MORI Hiroshi's Floating Factory Model Railroad Workshop
A&B Report 2012年7月号


Bontenzaka garden is in the best season with fresh green and bright sunshine.

/☆Go Back☆/
 5月はまだ緑も少なく荒涼とした風景ですが、6月になると一気に緑が生い茂ります。これから4カ月間ほどが、この地のベストシーズンです。ただし、6月と7月は、まだ充分に暖かくありません。やはり8月くらいからが爽やかな夏、ということになるでしょう。
 今回のレポートは、4月中旬から7月中旬で、外で活動ができるようになった嬉しさから、毎日庭仕事や土木・建築工事に明け暮れたため、室内工作はあまり進んでいません。列車はほぼ毎日運行していますが、少し走らせると、庭掃除、草刈り、芝刈りなどをやりたくなってしまうのです。寒い間は、工作室で毎日ボールドウィンを作っていましたが、ここへきて、少々停滞しています(予定の内ですが)。例外として、6月になってから久し振りに5インチゲージの新しい動力車を製作しました。26号機になります。欠伸軽便鉄道史上最大となる大きな車両です。

 このA&Bレポートでは、記録的な意味で主なニュースのみを取り上げています。より詳細な情報は、毎日アップされている欠伸軽便のブログ(Construction in Waterloo)をご覧下さい。

 本レポートの写真は、クリックすることで大きなものを見ることができます(ポップアップしたウィンドウはご自分で閉じて下さい)。
 動画はYouTubeを利用しています(こちらが欠伸軽便のチャンネル)。
 機関車製作部トップページから、過去のすべてのレポートを見ることができます。


平常運行

 今年の春は、なかなか気温が上がらず、例年より寒かったようです。ただ、雨は夜に降り、昼間は日差しが当たる、という植物には都合の良い天候だったためか、いつもよりも緑が多く、沢山の植物が地面を覆い始めました。樹の枝葉も密集し、生長して高くなった樹も沢山あり、ずいぶん風景が変わりました。

 上の写真は、1枚めがKato 7ton、2枚めが、Jackですが、いずれも、まだ緑が少ない時期のものです。3枚めのAB10とAB20の重連、4枚めのレールバスは、少し緑が出始めた頃の写真です。


 梵天坂線で大活躍のガソリンエンジン機関車Kato 7tonは、ほぼ毎日、線路のパトロールのために走ります。上の4枚の写真は、6月になって樹の葉が出揃った頃のもの。新緑がとても綺麗でした。走っているだけで、大変気持ちが良く、まさに森林庭園鉄道の醍醐味を感じます。庭園内には、野鳥が囀り、リスが走り回っています。


 ガーデニングについては、後述しますが、庭園整備もまる2年を経験しているので、だいぶ慣れてきました。何をすれば、結果がいつ頃どうなるのか、ということがわかってくるわけです。特に今年は、昨年壊滅状態だった芝を再生すべく、本を読み、そのとおりに春から実行しました。芝生はみるみる緑を取り戻しています。

 住居のすぐ近く、芝生を大きくカーブで迂回する線路。モルタル製のストラクチャである消防署(左の写真の右端)。そして、木製の駅長舎(右の写真)。黄色いアーケードでは、クレマチスの花が沢山咲きました。


梵天坂駅周辺整備

 昨年夏に建設した陸橋、そして昨年秋に建設された梵天坂駅舎(兼信号所)ですが、4月から周辺の整備を始めました。まず、駅舎の前にはブロックタイルを並べ、隙間に洋芝の種を蒔きました。

 一方、建物の方は、壁の下にレンガタイルを貼りました。これは本物のレンガではなく、軽い樹脂製のレプリカですが、もちろん本物のレンガより高価です。これを接着剤で貼りました。貼ったのは、陸橋と線路側の2面だけで、こちらの角度から見たとき、2階建ての信号所らしく見えるようにするためです。また、屋根をブルーグレィに、壁をクリーム色に塗りました。上の4枚めの写真が、完成したところです。このあと、妻面に梵天坂駅の銘板も取り付けました。大きな出窓があり、信号所らしくなったと思います。


 線路の反対側は、高麗芝を市松張りにしました。これは駅の前のブロックタイルに合わせたわけですが、いずれは、全面が芝になるものと思います。

 このほか、白い柵の上に「SLOW」の標識、また、赤の「BEWARE OF TRAIN(列車に注意)」の標識も時計柱に取り付けられました。イギリスでは、こういった庭園鉄道関係の備品が沢山売られているのです。

