臣秀吉から讃岐に封ぜられた生駒親正。その後寛永期に徳川家康の孫の水戸の松平頼重(水戸光圀の兄)が高松城に入りました。残念ながら天守閣は残っていません。
眼の前は海だし、駅もすぐそばなのに、栗林公園に比べると整備が進んでいない気がしました。面白かったのは(これもタクシーの運転手さんから教えて頂いたのですが)、お堀に海水を引き込んでいるので、中にボラやチヌなど海の魚が泳いでいたり、大きな貝殻があったりします。ここを訪れた方はお堀の中を覗き込んでみてくださいね。

(*)高松城、今治城、大分の中津城、だそうです。



高松城の月見櫓


18:00 さぁ、またうどんだ。今度は市内中心部の「川福本店」へ。さるうどんで有名なお店です。
ここは実は思い入れのあるお店なんですよ。お店に来たのは初めてですが、以前にお土産に頂いて、そりゃぁおいしかった! あんまりおいしくて、それから何度も宅配で送ってもらいました。私にとってはうどんへの初恋の味ですね。ワクワク、ドキドキ…胸躍らせながらお店へ入り、天ざるとかまたまを頂く。お味は…こんなはずじゃなかった。有名になりすぎたのかも。 (T_T)

本日のドライブメーター:104km



2月11日(水・祝)
10:00 32号線を金刀比羅宮に向かう途中で「山越うどん店」へ。そう、今日もまだまだうどんです。あきらめないぞぅ。
このお店は「かまたま」の元祖だそうです。「かまたま」とは、釜あげうどんに生卵を絡め、生醤油やつけダシをかけて頂きます。有名店だけあって、お昼にはだいぶ早いのに、のどかな田舎道にもう30人ぐらい並んでいます。
順番を待って店の中に入り、「かまたまを一玉と、熱いかけを二玉」と頼むと、目の前にある大きな釜で茹であがったうどんを丼に入れて渡してもらえます。少し先に天ぷらがたくさん並んだ棚があるので、ちくわの天ぷらをかけうどんの上に乗せて会計を済ませます。これでなんとたった400円。この時点ではダシはかかっていないので、さらに進み、温かいダシのタンク、冷たいダシのタンク、つけダシの入ったペットボトル、生醤油、おろし生姜、七味などが置いてあるので、お好みでかけます。さらに進むと、家の軒先をひさしとすだれで囲った中に縁台が並んでいますので、ここで頂きます。
このお店のうどんは、弾けるような腰の強さが食べ応え抜群で、ダシはかつおの風味がよく効いてさっぱりとしています。これがまさしくさぬきうどん!というおいしさです。やっとイメージ通りのさぬきうどんに会えたので、お土産にうどんと丸亀名産のうちわを買いました。あぁ、良かった。 \(^o^)/

山越うどん店
 住所 香川県綾歌郡綾上町羽床上602-2  マップ
 電話 087-878-0420
 営業時間 9:00〜13:30
 定休日 日

 

山越うどん店の店内風景と有名な「かまたま」(左)


11:00 金刀比羅宮」(こんぴらさん)に到着。
御祭神は大物主神(大国主命の和魂)で、海事・農業・殖産・医薬その他広汎な御神徳をもちますが、特に船の神様、海の守護神として古くから信仰を集め、全国にこんぴらさんの分社があります。今年は33年に一度の「大遷座祭」だそうで、御本宮の屋根の檜皮葺が葺き替えられたり、建物の修理が行われるそうです。
こんぴらさんは参道の長い石段でも有名ですよね。さぁ、歩くぞぉ…気合を入れるためにスポーツクラブで愛用のVAAMをググッと飲み干します。登り口から御本宮まで785段、奥社まで行くと1368段もあります。でも、日頃スポーツクラブで鍛えてるので楽勝…と言いつつ息があがってたりします。はぁはぁ。御本宮前の展望広場からの讃岐平野の眺望は最高です。讃岐富士(飯野山)、瀬戸大橋、丸亀城なども一望です。
帰りには参道にある「金陵の郷」でお土産の日本酒を買いました。



