□□ エニカ 3種 失敗続き □□
□2009/4/18


今回は、エニカという時計です。今回は、失敗続きでした。最初、ゼンマイ切れのジャンクを入手。ゼンマイが切れいていることを除けば、文字盤もキレイで、機械の状態もよいようです。ゼンマイを手に入れるため、別のエニカのジャンクを入手することにし、オークションで購入しました。ところが、それが待てど暮らせど、到着しない。詐欺か! とも思ったのですが、先方も発送し領収書も持っているとのこと。郵便事故のようです。(まぁ、2%ぐらいは疑ってしまうんですけどね)。

それで、エニカ1号(仮称)復活を諦めました。実は、この時計、友達にプレゼントする予定だったのです。コレって決めていた分けじゃないし、期日も決めていたわけじゃないんですが、なんか気持ちが焦ってしまって、別のエニカをゲット。これ、通常なら買わない、ちょっとお高い元の状態のよいエニカ、2500円(エニカ2号)。他人にあげるにはちょっと高いですが、まぁ、いいかと。もし、この時計の機械の状態が悪くても、ゼンマイ取りだってできるし、と。

で、慌ててオーバーホールしわけです。それがこの週の火曜の夜。

水曜日の午前中にはケース収納も終わり、時間調整がややいい加減ですが、まぁいいかと友達に、キミ用ができたよ、と連絡しました。

すると、土曜日に受け取るという話になり、やや余裕ができたのです。それで、金曜日に、もう一度時間調整だけしておこうかとタイムグラファーにかけました。すると、時間がやや不安点なんです。24時間で考えれば問題はないのですが、短い時間ではふらつきが出ています。

それで、自分でもやってはいけないと自重しているヒゲゼンマイの調整を、つい、いや、ホント、つい、やってしまったんです。

そしたら、ヒゲゼンマイを破損。修復できる可能性は10〜20%くらいかなぁ。

もちろん、友達にあげる予定の土曜日には間に合いそうもありません。と、思っていたら、 郵便が到着。エニカ1号の復活計画用のジャンク、エニカ3号が到着。到着してみると、ジャンク不動で購入したのですが、状態はいいようです。ゼンマイ取り用に購入したので、ゼンマイも元気。蓋を開けて見てみると、中身もシャンとしています。サビなどもありません。動かないのは、単純に油切れのようです。

そこで、急遽、エニカ3号の復活に着手。最終的にはエニカ3号がとてもよく仕上がりました。今回は、そういう話です。


これがエニカ1号(21石 AR cal.1010)のオークションでの状態。風防はヒビだらけですが、透けて見える文字盤は傷がないようです。ちなみに、風防は500円くらいで入手できます。文字盤の再生は20000円くらいかかります。


エニカ1号を磨き上げ、風防を交換した状態。キレイになってるでしょ。オークショントラブルに遭遇しなければ、この1号が見事復活する予定でした。現在も、パーツは分解・洗浄されて復活の日を待っています。


これがエニカ2号。まだ、オーバーホール前の状態。アンティークといっても70年代のエニカのシリーズのようです。この状態で2500円は安い買い物ですが、最近1000円代の時計ばかり狙っているので、お高い買い物でした。タイムグラファーで見てみると、1日に2〜3分の遅れ。たぶん油切れでしょう。


さぁ、メンテナンスしようと思って裏蓋を見てみると、なんと初登場の15角形タイプ。私が持っている裏蓋オープナーを使って30分以上格闘しましたが、まったく開きません。最初の挫折。うまくいかない時って、1から10までうまくいかないんです。2500円が蓋も開けられず無駄になってしまうのか…


上の道具。風防を入れるためのグラスヒッターいう道具です。中古でゲットしていました。ところが購入したあとでわかったのですが、風防交換では、この道具がないならないでも交換できるという事実が判明。それで活躍の機会がない状態でした。それをハタ、と思い出し、15角形ネジ開けにチャレンジ。初めてグラスヒッターが役に立ちました。