 駅舎の反対側には、弁天ヶ丘線から移設した「噴水(鳥の水飲み場)」があります。ここの丸い花壇もこの春にレンガの並べ替えがあり雰囲気が変わりました。また、同じく弁天ヶ丘線の名物だった、黄色いリシマキアをこの周辺に植えています。育つと良いのですが。


ウッドデッキ拡張工事

 芝生に面したウッドデッキを拡張しました。ここは眺めも良く、風も通る場所です。今までは、芝生でバーベキューをしていましたが、デッキの上でそういったことができる大きさにしました。

 工事は、まずコンクリートの沓石を埋める土木作業から始まり、あとは、デッキ用の木材を切って木ネジで留めるという作業の繰り返しです。また、2箇所に階段を作りました。こちらは、一番下の段がコンクリートで、この土木工事がデッキ工事と同じくらい大変でした。


 低い手摺は、駅長と助役が手をつける高さであり、また、人間が腰掛けられるようにデザインされています。仕上げは、透明の塗料を塗りました。雨が降っても、日が出ればすぐに乾燥します。これまでのデッキより少し低く作り、駅長が出入りできるように、階段も緩やかにしてあります。


春のガーデニング

 少し温かくなってきた4月には、外で庭仕事を始めました。樹の葉はもちろん、地面の草もほとんどありません。線路の整備をするには適しています。また、芝の種を今年も沢山蒔きました。

 上の1枚めの写真は、駅長舎の脇に咲いたチューリップ。これは一昨年に植えた球根で、花は2年めです。2枚めは、黄色いアーケードですが、コンクリートの沓石を地面に埋め込み、しっかりとした基礎を作りました。また、クレマチスを植えて、巻きつかせることにしました。3枚めは、サンルーム側の花壇に並んだオレンジ色のチューリップ。咲いていたのは5月から6月にかけてでした。4枚めは、同じく駅長舎ですが、昨年からずっと咲いているビオラが大きくなって、咲き誇っているところです。これは6月の写真です。


 6月になると、樹の葉が出揃い、新緑の森になります。地面に届く日はごく僅か。まさに木漏れ日の庭園と化します。場所によっては、1時間から2時間くらい日が当たる場所もありますが、庭園の90%は木陰になるのです。このため、日照不足で育たない植物があります。場所が移動できるプランタに植えた方が良い、という結論になってしまいますね。

 1枚めの写真は陸橋、2枚めの写真は駅長舎とアーケード、そして、3枚めは、クレマチスの花が咲いたアーケード。助役が渡っている踏切は、この春に工事を行ったものです。


 昨年に引き続き、今年もヤードの入口に赤いサルビアを植えました。また、今年はさらに青いサルビアも追加しました。左の方にある背の高いヨモギは雑草です。昨年は、7月に植えたサルビアが11月まで咲いていました。今年はどうでしょうか。

 なんといっても、今年のメインは芝生です。一番これに手間と時間をかけています。種を蒔き、芝刈りをし、雑草を取り、水やりをし、また肥料を撒きます。ほぼ毎日、芝のために2時間から3時間は作業が必要です。現在は、洋芝が7割くらい、高麗芝が3割くらいの割合です。昨年は、ほぼ壊滅状態でしたので、クローバを蒔いて緑化していました。今年は、そのクローバを駆除するのが大変でした。夏になると、今度は虫害が出るそうなので、除虫剤などが必要になるかもしれません。今のところ、除草剤は使っていません。芝生は、ここ以外にも何箇所か種を蒔いて育てていますが、このデッキ前が一番広く、全体の半分ほどの面積になります。だいぶノウハウが蓄積しましたので、今年は綺麗なグリーングラスになりそうです。


プラットホーム工事

 ウッドデッキ拡張工事が終了したあと、そのデッキの南の階段の下に、プラットホームを作ることになりました。この設計と工事は、欠伸軽便社長夫人の担当で、社長はほぼノータッチですが、唯一、2枚めの写真にあるエッジのレンガだけは施工をしました。モルタルを使って固めたためです。

 そのほかの枕木、レンガ、タイルなどは、すべて土の上に置いてあるだけです。ただ、その土を綺麗に均すのはけっこう大変な作業です。またそれ以前に、どう並べるのかを決めることに一番時間がかかった模様です。

