備忘録 (2006年) 

世の中はどうなっているかを新聞記事のデータから考える


残業増えても賃金増えず。(12/29/2006、A5P) 
毎月勤労統計調査。 従業員5名以上の事業所からの報告をもとに厚生労働省がまとめているもの。


週派遣・請負・偽装請負(12/26/2006、A4P) 
違法行為が横行する背景には、日本の財界・大企業のいちじるしいモラル低下がある。 阿部内閣は、戦後の労働者保護法制を破壊する「労働ビッグバン」を政策課題の柱にすえ、財界の要求にこたえ本格的な労働法制改悪の動きを見せている。


週50時間以上働く労働者割合(国民生活白書 2006年)
日本人は4人に一人以上が週50時間以上働いている。

少子化対策変更は急務 9000万人割れショック (12/22/2006、A4P) 
厚生、労働省の国立社会保障・人口問題研究所が12月20日発表した『将来人口推計』。2055年に日本の総人口が8993万人に減少。

「私は他の人に劣らず勝ちある人間である」(日本青少年研究所02年)という設問への肯定的回答は中国で96%、アメリカで89%。日本は38%だった。 東京や大阪では子育て世代の四分の一が就学援助を得ている。全国平均は13%(04年度)
子どもを大学卒業させるまでにかかる基本養育費と教育費の合計は3000万円。 医学系大学コースだと6000万円。 塾に行けばプラス200万円。 日本は「子どもを大切にしない国」の代表格である。(浅井春夫立教大教授)

外国と比べて少ない医者数。


ホワイトエグゼンプションの導入による残業代の横取り額の比較
労働時間規制の対象枠からはずされた場合、どのぐらいの額が事業主へ横取りされるか。


中小企業の年間給与支払いの推移
2005年は対前年比2.9%上がっているが、下記の10億円以上の企業の役員報酬からみると、この5年間はまったく上がっていないといえる。


資本金10億円以上企業の役員報酬と全法人企業の労働者賃金 
約10年前から格差は広がっている。政府統計で資本金10億円以上の大企業の役員報酬はこの10年間で1433万円から2811万円へと2倍に増えている。 同じ時期に全労働者の平均賃金は388万円から352万円へと逆に大幅に減っている。「法人企業統計」をもとに試算。


大企業の内部留保金が増大、内部留保の1.8%で月1万円の賃上げ可能 (12/19/2006、A5P) 
空前の利益をあげるトヨタ自動車など大企業101社の「ためこみ利益」(連結内部留保)のわずか1.8%を使うだけで、従業員一人あたり月額1万円の賃上げができる。全労連と労働総研(労働運動総合研究所)がまとめた『2007年国民春闘白書』で、こんな実態が明らかになった。貧困と格差拡大が社会問題となるなか、同白書は「大企業のボロもうけを社会的に還元し、応分の負担をさせることは2007春闘の重要な課題」と指摘している。
白書では、従業員が増加した企業は103社(72%)にとどまっていることなどをあげて、「経常利益や内部留保が増大しても設備投資や株主配当金などに回され、賃金の増大には結びついていない」と分析。 一人あたり1000万円の内部留保がある企業で従業員1人月額1万円(一時金は年6カ月として1人18万円)の賃上げをおこなうには、内部留保のわずか1.8%あればできると指摘。「賃上げや雇用の拡大などによって家計を豊かにすることこそが、景気を好転させ、日本の経済・社会を健全な状況へ導いていくことになる」と強調している。


労働ビッグバンは財界とアメリカの要求 (12/17/2006、AN7P) 
「労働ビッグバン」は解雇の金銭的解決制度の導入を主張している。不当解雇を禁止している労働基準法の規定を変え、一定の金さへ払えば経営者は、労働者を「自由」に解雇できるようにするもの。経済財政諮問会議の「民間議員」の一人、八代尚宏・国際基督教大学教授の言、「解雇の金銭解決を認めるのは当然で、やめて欲しいといわれた会社で無理に働くより、手切れ金をもらって新しい仕事を探したほうがいい」(朝日新聞11月15日付)
しかし、この要求は大企業の要求だけではなく、とアメリカの要求でもあった。

証券優遇減税 富裕層に869億円 (12/17/2006、A5P) 
わずか3・8%の富裕層に64%の減税:上場株式の譲渡益にかかる所得税を軽減している証券優遇税制による多額の減税の大半は、一部の富裕者にしか恩恵をもたらしていないことが、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の調査によって分かった。 自民、公明両党は2007年度与党税制「改正」大綱に、2007年度中に期限を迎える証券優遇税制の1年延長を盛り込んだ。同制度の継続で、いっそう富裕者を優遇する方針。 佐々木議員が財務省から入手した資料に基づいて試算したところ、株式等譲渡益にかかる税率を本則20%から10%に軽減している証券優遇税制による減税総額は1357億円(申告所得分のみ)。このうち申告所得の合計が5000万円を超える階層の証券優遇税制による減税規模は、869億円となり、全体の約64%に及ぶ。同階層は、1人当たり約1155万円もの減税を受けていることになる。 2004年に株式等譲渡所得を申告した人は、全体で196,986人。そのうち申告所得の合計が5000万円を超える階層は、7,525人と全体の約3.8%にすぎなかった。また、税率26%時と比較した減税額は、総額で約2171億円(同)。申告所得の合計が5000万円を超える階層の1人当たりの減税額は、約1849万円。

サービス残業推移 (12/17/2006、A5P) 
サービス残業代を支払わない「ホワイトカラーイグゼンプションが年収400万円以上の労働者に導入されると、不払い残業代7兆円、これまで支払われている残業代4.6兆円の合計11.6兆円が横取りされ、これは労働者一人あたり114万円にあたる。(労働運動総合研究所:牧野富夫代表理事)


逆立ち税制 過去 現在 未来 (12/15/2006、A3P) 
導入後18年目を迎えた消費税。この間、国民が支払った消費税額は、累計で約174兆8000億円(2006年度)に達する見込み。 一方、同期間の法人三税(法人税、法人事業税、法人住民税)の減収額累計は約159兆7000億円。不況による影響とともに、相次いで実施されてきた法人税減税によって、法人税収は減少を続けてきた。「財政健全化」をスローガンにかかげながら、大企業にはいっそうのバラマキ減税を行おうとする安倍政権。2007年度税制「改正」では、企業の減価償却制度の拡充をたくらんでおり、その穴埋めも庶民増税。

庶民増税、(12/9/2006、A8P) 
所得税・住民税の定率減税全廃と各種所得控除「見直し」、消費税の10%化が実施されれば、年収500万円のサラリーマン4人家族で年約55万円の増税になる。
一方で大企業には法人税の実行税率を30%にすることで減税をしようとしている。

