□□ TEJANNE スモールセコンド □□
□2009/4/4


今までのは、分解・掃除を習得するまでの肩慣らし。ここからがいよいよ本戦です。

というのも、これ、1000円で落札したジャンク品。不動と書いてあったものです。ついに、最初から動かないものに手を出す決意をしたわけです。年代も、メーカーもハッキリしません。ネットで調べてみてもなんの情報も見つかりませんでした。


機械は10石の手巻き。大きさは25mm程度。ボーイズかレディース。作りからみると1950年代くらいでしょうか。文字盤はホーロー。50年以上前のものと考えれば、わりとキレイです。オークションの記載では、不動でしたが、到着してみると、動くには動きました。タイムグラファーで見てみると、ものすごい遅れ状態を示します。動くのがやっとという感じ。


これが蓋を開けて、テンプとアンクルを外したところ。

通常、ケースから機械を外してから、このテンプをとる作業を行います。なぜ、ケースつきのまま、外したのか?

機械を抜くにはリューズを取る必要があります。それでリューズを止めるネジを緩め、リューズを取ろうとしたのですが、まったく抜けません。たぶん、リューズを抑える板が固着してロックを解除できないのです。それで、ケース付きの状態のままはずせるパーツをはずし、リューズが抑える板のところまで行こうと決心したのでした。

そんないろんな決心をしてテンパってしまったので、写真の数も少ないです。


その後、紆余曲折ありました。さまざまなパーツをはずし、リューズを抜くところまでいきました。それで機械をケースから外そうとすると、それでも抜けません。なんと、表側のベゼルと風防を外さないと機械が抜けない構造のようです。昔の機械には、そういうタイプが多いようです。そこでまたテンパってしまい写真もとらずに、一気にこんな状態になってしまいました。でも、この写真をとっていたおかげでちょっと命拾い。

機械の上のほうの銀色の板。中央にネジがあります。このネジを外せば板が取れそうです。そう思い、ネジをはずしました。しかし、板が取れません。これまた油が古くなり固着しているようです。で、ちょっと力をいれてコキコキやっていたら、パカッとはずれました。はずれたのはいいのですが、なんと歯車が3個も落ちてきました。どこにどうついていたのか、まったくわかりません。それが、あとでこの写真を見て、歯車の付き方を想像することができました。センターに1個、左右に1個ずつの3つの歯車が、ちょっとだけ写っています。

ちなみに、これはリューズの根元のところ。これまで分解した時計には、こんなところに歯車が3つもついた機種はありませんでした。まったく違う構造です。


そのほかにも紆余曲折あったのですが、すべて飛ばして、おれが組み立て直後の写真。今回は、たぶん、これまでの分解・組み立てのなかで一番出来がいいと思います。トラブルはあったものの、それを迅速にクリアし、テキパキと分解・掃除・注油・組み立てを行っています。組み立てた直後から、動きがよくなっていることがわかりました。その後、タイムグラファーにかけても、非常に優秀な状態。日差20秒弱でしょう。ちなみに、テンプでの時間調整はなし。つまり、昔、昔に誰かがやった時間調整にピッタリあうほどに、うまくメンテナンスができたというわけ。やや自慢。


今回、機械のメンテナンスだけでなく、文字盤や針もキレイになっています。うまく汚れをほぼすべて取り去ることができました。ホーローだから汚れが染みになりづらいのですね。


あまりに作業がうまくいって、かつ、時計の状態も止まりカケから、日差20秒くらいにまで蘇生できたのがうれしくて、革ベルトも買って上げました。ヨドバシで1500円。なんと本体より高いです。でも、最初の薄汚れた写真から比べれば、高級感も漂います。ブルーの時間針もなかなか素敵です。

ただレディースなんですよねぇ。どうしようかなぁ、これ。




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