HALよ来い!

すくすくHAL

 皮膚病で毛を刈った後は、何事もなくすくすくと成長していきました。夏休みには家族で山中湖の知り合いの別荘に泊まりに行きました。HALは散歩に出られるようになってから、毎朝毎晩車で公園に行っていたせいか、あるいは最初からそういう体質だったのか、一度も車に酔ったことはありませんでした。とは言うものの、生まれて初めて車での長距離移動だったので、間に2回ほど休憩を入れ、パーキングエリアに着くたびに、車から出して運動させたりトイレをさせたりしましたが、普段より元気なぐらいでず〜っと荷室から後部座席の子供たちの間に顔を出して前を眺めていました。HALは向こうについて玄関から入ったとたん固まってしまい、少し慣れてきた後も長い胴体をさらに長くして恐る恐るあちこちの臭いを嗅ぎまわっていました。最初は長いこと荷室に立ちつづけてたので足が変になってしまったのかと心配しましたが、自分のテリトリーじゃないところに来てビビッて足がすくんでいただけのようで、一通り臭いを嗅ぎまわった後は自分家のように飛び跳ねていました。大失敗だったのはバリケンを持っていかなかったことで、夜は子供たちの寝ている布団でオシッコするは、買い物に出かけている間に和室の畳に穴はほるはで散々でした。
 家族もHALと暮らす生活にだんだん慣れてきて、WAN子用品を買うのも近所のペットショップだけだったのに、二子玉川のジョーカーや港北のペットエコなどだんだん行動半径が広がってきました。ず〜っと鳴き続けて近所迷惑になると行けないと思い、HAL一人残して家を空けることもできなかったんですが、最初はちょっと泣くけどその後は静かに待っている事が分かって、家族で夕飯を食べに出かけたりも出来るようになりました。
 10月に入って、いつも砧公園でお会いするクリままさんに誘ってもらってフリスビー大会を見に行きました。ワールドカップの会場にもなるというピカピカに新しい横浜国際総合運動場というところでエアードッグ主催で開催された大会でした。今思えばJFAの大会などと比べるとそんなに沢山WAN子が集まっていた訳でもないんですが、あんなに沢山のWAN子がしかも沢山のボーダーが集まっていたのを見たのは初めてでした。ボーダーは性格のシャープな子が多い上に大会でテンションが上がっているのか、金網に繋いであるリードを金網が引き千切れそうなくらい引っ張っている子とか、ケージの中にいるのにうなり声をあげている子とかが沢山いて、HALはビビリまくって、そんなお兄さんお姉さんたちと目を合わせたくないのか、下を向いたままトボトボと歩いていました。競技のコートは400メートルトラックの内側半分に設置されていて、驚いたことに外側のトラックでは中学生らしき一群が走りまわっているし、内側の残りの半分は何かの記念行事らしい2000時間マラソンフットサルというのの子供大会をやっていました。
とにかく回り中子供たちがワァーワァー言いながら走りまわっている中で、コートに立ったWAN子たちはわきめもふらず飛んでいくディスクを追いかけていました。HALだったらリードを放した瞬間にフットサルに乱入して試合を滅茶苦茶にし、次の瞬間にトラックを走る子供たちのかかとに噛みついて泣かしていたことでしょう。
 10月だというのに真夏並の暑さで、HALの黒い所が焦げるように熱くなってしまいました。クリままさんは準備良く白いT−シャツを持ってきていてHALにも貸してくれました。頭もカンカンに熱くなっていたのでバンダナを巻いたらなんだかロシアのおばさんのようになっちゃいました。

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