労働法制「改正」報告案、(12/9/2006、A3P) 
@ホワイトカラー(事務・技術労働者)について労働時間規制を外す法「改正」:1013万人のホワイトカラーが時間規制から外され、払われるべき賃金の二割がカットされる。総額11兆6千億円、一人当たり年間114万円になる。
A解雇の金銭的解決制の法「改正」:「解雇無効」と裁判所が判断しても金さえ払えば解雇できるようにする。
B就業規則を会社が一方的に作成できるような法「改正」:違反しても罰則なし。
これらは、「ただ働き、解雇、労働条件切り下げ」のやり放題を野放しにするものと、労働側委員は反対している。

大銀行法人税ゼロ、(12/3/2006、A3P) 
大手銀行6グループ(三菱UFJ、みずほ、三井住友、りそな、住友信託、三井トラスト)は9月期中間連結決算でも、過去最高を更新する最終利益(純利益)を計上したが、どのグループも法人税を一銭も納めていない。 これは、いまは大幅な黒字でも、不良債権処理に伴って過去に積み上げた赤字と相殺されるという税務上の優遇によるもの。しかも黒字で埋めきれなかった赤字は、翌年以降に繰り越せるという「繰越欠損金制度」というもの。不良債権処理を後押しするためとして、2004年度から繰越期間が5年から7年間に延長された。この間に新たに赤字が発生すれば、繰越期間はさらに延びることになる。 もし、6大銀行グループすべてが法人税を納めるとすると、業績予想(2007年3月期通期)で、最終利益は総額2兆9600億円と見込まれているので、それに法人税率30%(国税分のみ)を掛けて計算すると税額は8880億円になりる。 この税収があれば、住民税の定率減税半減分(約4000億円)、公的年金等控除縮小の住民税増税分(約1600億円)、高齢者分の介護保険料の引き上げ分(約2000億円)も障害者の支援費制度・医療の自己負担強化分(約700億円)などをやめてもおつりが来る。
これを見ると、法律は大企業に特に有利に作られていることがわかる。 利益が2兆円もあっても税金を一銭も払わない。 預金金利は0.1%ぐらいにしておいて、貯金をしている者へ還元をしない。 しかし、自民党をはじめとして民主党や、その他の政党が銀行業界のいうことを聞けば政治献金を再開するというのだから、まったくもって、開いた口がふさがらない。


大企業の国際競争力は高い、(12/2/2006、A3P) 
大企業の国際競争力は高い。その理由は人件費が低いこと。

数字が語る貧困と格差 G、(12/1/2006、A8P) 
若年層の完全失業率の推移と非正規雇用者が正社員に成りたい率
若年層での失業率が高い。 男子では正社員希望も70%になっている。


成果主義人事制度の問題点、(11/27/2006、A8P) 
財界は1990年代半ばから、成果主義賃金を導入した。個々の労働者を「成果」で評価し、労働者同士を競争させて、賃金に差をつけ、全体として人件費コストの削減をはかろうというもの。いまその矛盾が噴出してきている。下のデータは経済産業省の「人材マネジメント研究会報告」は、 成果主義導入で「人件費は低下したが、労働者のやる気、協同意識は低下した。」として、成果主義には「構造的欠陥」があると結論づけている。 成果主義は非正規雇用労働者の拡大とあいまって企業の生産活動の障害になってきている。
成果主義日本文化になじまないと思われる。日本人の文化の特徴の一つは、それが良いか悪いかは別にして「集団主義」と「平等主義」である。集団主義に成果主義賃金は特になじまない。

就学援助 子ども8人に一人、(11/21/2006、A8P) 
経済的理由により小・中学校への就学が困難な児童・生徒の家庭に学用品や給食費、医療費などを支給する就学援助も受給者が増えている。背景には「構造改革」路線のもとで進められたリストラによる失業、不安定雇用の増大や連続する社会保障改悪による生活破壊がある。 生活保護受給者の増加も参照

無視される「貧困層」 都留文化大学 後藤道夫教授
「いま大問題になっているワーキングプアは総務省の就業構造基本調査を使って試算すると1997年んお514万2千世帯(勤労者の14.4%)から2002年には、656万5千世帯(18.7%)になっている。

大企業は空前の利益、14日の続き、(11/17&11/15/2006、A4P) 
大企業だけでみるとこの10年間は右肩あがりで、経常利益を増やしている。 一方で大企業労働者の給与は減らされている。
レーガン大統領の経済ブレーン達がトリクルダウン理論をかかげて登場して以来、イギリスや日本を始め多くの資本主義社会がその真似をしてきたが、結局その理論はごまかしの理論でしかなかった。 今はやりの成果主義も同じ。
トリクルダウン理論(trickle-down theory):富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)するという経済理論あるいは経済思想

利益が役員報酬と配当支払われて賃金が上がらない20005年の役員報酬はあ一人当たり281万円。これに対して従業員年収は588万円。格差は開いている。


企業は空前の利益、低迷する家計 (11/14/15/2006、A4P) 
国内総生産(GDP)速報、個人消費は実質、名目ともに前期比0.7%減、2002年から始まったとされる「景気回復」局面のもとでの最大の落ち込み。労働者の賃金低迷が消費を押し下げ、さらに政府による増税と社会保障の改悪がこれに拍車をかけている。07年には住民税の定率減税全廃が待ち受けている。 国税庁によると、民間企業に勤める人が一年間に得た給与は05年まで8年間マイナス。 経済研究主宰の山家悠起夫氏の調べ:2000年度と2005年度を調査したところ、下記のことがわかった。資本金一億円以上の企業の経常利益は11兆円増え、雇用者報酬は11兆円減った。 正社員は302万人減り、比正規社員が337万人増えた。
今回の「景気回復:おきざり景気?」に実感がともなわないのは当たりまえ。現在の「景気回復」は人件費削減(リストらとH非正規社員の雇用)による増益だから。一番右の縦2つのグラフはNK新聞のもの。企業部門と怪異部門の格差がああきらか。右下の図(現金給与総額と有効求人倍率)は経済新聞に出ていたものだが、確かに有効求人率が上がってきていることを示すものではあるが、右上のグラフ(企業部門と家計部門の動き)を見てもわかるように家計部門の収入増加にはつながっていない。6年間低迷している。 これは賃金の低い非正規労働者が増えていることを示している。 このように新聞によって同じ記事(国内総生産速報)を取り上げても使うデータが異なるので注意が必要。企業全体では見えにくい大企業の儲けだけを抽出したものが11月17日の記事(大企業は空前の利益)。



米国中間選挙結果 共和党大敗北 民主党の両院多数派決定 (11/11/2006、A7P) 
民主党は系列無所属2名を加えて上院で51議席を獲得。 このため共和党は12年ぶりに上院・下院ともに少数派に転落。 イラク戦争への国民の批判が現れた結果。共和党内ではネオコン(新保守主義)派を一掃する動きがある。ブッシュ大統領がラムズフェルド国防長官を罷免したのはその現れ。 

