MORI Hiroshi's Floating Factory Model Railroad Workshop
A&B Report 2011年1月号


Bontenzaka Garden wears through the colorful autumn into the artistic winter

A Happy New Year !

/☆Go Back☆/
 欠伸軽便鉄道梵天坂線(Akubi Lightweight Railway Bontenzaka Short Line)が開業して半年ほどになります。新しい土地は、以前のところと比べると、常に約10℃ほど気温が低いので、冬が厳しくなることは予想していました。だから、この季節は外では遊べないだろう、と覚悟をし、そのかわり工作室を暖かくして毎日製作に勤しもう、などと考えていたのです。ところが、気温はたしかに低いのですが、天気が良いのです。日差しはとても強く、晴れてさえいれば日向はそれほど寒く感じません。考えてみたら、世界の国々の多くは日本よりも寒く、そういうところでも、ちゃんとライブスチームとかで遊んでいるわけですからね(納得)。

 ところで、この「遊ぶ」とか「おもちゃ」という言葉が、大好きなのです。できるだけこの表現を使いたいと思っています。「模型」よりは「おもちゃ」の方が、個人的には価値が高いのです。また、同様に、「実機」とか「実物」よりも、「おもちゃ」や「模型」の方が好きです。なにしろ、実物の鉄道にほとんど興味がありません。ようするに、自分で遊べないものは面白くないものなのです。さらにいうと、「役に立つ」ものも駄目ですね。なんか「不純」に感じてしまいます。そういう「大人」の思考ではなく、できるかぎり、子供の感覚でいたい、というのが欠伸軽便鉄道の基本的なポリシィみたいです(はっきりとはしていません)。このように、いろいろ「正当化」のための「言い訳」をすることも、大人のすることで、子供らしくないので、馴染まないでしょう(笑)。

 まあ、そういうわけで、日々遊び呆けております。誰の目も気にせず、誰の言うことも聞かず、今年も相変わらず、まっしぐらに頑張りたいと思います。適当に、目標を挙げておきましょう。

1)5インチのボールドウィンB1タンクを作り始める。(「作り上げる」ではないので、実現できると思います。)
2)大きなジャイロモノレールを製作する。(「完成し、成功する」ではないので、可能だと思います。)
3)5インチゲージ梵天坂線を整備・延長する。(勾配の緩和、引込み線や支線を増設など。)

 2010年は、1分の1スケールの家を建て、5インチゲージと45mmゲージ、32mmゲージのエンドレスを開通させたので、それに比べれば、これは低い目標でしょう。あと、余裕があったら、5インチよりも広いゲージの実験線を作ってみたいと考えていますが、構想だけに終わるかもしれません。

 このA&Bレポートでは、記録的な意味で主なニュースのみを取り上げています。より詳細な情報は、毎日アップされている欠伸軽便のブログ(Construction in Waterloo)をご覧下さい。

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秋から冬へ

 とにかく最初の1年は、風景が珍しいので、毎日がとても楽しく、エキサイティングです。何年もしたら、こんなのが当たり前になるのでしょうか。秋の紅葉も輝かしかったし、また、毎日の日の出は本当に綺麗です。このため、今はできるだけ早く寝て、夜明けを見るために早起きをしています。

 さて、紅葉のあとは、落葉です。庭園はもともとは森林で、家を建てたところの樹を20本ほど切りましたが、あとはそのまま。樹の大半は広葉樹ですから、すべて葉っぱが落ちてくるわけです。だいたい地面に平均5cmくらいの厚みで落葉が敷き詰められたと思います。そこで11月にはドラム缶の焼却炉を導入し、毎日せっせと落葉を燃やすことにしました。できた灰は、ガーデニングの肥料となります。この作業が及んだ範囲の面積はおよそ4000平米くらいかと思われますので、4000×0.05=200立米(つまり、20万リットル)の落葉を1カ月以上かけて焼きました。ダンプカーでいうと……何台分? 東京ドームだと……、えっと、ちょっと計算してみましたが、もし、Gゲージサイズの25分の1の東京ドーム(直径が10mくらいでしょうか)だと、2.5杯分になります(全然わからないでしょう)。


 12月の初めに雪が20cmほど積もりました。今までのところ、これが最高の積雪です。樹の枝が真っ白になって、見たこともない風景でした。雪はさらさらの粉雪です。歩き回っても靴が汚れません。これは、ラッセル車が必要だろう、と考えたのですが、さて、その後は……?


