2000年2月の欲望


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2/1

、いったわけで『あ・じゃ・ぱん!』(矢作俊彦/新潮社/上・2400円、下・2800円)を読み終える(『あ・じゃ・ぱん!』風言い回し)。第2次世界大戦の後、東西に分断された日本が舞台の、パラレルワールドストーリーである。ベルリンの壁の崩壊時期のような激動する日々が、主人公であるCNNの特派員の目を通して描かれている。スタイルはハードボイルド小説を借りているが、ごりごりのものではなく、そこはかとないユーモアが行間に漂っている作品である。以前『スズキさんの休息と遍歴―またはかくも誇らかなるドーシーボーの騎行』を読んで、その独特のリズムとユーモアに惹かれていたのと、好きなジャンルである“パラレルワールド”ものということで読んでみたのである。
実はぼくにとって、“パラレルワールド”というのは、その小説を読みたくなるキーワードのひとつなのだ。で、これを読みながら、なぜ自分がパラレルワールドものが好きなのか、ふと考えてしまった。
自分自身、虚構世界で非日常を味わいたいという欲求はあるようなのだが、まったくの虚構(例えばマゼラン星雲の妖精と悪魔が敵対する星で、主人公である妖精が悪魔を倒すべく奮闘するお話とか)では物語世界に入り込むのに時間がかかる。しかしパラレルワールドものは、まったくの虚構であるにもかかわらず、舞台装置はひじょうに馴染み深いもので、現実との親和性が高く、物語世界に入りやすい。だが親しみやすいだけに、現実とはあきらかに異なるというねじれ感を、より強く味わうことができる。もしかしたら、こういったことに魅力を感じているのかもしれない。
閑話休題。
この話の中で日本は、東日本が旧ソ連に、西日本がアメリカに占領され、東経139度線で、北は新潟の魚沼盆地の西端から、南は静岡県沼津市の南・狩野川河口まで、高さ50フィート、厚さ10フィート、全長355,474メートルの壁で分断されている。東日本は共産主義、西日本は民主主義国家となり、要するに旧東西ドイツみたいな状況になっているのである。しかもこの世界では、富士山は、エノラゲイにより誤って投下された原爆のため見る影もなく吹っ飛ばされ、それに伴う噴火で一帯の町を溶岩の中に埋没させてしまっている。
ストーリーは主人公がCNNに雇われ、特派員として西日本(公用語は大阪弁!!)に入国することから始まる。日本びいきの彼の父親の影響で、主人公は大学で日本語を勉強することになり、結果、日本関連のジャーナリストになったのである。
主人公は東日本の反政府組織を取材するうち、大きな陰謀の渦中にはまっていってしまうことになる。パラレルワールドらしく、田中角栄が、平岡公威が、アーネスト・ヘミングウェイが“本来の彼ら”とは違う役割で物語に登場して、重要な役割を果たしている。

上下巻あわせて1000ページ強という量で、読みごたえは抜群。細かいギャグが随所にちりばめられ、全編をとおしてくすくすわらいが連続する。ただわかりにくい微妙なギャグが多く、理解するためにはさまざまな知識が必要で、全部のギャグを理解することができなかったのがちょっと残念だった。
だが、とにかくおもしろい話だった。まさに好みのタイプの小説だった。


2/2

CD
『桜の時』(aiko/PCCA-01413)
『Songs For Gentleman』(小島麻由美/PCCA-01412)

『桜の時』は、3/1に発売される2ndアルバムの先行シングル。c/wはインディーズ時代の楽曲のリアレンジバージョンです。
『Songs For Gentleman』は小島麻由美のライブアルバム。主要楽曲はほぼ網羅されています。

ビデオ
『ブレイブ・リトル・トースター』

小説『いさましいちびのトースター』のアニメーション。原作が好きなので、とりあえず押さえたわけです。


2/3

銀座で飲む。平日なので自制しなくちゃと思いながらも、何気にジョッキは進んでしまう。結局はふだんのペースになってしまったのだが、終了が早かったので事なきを得たのでした。


