□□ 時計の分解 □□
□2009/2/28


2月28日前後の日記で話題にしている45キングセイコーです。ちょっとだけ緩急針をいじって、精度調整をしようとしていたら、手先が来るって触ってはいけないところを触ったらしく、まったく時間が合わなくなりました。丸一日かけて、ちょっとずつ動かし、時間をはかりますが、一番、調子がいいところでも、2分で1秒くらい進みます。2分で1秒といったら、1時間で30秒。1日なら12分も進むことになります。これでは使い物になりません。どうも、テンプという、シロートが絶対に触ってはいけないところを、私が動かしてしまったことが原因のようです。

といって、蓋を開けて上から眺めているだけではハッキリと原因がわかりません。意を決して、テンプをはずしてみることにしました。


テンプをはずした写真があればあいいのですが、その時は、もうすっかり意気消沈して、せっかく買って、しかもオーバーホールまで御願いした時計を壊してしまったという思いで、写真どころではありません。しかもシロートが触ってはいけないテンプを、触るどころか、はずしてしまうという暴挙。ちなみに、テンプというのは、上の写真の右下部分。ゼンマイ状のものがついている輪っかです。その上の+-がついている台座と一体になっています。+−の所のネジが緩急調整ネジです。このテンプの動きをうけて、歯車が回り時を刻みます。いわば、いえ、そのものズバリの時計の心臓部です。

はずしてみて、ループで覗きながら、原因がやっと特定できました。ゼンマイ状のもの(ヒゲゼンマイっていうのかな?)の長さで、時間が早く進む、遅く進むを調整する仕組みなのですが、(この知識も、テンプをはずしてからネットで得たものです…)、台座から出ている2点でその長さを調整されています。ところが、1点がロックされているので、いくらそれを動かしても、ゼンマイがたわむだけで、実際の長さが調整されていないのでした。ロックをはずし、バネがスルーするようにしてから、レバーを動かす必要があったのです。

仕組みがわかったものの、ヒゲゼンマイは非常に繊細。爪楊枝でチョコチョコさわりまがら、たわんだ部分ももとにもどします。そして、これでよさそうとなり、機械を取り付けるのですが、これがまた一苦労。テンプの芯を時計の所定部分に差し入れ、しかも、その芯から出ている、ノミの半分くらいの突起を、歯車の一部と噛み合わせなければなりません。

もっとも、どうせ上からしか見えないので、一生懸命やっても、テキトーにやっても、カンで行う作業です。1回目は、取り付けてから時計を動かしても、まったく針は動きませんでしたが、2回目には、運よく歯車と合致したようで、時計が動き始めました。ホント、機械式時計ってよくできています。

テンプの調整がうまくいったようで、緩急針周辺をいじることで、時間が進むだけでなく、遅らせることもできるようになりました。ここまでくれば、あとは、根気よくやれば、ベストポイントが見つかるのは時間の問題です。それで、余裕が出てきて、写真も撮っておこうかとなった次第。


作業風景。

x
ii