もじもじと擦り合わせていた膝に、隙間を作ったくらいでは許して貰えない。
このままじっとしていれば、この男は何時間でも羞恥に悶える私を楽しそうに、嬉しそうに眺
めて過ごせるのを嫌というほど知っているから。
目を閉じて深呼吸を何度かすると、膝頭から太ももまでをぱかん!と開いて見せた。
「……ああ、絶景」
「……オオバカモノ…」
きつく目を瞑っても奴が、私の本来人に見せる場所ではない部分を凝視しているのがわ
かった。
舐めるように、というのはきっと今この時にこそ、使われる表現だろう。
それぐらいに、執拗な視線だ。
「ロイさん……力、抜いて下さいよ」
「嫌だ」
抜けば、間違いなく出血があるから。
「……ここまで来てもかたくなさんなんです?まー私は私の好きにしますけどねぇ」
語尾のにやつく色に、とてつもなく嫌な予感を覚えて、手探りで男の頭を追いやろうとしたが、
無論、びくともしない。
抵抗を楽しむ風な微笑が漏れて、伸びてきた指先が、あそこを広げる。
「やめろっつ!うんっつ」
叫んだ途端、とろりと溢れてしまうものがある。
散々奴に焦らされて漏れてしまう蜜ではなく、女の身である以上どうしたって避けられない月経
の血。
「出てきましたよ、ロイさん」
「説明しなくいいっつ!」
「どうして?まぁ、私は血の色が元々好きな性質ですけど?貴方の血は特別なんですよ」
ふっと太ももに息が届いて、思わず目を見開いた。
「よせっつ!キンブリーっつ」
止めて聞く男ではないのは、本人よりもよくわかっていたが、言わずにはいられなかった。
奴がその言葉で余計興奮して、行為を続けてしまうのだと重々承知していても。
キンブリーの舌が、溢れ出た血液をぴちょりと音を立てて舐め上げたのだ。
「……普通、血ってしょっぱいんですけどね。貴女の血は蕩けるように甘い」
奴の舌と私のアソコの間に、赤い糸が引かれた。
恥ずかしいを通り越して、怒りすら覚える。
「ど!してっつ、きさまはっつ!」
息が上がって、言葉が上手く紡げない。
けふけふと噎せれば、半身を持ち上げたキンブリーがそっと背中を摩って寄越した。
「そんなに怒らないで、ロイさん。私は、貴女と繋がりたいだけなんですよ。それを貴女が、
嫌がるなら。せめて気持ち良くしてあげたいじゃないですか」
「そんな事、されて!気持ち良いわけがないだろうがっつ!」
私を見上げてくる奴の唇から目が離せないのは、私の血が奴の唇についているのが気になっ
て仕方ないからであって。
決して。
血に濡れた奴の唇が毒々しいくらいに、赤くて。
触れたら蕩けそうに見えるなんて、思ってなんかいない。
「そうです?まぁ、今のは気持ち良くなかったかもしれないけど……」
「ひゃあっつ!」
「ここを、擦れば気持ちよいですよね?」
まだ皮を被ったままの突起を、指の腹で擦られた。
秘所を広げていた指先には血が、ついていて。
血がついた指は、ぬるついていて、触られると。
反射的に声が上がってしまう。
「よせっつ、Jっつ」
「貴方に呼ばれるのなら、何と呼ばれても嬉しいですけど。セカンドネーム呼びも萌えますねぇ」
「じゃ、じゃあ、イヌッとか呼んでいもいいのか!」
自分が呼ばれたら、嫌だな、と思う呼び方をわざと選んだというのに。
「ええ。だって私、貴方の犬ですもん。わんわん」
泣き声まで真似されてしまう。
「でも、あれですよね。私を犬扱いするんなら。たくさん舐めてもいいんですよね」
「ちがっつ!やあんっつ」
そんなつもりで言った訳では微塵もないのに、自分に都合良く私のセリフを曲解させること
にかけて、天才的な才能を発揮する奴は、またしても、んでもない事をしでかし始める。
「ここ、広げて、ね?」
こぽ、と新しい出血があった。
奴の手は血塗れだ。
正直見られた状態じゃないのに、奴はもう、恍惚とした感じに嬉しそうで、泣きたくなる。
「クリ、舐めましょうね」
ちょん、と舌先が触れるだけで、太股が跳ねた。
「はは、顔中血だらけになりそうですよ」
跳ねる勢いのままに、キンブリーの顔にも血が飛び散っている。
「だからっつ!よせって、ばんっつ」
ナンだって、こいつは血に塗れるのが、似合うのか。
怖気立つ嫌悪よりも尚深い愉悦を感じてしまう自分も、十分おかしいけれど。
「やっつ。するなと……しないでっつ……」
周りを広げているので、クリトリスが浮きだって見える。
ぷちんと立ち上がって、硬くなっているのが、奴の舌の感触でわかった。
しかも、奴の舌が繰り返して舐め上げればそれだけ、硬度が増してしまうのだ。
更には硬度が増したクリトリスから与えられる快楽は、自分の手に負えない程に深い。
ぴちゅ、ぴちゅ、と舐める音にはもう、血と奴の唾液の音だけではないだろう。
身体の奥から溢れ出る、愛液、というものも多分に含まれている。
「やあっつ、やあんっつ」
「やあ、じゃないでしょうに。ロイさん、クリ大好きじゃないですか。しかも皮を捲らないで、
境界線のトコ弄られるのが一番好きなんでしょ?マニアさんで嬉しいですよ」
ほら、見て?と奴が言う。
見なければ、益々恥ずかしいことをしでかすのは分かりきっていたので、ずらしていた目線を
少しだけ戻す。
大半が皮で隠れている小さな粒の下側、ちらりと見える粒と皮の境界線を右へ左へとなぞる。
「やっつ、やあっつ、だめっつ」
「嘘は、駄目ですよ。こうやって擦って、更にはぐるぐるって……」
「ひあ!」
今度は円を描くようにして、あくまでもそっと触れられた。
それでも十分に感じてしまうのに、奴は私の腰の跳ね具合から更に強弱をつけて擦り上げた。
「んあ、ふんんっつ!」
「ロイさん。目ぇ、開けて」
愉悦を堪えようと目を閉じれば、開けと強要される。
薄く開けば、先程よりも大きく硬くなったクリトリスが映った。
境界線の隙間から見える部分が明らかに増えているのだ。
「じぇい。やっつ、もぉ、やっつ」
「もーどうして、そんなに我侭さんなんです?クリでいかせて我慢しようかなーとか思った健気
な努力を駄目にするんですから」
不意に、皮を剥き上げられて、強すぎる回転の愛撫をくるくるっと数周。