「すっげ。イイ眺め」
「言ってろ、あほう」
中指で、人差し指で、二本同時に、自分がとろとろと吐き出してしまう透明の液体が穴の中、
戻らざるえない勢いで丹念に擦り込んでこられた。
「ん、んっつ。ん、あ、ん、ううっつ」
喉の奥からこらえきれない矯正がひっきりなしに上がる。
女性のそれは愛らしいが、私の声などみっともないだけだと思うのだが、ヒューズが満足
げに鼻を鳴らす音が聞こえた。
「ロイ?」
「ん、あっつ。ひゅー、イイ。も、すぐ…でちゃうっつ」
表情が見えないのは幸いだ。
恥ずかしい言葉も、いくらかは紡ぎ易い。
私は、頬が朱に染まるのを自覚しながら、自分の状態をヒューズに伝える。
本当は、今すぐにでもいかせて欲しいのだけれども。
それが叶わないのは経験上、嫌というほど思い知らされていた。
「でちゃって?可愛らしさは合格だけどな」
根元が縛られてしまう感覚。
「どうせ、イくんなら。俺のナニ銜えた状態じゃないと」
射精を止められた肉塊を、ピンと指ではじかれた。
シーツの上、私が溜め込んだ液体がぱたぱたっと飛び散る。
汗と先走りだけでこの様とは。
自分の体の恥ずかしい状態に、ますます、血が上った。
「うーん。かーいいな。ロイ。リボンの色、赤で良かったか?」
「しる、か!」
「青と迷ったんだけど。お前のイメージってなんとはなしに、青なんだけどね。操るの焔だし。
赤の方がエロいから、さ。こっちにしてみました」
鼻歌交じりに囁かれて、更に。
「ロイたんのイヤラしーい、ナニの状態をちゃんと見たら、入れてやってもいいぜ」
これ以上、どうしろと?という要求を突きつけてくる。
「ほんと、だな?」
どんな無茶で、こっ恥ずかしいアレコレを求められても答えるしかないのは分かっているけれ
ど、憎まれ口を叩くくらいは、許容しろ。
「俺は嘘は言わないよん」
「どの口が言う!」
「この口。法螺は吹くけど嘘はつきません」
法螺……大袈裟に言う事。でたらめを言う事。
嘘……事実でない事。人を騙す為に事実と違う言葉を使う事。
……一体どこが違うというんだろうかと、頭では考えられたけれど、口に出す余裕は残され
ていなかった。
私はおそるおそる首を曲げて、自分の肉塊の様子を伺う。
透明の液体は、止まる術を知らずに少量ではあるが溢れ続けていて、その根元には、幅の
広い真っ赤なリボンがふわりと結ばれている。
シフォン生地のようなリボンの向こうに、アレが透けて見える部分は、自分の目にもどうしよ
うもない、淫乱に映った。
「どよ?ロイ。堪らなく艶っぽいだろう」
「ん。アレ、が。リボンの向こうで、とろとろ、おつゆ零してるのが、イヤラシイ」
恥ずかしい言葉を言えば、流れ出る蜜の量が増える。
頭の中には、ピンクの霧でも掛かっているんじゃないだろうか。
「よーし。ちゃんと自分が分かってる良い子には、ご褒美だ。ゆっくりと、入れるから。堪能し
な」
ヒューズのナニがやっと、繋がる場所にあてられた。
出してから、まだ然程の時間が経ってないのに、もう限界ぎりぎりでビンビンな感じだ。
触れているだけでも硬さが十分に伝わってくる。
上の口で可愛がるには大きかったそれは、舌の口で銜えるにも、きついレベルで大きい。
特に頭の括れを銜え込むまでは、ぴりりとした痛みから逃れられなかった。
覚悟を決めて、大きく息を吐き出すのと同時に。
宣言通りに、ゆっくりと。
焦らしているとしか思えない加減で、ヒューズのナニが私の中、進入を開始した。
「あんっつ!ひゅうっつ」
「まだ、先んちょしか入れてないのに、お前。こんなに締め付けてどうするよ。これ以上入ら
ねーぞ?」
少し力を入れれば、入っていくはずなのに、ヒューズは一度、わざとアレを抜き取ってしまう。
「やあっつ!ダメ!抜いたらっつ、ダメなんだっつ、マースっつ」
「どうして、抜いちゃ駄目なんだ。ロイのココ。痛い痛いって、入っちゃ嫌だって、締めだそうと
するんだぜ?」
どこまでも意地悪く囁くヒューズが、本気で憎いと思い始めるのは、あんまりにも焦らし続け
られているせいだろう。
「違う!私は、欲しいんだ……欲しいんだ。まーぁすが。だから、もう。お願いだから。ちゃん
と。奥まで入れて……くだしゃっつ」
真剣に、泣けてきた。
語尾が意識もせずに、幼児のような口調になってしまう。
頭のどこかで、そうするとヒューズが優しくなるのを知っているからだと自覚して、羞恥に頭
が沸騰した。
「もう、締め出さないか?」
「頑張って……ゆう、める、から」
「俺が入れるくらいに、緩めるなら、ちゃんと入れてやる」
「ちょ、ちょっと。待て」
こんなに、パニくった状態じゃあ、自分の体の制御なんてできやしない。
まずは、落ち着いて深呼吸。
深呼吸。
深呼吸……っと。
すーふーすーふーと、大きな呼吸を繰り返して、呼気を整える。
頭の中に酸素をたっぷりと送り込んでやるのが、結果的に一番早い沈静法だったりもした。
少しだけ、身体の熱も引いた気になる。
身体の奥も、幾らか緩んだのかもしれない。
と、ぼんやり自覚するか否かのタイミングで。
「ひゃあっつ!」
ずん、と、ヒューズのアレが中を穿ってきた。
「だめぇっつ!」
不意打ちに、射精してしまう自分に愕きながら喘ぐ。
「うわっつ。トコロテンだぁ」
嬉しそうな、声。
「ほんとーに、俺が欲しかったんだな。ん?」
「……だから。そー言った、のに」
情けなさに、涙がほろほろと零れる。
「泣くなってば。な?お前焦らすと、すんげー可愛いから、つい。ほら、奥までちゃんとに入れ
て、いっぱい、突き上げてやっから」
「んっつ、んんううんっつ」
涙に負けたのか、アレが入ってきた途端に出してしまった痴態に満足したのか、先程までの
焦らしが嘘のように、あっさりと。