日々是好日・身辺雑記1999年11月
(下にいくほど日付は前になります)

過去の雑記を読む


11月某日「ダブル・クリックの恐怖」
i Macユーザーでございます。
なもんで、マウス操作の基本はダブル・クリック。
もともと大機械オンチなのですが、必死で使うMacゆえやっと体が覚えてきました。
というか、アタマではいっこうに分かっていないので、カンだけを頼りに日々カチャカチャ
やっているわけです。 ああ、なんていい加減なんだ。
いいの、こうしてアクセスさえ出来りゃ。(多くは望むまい、と。)
    
ただやっかいなことに、覚えているのは私のアタマじゃなくてカラダ、左手の人差し指な
もんで、ここ数ヶ月、各種スイッチの類をダブル・クリックしまくっております。
TVのリモコンの電源を入れては消し、炊飯器では<予約1>のはずが<予約2>の時間に
炊きあがり、コピーは1枚で足りるところを2枚とってしまい、CDはプレイの次の瞬間ポ
ーズ状態になって
「変ね、いつまでたっても音がしない。」
とボリュームを上げまくったあげく(これもダブル・クリック)いきなりのMAX音にひっ
くり返ったり。
   
我が相棒、ジャン・ポールに冗談でするデコピンがダブル・クリックになっちゃったら、
シャレにならんぞ・・・・と、内心困ったもんだの今日このごろです、ハイ。
   
さて、11月ももう終り。
最近読んだ本の中からおもしろかったものを。
「Hの革命 QUEER(クィア)なSEX事典」(監修・伏見憲明 太田出版)
安野モヨコさんのナイスなカバーが目印。
このテのものはパス!な人でも、どうか伏見さんの前書きだけでも立ち読みしていただきた
いです。(本屋のH系棚の前で立ち読みするほうが、度胸いるかもしれないけれど・・・)
もしもあなたが森奈津子さんのファンなら、迷わず買おう!(笑)
「芸術新潮 1999.12月号 白洲正子全一冊」(新潮社)
明治生まれの華族令嬢、古典文学・芸能・美術の研究家。
女人禁制の能舞台に史上初めて立ち「土蜘蛛」を舞った女性。 十四才で。
三島由紀夫のような人はまた出るかもしれない。 澁澤龍彦のような人も、あるいは。
でも、向田邦子と白洲正子は二度と出ない。 出ないと思う。
こんなスゴイ人がいたのだということを、忘れたくないです。
    
ではまた来月。
  
   

11月某日「竹内まりや、エライッ!」
友人に通販頼んで、取り寄せてもらったCD「火曜サスペンス劇場主題歌集」(笑)。
聴きたかったんですワ〜、これ!
でも竹内まりやの「シングル・アゲイン」と「告白」が入ってない・・・・ちっ。
と、いうわけで、レンタル屋で「Quiet Life」を借りてきて、しっかりMDで“完璧版”(全十
七曲)を作りました。
ちゃんと年代順に、柏原芳恵の「化石の森」と真璃子の「あなたの海になりたい」の間に入れ
ましたわよ、ええ、“完璧版”ですもの!(笑)
         
しかし実はわたくし、「火サス」のドラマ自体はあんまり観てません。
ただ仕事の資料として、職種別に(「弁護士」とか「旅館」とか「ツアーコンダクター」とか)
かたっぱしからTV番組をビデオに録る習慣があったもんで、
「お、そろそろテープ止めにゃ。」
のタイミングで耳にしたエンディング・テーマばかり覚えているんですわね、「火サス」。
ドラマ本編も気合い入れて見ていたら、ちっとはミステリに強くなってたかしらん?
      
ま、それはさておき。
「火サス」のテーマソングはどれもみんないい曲ばかりですが、その中で選べといわれたら、
「シングル・アゲイン」ですね、わたしは。
「これぞ火サス!」のイメージソングは一番最初の「聖母たちのララバイ」(岩崎宏美)だし、
高橋真梨子の「ごめんね・・・」も聴くたんびに胃袋の底が震えるくらい唄うまいんだけど、
それでも<一曲だけ>となると、特に大ファン!というわけではないのに竹内まりや。
これは、耳で聴く一本の短いおはなしとして、もんのすごく良く出来ているなあ、と。
実に見事なメロドラマというか(笑)。
歌詞もメロディーもとてもスリムで、スッと始まって、ストッと終わる、そのあまりにも見事
な出来映えに感動するわけです。
ドラマのエンディングに持ってくるイメージソングにしてはちょっと、物語の起承転結がはっ
きりしすぎているので、「聴きようによってどうとでもとれる曖昧さ」に欠けるという難点も
ありますが。
それになにより、恋愛のタイプとしての好き嫌いとゆーのもありますが(笑)。
それでも、聴くたびに
「竹内まりやスゴイッ! 山下達郎エライッ!」
と思わずつぶやいているのでございます。
               

