|
ベトナムカラーの統一鉄道。現地人たちの重要な足だ。
|
19:05に駅のホームへ入った。日本よりかなり南国と言えどこの時間になってくるとさすがに日は落ち、うっすらと暗闇に包まれている。ホーム内はこれからの長旅に備えるための食料を売る店や土産物屋が軒を連ねていた。また、ホームでは列車を待つために地べたに座る人たちや、これから列車でこのサイゴンを去っていく友を見送る人たちなどがあちらこちらにいる。早速到着した列車に乗り込んでみる。一つのコンパートメントにハードベッドが6つ、両側に上中下段の3段ずつある。狭い。エアコンが効いているの暑苦しさはなかったが、やはり狭いと思った。ところが、いざベッドに入ってみると、天井は低いものの意外とゆったりしていることに気づいた。これは想像していたより楽かもしれない。同じコンパートメントに乗る他の乗客はベトナム人の家族だった。親戚だろうか、見送りのベトナム人も来ている。長男だと思われる青年、タンは英語は通じないものの、将来はおそらくこの家族の大黒柱になるだろうことを想像させるしっかり者だった。悪くない人たちでよかった。携帯ゲームは勧めてくるわ、夕食は誘ってくれるわで非常に気持ちよく過ごすことができた。
|
サイゴン駅で鉄道を待つ人々。ここからベトナム各地へ移動する。
|
列車は決して速いスピードではないが確実にニャ・チャンに近づいていることを感じさせた。今回の旅で一番始めに滞在する街ニャ・チャン。ベトナムの首都ハノイと商業的な中心都市ホー・チ・ミンのちょうど中間あたりに位置する、ベトナムで数あるリゾートシティだ。この街はスキューバダイビングもできるということで、日本で調べてダイビングショップの目星は付けてきていた。一人旅で初めてのスキューバダイビングの挑戦、若干不安はあるが、また新しい経験をすることによって自信を付けられると思うと嬉しかった。そういえば、今コンパートメントに一緒にいるベトナム人家族を見て、ふと感じたことがある。私にとってはベトナムという異国に来て鉄道に乗るということは一つの冒険のようだが、普段このベトナム人家族のような現地の人の足となっているものに乗ってみるとなんと自然な感じがするのだろう。逆にこういった現地の人たちの生活必需である移動手段を利用する方が安全で、パッケージツアーで決められた時間内で規定の場所を時間通りにまわることや、オプショナルツアーなどをアレンジすることの方が自然ではなく冒険のような気がしてくる。自然な場所にいて自然に過ごしたい、そう思った。
|
ハードベッドのコンパートメント。見た目は狭いがベッドの上はなかなか心地よい。
|
Ga Saigon(サイゴン駅)から乗った夜行列車、ハードベッドの上で普通に寝れてしまった自分が少々怖いような気もした。目を覚ますと午前3:30、しまったと思って周りを見渡したが私の荷物はどうやら無事だったようだ。これだけでここベトナムは治安は悪くなさそうだと思ってしまう。むしろアットホームな感じだ。同じコンパートメントのベトナム人家族は皆気持ち良さそうに熟睡していた。どうも日本という島国で暮らしていると異国に対して警戒心を持ってしまうように思う。ヨーロッパなどに行けば隣の国に鉄道で入れる世界、それが飛行機に乗らなければ異国に行けないだけで日本では外国に行くことが一大事となる。そうすると異国は全く違う世界、感覚も何も違うので用心せねばと思ってしまうのだ。実際旅をしてみるとそんなことはない、どこの国に行ってももちろん犯罪などはあるものの親切な人が圧倒的に多い。その地に根付いた文化を理解する気持ちさえちゃんと持っていれば、過度な警戒心は必要ないというのは今までの旅から十分学ぶことができた。そしてそれはやはりここベトナムでも同じなようだ。安心した私は外を見るためにコンパートメントを出てドアの方へ向かった。
|
ニャ・チャンの駅前で食べた初めての本場フォー。うまかった。
|
列車は4:39にニャ・チャン駅に到着する予定だったのだが、4:40を過ぎても列車は一向に停まる気配がない。しかも、ニャ・チャンはビーチリゾートだというのに海などは全く見えず、むしろ多くの山がどこまでも続いている。まさか乗り過ごしたか。少々不安を感じていると5:14、予定より30分弱遅れてニャ・チャン駅に無事到着した。「歩き方」には統一鉄道はほぼOn Timeで運航されていると書いてあったが、やはり百聞は一見にしかずといったところか。ニャ・チャン駅を出てすぐの屋台で呼び止められた。フォーを食べていかないかというのである。そういえば昨日の夕方Ga Saigon付近の屋台で軽く飯を食ってからスナック菓子を軽くつまんだ程度だ。ちょっと早いが朝食の時間だしということでいただくことにした。私のベトナム入り初の現地フォーはこうして食されたのである。旨かった。何よりスープが旨い。とてもあっさりしていて良いダシがとれていた。モヤシや香草も好きなだけたっぷり入れた。これで6000ドン、だいたいフォーの相場がつかめてきた。悪くない値段だ。タイのPad Thaiと同じく、ここベトナムではこのフォーのおかげでいくらでもやっていけそうである。
つづく