金刀比羅宮の旭社


15:00 北に向かって走り、「丸亀城」に到着。
丸亀城は讃岐高松藩の支城として生駒家により築かれ、その後丸亀藩主となった山崎家が完成させた平山城です。丸亀城の見所は何と言っても石垣の美しさで、内堀から天守閣に向けて四段に積み重ねた石垣は60mもあって日本一だそうです。この石垣は「扇の勾配」と呼ばれ、下の方は緩やかに、頂きに近づくと垂直となる独特の反りをもたせてあり、天に向かって弧を描いて反り返る様は見惚れるような見事さです。また、三層三階の天守閣(残念ながら1〜2月は中に入れません)は、日本全国に12しか残っていない木造の現存天守閣(*)で、近くで見ると小さいけれど、石垣越しに見上げる姿は実に堂々としています。

(*)弘前城、松本城、丸岡城、犬山城、彦根城、姫路城、備中松山城、松江城、丸亀城、松山城、宇和島城、高知城、だそうです。
また、このうち「国宝四城」は、松本城、犬山城、彦根城、姫路城、だそうです。

 

(左)丸亀城のお堀の鷺(クリックすると大きな画像が開きます)
(右)丸亀城の扇の勾配の石垣


18:30 高松市内に戻り、「海鮮割烹なかむら」へ。
讃岐生まれじゃないので「うどん消化酵素」が不足しているらしく、うどんの食べ過ぎで胸焼け気味です。そろそろ瀬戸内の小魚を食べたくなったので、その名も「瀬戸内小魚コース」をお願いしました。おいしいのですが、あまり瀬戸内っぽくない感じがちょっと残念かな。

本日のドライブメーター:94km



2月12日(木)
10:00 高松を離れるにあたっては…やっぱりうどんでしょう。ということで「わら屋」へ。実はけっこう懲りないタイプなんです。
このお店は、源平古戦場の屋島の麓にある、古い民家などを集めた「四国村」の入り口にあります。建物は茅葺き屋根の民家を移築し、水車も回り、風情のあるお店です。釜あげと生醤油のうどんと、醤油豆、いなり寿司をお願いしました。
生醤油うどんは、大根おろし、刻み葱、おろし生姜をのせ、生醤油をちょっとかけて、いわゆる「ぶっかけ」というスタイルで頂きました。おいしい! そして釜あげうどんがまた実においしい!! 特にダシが、色は薄いのにかつおのダシが良〜く効いて、「日本人に生まれて良かったぁ!」という感じです。
私的には、今回のうどん屋さん4軒の中でも、ここの釜あげが一番!です。最後にめぐり会えて本当に良かったぁ。 (^-^)//""

わら屋
 住所 香川県高松市屋島中町91  マップ
 電話 087-843-3115
 営業時間 10:00〜19:00
 定休日 無休



古民家を利用したわら屋


13:30
瀬戸内海沿岸を一路西へ向い、今治市の「今治城」へ。
今治城は、慶長期に築城の名手と呼ばれた藤堂高虎が築城しました。瀬戸内の海水をお堀に引き込んだこの城は、高松の玉藻城と並び日本の三大水城の一つだそうです。天守閣は再建されたもので、中は武器・武具などの展示室になっています。夜はライトアップされていて、約100個の照明に天守閣や石垣が幻想的に浮かび上がります。ここのお堀にも、もちろんボラなどの海のお魚が泳いでいます。

15:30 今治はタオルの生産量が日本一で世界一だそうです。せっかく「タオルの町」に来たので、郊外ですが「タオル美術館ASAKURA」へ。
5Fがタオル美術館、4Fが製造工程見学とギャラリー&ショップ、3Fがタオルショップ、2Fが瀬戸内物産コーナー、1Fがフォションのショップで、広い敷地にはヨーロッパ風の庭園やレストランもあります。
サロンで使っているような無撚糸の柔らかいタオルや、トトロやディズニーのキャラクタータオル、さらに日頃愛用してる馬路村産の柚子製品など、一箇所でいろいろ買えるので、気が付けばかなり買い物をしてしまいました。



タオル美術館ASAKURA


17:30 今治の名物がもうひとつ「やきとり」。焼き鳥店の数が人口当たり日本一なので「焼き鳥日本一宣言」をしているそうです。
今治の焼き鳥は「串付き肉を炭火で網の上で焼く」のではなく、「肉や野菜を傾斜のある鉄板に押し付けながら焼く」というものです。こうすると、余分な油が落ちてパリッと焼きあがります。そして食べ方は「皮にはじまり、せんざんき(唐揚げ)で終わる」というのが基本だそうです。
行ったお店は最老舗の「五味鳥」です。おやじモード全開で、おしゃれなお店とはとても言えないけど、地元のおじさんの憩いの場って言う感じで、パリパリの皮がおいしかったです。

