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 尻から揺れる背中が、男を誘惑する動きで、一度。
 大きくうねった。
 意識してやってるにしろ、無意識にしろ、マジで参るぜ。
 降参だ。
 「わたしの、奥を。たくさん、苛めて?」
 「……苛めて、か。おれぁ、サドじゃねーんだがな。他ならぬ恋人のオネダリだ」
 俺は背中から、奴の耳朶を軽く噛んで、耳の中に息を吐き出しながら言葉を注ぎ込んで
やった。
 「ロイのイイとこを、暴いて。苛めてやるよ」
 全身に走った鳥肌は、興奮所以だったんだろう。
 可愛い奴だ。
 腰骨に爪が食い込みそうな位に、腰を指で引っ掴んで数度、抜き差しをした。
 「ひんっつ!」
 こっちの脳髄まで零れ出しそうな、甘ったるい悲鳴。
 最初っからがんがん、突いてやるのは性に合わない。
 俺は、奴の最奥を広げるようにして、幾度も腰を回転させた。
 「せんせっつ。あんっつ。せんせぃ……は、あっつ。それ、だめっつ」
 「いいぜ。別に、一人でイってくれても」
 「やぁ。いっしょがいい、ですっつ」
 「若けぇんだから、何度でもどーよ」
 「若いって、せんせ。私、三十路っつ」
 「……俺よりは…幾つだったけか?まぁ間違いなく随分と若いだろうよ」
 体力は最前線を飛び回る鍛え抜かれた軍人の、それ。
 張り艶、特に最中に見せる肌の感じなんかは、十代の不健康な奴とは比べようも無い。
 下手打ったら、健康な十代とも肩ぁ並べられるかもしれない。
 若い奴のエキスを吸い取りつつ、この老いぼれの少ない精気を貪り食ってるせいかも
しらんがな。
 本来の年齢を感じないSEXに、俺までつられて若返りそうなくらいだというのに。
 「せんせ、も。わかい、ですよ」
 「か?」
 「え、え……だって」
 せっかく、広げた最奥から入り口までが、ぎゅうっと締まった。
 「こんなに、硬い、ですもの……」
 どんな顔で言っているのか、面拝みたい気もするが、今回はこのままラストまでだ。
 奴の顔見た瞬間。
 マジにイっちまいそうなんでな。

 「んんっつ、あ、ふっつ」
 快楽を堪え切れずに、漏れてしまう甘ったるい嬌声。
 よーく、わかるぜ?
 俺の鼻からも、間抜けた荒い息がひっきりなしだからな。
 じっと背中を凝視しながら腰を振り、時折、突き上げる。
 歳取ってて良かったんじゃねーの?と思う時は、こいつの中に潜っている最中が一番多い。
 エルリック兄ぐらい若かったら、きっと。
 奴よりも早撃ち名人だっただろうからな。
 これの中を堪能するには、慣れと耐久力ってーか忍耐力が必要だ。
 極々普通の鑑定医である俺には、そんな大層なものはねぇ。
 あるのは、ただ。
 歳を重ねた必然の元にある、勃起しにくく到達しにくい体だけ。
 それをまぁ。
 見事に勃起させて、そのまま硬直を持続させるこいつの魅力は実際たいしたもんだろう。
 自分の溺れ具合を突きつけられているような気分にもなるが、それもこのうねりまくる背中を
見れば、ふっとんじまう。
 傷は、ない。
 前面には消えない傷があるが、背中は綺麗な物だ。
 元々、背中に傷をつけられるように愚鈍でも卑怯者でもなかったが、数少ない傷は、俺と
ドクター・マルコーが丹念に消した。
 こいつの体に、自分以外の人間がつけた跡が残るのが嫌だったから。
 戒めに、と奴が望む以外の傷は残させていない。
 小さな黒子は数個ある。
 以外は傷痕どころかシミもない。
 白い肌だから、その手のは目立つんだけど。
 しみじみと綺麗なものだ。
 白いカンバスの上、小さな黒点がまるで生き物のように蠢く様は、淫猥、卑猥。
 離れた場所にある黒子に、腰をゆるく廻しながら唇を押し当てれば、掠れたような悲鳴が
散った。
 「せんせっつ!せんせぇ!」
 「ん、だよ?」
 「もう。もぉ!」
 「もぉ?」
 「イって!」
 「……そりゃ、無理な相談だ」
 「せんせぇ!」
 必死の声。
 声聞いてるだけで、イけるかもって思ったのはこいつが最初で最後だろうなぁ。
 「後少し、頑張っとけ」
 「だって、もぉ。腰、崩れちゃ!」
 言っている側から、ぐずぐずと腰の力が抜けてゆく。
 中もびくびくと絶妙な収斂を繰り返しているところを見ると、イきっぱなしに近い状態なのかも
しれない。
 だが、我侭なこいつが望む。
 中と外の同時到達をするには、後もうちっと。
 こいつの中を、蕩けさせなきゃなんねぇ。
 「崩れれば、いいさ。っつーか。とっとと、崩れて下さい」
 「ん!くっつ!」
 笑う膝を叱咤して、懸命に体勢を保とうとするのは、腰が崩れたら俺の負担になると思って
いるから。
 そして、そこで行為が終わってしまうと、知っているから。
 「んだよ?やっぱ、もっと、して欲しいんじゃねーか。っと。素直じゃねぇ」
 微笑を含むままに、項を噛んだ。
 項に萌える男も多い昨今だが。
 こいつの項もまた、見事なものだ。
 ついつい産毛に歯を立てちまう。

 「ひ、あ!」
 ちっくしょ。
 また、締め付けてきやがる。
 これでは、限界がきてしまうと内心慌てた俺は、れろ、と這わせた舌をそのまま耳朶まで移動
させた。
 「ひんっつ」
 弱い箇所トップ3に入る、耳朶を噛まれて、中まで舐め上げれば、マスタングは全身を硬直さ
せて、絶頂に至る。




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