 2カ月ほど工事にかかりましたが、ようやく完成となりました。奥の壁際には野菜のプランタや水鉢が並んでいます。このプラットホームは、ウッドデッキの階段と、工作室前のコンクリート面の間にあります。引込み線が2本平行に並び、また、メインラインもその横を通過しますので、まさにプラットホームとなったわけです。


ボールドウィンB1タンク

 5インチゲージの木曽ボールドウィンB1タンクですが、5月に上の写真のヘッドライトを製作して取り付けたほかは、工作が進んでいません。ただ、エアテストをして、バルブの調整は行いました。

 ヘッドライトは、安価なロウソクの入れ物を利用し、これに付属品をいくつか作って取り付けました。フロントとリアに付きます。3枚めの写真は、リアの取付け台を作ったところです。ヘッドライトは、内部に反射板と電球を仕込む必要がありますが、それはまだできていません。


高速実験車 mark II

 2011年1月のA&Bレポートに、高速走行を目的とした実験車を発表しましたが、その結果を踏まえ、さらに高速走行が可能な車両を設計・製作しました。

 問題となるのは、直線で速度が上がったあと、カーブへ突っ込むときの遠心力による脱線です。重心位置、重量、速度などから、カーブで内側の車輪が浮き上がらないぎりぎりの設定を計算で求め、それに基づいて製作しました。シャーシは軽量化と柔軟性のためにFRP(繊維補強プラスティック)を使用。タミヤ製のギアボックスと、ボールベアリングを使用した軸受けなどは前回と同じです。ボディは、バルサを使って製作した非常に軽量なものです。電池は単4が4本で、これが新しいときには、内側の車輪が僅かに持ち上がりましたが、走行しているうちに電池が消耗し、次第に上がらなくなりました。

 3枚めの写真は、鈍足の工業機関車で、早さを比べるために同時に走らせたものです。

 高速実験車シャーシのみの走行 *MOVIE in YouTube*
 高速実験車ボディ付きの走行 *MOVIE in YouTube*
 高速実験車と工業機関車の競争 *MOVIE in YouTube*


小さい機関車たち

 1枚めの機関車は、ペーパクラフトのキットとしてLocolineから発売されていたもの。イギリスではアニメで古くからメジャなIvor the Engineです。電動でギア音を鳴らして走りました。2枚めの写真は、前回のレポートで紹介したCheddarのスチームトラム(写真左)で、色をオレンジ色に塗り替えました。以前に組んだGarden Railway Specialistのキット(右)と同じボディであることに気づき、並べたところです。後者の方は、Ivorの走行動画に後半出てきますが、モータでベルト駆動の自作ユニットで静かに走行します。

 3枚めも、スチームトラムです。これは、どこかのモデラの自作品でしょう。中古品として入手したものです。エンジンは、Steam Line製のOsmotor(首振りエンジン2気筒の小型ユニット)で、ギアダウンしています。ボディのデザインがなかなかユニークで秀逸。ガス焚きで、32mmゲージです。

 Ivor the Engineの走行 *MOVIE in YouTube*
 Osmotorのスチームトラムの走行 *MOVIE in YouTube*


 1枚めは、長らく待ち望んだ製品で、AccucraftのPeveril。ご存知、マン島の蒸気鉄道の機関車です。傾斜したシリンダと、アウトサイド・フレームの先輪、そして横から見て丸いキャブの屋根が特徴です。2枚めの写真は、懐かしのMerlin Locomotive Works製のMonarch。古い製品ですが、ガス焚きでラジコン仕様。当時としては先進的なデザインといえます。サドルタンクの形状は完全にHunsletで、いかにも工業用機関車の好ましいスタイル。

 3枚めは、何年も探していた機関車で、Berkeley Locomotive WorksのCricketです。プロトタイプがありますが、ほぼフリーデザインのユニークな機関車で、エンジンは1気筒。オシレーチングではなく、ピストンバルブのエンジンで、ギアダウンして動輪を駆動します。ガス焚き、45mmゲージ。4枚めは、Maxwell HemmensのPorterです。これも、古い製品で、ようやく中古品を見つけました。ガスタンクがテンダにあります。Porter風のフリーデザインと見た方が無難。キャブが角材で作られています。カブトムシのような可愛いスタイルです。

 Isle of Man Peverilの走行 *MOVIE in YouTube*
 Merlin Monarchの走行 *MOVIE in YouTube*
 Cricketの走行 *MOVIE in YouTube*
 Maxwell Hemmens Porterの走行 *MOVIE in YouTube*


