□□ ハミルトン カーキ □□
□2009/3/11


時計の分解を始めたという話をしたら、知り合いからセイコー5の提供を受けました。その方も20代の頃に使っていたという話なので25年くらい前の時計です。前回のハミルトンは、カレンダーなしの手巻きでしたが、今回は、曜日カレンダー付き、そして自動巻き、さらに、リューズのワンプッシュで曜日が替わる仕組みと、かなり複雑です。分解初心者の私には荷が重いチャレンジでした。まぁ、壊れてもいいよ、という提供でしたが、他人の時計を壊すのは気が引けます。


これは裏蓋を開けたところ。すでに、自動巻き機構の要であるローターという部品は取り外しています。中央のネジに固定されていて、時計を動かすたびにクルクルと回り、その連動でゼンマイを巻く仕組みです。分解の時には、そのクルクル回るのがなにかとジャマなので、最初に取り外した次第。


機械を取り出し、ムーブメントホルダーに設置。このムーブメントホルダーというのは時計分解の専用工具です。たいした仕組みではありませんが、専用なだけによくできています。簡単に時計を固定することができ、作業がとても楽になるんです。


針を取り外したところ。針もすぐに曲がったりするので、早めに丁寧に取り外します。外から見えるところは、ちょっとした傷をつけただけでも、目立ってしまうので、簡単な作業でもとても慎重にする必要があります。

と、いっても、私は、この時点ですでに一度落としているのですが…。


分解を始める時点では、特に気にも留めていなかったリューズ。のちのち、これがこの分解での山場になりました。ワンプッシュ式の曜日変更で、リューズの戻りが悪いという修理依頼もあったのですが、機械を分解してもリューズの戻りは問題なく、結局、時計の仕組みではなく、リューズの裏にたまった汚れが、リューズの動きを悪くしていたというオチでした。この部分って、とても汚れやすいようです。


文字盤を外して、曜日、日付板のみになった状態。時計の日付の仕組みってこんな感じです。これがどのように動いているのかを見ながら外していきます。これがとっても複雑です。こうやって写真をとっているのも、ホームページ用というわけではなく、分解の手順を逐次記録することで、あとでわからなくなった時に、写真を見直し取り付け方を確認できるからです。ですから、写真は、ここで紹介しているものの数倍撮影されています。しかし、前回のハミルトンでは、ここまで写真を撮っていません。それは、初めての分解に緊張してテンパってしまい、写真を撮るのを途中で忘れてしまったからです。その分、組み立ては苦労しました。


このセイコー5 7009で最も苦労したのが赤い丸で囲んだ部分。その回りは日付カレンダーを押さえる板があり、これを取り外すために、いくつかのネジを外していました。その勢いで、つい赤丸のネジも外したのですが、実は、このネジは押さえ板の下の部品のネジだったのです。しかも、それはバネに一体になった仕組みのもの。ネジをはずしたために、バネの勢いで、あっという間に、最初の形ではない所に戻ってしまいました。しかも、その時点ではカレンダー押さえがあるため、元の形が私には見えていないのです。組み立ての時は、想像を駆使してバネと組み合わせていきましたが、なかなかピタリとした形にならず、数時間格闘しました。


上の写真からカレンダー押さえを外したところ。ネジのとれた部品があります。この形は、正しい形ではないのですが、私は、はずれた状態しかわからず、元々どうなっていたかが不明だったのです。この黒いパーツのうらに小さなバネがあり、それもはずれているんです。


今回は、輪列側の説明はパス。おおよその形はハミルトンと同じ感じ。上の写真はパーツを完全にバラしたところ。このあと、ベンジンを使ってパーツを洗浄し、時計用のオイルを塗りながら組み立てていくのです。

結果的にはどうにか組み上がりました。ワンプッシュ部分の動作も良く、リューズ操作はスムーズになりました。しかし、なぜか、テンプの動きが鈍く、時間もやや不安定な仕上がり。この時はわからなかったのですが、私が持っている道具のひとつが、帯磁していることがわかりました。どうも、その影響で時計も帯磁してしまったようです。なんだか、慎重にならないといけないことが多くて、時計の分解は大変です。



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