北欧の”究極”ウォッカ アブソルート
今回はアメリカ・ロシアと並ぶウォッカの生産地である
北欧の中から、プレミアムウォッカとして人気の高い
スウェーデンの「アブソルート」を紹介したいと思います。
スウェーデンでのウォッカの生産は15世紀に始まっていますが、それは
ウォッカというよりも穀物や輸入ワインを原料とした荒削りな
蒸留酒といったものでした。この当時のスウェーデンは
好戦的な国王の下(またバイキングの血を引くという国民性もあったようですが)、
戦争を繰り返していた時期のため、主な用途の薬用、飲用以外にも
戦意高揚や火薬作成に利用されていたようです。
アブソルートウォッカの大元となる新しいウォッカはスウェーデン国内で
「ウォッカ王」として知られていたラース・オルソン・スミスにより1879年、
連続蒸留器による蒸留方法を導入したオフスという蒸留所にて生産されました。
その後1913年にラース・オルソン・スミスが亡くなるまで、新しい
ウォッカの販路は拡大されていきました。さらに時代は下って
1970年代、アブソルートが100周年を迎えるにあたり、
Vin & Sprit AB (The Swedish Wine and Spirits Corporation-酒類専売公社)
によって海外(特に巨大なウォッカ市場であるアメリカ)に輸出される事が
決まったのです。当初はAbsolute Pure Vodka というブランド名で
販売しようとしたようですが、アメリカでは「究極の、絶対的な」の
意味を持つ形容詞は商標登録が出来なかったため、
”absolute”の最後の”e”を除いた形で「ABSOLUT」として登録されました
(この時"ピュア"が商標に使えないという事で削除されています)。
当初このウォッカは「バイキング」をイメージするブランドとして販売を検討
していたようですが、「白い」=クリアなイメージを持つ形に変わったようです。
このイメージを重視するため、ボトルに関しては鉄分の少ないクリアな
ガラスボトルを作り、ロゴカラーとして青色が採用されました。
ボトル正面に貼られた人物がラース・オルソン・スミスです。
アメリカ他、海外に売り出した当時は無名で売れるかどうかも疑問視されて
いましたが、アブソルートのボトルをモチーフにした独自でユニークな
広告展開により、アブソルートはその後飛躍的に名を売る事になります。
アンディ・ウォーホルなどが起用されたそれらの広告は
現代アートと融合し、「アブソルートアート」と呼ばれ世界中に
センセーションを巻き起こしました。
アブソルートの広告を手がけた人を「アブソルートアーティスト」と呼びます。日本人初の
アブソルートアーティストは1992年の横尾忠則でした。
アブソルートの広告はアメリカの広告業界で最高の賞であるエフィー賞・ケリー賞を
両方とも受賞し、アメリカ広告協会における3つの殿堂入りブランドの
うちの1つにもなっています(他2つはCoca-CoraとNike)。いまや
アブソルートの雑誌広告の数々はコレクターズアイテムにもなっているそうです。
こうした広告の効果もあり、2001年現在、アブソルートは世界のスピリッツ
売り上げの第3位の地位を占めるに至りました(1位-バカルディ/2位-スミノフ)。
アブソルートの主原料はスウェーデン南部で生産される秋まきの小麦です。
この小麦100%と天然の井戸水を合わせて発酵させ、その発酵液を数十回に
わたって連続蒸留し、最終的に同じ井戸水でアルコール度数を調節し、
アブソルートウォッカが精製されます。その味わいは原料の小麦をうけ、
ほのかに甘味を持ったものになっています。
定価は1940円ですが、ディスカウントショップでは1000円前後で
入手できるでしょう。手軽に購入できると思いますので
試してみてはいかがでしょうか?