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ニャ・チャンを出て広い高原を走る。ここベトナムはまだまだ緑が豊かだなぁと思う。
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またちょうど6:30に目覚めた。Hanh Cafeにて購入した9$でサイゴンまで行けるOpen Ticket(Open Tour Busの利用券)、バスが私を迎えにくるのは8:30、まだ時間は十分にある。荷造りをしてシャワーを浴びてからPerfume Glass Innの1階にあるテーブルでいつものようにニャ・チャンコーヒーを飲む。Thienとアドレス交換をする。別れのときだ。しばらく会話を楽しんでいると、バスがやってきた。バスは想像していたより古かったが、ホーチミンで空港からGa Saigonまで乗ったLocal Busに比べると大分上等だ。Open Tour Busというのは主に旅行者用のバスと聞いていたが、バスに乗り込んでみると多くのベトナム人がいた。今や現地人の足としても使われているようだ。そこからいくつか他のホテルやミニホテルを周り乗客を集め、9:30頃ようやくバスはニャ・チャンを出た。考えてみればホー・チ・ミンからニャ・チャンまでの鉄道のHard Bedで14万9000ドン、こちらはOpen Date(申請は必要だが有効期限内ではいつでも利用できる)で9$、Open Tour Busの方がかなりお得だ。しかも途中下車が可能。統一鉄道の旅もそれはそれで味があっていいのだが、これからベトナムを旅するときはこのバスを利用すべきだと思った。
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カー・ナー・ビーチに停留するOpen Tour Bus。非常に安価でベトナム各地へ旅行者を運んでくれる。
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バスは果てしなく続く山林の一本道を行く。心地よい揺れと外から入ってくる風で次第に眠りにつく。バスでの移動のとき、私は面白いように眠れるようになっていた。一人旅だともちろん自分の所有物の安全を確保しなければいけないという任務がある。しかし、鉄道がいくつも駅で止まるし乗っている客が多いのに対して、バスは今視界に入っている人たちしかいない。まあ盗まれてもこの中の誰かが犯人だろう。そのおかげで私は鉄道の旅より安心して眠ることができるのだ。ふっと目を覚ましてしばらくすると海に出た。ここでしばらく休憩するという。ここはカー・ナー・ビーチだ。当初はこのカー・ナー・ビーチでも一泊しようと思っていたが、そうしなくて良かったと思った。なぜならここは広がるビーチ以外は本当に何もないからだ。ポツポツとホテルがあるだけで旅行者の姿はない。店もなければ現地人の家らしきものもそれほど見当たらない。確かに自然の中でリラックスするのはいいが、私の場合半日もあれば飽きてしまいそうである。そこでドリンクを飲んで一服した後、バスはまた走り出した。
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漁村ムイ・ネーへ続く一本道。その長閑な雰囲気はどこかペナン島のバトゥ・フェリンギを思い出させた。
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カー・ナー・ビーチから走ること1時間半程度で私たちはムイ・ネーに到着した。ここムイ・ネーはベトナムの中ではそれほど有名ではなく、どちらかというとすぐ隣にあるフィッシュ・ソース工場が多い港町、ファン・ティエットの方が有名だ。「地球の歩き方」にも「村」と書かれる程、このムイ・ネーの規模は小さい。厳密に言うと私たちのバスが止まったのはムイ・ネー内のHanh Cafeのオフィス、ここは漁村ムイ・ネーの中心から3キロほど離れている。もしかしたら村の中心はもっと栄えているのかもしれない、明日にでも行ってみようと思う。それにしてもここは本当にのんびりしていて、どこかペナン島のバトゥ・フェリンギに似ている。多くの自然と素晴らしい海がある。私はHanh Cafeにとにかく安い宿に泊まりたいんだと言ってHong Diというバンガロー形式の宿を紹介してもらった。水シャワーしかないが1泊8$という安さに引かれた。部屋の作りは至って清潔だったが、蚊帳があるということは結構夜は蚊が多いのだろうか。早速荷物を部屋に置き、すぐ目の前にあるこの宿のプライベートビーチらしきところに向かった。
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バンガローの目の前にあるビーチ。誰が見てもリラックスムードだ。
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ビーチには木製の椅子が4つほど、それと日除けのためか木が数本立っている。そして果てしなく続く海、はっきり言って素晴らしい。たった8$でこんなところでのんびりできるなんて最高だ。ここムイ・ネーは観光客が本当に少ない。アジアらしさがないと言えばそれまでなのだが、私にとってはリゾートを満喫できる絶好の場所だ。砂はサラサラ、すでに高い位置から降下を始めている太陽の熱で心地よい温度になっている。早速ビーチシートに横になり本を読み始める。しばらくすると2匹の子犬が私の方に寄って来た。手のひらに乗ってしまうほど本当に小さな犬だ。そのサラサラな砂で遊んでいる。時折吹く心地よい風を浴びて楽しそうだ。ここは人間以外の動物にとってもリラックスするには最高の場所なのだなと思った。しばし読書を楽しんだ後、本を鞄にしまい海の果てを見ながら一服。この瞬間がたまらない。学校が終わったのだろうか、何人かの子供たちが浜辺で遊んでいる。同じアジア人なのにわかるのだろうか、私を見つけて初めは不思議がっていたがそのうちすぐに打ち解けた。リラックスってこういうことを言うんだろうなぁ。自然と自分の顔が穏やかになっているのがわかる。やはりここには最低2泊はしよう、そう思った。
つづく