11月某日「五時にね」
やっと風邪も治りかけで、とにかく仕事。
で、夜の十時にA嬢と仕事場近くのコンビニ前を歩いていたら、なんと!
歩道にどこぞのオヤジさんがのびてるじゃありませんか!
抜刀(以下B)「・・・・酔っぱらいかなあ。」
A「だね。 ムニャムニャ言いながら動いてるから、とりあえず生きてはいるね。」
B「でも、今夜えらい冷えるしなあ。 とにかく声かけとこうか。」
A「明日の新聞に『オヤジ、路上に死す』なんて出たらヤだしねえ。」
 この見出しの発想は“日本一のオヤジ受け作家A嬢”(抜刀・談)ならではだぞ、Aよ!
B「おいさん、ちょいと、おいさん!!」(おいさん=おじさん なまってます、ハイ。)
A「大丈夫!? こんなとこで寝てちゃ、風邪ひくよ。」
「・・・・放っとけバカヤロォォ・・・・う〜んムニャムニャ・・・・」
B「ちょいと、おいさーん!」
「ムニャムニャ、五時になったら起こしてくれぃ・・・・」
 五時に起こせ・・・・って、あのな。
A「だめだ、こりゃ。」
B「よっしゃ、五時ね。 分かったよ。(起こすのは、あたしじゃないけどね)」
「頼んだぜ〜。 ムニャムニャ・・・・。」
ご近所のお巡りさんに頼みました。
      
おじさん、ちゃんと今朝五時に起きられたかしらん?(トラ箱で、な。)   
     

11月某日「いまごろナンですが」
風邪をこじらせちゃったまんま、もう十日ほどフラフラしております。
どうも「伝染されるたびの倍返し」とゆーか、後からもらった者のほうが症状が強力なようで。
最初にひいたジャンポールの方は、もうケロリとしております。
コンチクショーめ(笑)
体を動かそうにも頭痛と筋肉痛でにっちもさっちも立ちゆかないので、仕方ない、ゴロゴロと
本ばかり読んでおります。
こんなんでいいのか、4回目の結婚記念日・・・・トホホ。
    
それはそうと、わたくし9月の「桐橘宴」でパンフレットの
裏表紙を描かせていただいたので
した。 アップするのをコロッと忘れてました。
原画がないので現物からの取り込みです。 ちょっと見づらいですが・・・・。
     

11月某日「夢でもし会えたら」
友人にひとり「おもしろい夢を見る名人」がいます。
この人はカンナファンなのですが、しっかり彼女が主人公の、TVアニメ1本分に相当するスト
ーリーが、眠っている間に展開するわけです。
夢にありがちな、キャラクターや舞台がどんどん横滑りしてゆく曖昧なものではなく、ちゃん
と設定された中でドラマがくりひろげられてゆくわけで、しっかりオチまでついていたりして、
話を聞くたびに感心します。
これはもう「夢のストーリーテラー」と申せましょう。
見たい夢を見るというのは、ものすごい特技だなあとうらやましくなります。
    
生き別れになった人や死に別れになった人たちがいて、
「ああ、せめて夢で会えたらなあ。」
と思うのですが、なかなかどーして、滅多にかなうもんじゃありません。
その人のことを思い出して、ものすごく悲しくてせつなくて半ベソかいてふとんに潜り込んで
も、見た夢は
「大名屋敷で化け猫退治して、『これバケや、まあそこにお座り!』と説教かます。」
とゆー、大バカさんちゃこりんな内容だったりして。
しかも古今亭志ん朝の声でナレーションまでついている。
こんなもん見て目が覚めて、枕かかえてハアァとため息ついて。
「夢は潜在意識の鏡」だなんて誰が言ったの?!
誰か私の目の前に、フロイト先生でもユング先生でも連れてきてチョーダイッ!!

     

11月某日「なにはなくともおかずとごはん」
いやはや、とんでもない風邪ですわな。
というわけで、我が相棒ジャンポール(夫ともいう)と私とは、この一週間というものの交互に
寝たり起きたりしていました。 たまに体が空いて「さあ遊ぶぞ!」と思ったらこの有様じゃ。
風邪の合間、体調のいいときにやったことといえば、
1・めずらしく豚の頬肉を売ってたので、凧糸で巻いて焼豚をつくった。
2・ついでに煮玉子もつくった。
3・かんぱちのアラのべらぼーに新鮮なのが手に入ったので、大量の日本酒とショウガを投入し
  て大根と炊き合わせにした。
4・みそ汁用の油揚げの油抜き
  (大量の油揚げを一気に刻んで2度ゆでこぼして、ザルにあけてさまして、絞って冷凍)
・・・しょせん人間は喰って出して喰って出す生きもんであります。
いやしかし、わしらの食欲魔人っぷりは尋常ではないかも・・・。
   