今回の選挙で米国民はブッシュ共和党のイラク戦争に対して批判票を投じた。2001年のアフガニスタン戦争や2003年のイラク戦争開始時のブッシュ支持率から見ると米国民は明らかに変わった。 当時の少数意見が多数意見になったということだろう。今月出版された加藤周一・白妙会の本で『日本文学史序説 補講』(かもがわ出版)という本がある。そこで、日本文化とアメリカの文化の違いに言及しているところがあるので引用してみる。
「権力と国民との関係において、日本の文化は権力批判の面で弱かった。...いわゆる<和の精神>の圧力は強かった。それは集団のなかの<和>です。 集団のなかでは対立意見のないほうが理想的。... 二つの集団が考えられる。一つは個人主義的な考え方、人が集まれば意見が違うのはあたりまえという考え方です。...... 戦争しようとする人は多数で、戦争を止めようとする人は少数でも、少数意見を、すくなくともある程度まで尊重しようとする社会と、少数意見を押しつぶし、排除する社会が考えられます。後者の場合、少数意見はないほうがいい。 しいて少数意見を固執する人には、「それでもお前は日本人か」という。....言うことを聞かないやつは集団の外に追い出して村八分にするとか、それができないときは逮捕して牢獄にいれてしまう。少数意見をつぶすのです。説得できなければ暴力をつかってでもつぶしてしまう。そうするとみんな同じ意見になって同じ方角に進んでいく。 もうひとつのやり方は、少数意見をつぶしてしまわないで残しておく。もちろん、集団全体は多数意見で進んでいきます。 事態がまずくなって方向転換が必要になっても、日本のような全員一致の型では、もともと少数意見がないのだから、新しい方向を主張する人がいない。その支持者がふえることもない。しかし、少数意見を尊重する社会では、多数意見に従って事態がまずくなれば、今度は少数意見の見方がふえていきます。 それがある勢力に達したときに方向転換ができる。 別の言葉でいえば、<和>の集団というのは、方向転換を必要としないかぎりではいい点もたくさんあるけれど、集団全体が方向転換をしたい時にできないのです。...アメリカは個人主義的で、それ自身いろんなまずい点もありますが、方向転換が必要になると、今日の少数意見が明日の多数意見になって変わります。必ず少数者から出発します。... イラク戦争反対の意見はアメリカ社会に存在している。...だれも聞こうとしないから戦争は進んでいくのですが、しかしだんだん状況が悪くなってきた。もっとわるくなれば戦争反対の意見はふえていくでしょう。ハワード・ジンやノーム・チョムスキーがいい例です。いまチョムスキーを支持しようとする人はほとんどいないですが、状況が悪化すればもっと増えていくでしょう。....日本ははじまったらカタストロフ(破局)で、国が滅びるまでやめない。ヒトラーのドイツもわかりきっているのに方向転換ができなかった。日本とおなじで、ベルリンが焦土となって、ヒトラーが死んで、悲惨な状態になってやっと降伏した。」 ...
長い引用になったが、これが語られたのは2003年9月はじめのこと、その3年後の2006年11月には、アメリカではかつての少数意見が多数意見になったということになる。日本の政府与党はいまでも過去の多数意見にしがみついている。ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)の政治に関する著作は邦訳が多くでている。 『メディアコントロール』(集英社新書 0190)、『覇権か、生存か』(集英社新書 0260)、『チョムスキー、民意と人権を語る』(集英社新書 0319)、その他多数。 ハワード・ジン(Howard Zinn)はまだ読んだことがないが、邦訳は少ない。 ハワード・ジン 『テロリズムと戦争』(大月書店)

ジニ係数の国際比較 (11/3/2006、NK5P) 
「所得格差 日本は中位」 総務省調べ OECD加盟国で比較
総務省は二日、所得格差を示す代表的な指標である「ジニ係数」を経済協力機構(OECD)加盟国で調べると、日本は中位に位置するという報告書をまとめた。2004年の全国消費実態調査の中で分析 [注:ジニ係数:社会の所得分布の偏りを測る指数。数値が大きいほど格差が大きく、小さいほど平等。 ゼロは全員の所得が同じ(完全平等)、1は一人が全所得を独占している状態(完全不平等)を示す。]
下記の資料(図-1)から、総務省は、「所得格差 日本は中位」と総括し、新聞はデータを自分の頭で検討もせず、総務省の言い分を垂れ流している。これだけのデータでは、日本がOECDの中で占める位置はわからないし、1984年から20年間、毎年ジニ係数が上がっている。それは日本が不平等社会になってきていることを示しているわけだ。これではよくわからないので、研究者(橘木俊詔:京都大学大学院経済学研究科教授)が出版した『格差社会』(岩波新書/1033)からのデータも挙げておこう。(図-2〜図-4) 
橘木教授のコメント:図-2で見ると、80年代から現在まで、ジニ係数が上がっているということは、所得配分の不平等が進行していることを示している。2003年でジニ係数が減少傾向にあるように見えるが、これは「家計調査」では高齢単身世帯が除外されているため、高齢単身者の貧困の増加が反映されていないからと思われる。図−3の中の表を見ると、1981年では再分配所得後のジニ係数が0.314だったが、2002年段階で0.381に上昇しているが、これはジニ係数の相当な上昇である。図-4の「全国消費実態調査」でも、ジニ係数の増加が明らかである。最後の図-5は、OECD24カ国での比較。日本は不平等の高い国であることがわかる。
図-5のデータはOECDが1990年代後半(second half of the 1990)のデータを使って2004年にまとめたもの。日本国内のジニ係数の変化を見ると毎年格差が開いてきているので、総務省の2004年のデータで、「OECDの中で所得格差が中位」という総務省のコメントは信用できない。 ところで60年代後半から70年代初期までジニ係数が下がっているのは全国に、いわゆる革新自治体が増えたことと関係があると思う。
図-1) 総務省のデータ 2004年で分析 図-2) 総務省の家計調査によるジニ係数の推移データ
図-3) 厚生労働省の「所得再分配調査によるデータ 図-4) 総務省の「全国消費実態調査」によるデータ  図-5) OECD 全体とのジニ係数の比較

派遣・請負の違法急増 (10/29/2006、A1P) 
「派遣」や「請負」など非正規雇用の労働者を使った違法労働が、大企業の製造現場を中心に広がっている。2005年度に、各都道府県にある労働局は、調査した労働者派遣事業と請負事業所あわせて6068件のうち、3620件で是正指導をした。法違反率は59.65%にのぼることが、厚生労働省職業安定局需給調整事業課のまとめでわかった。 請負事業者だけで見ると879件を調査し是正指導は616件。法違反率は70%。この多くが「偽装請負」だとみられている。
企業のモラルのなさは目にあまるものがある。 違法と企業の利益は密接に関係している。一方で泣きをみているのが、ワーキングプアの若者だ。ワーキングプアや貯蓄ゼロの家庭が増えれば階級固定につなっがていき、ますます貧富の格差は広がっていく。 都留文科大学の後藤道夫教授の計算:、ワーキングプアは、総務省の就業構造基本調査を使って試算したところ、1997年の514万2世帯(勤労世帯の114.4%)から、2002年には656万世帯(18.7%)んに増加しているという。