五味鳥
 住所 愛媛県今治市旭町1-5-20  マップ
 電話 0898-32-3753
 営業時間 17:00〜23:00
 定休日 日

21:00 今治城のライトアップを観てから松山へ向かい、道後温泉へ到着。今日は結構走りましたよ。



ライトアップされた今治城(クリックすると大きな画像が開きます)

21:30 道後温泉は日本書紀にも登場する日本最古の温泉です。そして道後温泉といえば重要文化財「道後温泉本館」です。浴衣に着替えてさっそくひとっ風呂!
道後温泉本館は100年以上前に建てられた木造三階建で、夏目漱石の「坊っちゃん」に登場したり、「千と千尋の神隠し」の「油屋」のモデルとも言われています。館内には「神(かみ)の湯」「霊(たま)の湯」「坊っちゃんの間」、さらに皇族専用浴室の「又新殿(ゆうしんでん)」などがあります。
源泉では摂氏46.7度もある、PH9のアルカリ泉で、身体が芯まで温まってお肌もスベスベです。「神の湯」では、時間が遅かったせいか観光客は少なく、地元の方たちがいろいろと語り合っていました。

本日のドライブメーター:273km



2月13日(金)
今日はホテルに車を置いて「坊ちゃん列車」で松山市内へ。
道後温泉駅から、松山市駅あるいは古町駅までをのんびり走る坊ちゃん列車は、明治21年に営業開始しました。狭軌の軽便鉄道としては日本初だそうです。当時運行していた蒸気機関車は、夏目漱石「坊っちゃん」で「マッチ箱のような汽車」と表現され、後に「坊っちゃん列車」の愛称で呼ばれるようになりました。現在はその当時の列車を復元した電車が走っていますが、すっごく目立つ上に、車掌さんが沿線の観光案内までしてくれるので、ちょっと恥ずかしかったです。

 

「千と千尋の神隠し」の「油屋」みたいな道後温泉本館
(左はクリックすると大きな画像が開きます)


12:00 松山城の天守閣へ。麓からリフトで楽々です。
松山城は、賤ケ岳七本槍の一人として知られる加藤嘉明が慶長期に建築に着手し、26年もの歳月をかけて築城されました。あんまり長くかかったので、完成したときには加藤嘉明は転封していたそうです。海抜132mの勝山山頂に本丸を置く松山城は、姫路城・和歌山城と並ぶ日本三大連立式平山城として知られています。天守閣は落雷にあって焼失したため、文政期から安政期にけけて35年の歳月をかけて再建されました。
今まであんまりお城を見る機会が無かったのに、今回の旅行ではもう4つ目のお城です。規模の大きさや景観の良さではここが一番ですね。



一ノ門から望む松山城の天守閣


13:30 ランチは市内の「すし丸」で。「鯛のくいしん坊」と「潮さい膳」というコースを頂きました。
ここは気に入りました。店内も広くてきれいだし、お料理も素材の良さがよく出ていてほんのりと薄味で私好みです。鯛のお刺身や、瀬戸内の小魚料理を代表する「めばるの煮付け」などはもちろんですが、松山名物の「鯛そうめん」など盛りだくさんの内容で、いろいろなお味が楽しめました。
(この店は道後温泉本館のすぐ横にも支店があります。今回は入らなかったですが。)

すし丸
 住所 愛媛県松山市二番町2-3-2  マップ
 電話 089-941-0447
 営業時間 11:00〜21:00
 定休日 無休
 URL http://www.sushimaru.co.jp/



瀬戸内の味を堪能したすし丸


16:30 再び「道後温泉本館」へ。やっぱり温泉に泊まるなら何度もお湯に入らないとねぇ。
今回は「霊の湯」に入って、3階の個室で休息できる80分のコースをお願いしました。皇室専用の浴室「又新殿」と、3階にある「坊ちゃんの間」も見学できます。
浴衣やタオルもお借りできるので、まずはゆったりとお湯でほぐされます。「霊の湯」は「神の湯」よりも少し狭いけれど、利用客も少ないのでの〜んぴりできます。温泉でふやけた後は、浴衣に着替えて3階の個室でお茶と坊っちゃん団子を頂きます。障子を開け放して冬の短い日が傾いていくのを眺めていると…あぁ癒されるぅ〜。 (^◇^)