11月某日「雨の日にキスはできない」 
     
遅ればせながら、手塚治虫賞を受賞したさそうあきらさんの「神童」を読みました。
音大を受験する青年と絶対音感を持つ少女の物語なのですが、いや〜、おもしろかったです。
     
昔むかしのず〜っと昔、わたくし、絶対音感の持ち主とつきあっていたことがありました。
そのころの住まいは5階で、寝室の窓の外、すぐ目の前を高架の高圧電線が走っていて、霧雨が
降るとジージーと結構大きい音で鳴っていました。(電気って鳴るんですよ〜、いや、ホント。)
この高圧電線の雨鳴りと台所の冷蔵庫のモーターの音とが、その人の耳にとっては耐え難い不協
和音だったらしく、
「ごめん、帰るときに戻すから、今だけ止めさせて。」
と謝りながらプラグを抜いていたなあ・・・なんて、「神童」を読んで思い出してしまいました。
そりゃ確かに、高圧電線は引っこ抜けないもんねぇ。(笑)
「警部・古畑任三郎」にも、音楽家の犯人が、犯行現場で熱帯魚の水槽のモーター音に耐えられ
ずにプラグを引っこ抜いてしまい、それが証拠になってしまう、という話があったなあ・・・。
       
「音は、見える。 どんな複雑な曲でも、3回聴けば譜面に起こせる。」
とその人は言っていました。(プロだったしね。)
でも、そのときたまたま仕事中だった私に
「なんか手伝おうか。」
とゆーてくれたので
「んじゃ、ベタ塗って。」
と原稿を渡したら、数分間コマとにらめっこしたあげく
「・・・で、出来ない・・・。」
と、深い深いタメ息をつきました。
「なーんで、簡単だよ。 ここのペケマークのとこ、線の内側を真っ黒くすりゃいいの。」
「・・・頭では分かる。 けど手が、それを塗れない・・・。」
なるほどなあ、メシのタネは人それぞれなんだなあ、と、そのときちょうどデビュー3年目だっ
た私はしみじみ思ったのでした。
      
カゴに乗る人、かつぐ人、そのまたカゴを作った人。
音が見える人、ベタ塗れる人、仕事してごはん食べてレンアイして、みんなどこかしら器用で、
どこかしら不器用。
「絶対音感」という凡人にはない能力も、ひっくりっ返せば冷蔵庫のモーター音ひとつで落ち着
いてキスも出来ない不器用さになっちゃってたわけで。
ぎこちなくコンセントを抜く白い背中をベッドの上でぼーんやり眺めていたわたしは、十年近く
たった今でも、あいかわらずベタ塗って(ベタ以外にもするけどさ)あいかわらずぼーんやりし
ています。
    
ちなみに今の相棒・ジャンポールは、絶対音感もなきゃベタも塗れませんが、どんなにチープな
食べ物でもものすごくおいしそうにニコニコして食べ、どんなに騒がしいところでも1分で熟睡
モードに入れるという御仁であります。
・・・タフな奴っちゃ。
   

11月某日「天特沖乃白帆(てんとくおきのしらほ)」
タイトル見て、何のことか分かったあなたはスゴイ!!
これ、昔の八百屋さんや水菓子屋さん(=果物屋さん)での、紀州みかんの等級なんだそうな。
「天」はそれこそ千疋屋や三越でしかお目にかかれない超高級品。
「特」は高級なお歳暮用。 「沖」は自分で買って食べるにはちょっと高いかなーというランク。
ふだん八百屋の店先に一山いくらで並んでいるのは「乃」や「白」。
「帆」は、小さくて酸っぱくてお茶の間では不評。
「天・特」はスペシャル、「沖・乃・白・帆」が普段用なわけですが、さて、この「沖乃白帆」、
紀伊国屋文左衛門のみかん船が由来らしいんですな。
江戸時代の端唄(はうた・三味線にあわせて歌う短い俗謡)「かっぽれ」のなかに
かっぽれかっぽれ、ヨーイトナ、ヨイヨイ
 沖の暗いのに白帆がサー見ゆるヨイトコリャサ
 あれは紀伊国ヤレコノー、コレワイノサ、ヨイトサッサッサ
 
みかん船じゃえサテ、(このみかん色の部分は全部かけ声なわけで・・・にぎやかな唄だワ)
というのがありまして、これにちなんだ呼び名らしい。 なんと風雅な。
確かに「優・秀・良」や「AA・A・B・C」のほうが、パッと見た瞬間誰にでも分かるランクの
付け方だけれども、符丁めいた「沖乃白帆」のほうが、のんびりした遊び心があって楽しいです。
みかんに対する愛情、「嬉しいな、楽しいな、おいしいな」度(そんなのあるのかと言われても、
今わたしが作ったのじゃ)ははるかに上というか。   
   