特例高金利の導入撤回 (10/25/2006、A1P)
サラ金などの金利引き下げ問題で、自民・公明両党は24日、出資法の上限金利(年29.2%)と利息制限法の同金利(年15―20%)に挟まれた「灰色金利」の撤廃後、期限付きで認める予定だった年25.5%の特例高金利の導入を撤回する方針を固めた。貸付額に応じた利息制限法の金利区分は現行通りとすることも決めた。貸金業者からこの3年間で自民・公明党に1900万円の資金提供があったことを、共産党の大門参院議員が調査・発表。
自民・公明党が高金利の導入撤回をせざるをえなかったのは、高金利引き下げ全国連絡会や全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会、日弁連など多彩な団体が特例高金利に反対する運動を全国規模で展開してきたからという。金利引下げ意見書が80%以上の県からでてきている。このような一致団結の運動でなら政権与党の横暴も抑えられるということだ。下記右下の貸金業者・団体からの与党への献金リスト(2006年10月13日「赤旗」)でわかるように、政府与党の政策はサラ金業界の金の力で作成されていることがわかる。 これによると、2003年から2005年の3年間で、自民党や同党議員への献金、パーティー券代、機関紙購読料などの資金提供は計1719万円に、公明党は230万円にのぼり、合計1949万円とのこと。

企業の利益と従業員給与の比較 10月の月例経済報告 2006年度 (10/13/2006、A8P)
「暮らしと経済研究室」主催 山家悠紀夫 氏の解説、
国税庁の調査によると、民間企業に勤める人が2005年の1年間に得た給与は前年より2万円減った。8年連続のマイナス。「いざなぎ景気」の時は、企業が収益をあげていくにつれ、それなりに家計に波及した。1990年代までの景気回復は1年ぐらいたったら家計に波及していった。 今回の場合、大企業は、儲けを溜め込み中小企業や従業員に還元しようとしていない。もともと、大企業の儲け自身が「リストラ効果」と「輸出頼み」といわれるように、賃金をはじめコストを削減することによって生み出されている。これを制度や税金で支えてきたのが小泉「改革」
「いざなぎ景気」のときは階級対立の緩和の方向へ作用したが、今回の景気回復は階級対立を促進する方向へ進んでいるということのようだ。

サラ金の生命保険金受け取り ”自殺率”2割の会社もある (10/9/2006、A1P)
サラ金が借り手を被保険者にして掛けている生命保険「消費者信用団体生命保険」(団信保険)で、サラ金大手5社が2005年度、借りての死亡で保険金を受け取った、各社別の死因における自殺者の割合がわかった。 ”自殺率”が件数・金額とも20%を超える会社もあった。2004年度人口動態統計の死亡原因のうち自殺が占める割合は20歳-69歳で9.04%。これと比べてサラ金の借り手、多重債権者の自殺率は異常に高い。
死因が不明でも保険金を出すなんて、サラ金業界と生命保険会社は完全にグルですね。それにしても、サラ金のCMに出ている芸能人の方々は倫理感もなにもなくて、ただマネネジャーの言うことに従い、お金を稼げればそれでいいということなのでしょうかねぇ。

サービス残業是正 2005年度 (10/3/2006、A1P)
厚生労働省発表、労働基準監督署から是正指導をうけ、100万円以上の残業代を支払った企業は1524社。総額は232億9500万円。 いずれも前年より増加。対象労働者は16万7958人 企業数は調査を開始した2001年度以来最高。 1社平均の支払額は1529万円。労働者一人あたり14万円。 2001年以降では、5161社、対象労働者は60万7000人。総額851億6000万円。 サービス残業は、割増賃金支払い義務を課した労基法に違反する、れっきとした企業犯罪。サービス残業をなくせば、160万人の雇用が創出できる。
日本の大企業の労働倫理観のなさにはまったくあきれてしまいます。自分の会社の正規従業員から残業代をピンはねするのをなんとも思わないのなら、非正規の労働者から本来支払われるべき給与をピンはねするのはなんでもないはず。

小泉内閣5年間に決められた「逆立ち税制」 (9/24/2006、A1P)
5兆円の減税はすべて家計負担、大企業は大減税の恩益のもと、バブル期を超える史上空前の利益を更新し続けている。 企業が溜め込む余剰金は増え続け、2005年9−12が月期には、100兆円を突破した。一方、法人税の税収は依然低迷している。 法人税三税(法人税、法人事業税、法人住民税)の税収は、1990年の73%にしか達していません。 法人税は最高時には43.3%だった同税率は現在30%にまで引き下げられている。法人税を40%に戻すだけでも5兆円の増税効果がある。
この間の儲けがどこへいったのかは右下のグラフであきらか。株式の配当金と役員報酬は急速な右肩上がりだが、従業員給与はなだらかに下がっている。 配当金は海外にも流れていくので、日本気企業に勤めている人は、海外の株主のためにも、儲けさせてやっているということ。 なお、その人が役員だったり、自分自身も株式で大儲けしているという人は別だが、経済新聞などを読んで「日本は景気がいい」などといっている中堅ビジネスマンほど能天気な人々はいないと思う。

日銀自身が「国際的にも例が無く異常な事態」という量的緩和政策。だぶついたお金の一部は、不動産や株投機、さらには海外へと流出し、マネーゲームを誘発する結果を招いた。内閣府が発表した経済白書(06年度版)は95年度以降の金利低下の影響について、「金利低下の直接効果としては、家計から企業への所得移転があったといえる」と指摘している。
大企業の節税のあつかましさにはあきれてものが言えません。 この数年史上最高に儲かっている大企業は税制で優遇し、ここ数年収入が減ってきている国民をこのような逆転した税制で苦しめる現政権を選挙で支持している多くの国民がいるかぎり、将来に明るさは期待できません。

日本の大企業の負担は重い? (9/21/2006、A8P)
日本の法人税率は、1998年度に37.5%から34.5%に、さらに99年度には30%に引き下げられた。財務省によれば、30%という税率はイギリス、インドネシア、タイと同じで、アメリカ(35%)、フランス(33.33%)、イタリア(33%)、フィリピン(35%)より低い水準。 これらの国と比べて日本の税率が高いとはいえない。 日本の法人住民税や法人事業税を含めた「実行税率」は39.54%ですが、ニューヨーク市の場合は45.95%と日本より高くなっている。 社会保険料を含めれば、日本企業の負担がヨーロッパに比べて低いことを示している。
「日本の法人税は高すぎるから企業が海外に逃げてしまう」というのが、経営者団体の言い分だそうだ。 下のデータみたらわかるが、ちっとも、高くない。 また右の上下のグラフを見れば、日本での人件費の低さがよくわかる。 