18:00 温泉でふやけた後はやっぱりビールでしょ。ということで…すぐそばの「道後麦酒館」へ。
地ビールと瀬戸内のおつまみで「日本人で良かった」を満喫しました。

本日のドライブメーター:−km



2月14日(土)
9:00 道後温泉を出て、海沿いの196号線を今治へ。
途中で菊間町という所を通ると道の両側は瓦屋さんばかり。後で調べたところ菊間瓦はとても有名でした。鎌倉時代から生産がはじまり、温暖で雨が少なく自然の乾燥に適していたこと、原料の粘土や燃料の松葉にも恵まれ、輸送のための船便が便利だったことが製瓦業の発展に貢献したそうです。


今治ICからは「しまなみ海道」で尾道へ渡ります。しまなみ海道は、今治から来島海峡を渡って、大島(村上水軍の本拠地)、伯方島(伯方の塩)、大三島(日本総鎮守の大山祇神社)、生口島(東京芸大学長平山郁夫画伯の出身地)、因島(ポルノグラフィティの出身地)、向島(尾道市と合併予定)と島々を結ぶ橋を連ねて、対岸の尾道(大林宣彦監督と尾道ラーメン)まで渡りますが、途中の大島と生口島では一般道を走ります。
この日はいわゆる春一番ですごく風が強かったです。

11:30 しまなみ海道の途中で、生口島の「瀬戸田シトラスパーク」に寄りました。
瀬戸田シトラスパークは、全国有数の柑橘産地である瀬戸田町にある柑橘類のテーマパークです。13hの敷地の中には、シトラスパビリオン(温室)、香りの館(香水作り体験)、食の館(レストラン)、シトラス展示園などがあり、四季を通して柑橘類の甘い香りを楽しめます。冬なのでエッセンシャルオイルの原料にもなる花は温室内でしか見られませんが、初めてベルガモットの果実を見ました。ここは「かおり風景100選」にも選ばれています。
自宅に帰ってから知ったのですが、この日の夕方からこの島では山火事が起きて大変だったとか。瀬戸大橋も強風で通行不可だったそうですし、無事渡りきれただけでもラッキー!

14:30 倉敷の「倉敷国際ホテル」に到着。ここはとても良いホテルです。「倉敷の迎賓館」として倉敷市街中心部の倉敷特別美観地区にあり、大原美術館と隣接しています。
ホテルの吹き抜けのロビーには棟方志功の大作「大世界の柵 〈坤〉 人類より神々へ」が掛かっています。棟方志功はこの版画の版木の裏面を使い、1970年の大阪万国博覧会の日本民芸館に展示した「大世界の柵 〈乾〉 神々より人類へ」という作品を制作しました。どちらも木版画としては世界最大だそうです。このホテルは内装の木の色合いがとても落ち着きますし、部屋の照明や時計もアールデコ風のレトロな雰囲気で、旅の終わりの宿として、とても良い想い出になりました。

15:00 倉敷国際ホテルが経営する、大原美術館のすぐ前の「亀遊亭」で遅いランチです。
ここは明治時代の建物を活かしたレストランで、棟方志功の「亀遊」という書額が掛かっていますが、版画だけでなく書も、エネルギーに溢れ、暖かい、すばらしいものです。食事の間に、この旅行で初めての雨が降ってきましたが、大原美術館にいる間に止みました。やっぱり日頃の行いが物を言うわね。