梵天坂線平常運行

 天気が良ければ、ほぼ毎日運行しています。ガレージから列車を出し、エンドレスをぐるぐると回ります。電気機関車やガソリンエンジンカーは、すぐに走りますし、後片づけも簡単です。15分あれば遊べます。たいていは、そのまま庭に出しっぱなしで、また気が向いたら乗りにいきます。片づけるのは夕暮れです。

 最初の1周だけゆっくりと走り、線路上に障害物が落ちていないか注意をします。2周めからはもう大丈夫です。落葉が沢山積もりましたが、5インチゲージの場合、ほとんど影響はありません。あまり酷いときだけ、線路上をブロアで吹き飛ばします。

 上の写真は、回転掃除機を付けたインスペクションカーが活動しているところ。そして、梵天坂線で一番沢山走っている4サイクルエンジンのKato 7tonです。

 回転掃除機で落葉掃除をしている動画です。
(インスペクションカー) *MOVIE in YouTube* (45mmゲージのラッセル車) *MOVIE in YouTube*


 こちらは、AB20とAB10の重連、そして、機関車は遠くなっていますが、DB81です。落葉の中を走っているような光景ですね。

 梵天坂線は、まだ勾配がかなりきつく、おそらく5%くらいではないか、というところが1周のうち2箇所あります。1人だけで運転している分には大丈夫ですが、ゲストを乗せて走ると、急勾配を上れなくなります。落葉のせいでスリップすることもあります。在籍する機関車の中で、DB81、Jack、そしてAB20&AB10の3列車が最も強力で、2人を乗せて勾配が上れます。それ以外の機関車は、1人のときしか上れません。

 ライブスチームなどでは、微妙なスピードコントロールが困難で、カーブあり勾配ありのコースは運転がとても難しくなります。今のままでも、「面白い」というのは事実なのですが、やはり2、3人を乗せた列車が運行できないのでは問題ですので、勾配緩和の工事を春から少しずつ進めていきたいと考えています。


 雪が積もった日に、ロータリィ除雪車を出動させました。弁天ヶ丘線のときにも活躍しましたが、実は被写体としての機能しかありません。ロータはボール紙製です。モータで回りますが、雪を押したら止まってしまいます。

 実際には、幅の広いスコップ(雪掻き専用ツール)で、線路の上を人(社長)が押していきました。50cmくらいの幅を一度で除雪できて、ちょうど良いのです。Kato 7tonがそこを走りました。本当は、こういうときはライブスチームがぴったりなのですが、準備や後始末が大変なのです。

 Kato 7tonの雪の日の走行シーン(かなりスリップしていますね) *MOVIE in YouTube*


スペシャル・オープンディ

 第11回のスペシャル・オープンディが11月6日に開催されました。梵天坂線では初めてです。しかし、メンバは同じ。非常に遠くなった方もいらっしゃいますが、まさに遠路はるばる参加いただきました。大感謝。

 もう寒いと感じる気候ですが、素晴らしい晴天に恵まれました。皆さん、一日中機関車を走らせ、楽しんでいかれたご様子。写真はほんの一部ですが、1枚めが、佐藤氏が運転するワシントン、2枚めがそのアップ。そして、3枚めは、今回が初缶の杉浦幼治氏のボールドウィン(最後尾の青いタンク車が可愛いですね)。いずれの機関車も、勾配を元気良く快走していました。

 佐藤氏のワシントンの走行シーン(佐藤氏撮影・公開のもの) *MOVIE in YouTube*


 欠伸軽便の電機重連を運転しているのは井上氏、それから、新作の縦型ボイラ機関車を持ってこられた和田氏です。

 3枚めの写真は、小池氏のジャイロモノレール(2号機だと思います)。素晴らしいパフォーマンスを見せ、参加者を驚かせました。

 小池氏のジャイロモノレールの走行シーン(小池氏撮影・公開のもの) *MOVIE in YouTube*


32mm&45mmレイアウト建設

 5インチゲージのエンドレスが夏の間に完成したので、次は、小さいライブスチームを走らせるレイアウトの工事です。それ以前に、LGBの線路を30mほど地面に敷いて遊んでいましたが、線路が地面にあると、ライブスチームは調整などがしにくく、面倒なのです。また、所有している機関車の半分は、16mmスケールの32mmゲージなので、ずっと走らせる場所がありませんでした(弁天ヶ丘では、45mmと32mmのデュアルゲージのエンドレスがありましたね)。

