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 ロイ君の身体は羞恥と嫌悪と愉悦に、頬から産毛が逆立った。
 「……でもね。まだ、足りないかな」
 私は元居た場所に顔を戻して、潮を吹いた後の女性器を観察する。
 クリトリスは皮を含めて勿論卑猥な筋も、ひくひくと絶頂の余韻のままに収縮を繰り返して
いた。
 今度こそ、と思い。
 少しだけ綻んだ気もする筋を、そっと指の先で掻き分ける。
 途端。
 むわ、と何とも甘ったるい匂いが溢れ出た。
 今まで己の意志とは遠い場所で数多の女性を犯してきたが、女性器からこんなに甘い
匂いを発する相手はいなかった。
 ソラリス姉様が言っていた、香り女、という奴だろうか。
 己の身体から香気を発して男を惑わせるという存在。
 秘めやかな噂としてしか囁かれていない珠玉の身体は、絶頂を迎えると更に香気を増す
という。
 興奮のままに、更に指の腹で花びらを広げれば、奥の奥からとろっと蜜が溢れてきた。
 我慢なんて驚くほどきかず、私は蜜を啜る為に泉に唇をつける。
 「……ぅぁ……」
 悲鳴にすらならなかった嬌声が、僅かに伝わってきた。
 甘い匂いを放つ蜜の、味は私好みで口の上ふわりと蕩けてしまう儚いものだった。
 幾らでも飲める気がして、またどれほど飲んでも足りない気がして、私は僅かな蜜を音立
てて啜り上げる。
 私が満足するほどに、蜜は溢れてこなくて。
 どうすればいいのかと、思案する首を傾げるまでもなく、蜜を齎してくれるクリトリスに、
今度は指の腹をあてた。
 「だめっつ。きんぐ。しないでっつ。しないでっつ」
 絶頂に達した後、過敏になりすぎた箇所は痛かったり、くすぐったかったりする様だが、
ロイ君はそのどちらでもないようだった。
 見る間に蜜が滴ってきたからだ。
 未だ奥を濡らすだけの蜜を指の腹に掬い上げると、剥き上げたクリトリスを撫ぜ上げる。
 「ああっつ」
 蜜が溢れる様を見続けようか、啜り上げようか迷う所。
 もう少し溜まってから堪能するのもいいだろうと、弄るのに専念する事にした。
 左の人差し指で皮を捲り上げて、右手の中指で粒を擦り上げる。
 上下、左右、円を描いてとどれを試しても可愛い声が漏れるのがイイ。

 「ひあっつ!ひあっつ!やっつ。ああっつ。きんっつ。きん、ぐぅっつ」
 髪の毛が容赦なく引き抜かれる。
 痛くはないが、気にはなった。
 この遠慮の無さが、そのままロイ君の愉悦だと思えば、口の端が無意識に、にんまりと吊り
上がってしまう風に、だが。
 「どうだね、ロイ君?少しは、イイかな?」
 「……少しぢゃなく、て……とても…とっつ、ても…いいぃ……」
 ぴしゃん。
 量は少ないが、また、潮吹き。
 尻の方にまで、滴り落ちそうになった蜜を慌ててじゅるるっと吸い上げた。
 「やあっつ。音っつ。やっつ!」
 「君の…感じている証だよ。可愛いねぇ」
 「いわなっつ……言わないでっつ……」
 本人意識してかしないでか。
 すっかり口調が女性のものになっている。
 男性の時の口調も好きだったが、女性のこれも堪らない。
 何より、縋られている感じが。
 とても。
 度重なる痴態に、そろそろ先に進みたくなってきた。
 「ロイ君?」
 「ふわあっつい?」
 「指を入れてもいいかな」
 「指じゃ、無いものでも…イイ…ですよ?」
 「そうはいかないよ!やはり手順は踏まないとねぇ」
 まだ喘ぎの止まらないロイ君の、唇を指の腹でちょんちょんと突付く。
 私の意図した事を、正確に読み取る辺りは処女らしくもない。
 SEXに手馴れた女性の機微。
 己の唇の上に乗せられた指を、ぱくりと根元まで銜え込む。
 思わず我武者羅に蹂躙したくなる、柔らかさだったが。
 今はロイ君が、しゃぶるのに任せた。
 「ん、む…むうっつ」
 たかが指一本なのに、まるで私のペニスでも舐めているように苦しそうな風情だ。
 感じ過ぎてすっかり息が上がっているのだろう。
 頭を前後させ擬似のフェラチオに見立てる余裕まで見せる辺りは、まだ私に溺れきって
いないという事か。
 最後に爪の先をかし、と噛んで。
 名残惜しそうに唇が離れる。
 指は、根元から爪の先。
 関節の僅かな皺にまでも、唾液が塗されていた。
 「じゃあ、入れるよ?」
 まだまだ開き切ってはいない花びらの、入り口を指先でなぞる。
 合わせて腰が揺らめく様がまた、愛らしい。
 つぷ、とほんの指先、第一関節までを沈める。
 まだ、余裕。
 続いて第二関節まで……。
 「おおっつ!素晴らしいね」
 入りはしたが、内壁がきゅうと吸い付いてきたのだ。
 「この分だと、中でイくのも早そうだ」
 「……まさか、挿入までに。そこまで、されるのですか?」
 処女がクリトリスで感じ安いのは基本中の基本。
 膣での到達は、体質もあるが処女では中々難しいとされている。
 が、絶対できない訳でもない。
 これだけ感じ安いロイ君の身体なら、できるに違いないと思う。
 言葉にはせず笑って見せれば、ロイ君は同様を隠しつつも必死に言葉を紡ぐ。
 「幾らなんでも……それは…無理…ですよ…きんぐ?」
 「私を誰だと思っているのかね。キング・ブラッドレイだ」
 不可能は、ないよ?
 唇だけで囁いて、笑みを深くする。
 ぶるっと大きくロイ君の体が震えた。

 「どれ。ロイの良い所を探してみようね?」
 さりげなく、私的にはこれ以上はないほど緊張して、ロイ、と呼び捨ててみたのだけれど。
 特に彼女からの反応はない。
 このままロイ、と呼び続ける事も許されるのだろうか。




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