1.役員給与の範囲の改正
損金に算入できる定期同額給与の範囲に、税及び社会保険料の源泉徴収等の後の金額が同額である定期給与が追加されます。
平成29年4月1日以後に支給をする給与から適用されます。
2.試験研究費税制の改正
(1) 試験研究費の範囲
試験研究費の範囲に、ビッグデータやAI(人工知能)を活用する次のような新サービスの開発のための費用が追加されます。
・自然災害予測サービス
・農業支援サービス
・ヘルスケアサービス
・観光サービス
(2) 総額型の改正
増加型が廃止された上で、総額型について下表のとおり、試験研究費の増減割合に応じた税額控除率に改組されます(現行、試験研究費割合に応じ8〜10%)。
平成29年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
増減割合
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税額控除率
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5%超
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9%+(増減割合−5%)×0.3
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−25%以上5%以下
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9%−(5%−増減割合)×0.1
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−25%未満
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6%
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総額型の税額控除率の上限は、原則試験研究費の10%(中小企業は12%)ですが、2年間の時限措置として、14%(中小企業は17%)に引き上げられます。
(3) 高水準型の改正
試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合には、その超える金額に控除率を乗じた金額の税額控除制度(高水準型)の適用に代えて、2年間の時限措置として次の措置が適用できるようになります。
総額型の税額控除制度について、控除税額の上限(当期の法人税額の25%)に、次の金額を上乗せします。
当期の法人税額に{(試験研究費割合−10%)×2}(上限10%)を乗じた額
3.中小企業投資促進税制の改正
中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)について、次の中小企業経営強化税制として改組され、器具備品及び建物附属設備が対象に加えられます。
青色申告書を提出する中小企業で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウエアで所定のものの取得等をして指定事業の用に供した場合には、即時償却または取得価額の7%(特定中小企業は10%)(法人税額の20%を上限)の税額控除との選択適用ができることとされます。
対象設備は、160万円以上の機械装置、30万円以上の工具、30万円以上の器具備品、60万円以上の建物付属設備、70万円以上のソフトウェアで所定のものです。
なお、既存制度の中小企業投資促進税制については、対象資産から器具備品を除外した上で、適用期限が2年延長されます。
4.所得拡大税制の改正
(1) 大企業
所得拡大税制の適用要件の一つである「その事業年度の平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を超える」を、「前年比2%以上の増加」と厳しくした上で、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除に加え、雇用者給与等支給額の前年比増加額(雇用者給与等支給増加額を限度)の2%の税額控除が上乗せされることとなります。
(2) 中小企業
中小企業者については大企業と違い、従来どおりの要件で、従来どおりの税額控除が適用できますが、平均給与等支給額が前年比2%以上増加した場合には、雇用者給与等支給増加額に対する税額控除割合10%に加え、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除に加え、雇用者給与等支給額の前年比増加額(雇用者給与等支給増加額を限度)の12%の税額控除が上乗せされることとなります。
(3) 適用年度
上記(1)、(2)ともに、平成29年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
5.異動届出書の提出先の改正
所得税、消費税、法人税について、納税地の異動があった場合に、これまでは、異動前と異動後の所轄税務署長にそれぞれ異動届出書を提出する必要がありましたが、改正により、異動後の所轄税務署長への届出は不要となります。
また、法人の設立届出書について添付が義務づけられていた登記事項証明書の添付が不要となります。
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