2003年12月29日(月)
〜2004年1月4日(日)

4日目(1/1・木):AREZZO、FIRENZE(ミケランジェロ広場)

イタリア旅行記
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アレッツォは、アカデミー賞主演男優賞、外国語映画部門ほかでオスカーを受賞したイタリア映画「ライフ・イズ・ビューティフル(原題:La Vita e` bella)」の舞台として一躍有名となった街です。

この映画は、幸せだった一家が、ユダヤ人であるがために収容所に送られる悲劇を、ユーモアたっぷりにコメディタッチで描いた異色の作品で、実は私のこのサイト・ネームも、この映画のタイトルがヒントになっています。

第二次世界大戦中、書店を営むためにアレッツォへとやってきたグイドは、一人の女性と出会います。グイドはまるで魔法のようなユーモアとセンスを駆使して、その女性ドーラを口説き落とすのですが、この数々の“魔法”が、アレッツォの広場、劇場、路地などを舞台に、描かれていきます。
そして後半は、ユダヤ収容所へと場所を移し、グイドの運命は悲しい結末を迎えることになるのです。

Quinto

ロケ・ポイントの看板

サン・フランチェスコ教会

静かな街はその全てが映画の1シーンのよう

グランデ広場

笑って、笑って、悲しい境遇の場面でも笑って、でもクライマックスにはその笑った分の何倍もの悲しい涙がこぼれ、最後にはまたグイドの“魔法”に泣き笑いしてしまう。そんな、これまでに無いタイプの絶妙なストーリー展開に私はいたく感動し、今でも忘れられない作品の一つです。

そんな訳で、今回の行き先のひとつにアレッツォを選んだのでした。

元旦の静まり返った朝、SMノッヴェラ駅からICへと乗り込みました。
このICはフィレンツェが始発ではなく、ボローニャ始発のナポリ行き中距離電車で、私たちが乗り込んだコンパートメントには、若いお母さん(推測)と、小学生くらいの娘さんと息子さんが疲れた様子で眠っていました。
途中娘さんが起きてお母さんと何か会話をしていたのですが、どうもイタリア語ではなかったような・・・イマイチ不明。はっきりイタリア人だとわかっていて、なお且つ疲れた様子でなければお話したかったのになぁ。残念!

朝の9時ちょっと過ぎにアレッツォに到着。
想像はしていたものの、元旦の朝早くに歩いている人なんて殆ど居ない。そこには静寂あるのみ。
駅前の道をしばらく進んでいくと、中世の街に突然タイムスリップしたかのような感覚に陥る街並みが見えてきます。

サンタ・マリア・デッラ・ピエーヴェ教会

ドゥオモ

サン・ドメニコ教会

右隣真ん中の写真は、グイドの言った通りに鍵が落ちてきて、ドーラがびっくりするシーンが撮影された場所を写したもの。
ちょうどその窓の近くで、顔を出しながら何かを食べている人が居たのですが、そこの住人であろうその人は、こうして私のようにたくさんの人が、日々上を見上げることに対して、どう思っているのかしら。
でもきっと、アレッツォの街の人たちにとって、「ライフ・イズ・ビューティフル」の舞台になったことは誇りなんだろうなと言うことが、この親切な看板を見ているとわかります。

丘の上公園から見えるドゥオモの鐘楼

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イタリアの小都市ならではの素朴な美しさに触れる喜びを感じながら、まずはサン・フランチェスコ教会へと向かうことにしました。
ここは、ピエロ・デッラ・フランチェスカ作の「聖十字架伝説」で有名な教会。残念ながら元旦は開いていないことは、事前に問い合わせてわかっていたので、教会内部だけ見学することにしました。

<アドバイス> 「聖十字架伝説」の見学は予約が必要です。現地窓口でも可能ですが、インターネットでも予約が可能です。ただ、私がトライした時は、うまく日時指定ができず、変な時間に予約が入ってしまいました。あわててキャンセル・メールを送り、ついでに元旦の状況について問い合わせたところ、すぐに返答がありました。
親切!

http://www.ticketeria.it/PdFrancesca-ita.asp


続いてサンタ・マリア・デッラ・ピエーヴェ教会へ。
素朴な街の素朴な教会は、目を引くものが何も無くても、確固たる存在感があります。

そしていよいよ、度々映画に登場するキー・スポットのグランデ広場に到着しました。
広場は、オープン準備中の瀟洒なカフェがあったり、きっと普段はにぎやかな広場なんだろうと想像させる佇まいで、ここだ、ここだ、確かにここだ〜と、かなり感動。
しかし、前日に大晦日イベントでもあったのか、鉄骨の舞台が設営されていて、ずいぶんと景観を壊していたのです。ったくもう!