文部省の2007年度概算要求 (9/19/2006、A4P)
文部科学省の2007年の概算要求額(一般会計)は。前年度比13.1%増の5兆8039億円。
こんな数字信じられません。教育改革を言うなら、まず教育予算を増やして、教員数も増やして、ヨーロッパのように20人以下の学級を早期に作って欲しい。

サラ金に100万円返せなかったら、10年後の返済総額は1180万円 (9/8/2006、AP)
金利28%の福利計算では10年で1180万円、20年ではなんと1億3937万円になる。 出資法上限金利(29.2%)、利息制限法の上限(年15%〜20%)  左下の表を見るとサラ金の恐ろしさが良くわかる。 このような暴利を許す利子率についての法律を通してしまう国会というものの恐ろしさも良くわかる。 金利法は議員立法でできたものだそうだ。 また、右下の表を見ると、サラ金業界と大手信託、生命保険会社、銀行との腐れ縁が良くわかる。

企業は過去最高のもうけ 財務省調べ (9/5/2006、A4P)
財務省が4日発表した2005年度の法人企業統計調査によると、全産業の経常利益が51兆6926億円と前年比15.6%増となった。一方、一人当たりの従業員給与は、351万6千円と同0.56%減となった。 企業の経常利益は2002年度以降4年連続で増加。バブル期を上回る過去最高の利益を更新しているが、一方、従業員給与は2003年度から3年連続で減少している。

   

マネーゲームの源流(9/3/2006、A5P)
日銀自身が「国際的にも例が無く異常な事態」という量的緩和政策。だぶついたお金の一部は、不動産や株投機、さらには海外へと流出し、マネーゲームを誘発する結果を招いた。内閣府が発表した経済白書(06年度版)は95年度以降の金利低下の影響について、「金利低下の直接効果としては、家計から企業への所得移転があったといえる」と指摘している。

生活保護費 京都総評の試算(9/1/2006、A1P)
生活保護は最低生活を営む上で必要な費用の7割。これでは人間らしい生活は送れない。 28.8%の世帯は年収300万円未満で生活している。(2004年度)。 これから税金や社会保険などを差し引くと標準三人世帯の生活保護費(一級地平均年210万円)と同水準かそれ以下になる。 国民の三割近くが貧困ライン以下で生活している。 生活保護需給世帯は100万世帯を突破

米8人に一人 貧困 2005年度統計 (8/31/2006、A7P)
国民の八人に一人が貧困で、健康保険に加入していない人も六人に一人に上っていることが、米商務省が29日発表の2005年の統計によって明らかになった。 米国で統計上、貧困とされているのは、四人家族の場合で家族の年収が約19900ドル(約230万円)、単身者で約9900ドル(約150万円)以下。 2005年では、この所得以下が3700万人で国民の12.6%となっている。

各雇用形態の雇用者の生涯賃金 財政経済白書 2006年度 (8/30/2006、A10P)
正規雇用は減り、フルタイムの派遣・契約・嘱託職員が増えている。正規と非正規の大きな賃金格差と総世帯の平均所得の減少が家計をぐっと押さえ込んでいる。

日本の医療費 (8/29/2006、A1P)
日本の医療費はGDP(国内総生産)に占める比率は約8%でOECD(経済協力開発機構)加盟30カ国中17位で決して多くない。 医療費のうち国の公費負担は8兆円程度に過ぎず、アメリカの10分の1. 入院病床あたりの意思、看護師数は、いずれもアメリカの5分の1で多くない。 「日本医学学会副会長・東大名誉教授 出月 康夫さん」

家計貯蓄率(国民経済計算)の推移 財政経済白書 2006年度 (8/24/2006、A8P)
家計貯蓄率が7年連続で低下。 支出が増える一方、企業のリストラによる収入減や年金改悪による年金収入減少、所得税・住民税増税によって、家計の可処分所得は減少傾向にある。

企業収益の推移 財政経済白書 2006年度 (8/23/2006、A8P)
資金剰余は170兆円 全産業の経常利益と売上高経常利益は、ともに2002年度から05年度まで4年連続で増加。 資金余剰金の毎年平均は21兆円にのぼり、その累計は約170兆円に達した。

「非正規雇用者」青年、10年間で3倍、20年間で20倍 厚生労働省発表 (8/9/2006、A1P)
2006年度版「労働経済白書」。若年層を中心に、派遣や請負労働など非正規雇用の比率が急速に拡大し、20歳から24歳では10年間で3倍、20年間で20倍になっている。90年代からの「構造改革」路線のもとで、派遣労働を原則自由化するなど労働法制の規制緩和と「コスト削減」のために企業が正社員の採用を抑制し、非正規に置き換えてきた影響の大きさを改めて裏付けた。

相対的貧困率国際比較 (8/1/2006、A8P)
ワーキングプア、相対的貧困率の国際比較。 生活保護基準以下で暮らす家庭は、日本の世帯数のおよそ10分の1。 経済協力開発機構調べで、日本は全人口の相対貧困率が5番目だった。生産年齢人口(18歳から65歳)の可処分所得(所得の内、税金や社会保証負担を差し引いた残りの所得)で計算すると、相対的貧困率は世界で2番目とい驚くべき結果が出た。
2000年、日本の相対的貧困率は米国に次いで大2位の13.5%。 差は0.2%。 現在はトップになっていても不思議ではない。 貧富の差を測るジニ係数も日本は国際平均を上回り、0.314.多くの富が一部の人に集中してきている。生活保護世帯は150万件。 この至急基準以下の所得の絶対的貧困者数は2002年で10.8%。貯蓄ゼロ世帯数は23.8%。底なしの貧困化と二極化が進んでいる。
2005年の月平均の生活保護生態は104万世帯を超えた。 日本の貧困率(貧困の国際比較のためには、その国の平均所得[中位所得]の50%以下の所得しかない人を貧困者と定義し、その人数が国民の何%で貧困率を示している)が先進国ではアメリカに次いで第2位ということはあまり知られていない。絶対的貧困だけ考えるからだろう。 しかし、老人世帯で生活保護も受けさせてもらえず餓死している人もいるから、絶対的貧困も進んでいると考えなくてはならない。

「人間に値する生活」をするための最低賃金調査 京都総評 (7/18/2006、A5P)
京都総評が発表した「最低生計費」 最低生計費を「単なる生命の維持の水準ではなく、今日の生活様式、習慣、社会活動を満たしうる生活の最低の社会的再生産の水準」と」規定したもの。 生活保護基準は最低生計費より低く、単身世帯の6割、中年夫婦世帯の5割にとどまることがわかった。

