□□ perley 17石 手巻き □□
□2009/5/2


 今回の時計は、4つで4500円くらいで購入したもののなかのひとつです。たぶん、アメリカ製です。PRELYという名前がついています。それがメーカー名から、モデル名かは不明です。


機械は手巻きの中三針式。テンプの輪っかには、チラネジと呼ばれる重りがついています。この重りはネジ式になっているので、緩めたり締めたりすることで、輪っかの重心を調整することができます。

できますが、私は、原則としてここはいじらないようにしています。テンプは、洗うだけ。あとは、完成後に緩急針をちょっといじる。これだけ。これ以上触ると、調子が悪くなることのほうが多いんです。


と、裏を見ると、見たことある表示。そう、前回分解した「mercyry」の機械にあったメモリ、FF、28 と同じ表記が刻み込まれています。おそらく同じタイプのムーブメントです。どちらもオークションでゲットした時計ですが、取引相手は、まったく違う人です。偶然ですが、数ある、しかも、さして有名でもない、販売メーカーも違う2つの時計が、同じムーブメントを搭載しているのというのも、なにか縁を感じます。ただ、縁を感じるモノの、詳しいことはまったくわかりません。

※さして有名でもない、って書いていますが、その後調べたところ、FFという表記は、実はFHFという表記かも知れません。FHFというのは、フォンテンメロンというムーブメントメーカーの略称。今ではETAに吸収されているらしいですが、それなりに由緒正しい高級ムーブメントメーカーです。つまり、フォンテンメロンだとすると、有名でないどころか、かなり時計通の間では有名なメーカーです。古いのにしっかり時間のあう時計だとは思っていましたが、なかなか立派な機械かも知れません、とトタンに手のひらを返す感じが情けないですが…。


輪列押さえをはずしたところ。やっぱり直接中三針方式ですね。


この機械にもややオイルが残っていました。同じ人から購入したROYAL PRINCEと同じ種類のオイルのようです。


ゼンマイを分解していて一番驚いたのが、これ。ゼンマイって、大きなS字カーブを描いているようなクセがついているのが普通です。こんな風に丸まっているだけのゼンマイは、初めてみました。同じムーブメントと思われるマーキュリーも、S字型だったはずです。なぜ、これだけ単なる渦巻きなのか? これで、大丈夫なのか? 不安でしたが、メンテナンスを終えて調整してみると、ちゃんと時間もあいました。

普通のゼンマイの形
http://www.ne.jp/asahi/banana/milk/image/tokei/croton/P4071804.jpg



この時計で一番熱心にやったのは、文字盤の洗浄。周辺部は真っ黒で、12時の上のほうは、まるで焼けこげたように黒ずんでいました。その写真がないのが残念です。撮ってないんです。

これは落ちないな、と思いながらも洗剤革命でチョコチョコやってみると、意外と落ち始めました。それで、一気に量を増やして、かつ、超音波洗浄機を使いウォッシュ。かなり白くなりました。例によって、文字も少し消えていますが…。

ただ、完全な真っ白にはならず、アンティークの味わいも消えて、新品同様にもならずという結果。どこまで汚れが落とせるか、という実験にはなりましたが、出来上がりとしては微妙です。

そうそう、この時計を組み立てるところで、ひとつ大きな発見がありました。それは、石を固定するネジを締めるのにも、力加減がある、ということ。

実は、一度組み立てたのですが、テンプがうまく動きません。オイルを刺し直したりしても変化なし。これは、テンプの軸が復活できないほどにいたんでいたのだろう、と思っていたのです。でも、文字盤もキレイになったことだし、どうにかできないものかと、さまざまなところをいじっていました。

そこでひとつ気づいたのです。普段は軸受けの石を外すことはないので、分解・組み立て時もそのネジにさわることはないのですが、ちょっと触ると、非常に固くしまっています。それで、ちょっと緩めてみました。すると、テンプが、その瞬間から元気に動き出しました。

この時計は、非耐震機構なので、軸は遊びなく固定されています。しかし、ネジの締め具合によっては、若干の遊びを作ることができるのです。しかし、ネジがきつく締められすぎていたので、テンプの軸の動きに余裕がなくなり、動きが悪くなっていたのでした。この知識は、今後、とても役に立ちそうです。

軸受けの説明は、ROYAL PRINCEのところでやっているので、そちらを見てくださいね。




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