 いろいろ考えた結果、ベニヤはホームセンタで買っても運んでくる手段がありません(車が全部小さい)ので、建築屋さんにお願いすることにし、どうせならば所定のサイズに切ってもらうことにしました。特に、カーブの形に切るのは、面倒ですからね。ベニヤは片面にウレタン塗装がされている、コンクリート型枠に用いる防水タイプです。この色が標準で、必然的にこの色になりました。趣味で選んだわけではありません(嫌いでもないですが)。

 上の写真は、1枚めが、ベニヤが届いたところ。厚さは12mmです。2枚めが、地面に並べて場所の確認をしているところ(駅長視察中)。3枚めが、裏に1×4や2×4の梁材を取り付け、そこに防腐剤を塗っているところ。


 最初に、すべてのベニヤの裏に、縦と横に補強の梁を取り付けました。こららはすべて接着剤は使わず、木ネジのみです。つぎに、コンクリートの基礎(沓石といいます)に4×4の柱材を載せ、これと梁材をボルトで接合します。また同時に、隣合う部位の梁材にもボルトを通してあります。上の写真の1枚めが、柱を立てて、最初のプラットホームができたところ。これを基準にして次々に柱を立てていきました。地面が平坦ではありませんので、柱の長さは全部違います。

 2枚めの写真が、柱と梁の接合部で、このようにボルトとナットで高さの調節がある程度できるようにしてあります。これは、プラットホームの水平を出すためです。3枚めが、工事の終盤で、もう少しでエンドレスがつながるところ。しかし、この最後にぴったりと位置や高さを合わせることが、意外と難しいのです。常に両端の位置を、レーザなどを使って測定しつつ工事を進めました。

 ちなみに、このレイアウトの木造部(つまり線路や橋以外)には、約12万円の材料費がかかりました。木材なども1本数百円の安いものを使用していますが、これだけの量になればかさみます。また、意外に高いのがボルトや金具類です。自作をしても、材料費はある程度は必要だということですね。


 最後はトラス鉄橋を架けました。スパンは約1800mmです。これは、アメリカのキットを組んだものです。Gスケールのサイズですから、7/8インチスケールが走るとぎりぎりです。ラッカでオレンジ色に塗装しました。さて、木工作が終わったので、次は線路を敷く工事です。9月にイギリスのPECOのフレキシブル線路(SM45とSM32)をそれぞれ48ヤード分発注しました。これが到着したのは、12月の30日のこと。なんと、線路工事は大晦日にスタートしました。2枚めの写真がその日です。雪こそありませんが、気温はもちろん氷点下。完全な防寒をして臨みました。でも、日差しはけっこう暖かいので、そんなに酷い環境ではありません。慣れもありますけど。線路を切るときだけは、暖かい工作室に入りますので、ずっと屋外にいるわけでもありません。

 数日で線路を敷き終わり、45mmと32mmのエンドレスが無事に開通しました。3枚めの写真にあるとおり、幅が広くなっている場所には、ポイントを設置し、車両が留め置けるようにしました。メインラインを走っているときに、次の編成を組んだり、スチームアップをすることができます。

 エンドレスは、45mmと32mmが並走しています。弁天ヶ丘線のエンドレスは、デュアルゲージの線路を採用しましたが、やはり、45mmゲージと32mmゲージでは線路断面の高さ(コード)が違います。どちらかに合わせると、どちらかで少々の不具合が出ます。前回は32mmゲージのコード200に合わせたため、45mmでフランジの高い車輪の古典機が、枕木のスパイク部に当たることがありました。今回は、45mmの方はコード250です。それでも、LGBの線路(コード335)よりはずっと細く、また逆に枕木は大きく間隔も広く開いているので、ナローゲージらしさが出てとても良い感じになりました。