高等数学を知っているより、数え歌をたくさん知っていたほうが、人生楽しいもんね。

11月某日「マリアのモノサシ」
92歳の「ウチのばーちゃん」こと養母の知人【O】さんは102歳!
先日母に
「Oさんとは、ひとまわり違うのねえ。」
と話したら
「いんや、あたしゃ十(とう)しか違わないよ。」
と言われて、しばらく考えてから、ああ、そうか!
「ひとまわり年が違う」
の【ひとまわり】って、私くらいの世代だとイコール10年なんですが、彼女たちの感覚では
「干支のひとまわり」、つまり12年なんですわな。
「あたしは明治40年生まれだけど、Oさんは明治30年だから。」じゃなくて、
「あたしは未(ひつじ)年生まれだけど、Oさんは酉(とり)だから。」なんです。
しかも年の数え方も、生まれたときが1歳で正月が来るたびに全員ひとつ年を取る【数え年】で
考えているので、母は93、Oさんは103歳ということになります。
これだと12月24日生まれのレニは、生後9日目には2歳。 う〜ん、どうりで子供っぽくな
いワケだ・・・違うか(笑)。
   
生まれ育ったときに身に付いたモノサシ(度量衡)の感覚というのは強いもので、母の頭の中で
は長さは尺、重さは匁(もんめ)、年は数えになっています。 金銭感覚も時々逆戻りしちゃう
ので、
「植木屋さんの支払い15万円よ。」なんて切り出すと
「万円って、そりゃ国家予算かい?!」ってことに(笑)。
「15円50銭!」と言うと納得してくれるんですが。
   
ロシア生まれのマリアも、心の中では
「私はロシア暦6月6日生まれ、身長2アルシン10ベルショークで体重3プード38フント」
なんて考えているんですかねえ・・・。
      
ちなみに1ベルショークは約4・45センチ。 16 ベルショークが1アルシンで3アルシンが
1サージェン。 500サージェンが1ベルスタ(約1キロ69メートル)で、これが「露里」。
1ゾロトニクが約4・3グラム。 3ゾロトニクが1ロト、32ロトが1フント、40フントが
1プードで8プードが1チェトベルチ。
(平凡社「ロシア・ソ連を知る事典」より)
十進法、十二進法なんて通用する世界じゃありまへ〜ん!
革命前のロシアで算数が得意なやつがいたとしたら、そりゃきっと天才だと思うのよ、わたし。
   

11月某日「ボトルがわしを呼んでいる」
仕事だなんだでバタバタと走り回っているうちに、気がついたらもう11月。
今から走ってるようだと、「師走」には飛んでいるかも・・・・(笑)
      
スタートから一ヶ月とちょとっと、このホームページもあいかわらず仮設のままで、雑記とカク
テルのレシピしか増えてまへん(トホホ)。
今回の新作は
「エンフィールド・改」
ついでにレシピも増えてちょっと重たくなったので、カクテルごとにわけてみました。
トップのマリアのお宝箱から
カクテルのメニューページへ入れます。
    
さて、こんないーかげんなホームページ
「まず見るヒトもおらんじゃろ。」
とボエ〜っと構えておりましたら、なんと! ご覧になった方からお便りをいただいてしまった
りなんかして、いやはや、ありがとうございます。
しかもその方はわざわざ「アイリッシュ・ミスト」を探し出して、ご自分で作って飲んでくださっ
たそうで。 
・・・・マニアックな酒でごめんなさい、探すのたいへんでしたでしょう(笑) 
今度の「エンフィールド・改」はカルヴァドス(アップルブランデー)ベースですので、アイリッ
シュ・ミストよりは若干手に入りやすいか、と。
・・・って、あくまでもヒトさまに酒を飲ませよーという魂胆のわたくしでありました。
   
呑んべなわたしは、封を切ったばかりのボトルを傾けるとき、気泡が入ってビンの肩のあたりが
「ゴプゴプゴプ」
と鳴く、あの音を聞いただけでもうウットリしちゃいます。
同様の理由で、ウィスキーでもシェリーでも、スクリュー・キャップよりコルク・キャップの方
が好きです。 バーボンでは「オールド・グランダッド」という、ふつうより首の太いボトルを
愛飲しているのですが、これはコルク・キャップを開けるときに
「ギュポォォォォン!」
と、そりゃもう、い〜〜〜い音がぁっ!
   
あぁ、ボトルが鳴いてわしを呼ぶのじゃ。(笑)
    

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