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第3便 ベトナム編
第1章 ニャ・チャン

第7話 ハッピーアワー

船の2階で広い空を見ながら昼食。アジア料理が並べられ始める。
 今日も6:30に起きた。昨晩の酒が抜けていないらしく軽く頭が重かったが、我ながら早起きは上出来だ。(もっとも日本時間で言えば8:30、つまりいつも通りなのだが・・・)ゲストハウスの1階のテーブルでEgg with BreadとWhite Coffeeという朝食を撮った。ニャ・チャンのコーヒーは香りがよく格別だ。昨日ダム市場に行ったときも一人のお婆さんが私にコーヒーを勧めてきた。アルミパックのようなものに入っているコーヒー、その上からでいいから嗅いでみろと言うのだ。こんなパックの上から匂いなんかするのだろうか、半信半疑のまま鼻を近づけると、甘いような奥深い香りが漂ってきた。この朝に飲んだWhite Coffeeは要するにミルクコーヒーなのだが、味は結構甘いがその甘さが疲れを癒してくれるのだろうか、結構うまい。私はコーヒーには砂糖を入れない派なので、本来甘いコーヒーは苦手なのだが、これは結構飲めると思った。シン・カフェの迎車で昨日ダイビングのときに行ったのと同じ港へ向かった。着くとすぐ船に乗る。昨日乗ったダイビングボートよりボロい船に20〜30人と言ったところだろうか。もちろん観光客もいるが、現地のベトナム人も多い。そう、今日は土曜日、休日なのだ。どうも旅をしていると曜日感覚というものがなくなってしまう。

1階はテーブルいっぱいに料理に並べられる。土曜日のせいかベトナム人家族も多い。
 私は港へ向かう車の中である家族連れのベトナム人男性と親しくなった。彼はVuという名前で、ベトナムの広告代理店で働いているという。ビジネスで各国へ飛び回っているようで英語を話せたため容易にコミュニケーションをとることができた。会話を楽しんでいると、彼が非常に賢いこともわかってくる。もちろん後進国=知能水準が低いと思っているわけでは全くないのだが、彼は明らかにこのベトナムではエリートだろうという雰囲気を持っていた。我々の乗った船が港を出発する。空は快晴、スピードを上げていくボートの上で体中に浴びる潮風がなんとも心地よい。まず向かったのはムン島だ。ここではスノーケリングがメインだ。ダイビングライセンス取得ではもちろんスノーケリングも体験したし、3歳から水泳をやっていた私は水に全く恐怖心がない。にもかかわらずスノーケリングは苦手だ。どうやっても口に海水が入ってきてしまうからだ。そんな私は素潜りをしばし楽しんだ後、ボートの2階からの飛び込みを楽しんだ。2階と言っても海面からすれば結構な高さに感じる。ボートで知り合った髪の毛を星形に刈ったアキと独りで旅をしているクミという日本人学生男女も一緒に飛び込む。なんとも気持ちいい。何もマリンスポーツをスキューバダイビングだけに固執する必要はないのだなと思った。

上陸した3つ目の島。海水は非常に奇麗でついつい入りたくなる。左は私が乗った船。
 2つ目のモッ島では船上で昼食をとった。1階はテーブル、2階では床いっぱいにアジアン料理、もちろんフルーツも一杯だ。別料金だがビールも買える。味は逸品とは言えないが、この広い空の下自然の風を浴びながら食事をするというのが最高だ。そしてそれが終わるとハッピーアワーが始まる。ハッピーアワーというのは海の中でワインを飲むというイベントだ。水上に浮きを沢山浮かべたところにバーテンが乗り、みんなにプラスティックカップに入ったワインを配る。もし配られるワインをボトルで飲まないといけないというなんともクレイジーなルール付きだ。これが一時間続く。ワインは塩水も少なからず混ざってしまいめちゃめちゃまずかったが、その行為自体が面白くてたまらなかった。3つ目の島では上陸してしばし休憩だ。(入島料として50,000ドンとられた)海は思っていたよりもクリアーで非常に奇麗だ。やはりほとんど日がいないような島の周りは美しい。自然と海に入りたくなってしまう。アキはここではパラセイリングを楽しんでいた。

4つ目の島にあった水族館。内容は大したことなかったが外観が素晴らしかった。
 4つ目の島には水族館があった。内容自体は大した広さもないしこれといって珍しい魚がいたわけではないが、その建物自体がまるでスターウォーズに登場する要塞のような外観ですばらしかった。アキはどうやらジャンピングダイブにハマってしまったらしく、ここでも何度も海に飛び込んでいた。港に戻ったのは16:30、途中いくらかの出費があったものの、これだけ丸一日楽しめて6$は安いと思った。宿に戻った私は今日もまたお父参カフェに出掛けて行った。今日は土曜日、ここでは土曜日に寿司を食える。7カンで50,000ドン、うまかった。BGI Beerを飲んだ後、また昨日のように越の一(えつのいち)を飲んだ。昨晩はベロンベロンに酔っぱらってしまったので今日は我慢しようとも思ったが、どうやら無理だったようだ。昨晩いた阪神ファンのカップルがまたいたので、一瞬邪魔かとは思ったが失礼して3人で飲んだ。今日も当たり前のように野球の話から始まり、スキー、そしてダイビングの話へと続いた。昨日の反省も踏まえ21:30には店を出た。明日はいよいよニャ・チャンを去ろうと思っている。

第1章 ニャ・チャン 完

第2章 ムイ・ネー へつづく

2006/02/21(Tue)掲載