小さいライブスチーム

 レイアウトが完成したので、ホビィ・ルームに飾ってある機関車を走らせる毎日になりました。一番嬉しいのは32mmゲージが開通したことです。こちらは半年以上不通だったので、この半年間に入手した機関車は、初走行ということになります。上の写真1枚めと2枚めの、Edward Thomasもその1つ。大好きな機関車です。赤いロッドが可愛いですね。これは、星野氏が昨年の5月にイギリスで入手され、お土産にいただいたものです。ガス焚きでラジコン仕様です(今回は無線機がないのでマニュアルで運転)。

 Edward Thomasの走行シーン *MOVIE in YouTube*

 そして、Roundhouseの2010年の新作、Tom Roltが写真の3枚めと4枚め。こちらも、Edward Thomasと同じく0-4-2です。どちらも16mmスケール(約19分の1)で32mmゲージですが、Tom Roltの方は、アウトサイドフレーム内の動輪のゲージがバリアブルで、45mmで走らせることもできます。こうしてみると、この0-4-2という軸配置は、かなり好みのタイプですね。たとえば、日本の木曽森林ボールドウィンが同じです。Tom Roltの方は素晴らしい性能で、沢山の客車や貨車を引くことができます。さすがに新車というか、さすがにRoundhouse。もちろん、ガス焚きでラジコン仕様。

 Tom Roltの走行シーン *MOVIE in YouTube*


 この1枚めの逆光の写真は、Locoboxのガーラット。4つのオシレーチングエンジンを持った16mmスケールの機関車です。だいぶ以前に新車で購入したものですが、今ではLocobox社があるのかないのか、わからない状態です(見かけなくなりました)。面白い機関車を出しているメーカでしたが・・。

 Garrattの走行シーン *MOVIE in YouTube*

 2枚めは、WrightScaleのPorter亀の子です。ずんぐりしていて、非常に好みのタイプ。同じ機関車を2台持っているくらい。これも見かけによらず、よく走る機関車です。同じアメリカンで、3枚めがフォーニィ。これは、AccucraftのRubyのフォーニィ版を改造したもので、なかなか凝った工作がされています。オークションで入手しました。後ろに引いている3台の客車や貨車も同じモデラが製作したもののようです。 

 Forneyの走行シーン *MOVIE in YouTube*

 4枚めは、ドイツのRegnerのEasy Lineシリーズの縦型ボイラ機Fanny。オシレーチング1気筒の愉快な機関車。完成品でしたが、走らせるのにちょっと手こずりました。スタイルとしては、これもアメリカンな(ロギング風味の)部類になるでしょうか。

 Fannyの走行シーン *MOVIE in YouTube*


 ライブスチームのメーカとして絶大の信頼を寄せているのが、イギリスのCatatonkです。不思議なことに、ShayやClimax、そしてHeislerと、アメリカンな機関車ばかり作っています(現在は活動していませんが)。入手したのは、Shayが大小2台、小さなHeisler、そして、最後がこのClimaxでした。これが手に入ったときは近年稀に見る喜びでしたが、残念ながら、すぐに走る状態ではなく、メカニカルな部分の修理が必要でした(やってみたら、大したことありませんでしたが)。走りっぷりは、もう本当に素晴らしいの一言。フォルムも満点です。拍手喝采。

 Climaxの走行シーン *MOVIE in YouTube*

 少しまえに入手していたRoundhouseの0-4-0サドルタンクJackが3枚めです。この機関車は、以前に絶版になったもののリバイバル品です。リベットなど、凝った作りの特別仕様。イギリスナローの王道的なスタイルです。雪を掻き分けたあと走行させましたが、走りっぷりも見事。

 Jackの雪の日の走行シーン *MOVIE in YouTube*

 4枚めは、非常に古いモデルで、ロケット号です。3、40年まえの「模型とラジオ」に宣伝が載っていました。最近、オークションで入手して、飾ってあったのですが、整備をして走らせてみました。アルコール焚きで、エンジンはオシレーチングです。エンドレスを1周することはできませんが、半周くらいならば走ります。寒いから、これくらいでしょう。この機関車も、2台持っています。走らせたのは、状態の悪い方でした。

 Rocketの走行シーン *MOVIE in YouTube*


 このドックサイドは、なんとHOゲージのライブスチームです。ワダワークス製です。2007年8月のJAMコンベンションで見せていただいたとき、「欲しいです」と和田氏にお願いしてみたら、一昨年になって「できたよ」と譲っていただけました。ライタのガスを使います(ガスタンクは後続の貨車の中)。点火装置が組み込まれているので、ボタンを押すだけでバーナに火がつきます。

