HDDリカバリ手法のいろいろ 
  HDDのリカバリ手法を分類すると、いくつかあります。シーラスロジック製のハードディスクコントローラチップがHDD故障の本質なのでこのチップを一時良品で置き換え、不良になったHDD内のデータをリカバーしてしまえばいいということです。 それにはディスクコントローラチップそのものを故障していないものと交換する方法(2種類)と、ディスクコントローラチップ自身を修理する方法(2種類)があります。3番目はソフトウエアでの修理法法です。 今わかっている範囲では下記の5種類の方法があるようです。HDDを修理する場合は下記の順番で試してみてください。 

C-1)->A-1) -B-1) ->B-2) -> A-2) HDDを壊すリスクが一番少ない順番です。しかしB-2の方法を試す前にコントローラボードをベークすることをお薦めします。2名の方はベークしなくても成功していますが...

A-1) -> C-1)-> -B-1) ->B-2) -> A-2) : 富士通の修理ソフトはHDD内のパラメタを一部書き換えるようですので、このソフトを初めに使うのはリスクがあるかもしれません。もしコントローラーボードを買う余裕があれば、こちらの方がリスkは小さいです。 9/92005 updated

A)ディスクコントローラチップを良品のものと交換する方法2種類
A−1)ディスクコントローラ基板を良品のものと一時交換する方法
A−2)ディスクコントローラチップを良品のものと交換する方法

B)ディスクコントローラチップ自身を修理する方法(3種類)
B−1)プローブ修理法(ここで紹介した、デンドライトを電流で切断する方法)
B−2)機械的方法でデンドライトを切断する方法(詳しく分類すると2種類: 熱風法、乾燥/冷却法)

C)ソフトウエアでHDDを修理する方法
C−1)ソフトウエアを使って修理する方法

以下それぞれの手法についてコメントします。

A−1)の基板スワップ修理法は同機種で、まだ壊れていないHDDを入手して、コントローラ基板全体をスワップしてデータリカバリする方法です。 難しい方法ではありませんが、壊れていない中古のHDDを購入する必要があります。
この方法がソフトウエア法についで一番簡単な修理法だと思います。 なお、基盤交換については添付の写真1 (MPG3307AT-Fの場合) および 添付の写真2 (MPG3409AT-Bの場合)を参照してください。 (6/26/2005)
この方法で今までに3名の方が成功しています。 9/92005 updated

A−2)のチップスワップ修理法はチップ単体が入手できたとしてもチップの交換は意外と難しいようです。というのは、このチップは熱設計上パーツの底面も基板に半田付けされている(ロシア語のため、写真だけを見てください。チップを取り出した後の基板の写真です。4/13/2006 現在このリンクはパスワードプロテクトされてしまっています。)ようですので、リードを半田ごてで暖めただけではチップを基板から取り出せないためです。取り出すためには250℃-350℃ぐらいの熱風を2−3分かけて取り出すのですが、そのとき気をつけないとチップ内の水分が急激に蒸発してパッケージが割れたり、チップは割れないまでもチップ内のダイの保護膜表面とパッケージの界面に剥離が起きて内部のボンディングワイヤーが断線してしまうという最悪の結果が起きる可能性があります。 この現象は半導体業界ではパッケージクラックまたはポップコーン現象(IC内部のチップとモールド材の間に水分がたまり、その水分が高熱で蒸発し、チップとモールド材の間の蒸気が爆発して、剥離が生じる現象)と呼ばれています。

B-1)のプローブ修理法は前のページをみてください。基本原理はデンドライトを電流で切断する方法です。

B-2)の機械的修理法には二種類の方法がありますが、基本的には機械的ストレスをかけてデンドライトを切断する方法です。 熱風修理法は急激な熱上昇でパッケージが膨張するときの応力でデンドライトを機械的に断線させる方法です。デンドライトは非常に細いので、機械的な力がかかると切れます。パッケージを急激に熱すればパッケージが膨張してデンドライト部分にも機械的応力がかかりますので、運がよければ切れる可能性が十分にあります。しかしこの修理方法の問題は上記A-2)でも述べたように、パッケージクラック(ポップコーン現象)の危険性があることです。 この方法を試す前にコントローラボードを100℃で12時間以上べークすることをおすすめします。 この手法の関係者からもらったメールによると、すでに相当数のHDDをこの方法で修理しているとのことです。またバーナーの炎をパッケージに近づけて2−3分熱することでも修理できたとのことです。温度はわかりません。 パッケージには難燃剤が入っているにせよ、実験にはくれぐれも注意してください。 熱風法ではないのですが、乾燥/冷却修理法(日本語のページです。写真を見てください)というのもあります。 原理的には乾燥や低温にする過程の機械的ストレスでデンドライトが断線していると考えます。 2005年8月21日現在2名の方が熱風修理法を試し成功しています。タバコのライターを使用して修理できたとのことです。一人の方は炎を5秒ぐらい近づけることを繰り返したそうです。その後、HDDをチェックしたところBIOSがHDDを認識しました。また、モスクワに住む方からの報告によれば、冷却/乾燥法でMPG3204AH-E からデータリカバリが出来たそうです。こちらはポップコーン現象は起きないので安全です。