棟方志功の書額が掛かる「亀遊亭」


16:00 倉敷と言えば「大原美術館」ですよね。さっそく行きました。
大原美術館には、エル・グレコからカンディンスキーまで、欧米の近・現代美術を展示する「本館」(設計は建築家の薬師寺主計)、藤島武二、安井曾太郎、梅原龍三郎など、日本の近・現代美術を展示する「分館」、浜田庄司、富本憲吉、河井寛次郎などの陶芸、棟方志功の板画などを展示する「工芸館」、児島虎次郎の集めた中国など東アジアの古美術を展示する「東洋館」があり、さらに、倉敷アイビースクエア(旧倉敷紡績工場)には、児島虎次郎の絵画と、彼の収集した古代エジプト、イスラムなどの美術を展示している「児島虎次郎記念館」があります。また、大原美術館本館の倉敷川を渡った向かいには、大原家旧邸と別邸の有隣荘がありますが、こちらは残念ながら通常は非公開です。
倉敷の歴史は「倉敷紡績(クラボウ)」を創業した大原家の功績なくしては語れません。大原美術館は、1930年に当時の倉敷紡績社長の大原孫三郎が、前年に死去した友人の洋画家である児島虎次郎を記念して設立した、日本最初の西洋美術中心の私立美術館です。日本美術のコレクターでもあった孫三郎は、虎次郎の才能と美術に対する真摯な姿勢を高く評価し、3度にわたる渡欧のスポンサーとなりました。虎次郎は、ヨーロッパで制作に励むかたわら、日本に送るヨーロッパの美術作品を選ぶことに熱中しました。虎次郎は、エル・グレコ、モネ、マティスなど、今も大原美術館のコレクションの中核を成す作品を選び、孫三郎が待つ倉敷に送りました。孫三郎の息子にあたる總一郎は、棟方志功などの芸術家への支援や、柳宗悦の民芸運動の後援も積極的に行いました。東京の駒場に「日本民芸館」がありますが、その設立費用の大半は大原家が寄付したそうです。
大原美術館の設立当時、日本で本物の西洋絵画を観ることができたのはここだけでしたので、遠く関東や関西からも美術を志す学生が大挙して倉敷を訪れたそうです。また、第二次世界大戦当時、倉敷の美観地区は大原美術館があるため米軍の空襲を受けなかったとも言われています。
この美術館は、メトロポリタン、ルーブル、プラドなど欧米の巨大な美術館と比べれば、欧米洋画の所蔵点数は決して多くはないですが、どの作品もその画家の出世作や代表作だったりと、とてもセンスよく選ばれていると思いました。また、陶芸作品や棟方志功の板画などは、作家本人との人間としての交流が窺われるような充実したコレクションだと思います。重厚な本館や、大原家の土蔵を改造した工芸館や東洋館などに、ゆったり展示されている作品は、あるべき場所を得てとても幸せそうです。美術好きの方なら倉敷に行かれるときには絶対のお薦めですよ。

 

(左)大原美術館の正面ファザードとロダンの「カレーの市民」
(右)倉敷川を渡り、有隣荘の前から望む大原美術館


 

大原家の土蔵を改装した工芸館の一棟(右)と東洋館(左)
工芸館には浜田庄司の陶芸や、棟方志功の板画などを展示
東洋館には中国を中心とした東アジアの古美術を展示


17:30 普段は17:00閉館の大原美術館ですが、今日はたまたま、本館を設計した薬師寺主計に関する本(「アール・デコの建築家 薬師寺主計」)を出版された山陽学園短期大学の上田教授のギャラリー・トークがあり、19:00まで開館している上に、20:00から普段は非公開の大原家別邸の「有隣荘」の内部が見学できるというではないですか! もちろん参加しました。
有隣荘は、孫三郎が支援していた建築家の薬師寺主計が設計し、もうお馴染みの洋画家の児島虎次郎が内外装を担当し、アールデコの洋間に畳敷きの大広間が続く和洋折衷の建物です。また、屋根瓦に使われた特殊な釉薬が角度によって美しい翠色に輝くことから、緑御殿という愛称で親しまれています。なんだかとっても得した気分です。



大原家別邸の「有隣荘」、屋根瓦の色が美しい




夕暮れの倉敷川(クリックすると大きな画像が開きます)


20:30 ちょっと遅めの夕食を、美観地区の「浜吉ままかり亭」で。
岡山名物のままかり、乙島しゃこの唐揚げなど地元のお魚をおいしく頂きました。

本日のドライブメーター:186km



2月15日(日)
この旅の最後の朝食は、倉敷国際ホテルの「ウィステリア」で。
さすがは倉敷の迎賓館です、おいしい! 特に「焼きままかり」がとってもおいしくて、今でも想い出すくらいです。

9:45 再び大原美術館へ。昨夜は時間切れで観られなかったところを回り、すっかり堪能しましたぁ。
ギャラリー・ショップでいろいろとお土産も買いました。

12:45 大原美術館のすぐ隣にある、薬師寺主計設計の蔦が絡まる喫茶店「エルグレコ」でお茶を飲み、倉敷に別れを告げました。

四国の中とは違い、行き交う車の多さに驚きつつも、夕方には無事に奈良に帰ってきました。
まだ奈良には5ヶ月しか住んでいないのに、家に帰ったとたんにほっと力が抜けますね。



蔦の絡まる「エルグレコ」。元は事務所です




大原美術館の近くの銀行のアールデコ風の高窓。設計は薬師寺主計


本日のドライブメーター:231km
この旅行の合計ドライブメーター:1,101km

四国や倉敷は、関西からだと思ったより手軽に出掛けられます。
いまやブームのさぬきうどんや、瀬戸内海の豊かな自然を満喫しに、あなたもいかがですか? (^.^)/~~~



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