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 緊張で目に見えない僅かさで震える紅葉の身体を宥めるように、背中に掌を這わせる。
 仕込みに仕込んだ紅葉の身体は、その程度でも感じてしまうのだ。
 普通の人間ならくすぐったい程度の感覚なんだろうけれども、紅葉は完全な快楽として
受け止めてくれる。
 「ん、くっつ!」
 必死に唇を噛んで、愛らしい嬌声を殺そうとするのに、眉を顰めた。
 「くーれは?唇噛むな。すぐに噛み切っちまうんだから」
 「っるさいっつ!」
 「もー素直じゃない。そゆとこも可愛いけどな。ほら、あーんだ」
 決して噛み千切ったりはできないのを承知で、紅葉の口の中に指を捻じ込む。
 一番長い中指を根元まで差し入れて、やわらかい舌に絡めてしまう。
 「や!タ…つ……ま、ぁ……」
 ディープキスでもされてる気分になったんだろう。
 声に益々艶がかかる。
 正面から見れないのが寂しいが、代わりに村雨が、紅葉の狂態を食い入るように見ている
ので、よしとしよう。

 「せっかく機会だから。少しぐらい、しこーにも参戦して貰おうな……腕持っとけよ。レイプして
 るみたいで、いい気分だろ?」
 返事はなかった。
 が。
 紅葉の手首は、近くに寄ってきた村雨の指先できつく拘束されてしまった。
 「むら、さめ、さ?」
 絶望の色が差した紅葉の瞳は、堪らなく征服欲を煽られる。
 そのまま、指を引き抜いて、口付けた。
 抵抗はない。
 指で遊んだ分、紅葉の口腔は蕩けていて、まるで下の口のように温かだった。
 目は見開かれたままで、村雨に、見ないで下さいと訴えたままで。
 そんな瞳をまた、村雨がいとおしそうに見詰め返すのに無償に腹が立って、掌で紅葉の瞳を
覆う。
 視界を奪われた紅葉は必然、キスに溺れざるえなくなり、喉を詰まらせながら俺のキスに答
えてくれた。
 俺が満足しないとわかっているのだろう。
 必死のキスは珍しく情熱的で、唇を離す時には、透明の糸が繋がった。
 「すっげ。艶々だな。紅葉の唇。食べちまいてーよ」
 言いながら唇に歯を立てる。
 力は入れなかったが、歯の当たり所が悪かったらしい。
 鉄の味がする。
 どうせすぐに止まるだろうと、傷部分を集中的に舐めていたら、この赤い唇に、どうしてもナニ
を突っ込みたくなった。
 久しぶりのフェラチオだ。
 「紅葉、銜えて?」
 「……ああ」
 村雨との間に何らかの意思疎通がなったのだろうか、紅葉はすっかり無表情になってしまっ
ている。
 まぁ無表情でも何でも、紅葉のフェラは文句なしに俺のイイとこをついてくれる上手さなので
問題もない。
 薄く開かれた口に、アレを一気に根元まで突っ込んだ。
 苦しげに紅葉の身体が大きく跳ね、俺は紅葉の胸に乗っかっているので、そのまま体重を
かけて、紅葉の動揺を封じる。
 村雨も腕に力を込めたようだった。
 目を伏せた紅葉の、頬をがっちりと固定して喉奥までを使ってみた。
 額に皺がより、閉じた瞳から涙が伝ったが、抵抗は全くない。
 恋人同志なのに、抵抗もへったくれもねーよなぁ、とか思うんだけど。
 そんな仲だからこそ、許されない勝手というものがある。
 喉まで使ってのフェラも、十分上げられる要因ではあるだろうよ。
 「出すぞ、紅葉」
 ふるっと、首が振られる。
 さすがに、こんだけがっちり固められた状態で、喉奥になんか出したら嘔吐するってことか。
 俺は、目を閉じているのをいいことに、手早くアレを紅葉の口から抜き取って、万遍なく顔射
してやった。
 顔のあちこちを、とろとろと精液が伝っている姿は実に淫らだった。
 村雨が喉を鳴らす音も聞こえる。
 「あ!そうだ、しこー。いい事考えた。紅葉の中、弄ってみねぇ?」
 「龍麻……」
 「ナニ突っ込むのはさて置き、指と口なら許してやんぜ?」
 「いい加減にっつ!」
 「紅葉が、尻弄られて身悶える顔、見てみたかったんだ。どうなってっか、実況中継しながら
 やってくれよ。なぁ?いいだろう」
 ゴメンだな。
 なんて、返事があるとは思いもしなかった。
 こいつは、もう。
 紅葉の色気に中てられてしまっている。

 「ああ」
 「っつ!らさめさんっつ!」
 「悪りぃな。紅葉」
 「謝るくらいならっつ。しないで下さいっつ」
 「そりゃあ、もぉ。無理な相談だ」
 どんな顔をして言うのかと、首を捻じ曲げれば。
見えたのは、にぃ、と口の端だけを上げた笑い。
完全に、共犯者のソレ。
 絶望に彩られた紅葉の瞳は、相変わらずに綺麗だった。
 俺は、紅葉の頬をびたびたとナニで引っ叩いて、その瞳の色を透き通らせると、身体を跨いで
畳の上を転がる。
 「せっかく、紅葉が蒲団を敷いてくれたんだぁ。そっちに移動すっか」
 「……だな。よっと」
 「なにをするんですっつ!」
 「お姫様抱っこ」
 激怒する紅葉相手に、しれっと言ってのける村雨は、やはりなかなかの大物。
 「先生にされるよりは、いーだろう」
 「誰にされるのも、ごめんですっつ!」
 じたばたと暴れる紅葉は、しかし本気で抵抗できないのだろう。
 相手は村雨。
 親しい友人の一人。
 そして、奴に残された時間がないのを、紅葉は本人より良く知っている。
 憐れみも、あるのかもしれない。
 「んっつ」
 とさっと、蒲団に紅葉の身体を投げた村雨は、結構切羽詰っている気もしないでもなかった。
 背中でずって逃げようとした紅葉の身体をひょいっとひっくり返して、四つん這う体勢を取ら
せている。
 「先生。準備はいいか?」
 「俺は、何時でもばっちりさ」
 蒲団に這わされた紅葉の真正面。
 表情を余す所なく見る為に、目線を合わせて這い蹲る。

                              


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