 今回が初走行です(HOゲージの線路が見つからなかったので)。猛スピードでエンドレスを駆け抜けました。これを走らせて、同じワダワークスの45mmゲージのドックサイドも走らせたくなりました。2枚めの写真がそれです。この機関車は、欠伸軽便が最初に購入したライブスチームで、記念すべき1号機なのです。当時、和田耕作氏と手紙のやりとりをして、走らせ方を教えていただきました(上のスペシャル・オープンディの写真の和田氏のことです)。アルコールを入れて火をつけると、いつものとおり、力強い走りを見せました。頑丈にできた素晴らしい製品です(残念ながら現在は絶版の様子)。

 HOゲージのドックサイドの走行シーン *MOVIE in YouTube*

 さて、最後の白い変な車両は、息抜きで作った45mmゲージの実験車。タミヤのギアボックスを使った高速車です。なにげなくリニアモータカーを意識したデザインですが、実はボディはウェットティッシュのケースです。きっとこうなるだろうと想像して買ったもので、廃物利用ではありません(むしろ、中身のティッシュの方をこれから廃物利用します)。中を開けたところにある基板は、モータのスピード調節用です。

 高速実験車の迫力の走行シーン *MOVIE in YouTube*


 この1枚めの写真はライブスチームではなくバッテリィカーです。フランスのナローのレールバスらしいです。非常にスタイルが良いですね。ゆっくりと走ります。

 32mmゲージのレールバスを45mmゲージのプレィモビル特急が抜くシーン *MOVIE in YouTube*

 次は、Locomotionのレールバス(蒸気動車)。これも32mmゲージです。駆動するのは前の1軸、後ろはボギィの2軸です。こちらは、レトロなスタイルですが、ライブスチームでラジコン仕様。ボディは木製です。こういうキットや完成品を作っているメーカがあるというだけで驚きです。縦型ボイラはガス焚き、エンジンはオシレーチングで2気筒です。動画では、汽笛を鳴らしたために圧が落ちて止まってしまいますが、それくらい大きな汽笛を床下に装備しています。

 Locomotionのレールバスの走行と汽笛のシーン *MOVIE in YouTube*

 気動車が続きます。3枚めは、自作の蒸気動車。アルコール焚き。Locomotionのレールバスと同じ軸配置(機関車風にいうと、0-2-4)です。「模型とラジオ」に井上昭雄氏が発表された記事に従って作ったもの(素材キットが科学教材社から発売)。設計が良いのか、大変よく走ります。渡辺精一氏と和田耕作氏と井上昭雄氏が設計された機関車は、本当によく走りますね。これは、この分野のモデラなら共通認識ではないでしょうか。古き良きモデルというノスタルジィで片づけるのではなく、現在でもこういったベーシックでワイルドな機関車の需要は大きいと思われますが、いかがでしょう。スケール機一辺倒では、いかにも層が薄いホビィになりかねません。

 自作蒸気動車の走行シーン *MOVIE in YouTube*


大きいライブスチーム

 5インチゲージのライブスチームも何台か運転をしています(まだ一度も線路にのっていない機関車もありますが)。上の写真は、18号機のAjaxです。この機関車は中古で入手して以来、方々を修理してようやく動くようになったのですが、それでも、まだいくつか問題を抱えています。一番の弱点は、シリンダの下面とレールの距離が近く、ドレンコックが接触する事故が生じやすいというもの。ポイント通過時には徐行をすれば良いのですが、脱線した場合には致命傷となります。それはさておき、とにかく走らせるために、水面計を取り替え、ハンドポンプを取り外し、圧力計も新しくしました。ところが、ボイラ内(投炭口の近くの火室内)で蒸気漏れがあって、もうここまでかな、と半ば諦めていたところでした。

 そんな話を星野氏にしたところ、「これを使いなさい」と変なアイテムが届きました。それは、トウモロコシの粉(片栗粉のようなもの)です。イギリスでは、ライブスチーマはそれで蒸気漏れを止める、ということです。ためしに、ボイラに少量を入れてスチームアップしてみると、なんと不思議なことに蒸気漏れがありません。これには驚きました。