街のそこかしこに、ここが映画のロケ・ポイントで、どの場面を撮影したかという説明を書いた看板が立っています。
そして、ここグランデ広場周辺にも、いくつかのロケ・ポイントがありました。
元旦の朝早くから観光している物好きなんて、私たち母子だけかと思いきや、若いカップルが歩いていて、看板を見つけて覗き込んだりしていました。
あの映画のファンは、世界中にたくさんいるんだろうなぁ、きっと。

グイドの“魔法”でこの上の窓から
鍵が落ちてくる。落ちて来ないかな〜。

映画の中でも印象的な
グランデ広場横の回廊

しばらく坂を上っていったところに、アレッツォの街のドゥオモがありました。
このドゥオモは想像していたよりもずっと大きくて立派で、これまで見た2つの教会の素朴さとは全く違う雰囲気を持っています。
公園を背景に、朝日に照り輝くその姿に、しばし圧倒されてしまいました。

教会の内部も荘厳な造りになっており見応え充分で、「地球の歩き方」に★1つで紹介されているのが不思議なくらいでした。
中ではちょうど新年ミサをしていたので、静かに拝観させていただきながら、私も密かに今年一年の健康をお祈りさせてもらいました。

ドゥオモのすぐ裏手には、かなり広大な丘の上公園(Passeggio del Prato)があり、犬の散歩をしている人など、住人たちの憩いの場になっているようです。
寒かったので長居はでなかったけれども、お天気が本当に良かったので、もう少し暖かかったら、しばらくそこで綺麗な景色を見ながらぼんやり過ごしてみたかったなぁ。

アレッツォには、美術館や博物館といった観光スポットもありますが、元旦で全部閉まっているため、見学できるのは教会ばかりです。教会好きの私にとっては、それでも満足。

そんな訳で、次に行ったのはドゥオモから少し歩いた所にあるサン・ドメニコ教会。
ここも、とても小さい教会で、中も質素ですが、チマブーエの傑作と言われている「キリストの磔刑図」が主祭壇に掲げられているので必見です。

写真でもわかるように、本当に青空の綺麗なさわやかな新年の朝だったので、こうしてあちこち教会巡りをすることで、心が洗われるような気分になりました。元旦にアレッツォを選んだのは正解だったのかも。

この時点で、時間はまだ正午前と早かったのですが、一通りの街歩きは終わったので、お昼を食べてからフィレンツェに戻ることにしました。
残念ながらグランデ広場にあるカフェはまだ準備中だったため、駅までお店を探しながら歩いて行くこととしました。

(ここからしばらく、あまりウツクシクナイ話となりますので悪しからず)
その前に母がトイレに行きたいと言うので探したところ、グランデ広場に公衆トイレを発見。話にはよく聞いていた、コインを入れると扉が開き、出てくるとまた扉が閉まって、中を自動洗浄するというものです。
本当に稼動しているのか怪しい雰囲気だったので、ちょっと嫌な予感はしたものの、とりあえず試しに私が入ってみることに。
しかし、コインを入れてもお釣りが出てこない・・・でも扉はオープン。
とりあえず中に入ってみると、これまで見た中でもワースト1とも言えるくらい、汚い!!!
でも我慢して扉を閉めると、なんだか変な音がしながら個室全体が揺れる、揺れる。
一人で、「こわいよ〜〜〜」と叫びながら、とりあえず用を足して、急いで手を洗おうとしたけれど、水も出てこない・・・。あきらめて外へ出たら、母も「このまま出てこなかったらどうしようと思った。」とホッとした顔をして立っていました。
広場脇にあった噴水で手を洗い、母に「どうする?」と聞いたら、「私はやめとく〜」と言ったので、私だけがその世にも恐ろしいトイレ体験をしたのでした。
あのままあの汚い場所から出てこれなかったら、頭おかしくなっちゃっただろうな〜。
一人旅の人は、ぜったい利用しない方が良いです!

開いているレストランは、結局駅の近くしかなかったので、そこに入ることにしました。
パンはとんでもなくまずかったものの、ミネストローネ・スープはまぁまぁ、パスタも普通には美味しかったかな、という程度のレストランでしたが、カメリエーレのお兄さんと少しだけイタリア語で会話が出来たのが嬉しかったのでした。
いつもちゃんとしたお店にあまり入らない私には、なかなかイタリア語で会話する機会が無いのです。いかんな〜。修行にならないな〜。

帰りのICは15分送れで到着したものの、とても空いていて、6席のコンパートメントを2人占めして帰ることができました。

フィレンツェ到着後、そのままミケランジェロ広場へと直行することにしました。
SMノッヴェラ駅に向かって右側の通りをはさんだ所にあるマクドナルド前から、広場行きの12番のバスが出ています。
バスは思ったより時間がかかって、広場へ到着。バスを降りたとたん、ここは竹下通りか〜くらいの人、人、車、車・・・。
やっぱり考えることは皆同じなのでしょう。元旦の街中は観光できる所が殆ど無いので、日も傾き始めた美しいフィレンツェの街並みを見に、みんな広場へと集まってきたという感じでした。
それでも、太陽の光がドゥオモをはじめとした赤茶けた街並みに照り輝く様子は、本当に美しかった!!
以前昼間に来た時より、数段美しかったような気がします。

帰りはタクシーをつかまえようとしたものの、さっぱり来る様子がなかったので、13番のバスで逆戻り。
そして夕飯はまたしてもファースト・フードのテイクアウト。
ホテルの近くで、なぜかせっかくイタリアに来ているのに、トルコのシシカバブー店で購入。でも、これがなかなか美味しかった♪

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