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山田さんが宿泊したSky Way Guest House裏のワニ園。誰が何のためにこんなに大量のワニを・・・
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朝からExchangeに向かった。私は全くカンボジアのお金を持っていなかった。ここカンボジアでは普通にUSドルが使用可能だが、細かい金を使うときはUSドルを使うと若干の損になる。いくらかは現地の金を持っていた方がいいのだ。10,000円が79$、レートはそれほど悪くない。本当はきちんとした銀行でExchangeしたかったのだが何せ6:00に起きて7:00に向かったのだ。銀行など開いているはずがない。MABUがバイクで連れて行ってくれた街の両替商でExchangeした。その足でMABUに調べてもらった山田さんが宿泊しているSky Way Guest Houseへ向かった。レセプションで山田さんの部屋番号を聞いて早速尋ねてみる。山田さんは携帯湯沸し器でコーヒーを飲んでいる最中だった。部屋は5$、私の部屋より若干高いがその分造りがいい。なによりHot Showerが出るのが羨ましかった。ちなみに山田さんが宿泊していたゲストハウスの隣はなぜかワニ園、寝起きのワニの集団がゆっくりと動いている。こんな数のワニどこから捕まえてきたのだろう。まさかこの近くにはまだまだ野生のワニがいるのかとちょっとビビってしまった。
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シェム・リアップの風景。昨晩とは変わり交通量は多いが大半はまだ原付が占めている。
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一旦ゲストハウスに戻ってから、今晩泊まる宿を探すために今度は徒歩で外出した。別にHello Guest Houseが悪いわけではなかったのだが、やはり直接連れてこられたことに若干のうさんくささを感じていた。とにかく一人旅では損をすることと騙されるのだけは避けて通りたい。自分を納得させるという意味でも持参した「地球の歩き方」で勧めているゲストハウスを自分の眼で見てみることにした。早速チェンラーやタケオといったゲストハウスに行って部屋やコミュニケーションスペースの雰囲気を見せてもらった。ガイドブックに載っているだけあって日本人客は多いようだが、それは私にとって部屋選びの何の基準にもならない。結局Hello Guest Houseの方が清潔感もあり、従業員も陽気で過ごしやすそうだったので宿を変えるのはやめた。それにMABUとも仲良くなりすぎていた。ただ6$の部屋を4$にしてもらったからとは言え、一人の私にとってダブルベッドはToo Bigである。ちょうど今日3$のシングルルームが空いたのでそちらへ移動した。
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アンコール遺跡群の3日券。写真を持っていなかった私はその場で撮影したのだが、なぜか不気味な笑みを浮かべている。
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せっかく早起きもしたので、この旅のメインディッシュであるアンコール遺跡群へ行くことにした。ここシェム・リアップはアンコール遺跡群の最寄り街とは言え、遺跡群までは結構距離がある。さらに遺跡群に入ってからも広大な遺跡を見るには徒歩はきつい。私はバイクタクシー(要は原付の後ろ)を雇うことにした。6$で今日一日どこへでも連れて行ってくれるという。ドライバーはもちろんMABUだ。そういえば先ほど山田さんは今日はとりあえず歩いて行ってみると言っていた。54歳の山田さんが歩きで24歳の私はバイクというのもなんか情けない感じがするが、山田さんはまだ1ヶ月以上時間があるのに対して私はたったのもう10日しか時間がない。効率よく廻るべしということで自分を納得させた。バイクで10分程度走っただろうか、アンコール遺跡群の入り口についた。現地人以外はここでチケットを購入しなくてはいけないらしい。チケットは案外高く1日券20US$、3日券40US$、7日券60US$、1日券以外の購入にはには転売防止のため写真が必要で、持っていない人はその場で無料で撮影する。私は持っていなかったのでその場で撮影した。もちろん3日間はいるだろうが7日間はちょっと怪しかったので3日券を購入した。
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アンコール・トムへの入り口となる門。一体どうやって造ったのか、全く想像がつかない。
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チケットを購入したらまた私のバイクタクシーが走り出す。そして目の前に見えてきた、人の顔をした巨大な石の門が。いよいよ、アンコール遺跡群突入、まずは都城アンコール・トムである。遠くに見えた門が近づいてくる。そしてその迫り来る大きさに圧倒される。すごい。門に続く道の両脇には何体もの像が並んでいる。しかし不思議なことにそのいくつかは首から上がない。何かそこに奥深い意味があるように思えて余計リアリティを感じる。門をくぐる。すると目の前にいくつもの顔が積み上げられたピラミッド型の遺跡が現れる。バイヨンだ。顔があまりにもリアルすぎる。さあ、遺跡散策の開始だ。まずはアンコール・トム内の遺跡を巡る。空中参道が続くバプーオン、3頭の象が刻み込まれる象のテラス、天上の宮殿と言われるピミアナカスとその隣にある男池、仏教寺院プリア・パリライ、小さな像が無数に並ぶライ王のテラス、仏教寺院プリア・ピトゥ、そして南北二つの遺跡を持つクリアンだ。そして10:00〜13:00までこれらの遺跡群を巡った私の感想は「素晴らしすぎる!!!」ではなかったのだ。
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多くの顔を持つバイヨンの大きな顔。異様にリアルな造りで、クメール人の建築技術には本当に驚かされる。
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午前中、これらの遺跡を見ての私の素直な感想、それは「これだけか」だった。なぜだろう。バイヨンのBig Facesもスゴいし、ライ王のテラスなどは明らかに昔誰かが歩いていたという雰囲気が気持ち悪いほど残っていた。どれもスケールはバカでかいし、見事な彫刻、素晴らしい創造力である。しかし、なぜか私には「これだけか」という気持ちが残った。それはここのほとんどの遺跡が奇麗に修復されていたからだろうか、一言で言うと「ここはすでに死んでいる」、そんな気持ちが沸いてきたのだ。それよりも観光客、とりわけ日本のツアー客の多さにちょっと嫌気がさしてきた。もちろん、世界遺産なので観光客は多いのは当たり前だが、それが素直にこのアンコール・トムの遺跡群を感じる静けさをかき消してしまっているのは確かだ。広場には「アンコールシアー」とカタカナで書かれた観光バスが停まっている。「シアーじゃなくてツアーだろっ」、そんな文句を言いながら私は昼飯を食べることにした。バイヨンの横に何軒か出ていた出店でFried Rice with ChickenとCokeを注文して食べる。午後はこのアンコール・トムを出て他の遺跡を巡ってみようか。
つづく
※このときの遺跡巡りの様子はCOLUMN「第10回 写真集:クメールの宇宙〜アンコール遺跡群〜 - 前編 -」にてご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。