「いいじゃんさ?一度や二度じゃねーし。これやるとお前の身体すっげえあったかくなって、
やわやわになって……素直にもなるから、好きなんだ。俺」
楽しそうにくすくすと笑いながら、四つ這う私の尻にビール瓶をあててきたのだ。
急性アルコール中毒にかかる寸前の加減を、どこから仕入れてきたのか正確に把握してい
るヒューズの手にかかれば、医者に連れ込まれる、なんて情けない状況に陥ったりはしないけ
れど。
それでも直腸から直接飲まされるアルコールは、口から飲むのとは全く違う酔いを呼び起こ
す。
濡れた感触にぱちぱちと気泡が弾ける感触が太ももを滑り落ちて、ざわざわと毛が逆立った。
「ありゃ?上手く入らないなぁ。駄目だぞ、ロイ。好き嫌いしちゃあ」
そんなに依怙地になってると、もっとアルコール度数の強い酒に替えちゃうよん?と、本当に
酔いが回っているのか、妙にリアルな事を言いながら、再度私の身体をひっくり返す。
正面から向かいあえば、嬉しそうに微笑むヒューズの瞳の陰に僅かばかりの暗い色を見て
取る。
たぶんこれは、私だけしか知らない奴の深遠の欠片。
抵抗するだけ無駄なので、なるべく力を抜いてヒューズの好きにさせる。
「大人しいなーロイたん。もそっと暴れてもいいんだぜぇ」
無理矢理すっからさぁ。
これもまた、悪酔いする時にしか見せないヒューズの加虐嗜好。
跡を残したりしない辺りが、らしいのだが。
それでも、とんでもない行為を仕掛けられて泣き叫んだ例は、指負って数えられない程度に
は多い。
入り口にぴったりと瓶の口を銜えさせられたと思ったら、そのままの状態でヒューズの指が
私の肉塊をなぞり始める。
「ヒューズっつ!」
「たくさん弄ってやるからさ?もそっと穴、広げてくんないと。酒が全部零れちまう。俺は、
上手に、飲み込んで欲しいんだよ、ロイ?」
指から逃れようと動かす度に、揺れる瓶の中身がぴしゃぴしゃっと飛び散った。
皮膚からだってアルコールを吸収できるのだと、知らないヒューズではないのだが。直接
注ぎ込まないと満足できないらしい。
「あらあら。こんなにおつゆ零しちゃってまあ。吸ってやりてーけど。酒飲んでる時のフェラ
は地獄だからなぁ」
先端を指の腹で押し付けるように、ぐりぐりとやられて、腰が跳ね上がったのを、きっかけに
して。
ヒューズは私の腰を自分の太ももに乗せるというとんでもない体勢を強いる。
「よっしゃ!これなら直角だからな。イイ感じに飲めると思うぜ」
あまりの言葉に思わず自分の下肢に目をやれば、尻に突きたてられた瓶が、真っ直ぐに立っ
ているのが目に映る。
こぽ、こぽ、と力を入れているはずの部分の僅かな隙間から、酒が注がれてしまう。
酒が私の中に注がれて、瓶の色がだんだんと薄くなってゆく様を、半ば理性を手放しながら
見詰めた。
「お前なぁ。人を急性アルコール中毒にさせる気か?」
「だいじょぶっしょ。お前さん俺もお互いアルコールを分解できる能力高いみたいだし。だい
たいさー」
よっこらしょっと、最後の一滴までを注ぎ込んで空になった瓶が、ちゅぽんと抜かれる。
まるで欲しがっている所を無理やり抜かれたような、そんなイヤラシイ音に思わず首を振
れば、宥める様に額に口付けが下りてくる。
「急性アル中で、病院になんか担ぎ込まれてみ?俺リザちゃんに、額一発打ち抜かれて
瞬殺されるコト受けあいよん」
今の部署に配属されてすぐ、私の副官となった女性。
リザ・ホークアイ少尉。
煙るような金髪に、愛らしい蜂蜜色の瞳。
誰もが認める美貌と銃の腕。
配属先の希望コメントに『セクハラをしない上官希望』と書いたツワモノ。
氷のように冷たいといわれるツレナイ態度から、アイス・ドールとまで呼ばれている。
「確かに、そうかもしれないな。彼女は、私に甘いから」
初対面の挨拶時。
『セクハラ行為を自覚したら遠慮なく私の元から離れてくれたまえ?』
と、満面の微笑を湛えて言えば。
『言われるまでもなく』
と、生真面目な敬礼が返ってきた。
今でも私の副官を勤めてくれているということは、少なくとも私が彼女にセクハラ行為を働い
ていないという証なのだろう。
基本的には上官である私の指示に忠実だが。
それ以上に、私の不利益になることに関しては敏感で、つけつけと物を言ってくる。
生真面目過ぎると周りはいうが、やわらかな部分も多分に持ち合わせていた。
「俺もさーお前に甘い、自覚はあっけどさ。リザちゃんのアレはまた格別だよな。あんな美人
に懐かれて悪い気はせんだろうが」
「嬉しいさ。そりゃあね。でもマース。グレイシアがいるお前に妬かれるのは筋が違うと思うぞ?」
「妬いてたか?」
「違うのか」
「しゃーないじゃんさぁ。ロイの中では何時でも俺が一番でいたいんだから」
あんなに美しく、優しい非の打ち所が無い婚約者を手にして尚、私まで手に入れようとする
この男。
全く。
嫌いになった方がいいに、決まっているのにな。
「こんな、コト。されてる時点で気が付けよ」
下の口から飲まされたアルコールは、すっかり頭にも体にも回りきっている。
初めて酒を飲んだ時でも経験しなかったほど、心臓が脈打っていた。
「私は、何時だってお前が一番さ。お前と、違ってな?」
「えー。俺だってロイが一番だぜ?グレイシアにはいいトコ見せようって思うけど。お前になら
駄目なトコ見せてもいいかって、思うからさ」
好きな相手に弱い部分を見せられて、嬉しくない人間はあまりいないだろう。
時と場合にはよるかもしれないが。
無論、今。
私は嬉しくて仕方ない。
例えアルコールの熱に全身犯されていなくとも、同じ思考に至ったに違いない。
「……どうせなら私にも、イイトコロを見せてみろよ」
「いいのかよ、本気で見せちまってさ?」
「望む、ところだ」
「そいじゃー遠慮なく、入れとくか」
ふんふんと鼻歌交じりにジッパーを下ろした間から、ナニが取り出される。
ぴょこんという擬音でも似合いそうな勢いで立ち上がった、ナニを見て思わず生唾を飲み込
んでしまう。
赤黒くてらてらと濡れ光る肉塊は完全に勃起していた。
「よっこしょっと」
今すぐに入れられる硬さはあるはずなのに、ヒューズは私の入り口にナニを押し付けたまま、
何と、根元からマスターベーションの要領で己を扱き始めた。