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 大きく溜息をついてやれば、口の端にキス。
 「惚れ直しちゃいました?」
 「とてつもない阿呆だな」
 「照れなくてもいいんですよ」
 「照れてなんかっつ!んんんっつ、うんんっつ」
 不意に、胸を両掌で揉み絆されて、唇を封じられる。
 舌は私の舌を引きずり出すようにして、捏ね繰り回す徹底さ。
 何だってこんなに、あれこれ一緒にできるのかと不思議だ。
 元々が器用な奴だった気もしないでもないのだが、何もこんな場面で発揮しなくてもいいと
思う。
 例えば、仕事とか……。
 「やあんっつ」
 気がつかぬ内に、シャツを綺麗に肌蹴られていたらしい。
 しかし、タンクトップを持ち上げてブラジャーをずらす、一瞬の早業はどうなのか。
 私の反応が鈍いだけなのだろうか?
 かりっと乳首が噛まれる。 
 先端だけを噛んだ後、舌先でぺろぺろ舐められると、私の下肢は何時でもじんわりと熱が広
がってしまうのだ。
 「それ、するなっつ」
 「それって、ロイさん。それ、じゃあ、わからないですよ」
 「わかって、る…癖…にぃ…んっつ。んうぅ…」
 舌先だけで弄られるのも感じるが、舌全体、特に中央辺りのざらついた場所で捏ねられても、
声が堪え切れなくなった。
 「ねぇっつ、キン…ぶりぃ……」
 「はぁい?」
 ふざけた声音で、それでもきっちりと返事をしてくる所が小憎らしい。
 「乳首、弄らないで?」
 「どーして」
 「……あ、そこ…濡れちゃうから…」

 「どれ、見せてみて下さい」
 ロングスカートを膝までたくし上げられて、慌てて手首を掴む。
 「駄目だってば」
 「同じ言葉をそっくりそのまま返します」
 こうと決めた時の、こいつの実行力というのは生半可なものではなく。
 私の抵抗なぞ、どこ吹く風。
 おなかが丸見えになる位置まで、スカートを持ち上げてしまった。
 後、着ている物はといえば、ガードルに薄いストッキングとサニタリーショーツ。
 「ロイさん、月経の時は、ガードル履くんですよね」
 「だって、ずれるだろう?」
 「タンポンにすればいいのに」
 「……お前の以外、中に入れたくない」
 言ってからしまった!と思っても、もう遅い。
 にやりと笑ったキンブリーは、私でも止められなくなってしまった。
 「あんまり可愛い事言わないで下さいよ。乱暴に、したくないんですから」
 じっと、していて下さいね? 
 と意味合いだけは懇願で、口調は命令の言葉を囁いた奴は、急ぐでもなく、下着を脱がしに
かかった。
 まずは、ガードル。
 こいつに会うまでは地味なベージュ一辺倒だったのだが、意外にも可愛らしいモノ好きの、
こいつの趣味で。
 今履いているガードルは、前面が透けレースの仕立てで、小さな花とリボンのモチーフが
中心から少し外れて二つついている、色もピンクという代物。
 元々身体にぴったりと作られているガードルの、更にきつめな物を選んで履いているので、
自分で脱ぐにも面倒な下着なのだが。
 キンブリーは指先一つで、腰を軽く上げさせて太ももを開かせると、つつつっと簡単に下ろ
してしまった。
 次はストッキング。
 「…アレ?ロイさん。太ももの所、伝線しちゃってますよ」
 「そうか」
 「捨てますよね」
 「だな」
 「じゃ、遠慮なく」
 覗き込めば、普通にしていれば見えない場所。
 太ももの内側に、数センチ程の伝線。
 キンブリーは穴に指を入れると、そのままつつーと伝線を大きくさせ、びりびりと破いてしま
った。
 「何度やっても楽しいです!」
 …よく、わからないが、嬉しそうだ。
 こいつは懲りもせず、ストッキングを破く度に興奮する。
 「新しいの……」
 「明日、一緒に買いに行きましょう?」
 「ん」
 そうして、キンブリー好みのストッキングが、増えてゆく。
 そういえばこいつは、下着だろうが何だろうが、私が身につけるものは必ず一緒に出向いて
いって、選ぶなぁ。
 男性は普通女性と一緒の買い物を、嫌がるものらしいのだけれど。
 「どうしました?」
 「や、お前は女性との買い物を嫌がらないな、と思っただけだ」
 「好きじゃないですよぉ。ただ、貴女との買い物が好きなだけです」
 「そうか」
 「はい」
 確かに、女性との買い物なんか御免ですね!という、スタンスの方がこいつには合う。
 「ロイさんが、着ると思うから、食べると思うから、使うと思うから!一緒に選んで買い物する
  のが楽しいんです」
 「なるほど、な」
 「貴女は、私と一緒にする買い物、嫌なんですか?」
 「そんな事はないさ!」
 まぁ、フェミニーンなグッズが増えてゆくのは、何だかなーと思わないでもないが。
 「じゃ、一緒に行きましょう。今年の流行はグレーらしいですからね。ストッキングも多めに
 グレーを誂えておかないと」
 「そんな、ものか」
 「ええ」
 今年流行のナイフの型なんかは、詳しいけれど。
 女性的なアイテムとなると、我ながらとんと無頓着。
 多少傾向に問題はあるが、大人しくキンブリーのいう事を聞いておいて間違いないだろう。
 「……キンブリー…」
 「駄目です。そんな可愛い声だしても」
 ショーツに指がかかったので、駄目もとで名前を呼んでみたが、やっぱり止めてはくれなかった。
 これも同じブランドの、同じシリーズらしいサニタリーショーツが、脱がされた。
 足首にひっかけもせず、ぽすんとベッドの下に落とす。
 「さ、足、開きましょうね」
 「もう、開いているだろう」
 「もっとです。これじゃあ、全然見えませんよ」

             
 


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