 そういうわけで、急遽復活したAjaxです。スペシャル・オープンディで大活躍した木内氏のAjaxの場合、問題のドレンコック折れを防ぐため、シリンダの下にガードが取り付けられていました。これを参考にして、同様の機構で弱点を克服。さらに、脱線に備えて、前のバッファの下にアンダ・ガードも取り付けました(上の写真の1枚め)。これで万全です。走らせてみると、この機関車は強力で勾配をものともしません。まだ、しばらくは活躍することになりました。

 Ajaxが勾配を上っていくシーン *MOVIE in YouTube*


 やはり、森林の風景と最もマッチする機関車といえば、それはシェイですね。既に3回ほどスチームアップをして、エンドレスを快走しています。急カーブにも勾配にも、そして不整備な線路にも強い機関車です。今のところ、トラブルといえば、煙突のフィルタが少し汚れたくらい。これはお湯で洗って掃除をしました。発電機かドンキィポンプを取り付けたいところですが、必要に迫られているわけでもなく、なかなか着手ができません。

 Shayが勾配を上っていくシーン *MOVIE in YouTube*

 フォルテも運転をしました。欠伸軽便のライブスチームでC型はこの1台です。やや非力な感じがしますが、まだ調子が出ていないのか、どこかタイミングが悪いのか、わかりませんが、でも1人で運転するのには、まったく問題がありません。黄色にして良かったです。この色、自分で塗るとなると難しい色ですよね。


ジャイロモノレール

 前レポートに書きましたが、佐藤氏製作のジャイロを使って、10号機と11号機を作りました。なにしろ、まったく振動しないジャイロです。作ってみたら、こんなに簡単にできてしまうのか、というのが実感です。つまり、今までの苦労のほとんどは、ジャイロの振動が原因だったのですね。特に、バランシング・スイッチの接触などが、振動の影響を受けやすい部分だったのです。ただ、この振動がでないジャイロを自作することも容易ではありません。ベアリングを使えばできるというわけではなく、ホイールのバランスを正確に測定し、細かい修正をする必要があります。

 さて、まず10号機の方ですが、これは10月に製作しました。垂直軸回転のジャイロをタンデム配置に並べたデザインです。こうすると、全体のフォルムが鉄道の車両らしくなる、というメリットがあります。

 この10号機は、佐藤機の成功を大いに参考にさせてもらいました。すなわち、サーボを用いず、ジャイロの回転軸にスリットを押しつけ、そこで生じる摩擦の力でジンバルを動かす、という手法です。ようするに、ジャイロのモータ自体がサーボモータにもなる、という仕組みです。この手法のメリットは、サーボモータがない分、電池も減り、バランシングスイッチもなくなり、機構がシンプルになることです。また、逆にデメリットとしては、摩擦を得る部分の機構がデリケートで、特に振動が出るジャイロではほとんど実現が難しいこと、と思われます。ジンバルの動きで、スリットを動かしますから、反応はダイレクトで、また摩擦を起こすときの力が、ジンバルの動きの速さによって強弱がつけられ、ON/OFFのみのサーボコントロールよりも微妙な制御が利きます。実際に試してみると、ほとんど左右に振れないくらい安定しています。

 佐藤機はシングル・ジャイロですが、それをツイン・ジャイロにしたのが本機です。2つのジャイロのリンケージは、上の1枚めの写真のように、ボールリンクとアームを使ったロッドリンケージとしました。推進装置は片方の台車のみで、2枚めの写真のように、クラウンギアを使った2軸駆動です。走行は非常に安定していて、本を2冊載せても、走ることができました。その後、7号機と同じデザインでボディを製作し、生地完成となりました。塗装は、気温が上がる春以降に行う予定です。

 10号機の動画が以下にあります。
(バランシング・テスト) *MOVIE in YouTube* (走行テスト) *MOVIE in YouTube*


 11号機は、12月の後半に製作しました。今回は、低重心化、および軽量化によってスピーディな走行が可能な高性能機を目指してデザインしました。

 上の写真のとおり、ジャイロの配置は、垂直軸回転の並列です。これも、今までにない初めてのもの。こうした理由の1つは、やはり重心を下げることにあります。また、ジンバルのリンケージをギアで行うためにも、この配置を採用しました。2枚めの写真が、そのギアリンケージのアップです。この写真の手前に少しモータが写っていますが、これがサーボモータです(反対側にもう1機あります)。それから、今回はリレーを用いず、バランシング・スイッチを2つ取り付けて、サーボの電極を切り換える方式としました。これも、低振動ジャイロだからできるデザインです。3枚めの写真は、推進装置の部分で、前後の台車とも動力化し、4輪駆動としています。