核兵器 世界で今 米ロ、各5,000発越す実践配備 (7/14/2006、A5P)
米国:1945年以来7万発以上の核兵器を製造。現有1万発のうち5,735発が実践配備されていると言われている。
ロシア:1949年以来5万5先発を製造。現在1万6円発を保有。そのうち5,830発が実践配備されていると言われている。
イギリス:1953年から1,200発を製造。現在200発の核弾頭を保有していると言われている。
フランス:1964年以来1,2605発以上の核弾頭を製造。現在350発を保有していると言われている。
中国:1964年以来600発以上の核弾頭を製造。現在200発の核弾頭を保有していると言われている。
インド:核弾頭60-100発分の核分裂物質を製造し、実際に組み立てられている核弾頭は50-60発と言われている。
パキスタン:核弾頭55-90発分に十分な核分裂物質を有し、実際に組み立てられている核弾頭は40-50発と言われている。
イスラエル:核兵器の保有を公表していないが、1999年には60-80発の核弾頭を保有していたとされ、現在では115−190発分の核分裂物質を製造していると言われている。

●「イランを核攻撃」米計画あった。 ブッシュ政権は2006年春まで、イランの核兵器開発を阻止しようとして、同国中部のナタンツのウラン濃縮工場を戦術核兵器で攻撃することを検討していた。 <−「ニューヨーカー」誌7月10日号で米国ジャーナリストが暴露
●香港めぐり米英 61年当時に核使用検討 米英両国は1961年当時英国領だった香港を中国が武力で奪回しようとすれば核兵器で報復するとの方針を固めていた。<−情報公開法による請求に基づき2006年6月30日に解禁された英公文書で明らかになった。 61年当時のヒューム外相がマクミラン首相にあてた機密書簡。

これらは、広島、長崎への原爆投下以降も核大国によって核攻撃が実際に検討されていたことを示しており、核兵器の廃絶をしない限り、大きな危険が常に存在することを教えている。


返すに返せぬ奨学金 (7/14/2006、A1P)
「無職」、「低所得」で滞納急増
日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金制度の利用者のうち、返済を3カ月以上滞納している人が2001年度から急増し、2005年度末時点で18万5千人に達し、滞納額(延滞債権額)も11864億円に達することがわかった。1年以上滞納している人も2005年度末で、14万2千人にのぼった。若年者の非正規雇用が拡大するなか、「返すに返せない現状」(日本学生支援機構労働組合)が浮き彫りになった.。 支援機構によると、滞納理由は、「無職・失業」が急増。2001年度調査では滞納理由の六番目で、6.5%だったが、2005年度調査では20.3%で2番目。若年層の低賃金を反映して、「低所得」と答えた人も2001年度の19.1%から、2005年度には22.1%になり、滞納理由のトップ。また、支援機構が2004年度に返済を猶予した金額約644億円のうち失業などにより猶予が認められたのは約85%、2000年度から金額で2倍以上に増加。生活保護を理由にした返済猶予も約2.5倍に増加した。
昨今の大企業の好景気と庶民の収入には正の相関関係がないことが証明されている。昨今の相関関係は負の相関関係になっている。というのは大企業の好景気は人件費抑制(リストラ、成果主義賃金、裁量労働制などの組み合わせ)による利益拡大が大きいからである。経済新聞を読んで大企業の好景気を喜んでいる人がいるが、そんな中には、好景気の恩恵にあづかっているとは思えるない人も多くいる。2003年度の自己破産件数は24万件までなった。1995年は4万件だったので、約6倍化。

最近の昼食は100円台 バイトに追われる日々 (6/15/2006、A5P)
全学連 学費・就職難黒書から
日本の学費は、初年度納付金(入学金、授業料)は国公立で80万円、私学で130万円(平均)。日本の学費は欧米と比べ異常に高い実態。フィンランドやスウエーデンでは無償、ドイツ・フランスでは1万円台。 イギリスは学生の4割が学費免除され、アメリカでも学生の8割が通う州立大学は約40万円。[授業料:52800円、入学金:28万2千円]
1970年初期までの国立大学の学費は月1000円で年間でも12000円だった。その当時は(田中内閣)学費値上げ24倍化がいわれており、学費値上げに反対するため、東京までデモにきたことがある。1970年台中ごろからまず学費3倍化が実施され、月3000円になった。 それでも年間3万6千円だった。僕の場合は地方の大学だったため、月2万円の家庭教師のバイト台と、月2万4千円の奨学金があれば家からの仕送りはいらなかった。下宿の家賃は月6000だったと思う。 現在授業料が52万円台ということは24倍化どころか43倍になったということだ。 この間家計の年収が60倍されたわけではないから、いまや年収が少ない家庭の子どもたちで大学に行きたいものはすべてアルバイトで学費を稼がなくてはならないだろう。せっかくの4年間の貴重な時間が無駄になり、それは将来の日本の行く末をも決定する。同じ資本主義でもヨーロッパ型は学費を無料にして平等化を進めている。田中内閣以降日本は平等化を目指さなくなった。

医療制度改革関連法が、14日の参院本会議で可決、成立した (6/15/2006)
70−74才の患者負担は現行の1割から2割への引き上げ、70才以上の療養病床入院患者の食費、居住費の負担増、公的保険からの医療給付費を抑制することで、企業の社会保険料負担を軽減し、保険外診療の拡大で民間保険の市場を拡大。

迷走する富士通 (6/15/2006 A P1)
「SPIRIT]は富士が1994年に導入した労働裁量制の名称。成果主義と二本立て。 裁量労働制の場合、残業代は一定時間分相当の手当てしか支払われない。経営側がもっともメリットを受ける制度。 「残業時間の多い社員に裁量労働制を適用し、少ない社員には適用しない。年間に有給休暇を1日も取得しない社員が組合員が全社で2000人いるといわれ、精神疾患が急増し、休職の大半が精神疾患といわれている。」

サラ金高金利 是正されるか(6/11/2006 A P3)
業界側の2004年版白書によると、サラ金大手三社(貸付高5000億円以上)の平均貸付金利は年25.1%。 その資金は大手銀行グループのみずほ信託、三菱UFJなどから年1.8%(大手4社の平均。2006年3月期決算資料・単体)で調達している。 「貸せば貸すほど儲かる構造」で、2006年3月期のサラ金大手4社の営業収益は、1兆7,273億円にのぼった。 サラ金利用者は2,200万人(全国信用情報センラー連合会の登録顧客数)。アイフル元社員は「勤めてよかったことは、サラ金のカードは絶対に作ってはいけないとわかったこと」と話す。
サラ金会社はもちろん、大銀行の道徳性がいかに低いかがわかる。そして政治がこれを黙認している。その理由はまたしても、金(与党への銀行からの政治献金)である。

九条の会」2年目で初の交流集会 (6/11/2006 A P1)
2004年6月10日に発足して、今年で発足2周年となる10日、同会初の交流集会が都内で開かれた。 主催者発表で、会のアピールを支持する全国の地域・分野別の会は5,174。 
今年1月9日の段階では全国で4,079だったので、半年で新たに1,000の会が作られたことになる。今回の交流集会についてはほとんどの新聞が短いながら記事を書いている。

