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第2便 タイ・カンボジア編
第1章 バンコク

第2話 カンボジアへのチケット

昼間のワット・チャナソンクラム通り。カオサン通りほど店も多くなく、こちらに宿泊している欧米人は非常に多い。
 朝8時頃目が覚めた。何か体調が良くなかったのでゲストハウスの水シャワーを浴びてみたが、まったく良くなる感じはなかった。(水シャワーなら当たり前かも)とりあえず昨晩思った通りこのC.H.2をチェックアウトし、今晩泊まる宿を探し始めた。C.H.2があるカオサン通り東側はなんか人気も少なく寂しい。とは言え、カオサン通り内のゲストハウスは朝までうるさそうだ。ということで、C.H.2とは逆側のカオサン通り西側のワット・チャナソンクラム通りへ向かった。ここら辺は比較的大きめのゲストハウスが多い。1階がリゾートホテルのレストランみたいになっている場所が多く、どちらかというと欧米人バックパッカーがくつろいでいる姿を目にする。まずは以前知人が泊まったことがあると言っていたMy House Guest Houseへ行ってみたがここはあいにくほぼ満室、唯一空いているのが350Bのダブルの部屋だが私にとってはToo Big & Too Expensiveである。あきらめた私はもう少しこの通りを奥に進んでBella Bella Guest Houseに行ってみた。1泊240Bのダブルだが、部屋が4Fで窓があるのが気に入った。カオサン通り付近の景色を一望できる。どうやらたまたまバックパッカーが多い時期なのだろう、少々無駄な出費だが今晩はここに泊まろう。

大使館が集まるエリアで、なんだか映画の撮影のようなものをしていた。タイの映画なんだろうが撮影している人はどうもアラブ系に見える。どんな映画なのだろう?
 部屋で一服してすぐ、カンボジア大使館へ向かうことにした。できれば明日、カンボジアに入りたい。だとすれば今日大使館を訪れてVISAをスピード発行してもらわないといけない。VISAは国境付近でも取れるということだったが、安全のためにできれば事前に用意しておいた方がいいとガイドブックに書かれていた。私のように期間的に余裕がある訳ではない旅行者にとっては、こういう場面では少々面倒でも安全な道を選択した方がいいだろう。タイと言えばトゥクトゥク、バイクを改造した三輪車タクシーだ。値段も安いと聞いたので、カオサン内で値段交渉から入り40Bでカンボジア大使館まで連れて行ってもらうことにした。英語がうまく通じないようで少々不安だったが、私の乗ったトゥクトゥクは非常に交通量の多いバンコクの道路へ飛び出した。だが、悪い予感は的中。運転手が「ここだ」と行った場所はワット・プラケオ、カオサン通りからは余裕で歩いて行ける距離だ。「ここじゃない、オレはカンボジア大使館って言っただろ?」と言っても英語はほとんど通じない、あるいは通じないフリをしているのだろうか。まったく、短パンにビーチサンダル姿でワット見学なんてできないだろ。旅の初めに面倒も嫌だったので、とりあえず金を払ってから近くで今度は安全だろうタクシーを捕まえた。ちょっと値ははり100Bとのことだったが、地図を見るとそれなりに距離もあるし英語も通じるようなので利用することにした。道中は話もハズみ、15〜20分くらいして大使館などが集まっているエリアに来た。そして彼が「ここだ」という場所で私は降り、料金を払った。そして、早速大使館に入ってみようとすると・・・なんと表札に「ベトナム大使館」の文字。また間違えた。まあ彼も悪いヤツじゃなかったのでしょうがない。地図を見るとカンボジア大使館はそう遠くない。私は歩いて行くことにした。

サーヤム・スクエアにあるHard Rock Cafe Bangkok。お約束のClassic T-Shirtsを購入しただけで、中には入らなかった。
 やっと大使館に到着した私に、さらなる不運が降り掛かる。ドアに「OPEN 9:00-11:00」の文字、「まじかよ!?」。「地球の歩き方」には午後もやってると書いてあったのに・・・。結局、無駄足になってしまったのだ。このままタクシーで帰るのも癪なので、近くのそごうに行ってみた。規模は日本のそごうとそう変わらない。しかし、客層は明らかにカオサン近くにいるタイ人より数段上といった感じである。私は今回の旅に本を持ってくるのを忘れたのを思い出し、ここの本屋で沢木耕太郎の「バーボンストリート」を254Bで購入した。さすが日本からの輸入品、値段は全く安くなかった。それから、やはりタイの中でもちょっと上の階級のショッピング街と言われるサーヤムスクエアで、お約束のハードロックカフェを撮影し、カオサンまでは公共バスで帰ることにした。タイで初めての公共バスだ。乗り方は簡単、自分が行きたい場所を通っているバスの系統を確認し、そのバスが来たら乗る。乗った後に円筒上のブリキ缶を持った車掌が来るのでその際薄っぺらい紙の切符と引き換えに料金を払うのだ。もちろん私以外は全員現地人、冷房も壊れているのか効かず、窓を開けているのだが交通量の多いバンコクの排気ガスがもろに入ってくる。決して快適とは言えないが、料金は3.5B、めちゃめちゃ安い。

カオサン近くのバス停留所付近で群がる人々。どうやらタイ版宝くじを物色しているようだ。客の目がかなり真剣だった。
 20分くらいしてバスはカオサン近くの停留所に到着した。バス停留所付近には何か木製の台にチケットのようなものを乗せて売る人とそのチケットを見ている人が大勢いた。一体なんだろうとちょっと覗いてみると、どうやらタイ版の宝くじのようである。ちょっと興味はあったがやり方も全くわからないので今回はやめておいた。さて、どうしよう。やはり国境でのVISA取得に賭けてとりあえずバスチケットだけ買っておくか。そう思いワット・チャナソンクラム通りの一番奥にあった旅行代理店のオフィスでバスチケットを購入することにした。店に入って「I'd like to go to Siem Reap.」、「Do you have VISA?」と聞かれたので、「Today the embassy was already closed.So I don't have VISA.」と答える。すると、VISAとバス代込みで1,300Bだという。え?だって大使館閉まってたんだよ?どうやってVISA取るのさ?しかし彼は「明日の朝、VISAの貼られたパスポートを渡すから、今日パスポートを置いていけ」と言う。うーん、怪しい。今日は不運続きだった上に、それこそパスポートを盗まれたら韓国旅行の二の舞だ。当然警戒心が強くなっている。しかしパスポートの発行代は1,000Bだったので、バス代300Bというのは安い。店員は決して悪そうなヤツじゃないし、バックパッカーの集まる場所でもしパスポートを盗むような事態が起こったら、噂が広まりこの店はすぐに潰れてしまうだろう。私は思い切って賭けに出た。「OK.」、私が答えると彼は早速伝票のようなものを書き始めた。これがまたなんの証拠にもならないような手書きの伝票、「もういいや」ってことで思い切って代金を払い、パスポートを預けた。彼は「明日の朝、6:30にこの店の前に集合だ」と言って、伝票に「PAID」のスタンプを押し私にくれた。もうどうにでもなれ。それにしても6:30は早いなぁ。とにかく朝が弱いことで有名な私が果たして起きられるのだろうか・・・

つづく

2005/10/13(Thu)掲載