2/4

アサヒスーパードライ麦酒倶楽部(ビアレストラン/新宿区新宿3-17-8-5F/03-5379-4363)で飲む。味はそこそこだが、なんといっても、金曜日(つまりこの日)の予約が2日前でも大丈夫だったのがすてきである。いやあ、ほんと助かりましたよ。ありがとう、麦酒倶楽部。


2/5

味名人源(ラーメン/新宿区新宿2-5-12/03-3226-1844)でランチ。味源という店名だった頃は何度か来ていたものの、最近はごぶさたしていて、店名が変わっていたことすら知らなかった。ここではもっぱら味噌ラーメンだったが、今回は木下さんのおすすめに従い、塩ラーメンを食べる。
いやあ、激うま。ザボンに続き、木下さんのおすすめのラーメン、ど真ん中ストライクでした。
その後、パセラ(カラオケボックス/新宿区歌舞伎町1-3-16/03-5291-8351)で歌い、天狗で飲み、串タロー(串焼き/新宿区西新宿7-10-19-B1F/03-3365-4645)で締める。軽く飲もうと思って入った串タローだったが、つくねがすごくうまくって超ラッキー。また来よ。


2/6


『うたの本2000冬』(TVガイド増刊/東京ニュース通信社/457円)
『フラッド』(アンドリュー・ヴァクス/ハヤカワ文庫/920円)

『うたの本』は季節のお約束。
『フラッド』は「名作を読もうキャンペーン」(自分キャンペーン)の一環として購入。


2/7

欲望充たされず。


2/8

欲望充たされず。


2/9

藩銀座西口店(居酒屋/中央区銀座2-2銀座インズB1F/03-3562-0790)で飲む。 それほど飲んだわけではないのに(気のせい?)、家に着いたらバタンキュー(死語)。もう1軒行こうかと思ったのだが、行かなくてよかった。


2/10

仕事が終わるのが遅かったので、おとなしく帰ろうかと思いつつも飲みに行く。休前日ですからね。
ほんとに軽〜く飲んでさらっと帰る。生ビール小1杯、酎ハイ2杯、焼鳥少々と生野菜で2000円弱っていうのは、やっぱ安いよなぁ。ありがとう串鐵。


2/11


『ブギ−ポップは笑わない』(上遠野浩平/電撃文庫/550円)
『隅の老人』(バロネス・オルツィ/ハヤカワ文庫/485円)
『刑事の誇り』(マイクル・Z・リュ−イン/ハヤカワ文庫/720円)
『ロウフィ−ルド館の惨劇』(ル−ス・レンデル/角川文庫/540円)

『ブギ−ポップは笑わない』は、今どきのヤングがどんなものを読んでいるのかをチェックすべく購入(おっさん的発想)。
他の3作は「名作を読もうキャンペーン」(自分キャンペーン)の一環として購入。


2/12

会社の先輩の家でカニを食べる。焼きカニ、カニ鍋、カニグラタンなどなどカニを満喫する。焼きカニのミソがうまくってねえ〜(極楽)。持つべきものは料理好きな先輩ですね。


2/13

ゲーム
『エリーのアトリエ』(GB/イマジニア)

さくらやにふらっと入ったら『エリーのアトリエ(フィギュア付き)』が売ってるんですよ。おまけ付きにこてんぱんに弱いぼくは、思わず手に取ってレジに向かってしまったわけですよ。しかしその直前に靴を買ってしまったぼくの財布には、1000円札が3枚しかないんですよ。あ〜あと思いつつ未練がましく小銭入れをチェックしたら、なんと500円玉が1枚と100円玉が7枚あるんですよ。で、さくらやカードをチェックしてみたら1300ポイント(1300円分)あったんですよ。
というわけで税込み5229円の商品は、無事ぼくの所有となったのでした。