26号機レールカー

 冬の間に活躍したロータリィ除雪車ですが、スリップを軽減するため、OSのパワーユニットを台車に装備しました。つまり、以前は長大貨車だったものが、自走できる電車になったわけです。では、冬以外は別の楽しみ方ができるのでは、と思いつき、ボディを作ることになりました。この長大貨車のシャーシは、中央部が低く、床上面がレールから僅か6cmになっているので、そこに座ると、運転する人の頭がかなり低くなります。そこで、普通の少し大きめの電車の中に、人間がすっぽり入って運転ができるのではないか、と考えて設計をしました。

 シャーシと走り装置は既にあるので、作るのはボディだけです。1カ月半ほどで完成に漕ぎ着けようと、簡易な手法を選びました。まず、ボディは骨組みとしてスチールのアングル材を使用。そこに2.5mm厚のベニヤをネジ止めして組み立てました。大きくても重くならないようにしたかったからです。一人で、取り扱うためには、軽さが重要です。上の写真は、1枚めが、ベニヤを切り出したところ。今回初めて、片面が白い化粧ベニヤを使いました。たまたまこれがホームセンタにあったからです。ケント紙よりも安いし、切り出すのも楽です。ただし、のちほどこれが失敗を招きます。

 2枚めから4枚めは、角材を接着し、前後の面を作っているところ。ほとんど現物合わせで切って接着していきます。レールの上にのったシャーシに、ボディも被せたままで組み立てました。


 前後の面ができたところで、ライトを装着しました。ヘッドライトは、普通の懐中電灯、下に2つあるスモールライトは、LEDです。後ろにも同じセットがあるので、合計6つのライトが点灯するようにしました。

 屋根の上には、2階の展望室が付きます。これは、運転者の頭が入るスペースです。ここから外を見て運転することになります。ただし、その姿勢ではやや窮屈ですので、普通は、シャーシの高い位置に座り、屋根を半分取り外して運転をすることになります。これだと長時間乗っていても疲れません。3枚めの写真は、生地完成の状態です。


 次は塗装。ここで、屋根をグレィに、そしてボディには全面にクリーム色を塗りました。このとき、ラッカのスプレィを使いました。ところが、初めて使った白ベニヤの白い面は、どうやらウレタン塗装がされている面だったのです。つまり、ラッカが食いつきません。塗り分けをするためにマスキングテープを貼ると、それを剥がしたときに塗装が剥がれてしまうのです。やはり、初めて使った材料だったので、こういった失敗があります。シンナを使って、ラッカをすべて剥がすことになり、スプレィ1本と2日間が無駄になりました。

 ラッカでは駄目なので、最初からウレタンで塗りました。白を吹き、次の日にマスキングして下のオレンジを吹きました。屋根は、ラッカのままですが、銀色を吹いて仕上げました。これで、カラーリングは終わりです。このあと、内側の塗装、ライトと窓に透明のアクリル板を接着する作業、そして、レタリングなどが残っています。

 ボディサイズは、長さ約1800mm、幅520mm、高さは屋根が600mmで、展望室の屋根が800mm(レール面より)です。4軸で、8輪全輪が駆動します。ブレーキは後ろの台車のみ効きます。それから、電子音のクラクションが鳴ります。


駅長と助役

 暖かい日が増えてきました。駅長たちの活動も活発になり、特に助役は庭園内を走り回っています。また、駅長は水遊びに余念がありません。

 1枚めは、花壇の近くに立つ助役。このレンガ敷きの道は、「駅長の小径」と命名されたものです。2枚めは、駅長舎の手前の芝生で寛ぐ駅長。3枚めは、新しい踏切に立つ駅長。黄色いアーケードにはクレマチスの花が見えます。4枚めは、同じく踏切を渡る助役です。この踏切の手前側は、駅長たちの第2運動場になります。

 踏切を何回も渡る駅長たち *MOVIE in YouTube*
 第2運動場へ走ってくる駅長たち *MOVIE in YouTube*
 お互いに譲りながらも大はしゃぎ *MOVIE in YouTube*


 この手拭の頬冠りは、保冷剤を首に巻いてもらっているところ。あとの2枚は、助役が乗用トレーラに跨がっているところです。鉄道に乗るのが好きになりました。


爽やかな初夏

 まだまだ、しばらく爽やかで過ごしやすい夏です。大いに庭園で楽しみましょう。この季節はゲストも多く、また8月と9月にはオープン・ウィークエンドが企画されています。

 次回の「A&Bレポート」は10月になります。落葉掃除に明け暮れていることでしょう。

/☆Go Back☆/