 使用したモータは、ジャイロとサーボがRE-280(4機)、推進用がRE-260(2機)です。電池は普通の単3が12本です。これでも、9号機に比べると、航続距離はずっと長くなりました。


 シャーシにはアルミ材を使用。トラス構造として軽量化しました。ボディを被せるつもりは今のところありません。サイズ的には、9号機よりほんの少し小さいだけですが、重さは半分くらいですし、電池が小さくなり、音も小さくなり、燃費が良くなりました。走行速度はぐんと速くなっています。

 ただ、左右にスウィングするのは、なかなか止められません。バランシング・スイッチの接点間隔は現在でも1mmくらいです。この間隔が広いというわけではなく、ギアの遊び(ガタ)によるものです。ジンバルに直結したスリップ・レバーにすればもっと揺れは小さくなるはずです。しかし、9号機の経験では、このスウィングを小さくするほど、サーボ用の電池の消耗が激しくなり、あるときは加熱することがありましたので、良し悪しというところです。模型であれば、スウィングしていても、楽しいから良いのですが、実際に人が乗る車両となると、ちょっと困りますね。もっとも、人が乗るような車両では、サーボモータによる引き起こしでは力不足となりますので、また別の方法を考える必要があるでしょう。

 11号機の動画が以下にあります。
(低速走行テスト) *MOVIE in YouTube* (高速走行テスト) *MOVIE in YouTube*
(バランシングテスト) *MOVIE in YouTube* (高速走行中のジンバルの観察) *MOVIE in YouTube*
(氷点下の屋外でのロングラン) *MOVIE in YouTube*


駅長

 パスカル駅長は、寒さに負けません。もちろん、勝つわけでもなく、そもそも挑まないのです。多くの時間は昼寝。動くのは、散歩のときくらいです。近所の犬が例外なく服を着ているので、駅長も、恥ずかしくないよう、挑戦をしています。特に、雪の日に外を歩くと、足の毛に雪玉が沢山つくので、これを防ぐためにレッグウォーマをします。涎掛けとレッグウォーマは、長い毛には必需品です。

オレンジ色のレインコートは雪の日に着せてもらいます。フードを付けるのは、雨の日だけです。それから、ピンクのスモックも何度か着ています。こちらも前足を隠すことが主目的です。動画が沢山ありますね。撮り過ぎではないでしょうか。

 駅長が雪の日にただ走り回っているというだけの動画 *MOVIE in YouTube*
 ただ風に向かって歩いているというだけの動画 *MOVIE in YouTube*
 レインコートを着て歩いているだけの動画 *MOVIE in YouTube*
 レインコートを着て歩いているだけですが、標識の手前で止まります、という動画 *MOVIE in YouTube*
 スモックを着て雪道を歩いているだけの動画 *MOVIE in YouTube*
 ケプラーの法則を再現しているところ。 *MOVIE in YouTube*
 これが本当の犬ぞり。 *MOVIE in YouTube*


ずっと氷点下

 −10℃以下の気温も珍しくありません。でも、思っていたほど過酷ではなく、「え、これで氷点下なの」というくらい暖かさを感じることもよくあります。不思議ですね。家の中はとても暖かいので、Tシャツに長袖のシャツを着ているだけです。毎年この時期は、セータやカーディガンを着ますが、今年はまだ一度も着ていません。外へ出るときは、シャツの上にダウンジャケットを着れば、それでOK。つまり、多くても3枚重ねです。工作室は床暖房のおかげでストーブがいらないくらい暖かく快適です。ときどき暖房されていないガレージに材料などを探しにいくのですが、それでも、そんなに寒いとは感じません。これは、強がっているというわけでは全然なく(強がってもしかたないですからね)、やはりずっといれば躰が慣れるということでしょうか。いずれにしても、思ったほど雪が降りません。もう1カ月以上ずっと晴天ばかりです。

 次回の「A&Bレポート」は4月になりますが、4月ではまだ緑はないでしょう。桜が咲くのはGW頃だと聞いています。

/☆Go Back☆/