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 実際に、美味ですよ。
 とても、ね。
 の、言葉は。
 ちらりと投げて寄越した目線でのみ、語って寄越す。
 唇をナニから離すのを、惜しんでいるようだ。
 ご褒美に、必死に俺のナニに奉仕するマスタングの耳裏を、こしょこしょと掻いてやった。
 過敏症の気がある奴にとっては、こんな場所でもとてつもなく感じるのだ。
 太股に必死の爪を立てて、頭を前後に振る奴を見て、またむらむらとよからぬ考えが浮ん
だ。
 こいつと、してる最中俺は、自分が二周りぐらい若返った気分にさせられる。
 「おい。喉使いてぇんだ。角度、固定しな」
 思い立ったが吉日の、ディプスロート。
 女相手にやったこたぁねぇ。
 こいつ限定だ。
 所謂普通のフェラチオに比べると。
 温かさは、ある。
 柔らかさには、欠ける。
 が、喉仏の骨がちょうどいい感じに、俺の好きなところを刺激するのが、堪らない。
 マスタングは、従順に頷いて、自分で耐えられると思う、また俺が喜ぶ角度を調節してから、
数度瞬きをした。
 太股に縋り付いている指に、ぐっと力が篭った。
 「いくぜ?」
 一応確認を取って、容赦なく口腔から喉奥までを使う。
 若かったら、三秒速攻で出ちまっただろうなぁと、思う心地良さ。
 涙目のマスタングの面も、イイ。
 こいつの泣き顔なんざぁ、俺しか知らんのだろうと考えれば、格別に。
 このまま、出して飲ませてやるのも良さそうだったが、そうすると中に入れてはやれそうに
ない。
 立て続けの2ラウンドは、ちときついからな。
 太股に立てられた爪が、幾本もの蚯蚓腫れ作り出した頃に、俺はずるっとナニを引き抜い
た。
 「やあっつ」
 んな、悲しそうな声出すなってーの。
 お前さんだって、喉に出されるよりも、中に注がれてぇんだろ?

 「せんせぇ!」
 「んだ?」
 「酷い」
 「どして」
 「……飲みたかったです。濃ゆいの」
 「おいおい」
 「とっても美味しかったですよ。先走り」
 にぃっと口の端を吊り上げられる。
 その、紅さがいやに目につくのは、俺自身がこいつを欲してやまないからだろう。
 「どこか、痛かったです?」
 「や。良かったけどな。お前さんと違って年寄りだから、口に出しちまったら中には、入れて
  やれんからな」
 「じゃあ、中に入れてくれるんですね」
 ぱあっと、喜色が顔中に広がった。
 ……あんまり素直だと、こっちが照れんな。
 「ああ。入れてやるよ。ベッドの上で四つん這って、尻上げな」
 「はい」
 やる気の無い時のもそもそっぷりと、今の素早い動きのギャップには微苦笑しか浮ばない。
 マスタングは、ベッドの上に上がり尻を高く上げた挙句に。
 自分の蕾を指で広げて見せた。
 全く練れてるにも程がある。
 慣れた俺ですら、ちっと引いちまう積極さ。
 いっそ、もう少し焦らしてやろうか?
 と、不穏な考えが頭の端を過ぎったけれど。
 このまま硬直を保てる保障もない。
 そろそろ入れておくのが無難だろう。
 「しっかし、何時の間に手入れしたんだ?」
 風呂には入らせなかった。
 こいつの薄い体臭を逃がすのは面白くなかったから。
 だからまぁ、多少の準備はいるだろうとバスルームから、こそこそとローションも持ってき
てあったのに。
 マスタングの入り口はとろりと解れて、既に俺を迎え入れる準備も整ったかのように、
収縮を繰り返していた。
 「先生が、バスを使っていらっしゃる間に。トイレで、少々」
 「……そういやぁ、ここは。別だったなトイレとバスが」
 その手のホテルだと、一緒の所が多いのだが。
 多少グレードを上げる為に、分けたのかもしれない。
 「最低限のことはしておかないとね。幾ら恋人同士でも、先生が医者でいらしたとしても。
  見せたくない部分はあるじゃないですか?」
 例えば中を綺麗にしておくなどが、それに該当するか。
 一緒に準備するのも、嫌いじゃねーがな。
 マスタングが泣きながら恥ずかしがるコトなんて、そう幾つもねーからよ。
 「そーゆー部分を見るの、好きだけどな」
 「知ってます、けど……」
 「多少は弄らせてもらうさ。おら。前向いとけ」
 「……はぁい」
 マスタングはまだ納得しきらぬ風情で、しかしきっちりと前を向いて俯いた。
 腕を抱え込むのに、マスタングのそれなりの覚悟を見て、俺は一人で口の端を上げる。
 こいつとする時は、我ながらやに下がった面してる自覚はあんぜ?
 奴の見えない所において置いたローションを、たっぷりと掌に落とす。
 掌の上で広げてから、一度だけ。
 股座から腕を突っ込んで、ナニの先端から袋までを一気に、ローション塗れの手を滑らせ
た。

 「ひゃあ!」
 反射的にしては激し過ぎる、尻の振れ具合。
 しっかし、こいつの場合これが演技じゃないんだから驚きだ。
 間違いなく過敏症の傾向にある。
 攻め手の俺的には、ありがたいばっかしだ。
 「おいおい。まさか漏らしちまったんじゃねーだろうなぁ」
 気持ち良さそうな声に、ひょいと奴の下肢を見やる。
 ちょうど先端から、とろんと蜜が一滴、滴り落ちる所だった。
 「ちゃんと。我慢、しましたよ」
 言っている側から、もう一滴。
 まぁ、確かに射精には至っちゃいねーだろうがな。
 すんげぇ、先走りもあったもんだ。
 「……まぁ、イっちゃあいねぇってか」
 「よく、我慢しているでしょう、せんせ」
 だから。
 と、こっからは俺の目をじっと見詰めて、声には出さず唇だけが淫らに蠢いた。

 ご褒美、下さい。

 ……んとに、こいつには参る。
 完璧な計算と天然の反応の混ざり具合も、俺のツボなんだろうとしみじみだ。
 もっと弄り倒したい気もしたのだが、先刻のストリップショウは想像以上に俺の男ってー奴を
刺激してくれたらしい。
 硬直がどこまで長く保つかも、ちっと不安だしな。

                           



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