これがエニカ2号(17石)の機械。AR cal.160というムーブメントでした。



この機械でおもしろかったのは、上の写真中央付近の、赤いルビー。17石のうちのひとつのルビーが、こんなところに使われている機械は初めてでした。普通、ここは地板から金属の棒が出ているだけなんです。ちなみにルビーは、摩擦が多いところに使われます。金属よりも摩擦が低く耐久性があるからです。

ちなみに、上のルビーが入っている場所は、リューズで時間調整する時に、リューズの回転を針の歯車に伝える仲介の歯車が入る場所。滅多に活躍しない歯車です。なぜ、そんな使用頻度が少ないところに、数少ないルビーを使ったのか? なぞの設計です。

※後記
上のルビーが入っている所。リューズ操作だけって書いていますが、実は、時針を回転させるための、日ノ裏車とかなんとかいう歯車でした。1時間に30度しか動かないので、滅多に動かないところというのはあってないわけでもないですが、リューズ操作だってわけではなく、時計の根幹に関わる大事ば場所です。

この時点ですでに10個近く時計を分解・組み立てしているのに、なんでもそんなことに今頃気づくのか? それが私の凄いところです。理由はちゃんとあります。実作業では、ここはリューズ周りと認識されています。また、リューズ周り、裏側の輪列、テンプと作業が終わると、時計組み立てはほぼ終わり状態。あとは、文字盤つけて、針つけて、ケースに収めて終了という展開。組み立てで疲れ切った私は、ここで一息ついて、あとは勢いで完成させていたので、文字盤側の仕組みを本当には理解しないまま、動けばよかろうだったのです。

だから、秒針が動く仕組みはよくわかっていても、時針、分針が動く仕組みは、イマイチ理解しないままの作業でした。今日(4/21)、たままた、壊してしまった時計の機械を眺めていて、ハッ! と思ったんです。時針と分針が動く仕組みってこうなっているの!? って。バカです。



機械の回りには機械を固定するためのリングが入っています。おそらく、この金属製のリングは耐磁性を高めるためにも使われていると思います。アンチマグネティックと記載されたエニカは、この金属リングが入っていることが多いようなので、たぶん、そうだろうと思います。



そんこんなで、オーバーホールを終えたエニカ2号。日差もまぁまぁよく出来上がったのですが、その後、時間調整で禁断のヒゲゼンマイにチャレンジし、失敗。動かせなくなりました。



ちょうど、エニカ2号の失敗で落ち込んでいる時に郵送されてきたのがエニカ3号。これ、オークションでの状態です。文字盤の周辺がやや茶色くなっていますが、わりとキレイです。磨けば光を取り戻しそうな気配。不動ですがゼンマイは巻けます。



これがエニカ3号(エニカ17石 AR cal.980)の機械。キレイです。おそらく、そう遠くない前にオーバーホールされているでしょう。ただ、分解し始めてわかったのですが、どのネジも、とてもきつく締められていました。時計のネジって、全体に緩めに締めるのが基本です。そうしうないと歯車に余裕がなくなり、動きが悪くなってしまいます。案の定、分解を初めて、ネジを緩めはじめたら、ゼンマイがほどけてきて、歯車が動きだしました。これまた、私のようなシロートによる分解、洗浄が過去に行われているのでしょう。



で、大急ぎで分解、洗浄、組み立てを行い、出来上がったのがコレ。エニカ3号。これ、実に渋い仕上がり。風防は変えていないので、それだけが弱点ですが、キレイに仕上がりました。今回は、慌てながらも文字盤の修復にチャレンジ。前回までの失敗で、「洗剤革命」が文字盤の汚れに効くことはわかっていたのですが、同時にインクも消してしまうことがありました。今回は、「洗剤革命」を綿棒につけて、ちょっとずつ汚れを落としていったので、文字を消すことなく、茶色に汚れを消すことができました。まるで考古学のような作業で、時間もかかりましたが、仕上がりがよかったので満足です。もちろん、動作も万全。洗浄し油をさし、適度なネジ締めで、日差15秒程度には収まっていると思います。

ちょっとプレゼントするのが惜しいくらいですが、まぁ、いいでしょう。




x
ii