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最初に習ってきたコマンドは「マテ」でした。土曜日の夕方みんなで迎えに行くと尾っぽを千切れんばかりに振りながらHALが出てきました。「ずいぶんヤンチャで大変でした。」とジャッキー君。HALはジャッキー君の前では別人のようにおとなしくしていて、ちらっちらっとジャッキー君の方を伺っています。前に立って、手を広げて手のひらを犬の方に向け、「マテ」と言います。このとき胸を張って自信を持って命令するように。猫背になっていたり自信なさそうに言ったりすると犬は敏感に察知して言うことを聞きません、と言われました。言うことを聞かない場合は間髪をおかずに手のひらで犬のおでこをビシッとはたいてください。ここをはたくと犬は驚いて言うことを聞きます、とも言われました。言うことを聞かないHALに対してジャキー君がお見舞いしたビシッは電光石火の早業で、HALは何が起こったのかも良く分からないうちに次に出されたコマンドに反射的に反応していました。
みんなで順番に「マテ」の練習をして、HALを家に連れて帰って家族でおさらいをすることになりました。次のコマンドを習うのは2週間後ということで予約して帰りました。家に帰ってゴロンとしているHALのお腹を見ると、うっすらと血のようなものが付いていました。初めて訓練に出た子はストレスで血尿や血便が出たりすることもあります、と最初に言われていたので、それ程慌てずその日は様子を見ることにしました。次の日もHALの様子はいつもと変わらず元気で、フードももりもり食べるし、なんの心配もなさそうでした。
流石に訓練して来ただけあって、とりあえず「マテ」をかければしばらくは寝そべったままじっとしています。何も言うことを聞かず家中跳ね回っていたHALとは別人のようでした。う〜んプロの仕事ってすごいもんだと感心しました。
次のコマンドは「スワレ」と「フセ」でした。前回だいぶ厳しくやられたようで車に乗るのも嫌がるんではないかと心配していましたが、全然問題無く乗りこみ、訓練所についても尻尾を振りながらジャッキー君にじゃれついていたそうで、なんてお気楽な犬なんだろうとみんな唖然としました。
またまたみんなで迎えに行って「スワレ」と「フセ」のやり方を習って帰り家で練習しました。「スワレ」から「フセ」は一連の流れで結構簡単にこなすんですが、「フセ」から「スワレ」が難しく、最初の内はリードをぐいっと引きながらコマンドをかけないとなかなか出来ませんでした。
次のコマンドにはいる前に前回のコマンドの試験のようなものがあり、出来ないとそこでまた補習になってしまうので、ひとりでHALを連れていかなければならない家内は必死に頑張っていました。次のコマンドは「ツケ」で前から犬を呼んで右側から後ろを回って左側に付けて座らせるという今までで一番複雑なコマンドでした。迎えに行って習った時もみんななかなか出来なくて何回も繰り返し練習しました。
4回目は脚側歩行の予定だったのですが、後で書く皮膚病やいろいろな病気で結局行かずに終わってしまいました。一回分が豪勢なホテルに泊まれるぐらいのお金になるのでとってももったいなかったんですが、病気の子を訓練に出すなんて出来なかったし、家族として暮らしていくのに必要なことはもう十分習っていたので、これ以上手元から放したくなかったんです。
僕自身がもう少し犬のこと(犬全般に対する知識もそうだしボーダーに対する知識も)をよく分かっていれば訓練所に出さなくても良かったかなと、今では思っています。HALは大まかな子なので後遺症はありませんでしたが、間が悪ければ性格がゆがんでしまう可能性だってあったかもしれません。小さいうちから訓練所に出すのは決してベストな方法ではないと思います。
でも、今でもちゃんとできるのは訓練所で習ったコマンドだけって言うのも何だか情けない飼い主だなと思います。ハイ。
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