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 「っつ!」
 隠れた秘肉の鮮やかな事、小さな肉粒の愛らしい事。
 まだ濡れてもいない花の、清楚な事。
 もしかしてこの子は、希代の淫婦と呼ばれるようになっても、何処か品高く清潔な風情を
保っていられるのかもしれない。
 「……かっか、あの?どうか、されましたか」
 「君の、ここがあんまりにも綺麗で驚いただけだよ」
 「綺麗って!」
 「君も見てみればいい。たぶん見た事ないと思うから」
 嫌そうな顔をしながら、それでも好奇心に勝てなかったらしい。
 こんな所は本当に、錬金術師の性なんだなぁと苦笑を禁じえない。
 「え?」
 案の定、驚いている。
 「どうだね。綺麗だろう」
 「綺麗かどうかはわかりませんが、そんなにグロテスクなものでもないですね」
 「グロテスク!」
 「そう、思ったことはありませんか」
 「私はよくあるけどねぇ。君がそんな物言いをするとは思わなかった。結構なフェミニストで
  通っていたじゃないか」
 「……フェミニストというのなら、閣下の方が相応しいのでは?」
 私の何処を見ていっているのか。
 フェミニストとは真逆にいる男だという自覚もある。
 「ふふ。私が甘いのは君にだけだよ、ロイ君……」
 「君って、男性みたいですよ?」
 「おや。私は女性も君づけだが?」
 「……そうでしたっけ……」
 「ロイ、と呼んで良いならそれは光栄で嬉しいが」
 「構いませんよ。私もキングとお呼びした方が?」
 「いいねぇ。堪らない。何もかも許されあった恋人同士のようじゃないか!」
 キングと呼びなさい、とその内言うつもりではあったので、実は余計に嬉しかったりもするの
だ。
 「……では、キング。続きをお願いして欲しいのですけれども」
 確かにまぁ、この体勢で話を続けられた日には居た堪れないだろう。
 私は、別に繋がらなくてもこうして。
 ロイ君と話をしているのが嬉しくて仕方ないのだから。
 「続き……ね。ここまで触れがたいとどう攻めようかかなり迷うね……」
 泉に口をつけたい所ではあるのだが、まだほとんどそこに潤いは、見られない。
 やはり処女が一番感じやすい、クリトリスから攻めて行くのが無難ではあるのだろう。
 薄い表皮に完全に隠れてしまっているクリトリスに、皮の上から口付ける。
 「かっかっつ!」
 「……キング、じゃないのかね。ロイ」
 「……キング……そんな所……舐めないで下さい」
 「どうして。処女といえばここだろう」
 「でも、汚いですよ?」
 「君の身体で汚い所なんかないね。私がしたいんだから、いいんだよ。させなさい」
 「ですが!ひうっつ!」
 抗議の言葉は満足に紡がれず、すぐさま悲鳴に変わった。
 皮の上からぺろぺろと舐められただけで、この過敏さ。
 一息に剥いてしまいたい衝動と戦うのは、難しかった。
 唾液をたっぷり乗せて、ぴちゅくちゅと水音を立てながら舐り上げる。
 やわらかだった箇所に、微かな芯が現われ出してきた。
 「やあっつ、んっつ。ふんっつ……あ、あっつ」
 きゅうっとシーツを握り締める指先の白さが、快楽の強さを伝えてくれる。
 舌先では突付くように、舌腹で全体を食べつくす勢いで舐めてから、ちゅうちゅうと吸い上げ
た。

 「だめっつ。やぁ……きんぐぅ」
 ああ、甘い声だ。
 己のファーストネームというものに執着を覚えた例はなかったが、ロイ君に呼ばれると、
別物のように尊いものに聞こえるから不思議なもの。
 「お願いです。それ、やめてぇ」
 「…どうして?」
 「感じ、過ぎてしまうんです。どう、したらいいか。わからないんです」
 「身体が感じるままでいいだろう」
 「ですがっつ」
 切羽詰った声。
 もしかして、もう達してしまうのだろうか。
 幾らなんでも早いだろう、ましてや初めての女性がト思ったが、ロイ君の感度の良さを考え
ると、アリなのかもしれない。
 「…いきそうなのかね?」
 「……と、言うよりは……」
 「言うよりは?」
 言いにくそうに眉根を顰めるので、皮を少しだけ捲り上げる。
 「ひ!ああっつ」
 そうして、今度は元どおりに引き摺り下ろす。
 舌先でする連続した愛技にロイ君の爪先に、ぴんと力が入るのがわかった。
 「教えて、くれないかね。ロイ君」
 「……おもらし、してしまいそうなんです」
 「もらしなさい」
 興奮で、どうにかなりそうだった。
 私は辛うじて断言すると、爪の先で、必死にクリトリスを隠そうとしている皮を捲り上げた。
 「だめぇええ」
 全身が硬直する。
 びくんびくんと跳ねる様は、海岸に打ち上げられた魚のようでもあった。
 ちゃんとにいけたのだろうが、頬にぴしゃりと飛んできた液体からはアンモニア臭がしない。
 もしかして、これは?
 「ロイ?」
 「やあっつ。やあっつ。ごめっつ……ごめんなさいっつ」
 「や。これはね。おもらしじゃなくて。潮吹きだと思うよ」
 「しお、ふき」
 「経験した事はないかね」
 「……幾度かありますが……その」
 「ああ、こんなにあっさりとはなかったと」
 色々と思う所があるのだろう、今までの内で一番赤い顔をして頷く。
 「でも間違いないよ。ほら」
 私はロイ君に見せ付けるようにして、頬に飛んだ液体を掌で拭うとねろりと舐め上げる。
 「お小水の臭いは、しないから、ね」
 「キングっつ!」
 「そんな切ない声を上げなくても。君が私に齎してくれるモノは何もかもが美味だよ」
 今度は身体を伸ばして、直接頬を舐め上げる。




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