下記はその方法です。 8/28/2005 updated
*********** 冷却/乾燥修理法 (1) **********************************
1) 不具合のHDDを数時間冷蔵庫で冷却する
2)取り出してよく乾燥させる
3) HDDからジャンパーをすべて取り除く (必須だそうです。MPG3204AH-Eに特有な方法かもしれません。) そして不具合のHDDをスレーブの位置に、データをコピーするHDDをマスターの位置に接続します。もしうまくいかない場合は不良のHDDをスレーブ用のジャンパーをつけてください。
4) PCの電源を入れる。
5) もし BIOS がHDDを認識しない場合は 1)へ戻り繰り返す。
6) BIOSが認識したら不良HDDからマスターHDDへデータを移動します。
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冷却/乾燥修理法のその2です。 10/30/2005 updated
*********** 冷却/乾燥修理法 (2) **********************************
・基板を取り外し、乾燥剤とともに密閉容器に入れ、冷凍庫で24時間冷却後、・BIOSに認識され、Windows起動時にスキャンディスク起動、
・データを認識するようになったがバックアップにかかったところ途中で読み込み停止したため、制御チップに銀グリスを塗り、余っていたCPUクーラーをガムテープでチップ上に固定し、ファンを最大回転にしてバックアップ作業完遂
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C-1) ソフトウエア修理方法
この修理方法の原理は不明です。 二つの可能性があります。一つはHDDのパラメタを初期値にすることです。 二つめはデンドライトができやすい電源(Vcc)ピンとその隣接ピンにソフトウエアのコントロールで一時的に高電圧をかけ、デンドライトを焼切るということですが、私の経験ではデンドライトができるのは電源ピンとその隣接ピンが一番可能性は高いものの、常にその部分とは限りませんので、どういう方法で修理するのか不明です。 単にHDD内の基本データが壊されてるだけなのかもしれません。 とにかく、$1790(約20万円)のソフト(4/13/2006 現在このリンクは閉鎖されてしまっています)は貴重なデータのある人のにとっては安いものかもしれませんが、プライベートに使っているPCの修理に20万円をだすのはちょっと厳しいと思います。 しかし、子どもが小さい時の写真など一生に一度しか撮ることのできない写真などが詰まったHDDを捨てるのは忍びないことです。上記のソフトはWestern Digital社のHDD(WDXXXXX)のものです。どのようなHDDを修理できるかはここ(4/13/2006 現在このリンクはパスワードプロテクトされています)をクリックしてください。 また、富士通製のHDD(MPG3409AT-FF)のデータリカバリソフトに興味のある方はここのリンクをたどってみてください。(タイトル:Fujitsu MPG series HDD Recovery Tool Version 2.02A) 私も海外の方からこのソフト(ZIP,1.36Mb ウイルススキャン済:"RecoveryToolV202A.ZIP” )を入手しましたが、その方の経験ではこのソフトを走らせただけで、データリカバリができ、家族と一緒の海外旅行の写真が生き返ったそうで、とても喜んでいました。 試してみる価値はあります。 現時点、の 3/26/2006で12名 (13台)の方からこの方法でデータの復旧に成功したとの報告が来ています。

[富士通HDDデータリカバリソフトの使いかた]
1) RecoveryToolV202A.zip” ファイルを別のPCで解凍します。
2) 解凍したファイルの中の"RecoveryToolV202A.exe”を起動すると、FDDを入れるように促されます。
3) その後指示に従ってやれば、このFDDが起動DISKになります。 この起動ディスクは読み出しはできません。読み出そうとすると、”フォーマットしますか”と出ますが、気にしないでください。
4) そのFDDを壊れたPCに入れて電源を立ち上げます。 このFDDを起動ディスクとしてPCを立ち上げると、HDDにアクセスしに行くはずです。 解凍したファイルの中にはマニュアル(recover_tool_manual.pdf)もあるので、そちらも参照ください。 ただ、このマニュアルは英文です。しかし、このマニュアルを読めばリカバリのだいたいの流れはつかめると思います。

以上、これまでにわかっている修理方法をまとめてみました。 これ以外にもあるという方はお知らせください。

 
Original: 5/2/2004
Updated : 6/21/2013