「そりゃあな。好きな子を『気持ちイイ』って鳴かせるのは男の本望だからよ」
全身の産毛が逆立って、喉を往き来する肉塊が起こす嘔吐感を何とか堪えて、ヒューズの肉
塊全体を濡らした私は、ずるりという形容が似合う大きさの肉塊を、口の中から抜き取った。
途端吸い込みすぎてしまった酸素の多さに噎せ返る。
「よーし。よし。あんがとな、苦しかったろ?俺は、いけそうなくらいに気持ち良かったけどな」
屈んできたヒューズが、飽きる事もなく顔全体にキスの雨を降らせてくる。
「何。これから、だ。私が本領を発揮するのは」
口の中に残った唾液を、んくと飲み込むとヒューズの肉塊全体を舌で嘗め始めた。
「おまっつ!舌、どうにかしたのかよ!錬金術か?」
「ふふ……わかるか?」
「そりゃわかるよ。すっげーざらざらしてるぜ。おっ!う、えあ……駄目だ。すぐ出ちまうって」
ヒューズのいい所にあたるように、少しだけ改造した舌をお気に召してくれたようで何よりだ。
この程度の人体改造ならば、リバウンドなしで幾らでもできる。
舌の肉のバランスを壊して、微妙な凸凹感を生み出す以外には何もしない。
ないものを増やし、有るものを減らすのは難しい。
質量を変える事なく、形状を変えるの手法は錬金術の基本でもある。
ましてや自分の肉体の、極々一部。
現時点で最年少国家錬金術師の私にとっては、どうという作業でも無い。
ヒューズが喜ぶのならば、直の事。
「おいっつ!もう、駄目だっつ。出るっつ!離せ、よ」
「かまわんさ」
「くうっつ」
どくっつと若いっていうのは、恐らくこういう感じなんだろうなーと思う量の精液が口の中に吐
き出される。
挿入ともなると毎日まではいかないが、する日は何回もするし、お互いのナニを擦りあう程度
だったら、授業の狭間休み時間でも十分やりあっている。
一度にこんなに量を吐き出されるほど、溜まってはいないはずなのだが。
「……ちっくしょ!やっぱお前、錬金術反則」
「でも、気持ち良かっただろう?」
「まぁ、確かに良かったけどさー」
「何をそんなに不満そうにしてるんだ」
精液で汚れた部分を嘗め取って、新たに溢れてくる蜜は吸い上げて見る。ぴくぴくと反応を示
す肉塊は、一度の射精じゃ萎えもしない。
「……もそっとロイたんのフェラ顔を堪能したかったの!」
「……お前なぁ?」
「ま、いいか。もっとイイ顔見せて貰うしな」
よっこらせ!と、何とも爺むさい、しかしヒューズには妙に似合っている掛け声と共に、私の
体はベッドの上を転がされて、抗議の声を上げる間もなく四つん這いにされた。
「ヒューズ!この格好っは嫌だっ!」
「俺もねー。モヒトツお前さんの顔が見えんから好みじゃないんだけども。俺に顔見られない
方が興奮するだろう」
「そ!そんなコトはないぞ!」
繋がっている最中に、しつこい位に問われてようやっと、答える気に入りの体位は正常位だ。
男同士のSEXに向く体位じゃないし、負担は一層酷いものだが、それでも好きな理由は、
ヒューズの顔が見えるから。
私を見詰める甘だるいまなざしも、時折目を細める意地悪な色も。
獣と化した縋るようにも見える真摯な絶対者の瞳の色が、大好きで我ながら困るくらいに。
「そっか?もうお前のナニ、おつゆだらだら零して泣いてるんですけど」
はいはーい慰めてあげましょうねーと背中に口付けが落とされて、またの間から差し込まれ
た指先が、ちょんと袋に触れてくる。
「やあっつ!」
よりにもよって、何故そこに触ってくるんだぁという、私の心の声なぞ聞こえもしないヒューズ
は、これまた嬉しそうに言ってくるのだ。
この体勢では表情など見えもしないが、想像ならば簡単につく。
「ロイちゃん?俺の腕んなにぎゅうぎゅう締め付けないで下さいよぅ。ぷよぷよ袋じゃなしに、
かちかちの塊を触って欲しいんだろ?」
二つある袋をそれぞれ、つすーっと指腹でなぞってくる。
何だってそんな器用な真似ができるのか、いつだって不思議だ。
「んううつ」
「だーかーらー。はいはい、お股を広げてくださいねー。閉じたらいけませんよ」
太ももを大きく割開かれて、ヒューズの腕を二本とも挟み込む羽目になった。
次に何がどんな愛撫が来るのか想像してしまって、ぶるっと太ももが震える。
袋を弄る指先はそのまま。
反対側の手がいきなり先端を撫ぜてきた。
それも、掌で、だ。
「つう!」
声を上げるほど痛いかと言われれば、本当は違う。
痛いよりも刺激的という表現こそが正しい。
過ぎた刺激は痛みに成り代わるが、そこまではいっていない。
ヒューズの加減は何時だって私の好みを熟知して絶妙だ。
「痛くは、してねーぞ」
ねろりと舌が耳の中を這いながら、言葉が注ぎ込まれる。
「いきなりっ、掌なんかで、する奴がいるかっつ」
「ここにいるぜぇ」
「マースっつ!んあっつ」
掌に出来た肉刺を押し付けてきた。
一層硬い感触で敏感な箇所を撫でくり回されて、勝手に腰が揺れた。
「気持ちいいんじゃんさ?ホント素直じゃねーなぁ。こんなに腰を揺らしちまって、よ」
可愛いったら、ないね。
という、セリフだけがくぐもった笑いに紛れて、低く、呟かれた。
「…ロイ。いいんだろう?」
「知るか、馬鹿。そんな硬い場所、押し付けてくるな」
最後は白い液体を吹き上げて、汚れてしまう小さな穴を、まるで広げるような愛撫だ。
しかも、万遍なく小さな穴全体を円描くようにして、擦りたててくる。
ああ、もっと、そんな風じゃ、なくて!
じれったさに、腰が勝手にヒューズの掌の動きをなぞるようになっては、私の限界も近い。
「ああうっつ。ヒューズ」
「おうよ」
「指で、して」
「指で、か?どんな風に」
ごくっと口の中に溜まってしまう唾を飲み込んで、舌先で唇を湿らせる。
少しでも、恥ずかしい言葉がスムーズに。
何でもないのだと、口に出来るように。
「指の腹で、押し付けるようにくりくりってして」
「こんな感じで、よろしいですか。マスタング殿」
くすくすと笑いながら、ヒューズの指が私の指示通りの動きをした。
マスタング殿、なんて他人行儀に呼ばれるのにすら興奮してしまった。
あんまりの気持ち良さに腰が上下に振れる。