2/14

欲望充たされず。


2/15

軽く飲んでがーっと眠る。


2/16

鈴(居酒屋/新宿区新宿3-17-13-3F/03-3341-4807)で飲む。値段もリーズナブルだし雰囲気もいいし味もいいし、ひじょうに使い勝手がいい店である。難点はビルがぼろくて、初めての時はちょっと入りにくいことかな。
おかげさまで納得の飲みっぷりをさせていただきました(笑)。


2/17

CD
『Here』(GRAPEVINE/PCCA-01423)
『Cello』(GOING UNDER GROUND/DNAC-1)

『Here』は、3/15発売のGRAPEVINEの新アルバムである。いやあ、まじでいいっすよ、このアルバム。ミドルテンポの楽曲が多いためそれほど派手さはないのだが、うねるようなギターと泣きのメロディーがけっこう心に来る。ぜひチェックしてほしいですね。
『Cello』はけっこう昔のアルバムだが、問い合わせがあったことをきっかけに初めて聴いてみた。したらけっこういいんでやんの。
というわけで入手したわけです。


2/18

ビアテラスSOL(ビアホール/新宿区新宿3-36-10/03-5269-7225)で飲む。その後、SET OFFで飲み、養老の滝へ流れ終了。


2/19


『最高裁調査官』(ブラッド・メルツァー/ハヤカワ文庫/940円)
『魔法飛行』(加納朋子/創元推理文庫/560円)
『名探偵コナン・26』(青山剛昌/小学館/390円)
『ヒカルの碁・5』(ほったゆみ・小畑健/集英社/390円)

『最高裁調査官』はミステリである。主人公の職業が“最高裁調査官”という、今まで読んだことのないものだったため購入。
『魔法飛行』は『ななつのこ』の続編。前作がひじょうにおもしろかったため、引き続き購入。
『コナン』と『ヒカルの碁』はお約束である。


2/20

秩父宮ラグビー場へ、ラグビー日本選手権準決勝を観に行く。トヨタ自動車v.s.ワールドの試合である。ミゾレ混じりの雨が降るあいにくの天候で、スタンドはがらがら。試合内容もそれに合わせたようなお寒い展開が続く。しょうもないミスが連発され、社会人の試合とは思えないくらいである。内容の浅さにフラストレーションがたまったまま試合は進んだのだが、シンビンによりトヨタの選手が一時退場してから流れが変わってきた。前半リードを奪われていたワールドが、がぜん反撃に出たのである。少しずつ点差を縮めた後、試合終了間際に難しいPGを決め、とうとう逆転。
19対18。
このまま決定かと思ったのだが、直後、トヨタが猛攻をしかける。この試合初めてのテンポよい球出しで、ワールドのゴールへと突き進んでいく。耐えきれずワールドの選手が反則を犯した時は、試合終了寸前。PGを蹴るはスーパーブーツ廣瀬佳司。PGを最後のワンプレイにすべく、準備にじっくりと時間をかけることでロスタイムを消していく。
蹴る。
楕円球はきれいな軌跡を描く。線審の腕が上がる。
歓声の中、ノーサイドの笛が鳴り試合終了。
21対19でトヨタ自動車が勝利を納めた。
途中経過にはぜんぜん納得できないものの、最後の5分で大満足という試合だった。

※教訓・・・つまんない試合でも、最後まで観ていればいいことがあることもある。


2/21

映画
『トイスト−リ−2』

ブエナビスタの試写室へ『トイスト−リ−2』の試写を観に行く。前作は文句なしのおもしろさだったので、今回も期待は大きい。
始まってすぐ、超ハイクオリティな映像に度肝を抜かれると、後は一気にエンディングまで。話の作り自体はオーソドックスなのだが、観客の意識をそらさない進め方はさすがである。画面の隅々まで神経のゆきとどいた映像にも感心させられた。
まさに大満足の作品だった。

CD
『桜の木の下』(aiko/PCCA-01415)

aikoのNewアルバムを入手する。『花火』『カブトムシ』『桃色』『桜の時』といったヒットシングルが収録されている。さすがにいい曲が粒揃いで、ひじょうにおいしい1枚である。シングル以外の楽曲では、『愛の病』という曲がよかった。


