ヒューズが私の中を満たしてゆく。
「あ、あ、あっつん」
「ほら、どうよ?」
「ひゅーのおっきい、の。いっぱ!」
「一杯入ってきたか」
「ん」
返事をするのが、億劫な快楽。
このまま黙って貪られて、揺らされたいと思うのだけれど。
ヒューズは、具体的にどこがいいのか、とか。
どうして欲しいのか、言えと必ず強要する。
「根元まで、あと、ちょっと」
「しゃりって、する」
「そっか。俺はしんなりって気分かな」
剛毛とまでは行かなくとも、全体的に毛が硬いヒューズと、どこもかしかも柔らかい産毛じみ
た毛で覆われている私。
お互いの陰毛が触れる位置まで、挿入はなった。
最後の最後、ずん、と下腹部に響く衝撃が欲しくて、私は腰を波打たせる。
こうすると、より深く、ヒューズを銜え込めるのだ。
「も、ちょっと」
我ながら、見事と思う締め付けっぷり。
ヒューズとて、気持ち良さよりも痛さの方が強いんじゃないだろうか。
「ひゅ?」
「んだ?」
「いた?」
「んにゃ。きっちいなーとは思うけど。痛い、まではいかねーよ。安心して締め付けていいぜ」
「…った」
そう言われて安堵すれば、普通、そこは緩くなるのだけれど。
喜ぶ私は、もっと締め付けてしまうのだ。
「しっかし、お前さぁ。すんげぇよな?」
「……ナニが、だ」
「え?だって根元縛られたままで、いっちまうんだもんさ。驚くよ」
「同じ事されれば、お前だってそうなるさ」
細い紐ならばまだしも、やわらかなシフォン生地でしかも幅の広いリボンだ。
見た目の派手さよりも、拘束自体はじっとずっと弱い。
「そっかなー。淫乱ロイたんだけだと思うぜ。だったさーお前」
リボンごと、射精して間もない肉塊を掌で包み込まれる。
「やっつ!イったばっかりなのにっつ」
「でも、この生地に触っただけで、びくびくなってんじゃん。俺の掌に包まれなくてもさ」
掌をどけたヒューズの指先が、リボンをひょいと摘んで、そよそよと肉塊の周りを表面だけ
を擽るように、動かした。
其の度に、私の肉塊が、ぴくんぴくんと反応するに至っては、全く居た堪れない。
「ほら、感じちまうだろう……」
「…ひゅうっつ!そっちは、イイから……もう、焦らすなっつ」
完全に銜え込んだ状態で、動いてもらえないのは拷問だ。
自分で動こうにも、まだ気だるさが特に下肢全体を支配している。
「ああいいなー、ロイ。こっちの方がイイなんて。お前。本当に俺のオンナ何だよなー」
女に、されるのを、好ましくは思っていなかった。
女々しいとか、無駄な独占欲とかが盛り上がって、ヒューズに嫌われるんじゃないかと
思っていたから。
行為そのものの恥ずかしさよりも、居た堪れなかったのだけれど。
今でも、女、扱いされるのを疑問に思う自分もいないではないのだが。
俺の女、なんだと。
俺の、モノだと、言われて。
SEXの愉悦を遥か超えて、嬉しい自分がいた。
ヒューズがイイと言うのならば、きっと。
私は何でもできてしまうのだろう。
「そうさ。私は、お前の『女』だ」
「おや、認めた?」
「女の我侭を聞くのは、男の甲斐性だろう?」
「そーきたか」
にやっとヒューズが笑う。
何やら企んでいる顔も、嫌いじゃない。
「では、どーして欲しいんで、お姫様」
姫はないだろうっつ!と突っ込みを入れたい気は満々だったのだが、ここでのってしまって
は、また焦らされかねない。
「早く動いて、中で、私を」
いかせたまえ?の語尾は、キスと共にヒューズの唇の上に乗せた。
「ったく。姫様ってーより、女王様だよな。お前さんは」
言いながらも満更ではない風に、お返しのキス。
「お前、忘れてっかもしれんけど。結局俺は、お前が良いと思うようにしかしてやれんのだ
よ?」
「そんなの、知ってるさ」
私がヒューズに溺れている程ではないにしろ、ヒューズに取って私が一番の特別であるこ
とは、疑っていない。
少なくとも、この狭い空間。
士官学校にいる間は続くだろう予想も立てている。
「知られてましたか?」
「ああ……」
こつんと額があてられて、私達は二人。
しばし、呼吸を整える。
ヒューズの指先が私の頬を滑る仕草に、目を開ければ。
いくぜ?と瞳が語りかけてくる。
好奇心旺盛でやわらかくも鮮やかなグリーンアイズ。
わかった、と応える私の瞳は、きっと濡れた漆黒。
ヒューズが一番そそられる、色。
耳朶の裏を、そろっと撫ぜられて肩を竦めた、次の瞬間からお互い手放しに獣に変わる。
「ああああっつ」
自分がそんな声を上げるとは驚きだ。
しかし、こいつとのSEXは声でも上げていなければ、おかしくなってしまいそうに心地良いの
だ。
「まぁすっつ」
「あ?」
「いいっつ!」
「か」
そう、かと言う言葉も略される。
私とは反対にヒューズは、限界を超えると途端にしゃべらなくなるのだ。
快楽に集中しきってしまうのだろう。
「そこっつ、奥、もっと…広げてっつ」