NTT東日本関東病院の看護師へのチーム医療を壊す成果主義賃金 (6/7/2006 A P4)
NTT東日本関東病院では看護師に成果主義賃金を適用している。 看護師長が評価。 50%が「成果部分」で一時金にも影響・
人の命にか関わる仕事をしている看護師の評価が成果主義賃金でやられたらたまらない。 評価にかかわらないことをおろそかにする可能性があるし、総賃金のパイが決まっているのであれば、チームワークで仕事をしなければならない同僚が競争相手になり、協働することはできなくなる可能性がある。

北九州市 餓死事件 (6/6/2006 A P1)
福岡県北九州市でライフラインを止められた男子(56才)が生活保護を受けられず孤独死した事件で厚生省は5日、男性が急迫した状態(生命が危うい、放置しがたい状況)にあると北九州市が認めて生活保護を適用してもおかしくないケースであったと認めた。 この男性は5月23日死亡したと見られる。
北九州市は、生活保護の申請受付、開始を過去3年間の平均以下に抑える目標をたてていた。

これが成果主義賃金のおかげでないといいが...... また、最近全国各地の社会保険事務所が、加入者に確認せず国民年金保険料の支払い免除手続きを行っていた問題もあったが、これも「納付率を引き上げる」目標を設定して、成果が上がったとして、成果賃金の分け前を懐に入れた者がいるのではないかと思われる。

豊・不漁と気候変動 (6/6/2006 A P9)
今回も科学ニュース。 川崎健・東北大学名誉教授の真イワシ資源の研究。

 漁業資源の変動メカニズムを研究してきた。

豊漁や不漁を支配する根本原理はなにか。乱獲や地域的な環境の変化ではなく、地球規模の気候が数十年のスケールで周期的に変動するのにともなって豊漁や不漁がおきていることが明らかになった。低気圧が数十年の周期で変動することと世界の真イワシの漁獲量が周期的に変動することと関係があると考えられるようになった。

「川崎ダイアグラム」:地球規模の気候の変動と海洋生態系の変動との基本構造を提起した原点。 

数十年周期の気候や海洋の変動にともない、プランクトン、マイワシなどの小型浮魚、カレイなどの底魚類、マグロなど大型回遊魚まで広範な魚類の基本構造(レジーム)が転換(シフト)することがわかってきた。

温暖化が進行すると、北大西洋北部の表層水が沈降せずに、対流活動がストップする心配がある。  地球の歴史をたどると何度かストップしている。ストップすれば、北大西洋へ向かう表層の温かい海水の動きが止まり、ヨーロッパが寒冷化すると警告されている。

「The day after tomorrow」というアメリカ映画があったが、北半球が寒冷化する理由は、温暖化が続き北極圏の氷が溶けて海水の塩分濃度が薄まり、それが原因で海流の流れに変化がおきて、寒冷化するというものであった。 

NTT成果主義賃金 (6/4/2006 A(N) P1、P8)
従業員20万人弱の日本最大級の企業が2001年に成果主義賃金を採用してから5年がたった。成果主義賃金の影響はいかに。

半数は必ず、C(賃上げ無し)かD(賃下げ)。

会社が通信組合に提出した「行政評価分布」によると、賃金が上がらないといわれる「C」評価と、賃下げになる「D」評価の従業員は全体の50%を占める。

人件費総額という”パイ”がいっしょで、5段階評価の分布(一番右の表を参照)が決まっていれば、採点は相対評価になる。 全員ががんばって高い評価をあげても、必ず”C”や”D”の人が出る。 

NTTが株主向けに公表している「決算」の資料によると、NTTグループの人件費総額は年々減少。 総従業員総数で割っても、一人あたりの人件費も減っている。(隣の図を参照)

「成果主義賃金は、労働者をバラバラに競い合わせるので、先輩が後輩に技術を教えないなど、組織的に技術の継承を困難にしている。

そういえば、成果主義賃金を1993年にいち早く取り入れた富士通は導入から10年後、行き過ぎた成果主義の弊害に気が付き、修正しはじめたとのこと。 
富士通の「成果主義」については、城 繁幸著 ”内側から見た富士通の「成果主義」の崩壊” ISBN4-334-93339-4 2004年7月30日、初版、光文社ペパーバックスに詳しい。  
成果主義:Performance-based pay system、「成果主義は人件費抑制の方便」とは、著者の言。

中南米の本流 新自由主義に対抗 (6/3/2006 A P6)
「暖房費に困っているロンドンの人々に安価で燃料を提供したい。」 ベネズエラのチャベス大統領が5月15日、英国訪問時にロンドンのリビングストン市長に提案した。 ベネズエラは昨年12月から、米国のニューヨークやヒューストンなどで貧困層を対象に暖房用燃料を提供している。通常価格より最大で6割安。ベネズエラの国営石油公社(PDVSAの子会社で全米に15000のガソリンスタンドを持つシトゥゴ社が扱っている。
ベネズエラが進める社会政策は国境を超えて広がる。白内障など視覚障害者に医療の進んだキューバやベネズエラで手術を施し、光を取り戻そうとする「奇跡計画」がその典型。患者の交通費や手術・入院費はベネズエラとキューバが負担する。問題を抱える他国の個人を直接対象とする大規模な人道支援は他に例を見ない。両国は新自由主義に対抗する地域統合構想「米州ボリバル代案構想(ALBA)に基づき、貧困層を対象とする医療サービスや識字運動に大陸規模で取り組んでいる。
非常にさわやかなニュース。 先進国と比較したら、キューバやベネズエラは自分自身が貧困国なのに、このような道徳性の高い支援活動をしている。 日本も貧困な国の人々に、こんな支援ができたらどんなにすばらしいことだろう。愛国心も湧いてくる。

2005年の自殺者は32,552人、八年連続で3万人を超えた。(6/2/2006 A P15)

警察庁によると昨年一年間の全国の自殺者は前年比0.7%(227人)増の32,552人となり、八年連続で3万人を超えた。

40歳以上が7割。男女別では、男性が1.2%増の2,3540人、女性は0.5%減の9,012人だった。

年齢別では60歳台以上が10894人でもっとも多く、50歳台が7586人、40歳台が5286人。30歳台は6.3%増の4606人で過去最高。20歳台は5.0%増の3409人。19歳以下は3.2%増の608人。 

原因・動機は「健康問題」が15014人ともっとも多く、「経済・生活問題」が7756人、「家庭問題」が3019人、「勤務問題」が1807人。 

人口10万人に対して25−27人の割合は、先進国といわれる欧米諸国の2倍で異常。
   

出生率1.25 最低 2005年人口動態統計 少子化止まらず。(6/2/2006 A P1)
厚生労働省がまとめた2005年の人口動態統計で、日本女性一人が一生に産む子どもの平均数に当たる「合計特殊出生率」が過去最低だった前年(1.29)を0.04ポイント下回る、1.25だったことがわかった。長期的に人口を維持できる水準は2.07.