2/22

ロスアンゼルス帰りの先輩が「L.A.では“スンドゥブ”が流行ってんだぜ、ベイベ−」と言うので、流行ものにわりと弱い男は、早速食べに行くことにする。スンドゥブとは、一人用の専用鍋で出される、豆腐を使ったチゲのこと(でも豆腐チゲではないのだ、と先輩は力説する)。イメージ的には、ビビンパチェ−ンの豆腐チゲに近い。ただしカップ焼きそばと屋台の焼きそばくらいの差はあるが。
インターネットで検索した中から、新陳代謝食堂(韓国料理/新宿区神楽坂6-38神楽坂ビル4F/03-5227-7144)をチョイスする。店の雰囲気はこぎれいな学食っぽい感じで、ちょっとおしゃれとは言い難い。だが肝心のスンドゥブはけっこうおいしいし、ビ−ルもピルスナ−グラスで290円とリーズナブルである。まずまず満足できる店だった。


2/23

欲望充たされず。


2/24

欲望充たされず。


2/25

飲々菜々(中華料理/港区赤坂3-18-10/03-3585-8633)で飲む。中華系居酒屋で、餃子が看板メニューっぽい店である。関西風の小さくパリパリした餃子をはじめ、さまざまな餃子が取りそろえられておりけっこう楽しめる。いい感じで酔っぱらい、2次会でもさんざん飲み終了。


2/26

最近、とみにラーメンスポットになっている西新宿小滝橋通エリアに、ラーメンを食べに行く。麺屋武蔵(ラーメン/新宿区西新宿7-2-6/03-3796-4634)、竈(ラーメン/新宿区百人町1-24-8/03-3227-3247)以外の店にも行ってみようと思ったのである。第1希望だったはな火屋がけっこうな行列だったので、泰幸(ラーメン/新宿区西新宿7-4-6/03-3227-3437)に入る。ごはんが無料、しかもおかわり自由というのがうれしい。魚系ダシ背脂浮きしょうゆラーメンの、泰幸ラーメンのこってりを頼む。ちょっと魚味が強い気がしたが、まあそれなりに満足できる味だった。
それにしても驚いたのが、ラーメン二郎の行列ぶり。二郎って本店は三田だし、都内に10店以上の系列店があるのだから、わざわざこのエリアまで来て並ばなくてもいいんじゃないかなあ(しかも近所には歌舞伎町店だってある)。どうせ並ぶなら、新宿っぽい店に行けばいいのにと思ったのでした。

夜は串タロー(串焼き/新宿区西新宿7-10-19-B1F/03-3365-4645)で飲む。先日、つくねのうまさにノックアウトされた店である。ここのつくねは蒲の穂のような形状で、中にしそにくるまれたチーズが入っている。ひと口食べるとチーズがとろっと出てきて、もうたまらんという味なのである。もちろん今回も満喫させていただきましたよ。


2/27

The Power Playを更新する。今回の一押しは櫛引彩香の『雨のち晴れ』。リリースはちょっと前なんだけど、涼やかな感じが好感触な曲である。ちなみにプロデュースはヒックスヴィル。二押しはaikoの『愛の病』。3/1発売のアルバム『桜の木の下』(aiko/PCCA-01415)の1曲めの楽曲である。その次が椎名林檎の『ギブス』かな。続いてCOILの『追放と楽園』、堂島孝平の『セピア』といったところ。


2/28

CD
『bobsleigh』(Clingon/TOCT-24308)
『めまい』(advantage Lucy/TOCT-22061)
『ギターマン』(サムシングエルス/TOCT-24320)

サンプルをいただく。ありがとうございました。
中でもClingonがうれしかったですね。このバンドは、BEN FOLDS FIVEをよりロックよりにした感じの、ピアノを前面に出したバンドです。ちなみに邦楽アーティスト。


2/29

鐵五郎(うなぎ/港区虎ノ門1-8-11/03-3592-0725)で軽く飲む。昼の鰻もいいけど、夜の串焼きもいいっすね。これで閉店がもう少し遅ければなあ。



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