仕込み甲斐があって、面白そうだなんて。
思ったのは何時以来だろう。
苦笑を浮かべながら俺は、キスをねだる壬生の唇を丁寧に構ってやりながら、胸への愛撫
を再開した。
「んんっつ」
「どうした?」
「これが、イイって感触なんですか。ちょっとぴりぴりする感じ」
大きな乳房の上に、小さく起立した乳首を俺にしては優しい仕種で、擦ってやれば、そんな
感想を告げてくる。
「まだ、快楽がどんなもんか。頭と体が連動してないのだろう。時機にわかるさ」
「そういう、ものですか」
不用意に力が入ってしまうらしく、時折息が止まっている事に気がついて、慌てて深呼吸し
ては、身体をリラックスさせようとする。
口の中に放たれる吐息は、だんだんと熱の高さを上げているようだった。
「せっかくだから。色々と試さんと、な」
「その笑い方、魔神の生徒に見せてあげたいですね」
「それを言うならお前。宿星のメンツとやらに今のお前を見せてやりたいよ。普段から仲いい
奴どころか、仲が悪い奴ですら、めろめろだろうよ」
「めろめろねぇ」
まさか、そんな事はないでしょう、と言った風情で首を振るが。
話に聞く、壬生を嫌っているメンツや苦手なメンツをも簡単に魅了するだろう。
この俺が絶世の美女と称するんだぞ?
ちったあ、ありがたがって欲しいもんだ。
「さて、と。まずはこれ」
すっかり自己主張をし、鮮やかな赤い色を差した乳首に、ちゅうっと音を立てて吸い付く。
「赤ちゃん、みたいですね」
『凄いセリフだな、おい』
と胸の谷間に顔を埋めながら、上目遣いに告げて。
続けてちゅうちゅうと乳首を吸い続ければ、壬生の掌が場違いな穏やかさで俺の髪の毛を、撫
でつける。
「こういうの、母性本能を擽られるっていうのかな?」
無心に乳首を吸い上げる様をそんな風に表現できるのは、ま、男というもの知らないせいだ。
SEXの最中。
相手の女性に母性を求める輩は多いが、少なくとも俺は違う。
お互いの愉悦と安堵。
それが最優先だ。
飽きることなく吸い続けて後。
根元に先端に、軽く歯を立てる。
先端には、掠めるくらいのが気持ち良いらしい。
声により甘さが宿る。
「ん。犬、がみさ?」
「どした」
「胸、揉むの、強いです」
「ああ、悪い。あんまりにも、やっこんで、つい…なぁ」
乳首を堪能しながらも、乳房を揉みしだいていた。
真っ白い餅肌とは、こういう肌を言うのだ。
掌にぴったりと吸い付いて来て、触っている俺もたまらなく気持ちがいい。
壬生に至っては、先刻から、何とも可愛らしく鼻を鳴らしている。
初めてで、快楽の逃がし方がわからないんだろうが、感度が良いのは間違いない。
花びらを確認するのが、実に楽しみだ。
「にやけた、顔」
「お前さんは、真っ赤だな。熱でもあるみたいだぜ?」
「だって、犬神さん……しつこい、ですよ」
「この程度は誰だってやると思うがな」
「……僕は経験豊富ではないすけど、やり過ぎだってことぐらいはわかります」
何となく、頬が膨らんでいる。
拗ねている壬生なんてーのも、レアだな。
太っているどころかスリムで華奢だが、女の体が全体的に丸みを帯びているので、男の頃
よりも、頬がふよんとした印象を覚える。
試しに、両掌で頬を包み込めば、ここにも餅肌は健在で、もっと触ってとばかりに吸い付い
てきた。
「どうしたんです?」
いきなり頬を包まれて、素っ頓狂な顔をしている。
……面白れぇなー。おい。
「や。拗ねてほっぺた膨らませるお前が面白くてな」
「拗ねてないし、頬を膨らませてもないし、面白くもないですよ!」
「そー思ってるのは、お前だけだな」
「貴方がおかしいだけですよ。自分は普通だなんて説得力ありません!」
まぁ、確かに人狼だしな?
普通じゃねーだろうけど。
「……僕が言っているのは、性質のコトですよ?身体的なことではありません」
「んなコトは気にしてない。身体的には、実際。恐ろしく違うんだってのをお前さん。これから
嫌でも知る羽目になる」
「今からでもいいですよ。やめませんか?」
「まだ言ってるのか……」
減らない口を封じたくて、またしても強く胸を揉みしだく。
口と違って、こちらは実に素直に俺の思う形にくよんと蠢いた。
「つ!うっつ。最後まで、止めませんって言いますよ!」
「終わった後も言いそうだな……ま、諦めろ。俺に魅入られて逃げ遂せた人間はいない」
遥か昔。
まだ人の血が甘美であった頃から、時折、遊戯めいて人の身体を弄んだ時でも。
嫌だ、許して、助けてといいながら、人間は。
何時だって蕩けながら、最終的には俺に肉と心を差し出したものだ。
「誰と比べているのか、しれませんけど。僕は逃げます、よ」
「……ああ、こんな時に他人の話は無粋だったな」
「そんなことを言っているんじゃ!うんっつう」
再び胸に唇を戻し、乳首を噛んでやる。
心臓の鼓動が唇に優しくて、つい左ばかりを弄ってしまえば、ぽちりと立ち上がって赤く濡
れた乳首と、陥没している右側の対比が気になった。
右側の乳輪ごと吸い上げる。
「あんっつ」
そのまま口の中、ぐにぐにと乳輪を噛みながら乳首を吸った。
「んっつ、ど、ちかに…しま、せ?」
「ナニが、だ」
「吸うのと、噛むの」
「どっちがイイ?」
「貴方の、好きな方で」
言われて、どちらでも楽しい俺は壬生の反応で決める事にする。
まずは、乳輪。