4月の勤労統計 現金給与前年同月比0.3%増、実質賃金0.1%減 (6/1/2006 A P8)
厚生労働省31日発表。 現金給与総額は前年同月比0.3%増の28万2571円と3ケ月連続で増加。所定内が25万5607円で0.1%減少したが、時間外手当など所定外給与が2万312円と1.6%と増えた。一時金などが6652円と6.8%増えた。 実質賃金は0.1%減った。総労働時間(1人平均)は0.1%減の155.8時間で3ケ月ぶりのマイナス。所定内労働が0.3%減った一方、所定外労働時間が2.8%増えた。

上場企業の配当金総額5億円 (6/1/2006 A P8)

東証一部上場企業(3月期決算)が2006年3月期に実施する配当総額が約5兆円に達することが31日、時事通信社の集計で判明。

株主に利益還元の姿勢をアピールし、配当に関心の高い外国人や個人投資家を呼び込むねらい。1351社の集計で配当総額は4億9600万円と前期から25.8%増加した。 増配は657社に登る。

確かに景気のいい会社がある。 リストラや非正規雇用で稼いだお金はどこに行くかというと、外国人投資家や裕福な個人投資家に回っていくようになっているらしい。

住民税6月から増税 (5/31/2006 A P8)
個人住民税が6月徴収分から増税される。 小泉内閣の税制「改正」によるもの。年金暮らしの高齢者に多重の負担をもたらす。 

総務省発表 失業率4月 4.1% 横ばい (5/31/2006 A P8)
総務省が30日発表した4月の完全失業率は4.1%で3ヶ月続けて同率。
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総務省労働力調査 前年比72万人増 (5/31/2006 A P1)

パート、アルバイト、派遣、契約社員など非正規雇用の労働者の割合が今年1月〜3月期、労働者全体の33.2%(前期比0.2ポイント増)に達した。

1984年この統計を取り始めて以来はじめて。 

女性:52.9%、男性:18.5%が非正規雇用。 

厚生労働省の2005年の賃金構造統計調査で、正社員の賃金を100として、非正規雇用者の賃金は男性で64、女性で70。

銀河団の重力レンズ効果 1つの天体5つの像に (5/28/2006 A P14)
たまには政治から離れて科学ニュースを。科学的な話しも”世の中”の一部だから。                         
重力により空間がゆがみ、その空間内では真っ直ぐに進んでいるはずの光がその空間の外からは曲がって進んでいるように見えるはずだといったのは一般相対性理論を提唱したアインシュタイン。 ハッブル宇宙望遠鏡で撮った1つの天体が5つに見える画像をNASAが提供してくれた。このクエーサーは地球から70億光年の距離にあるという。 高校生の息子にこのことに関連して光速のことを話したら、より詳しい説明を求められた。 昔読んだアインシュタインの「相対性理論」を持ち出して、光のような高速で動く物質の合成速度の話しをして、光速以上の速度を持ったもはこの世には存在しないこと、高速で動く物質の合成速度は単なる速度の和ではないことを説明した。 「それは、”今のところ”は光速以上ものは存在しないということでしょう」と、軽くあしらわれた。 何事にも疑り深い性格の息子ではある。

http://www.astromart.com/news/news.asp?news_id=516 (今回のニュース源:英語)
http://science.nasa.gov/newhome/headlines/ast14may99_1.htm (1つの天体が地球から複数に見える原理を説明しているサイト:英語)

ハッブル宇宙望遠鏡:
http://spaceinfo.jaxa.jp/note/tentai/j/ten115_hubble.html (日本語)
http://www.opticsplanet.net/hubble-space-telescope.html (英語)


主要4銀行 税金2240億円 おおまけ (5/26/2006 A P8)
- 巨額利益、過去の損失で相殺
大手銀行6グループの2006年3月期連結決算の最終利益は、3兆1212億円だったが、3メガバンク参加の主要4銀行は2兆3000億の最収益を稼ぎ出したが、税金の算定では、バブル崩壊後の不良債権処理で発生した過去の損失を繰り越して利益と相殺するため、法人税の支払いがない。計算上は2342億円に上る法人税(実行税率40%)が失われる形。 「繰越控除制度」の適用が最長7年間認められるため。主要4銀行の繰越損失は2006年3月末時点で合計約9億3000億円に達している。

「嘘でしょう。それはないよ。」といいたくなるような、非常に不快なニュースだ。 法律が誰に有利に作られているかの見本のようなものだ。

三菱UFJ 最収益1兆円越す (5/24/2006 A P1)
- 大手銀行6グループが23日、2006年3月期連結決算を発表。 最終利益は軒並み過去最高を更新。 
税金を支払ったあとの純利益は、全グループ合計で前期比4.2倍の3兆1212億円、バブル期を上回り最高を更新。
要因1:過去に積んだ不良債権処理のための費用の「戻し益」
要因2:リストラの効果、三井住友の場合、01年の587店舗が05年には412店舗へ、従業員数は27000人から21000人へ。
要因3:収益至上主義、預金者にはゼロ金利に近い利息と高い手数料。一方「ゼロ金利」でほとんどコストなしに資金を調達し、投信信託などの投機的な金融商品の販売を広げたり、サラ金との提携を強めて稼ぐ体制を築いてきた。
今までの低金利の分を補填してもらいたいものだ。

成果主義賃金 Q&A (5/21/2006 A P5)
- 成果主義賃金は、はかりようのない個人の「成果」を無理やりはかって差をつけて、賃金を下げるシステムにほかならない。
- 年功部分をなくし、評価を積み上げずに毎年の「洗いかえ方式」をとっているため、会社から高い査定をもらって昇格・昇進しなければ賃金はあがらない仕組みになっている。その年に高い査定を得て少し賃金が上がっても、翌年はゼロに戻して再評価するため、賃金は上がりにくく、下がりやすい仕組みになっている。
- 若年層の初任給水準が低い年功型そのままに、賃金上昇分を始めの10年弱だけ増やしても、生涯賃金でみれば大幅な低下になる。(下左のグラフ参照))
- 裁量労働制と一体で成果主義が導入されているので、残業手当もでないのが実情。残業という概念がなくなり、企業にとっては割増となる残業手当を出さず、何時間でも働かせることができるシステム。みなし時間を8時間としている企業は7割、実際の労働時間は8時間以下は18.1%で2割もない。 課長では12時間を越える人が49.9%と5割を占める。 これは月残業時間に換算すると、過労死の危険が高まる80時間を越える残業に相当する。 301人以上の事業所では12時間超の人が65.1%と7割弱、18時間超は17.8%と2割近くに達する。(下中および右下のグラフ参照)

外資系は以前からほとんどがこのシステムになっており、日本の法律は届いていなかった。残業時間の多さを見ると過労死する人が増えているのも納得できる。 短い「みなし時間」は「労使協定」を結んでいる労働組合が御用化してしまっていることからきている。 

*********** パソコンが壊れてしまったため、修理に時間がかかって一月お休みしてしまった。 **************